〝勝利〟は誰の手に   作:幻想の詩人

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何故か書けたので投稿。次が書かれる可能性はほぼない。ちなみに今回もオリ主くんの名前は出ません。そしてオリ主くんの一人称です。ちなみにオリ主くんの容姿は黒髪で短髪。目の色は赤色です。


〝勝利〟を得るために

 いつも通りの朝がきた。……いや、いつも通りでもないか。エマたちの様子がおかしいし。いや、ノーマンは普段通りではあるけど、エマは何かに怯えるような反応をしていた。それに顔色もあんまり良くなさそうだった。原因は昨日の夜に〝何か〟を見たからだろう。それにしても──

「──何を見たんだろ」

 おそらく余程ショックなものを見たんだろう。エマやノーマンがショックを受ける出来事……コニーが死んでいる姿とかか? さすがにない……とは言えないか。リトルバーニーを持っていないにも関わらず、ノーマンは険しい表情で〝間に合わなかった〟と口にした。渡すのが間に合わなかっただけなら、リトルバーニーを置いてくる理由はないし、あんな険しい表情をすることもない。

「相談してくれよ、って言ったんだけどなぁ……」

 ツラい出来事じゃなかった訳じゃないだろう。なら、俺が信用されてないか、気軽に相談出来ない内容ってことだ。……もしかして信用されてない?

「……だとしたらショックだな」

「──何がショックなの?」

「っ⁉」

 びっくりした。いつの間にか後ろにエマがいた。……誤魔化す理由もないし、素直に言うか。

「いや、俺って信用されてないのかな? って思ったらさ」

「なんでそう思ったの?」

 エマが不思議そうな表情をするが、そりゃそう思いもするよ。

「エマたちに、気軽に相談してくれよ。って言ったのにちっとも相談してくれねぇから……」

 ちょっと不貞腐れたように言う。いや、実際はあまり気にしてないよ? 大切な家族に信用されてないなんて思ってないよ? てか、思いたくない。きっと気軽に相談出来ない内容なんだろう。……でも、エマとノーマン(家族)が悩んでるんだとしたら、力になりたい。全力を以てお前たち(家族)の抱いた不安の種を取り除きたい。だけど悲しいことに俺では力不足だ。身体能力ではエマに負け、頭の良さではノーマンに負け、知識ではレイに負ける。そんな俺が出来ることなんて、あまりないだろうし。……それに、あと一週間足らずで12歳になる。そんな俺に相談しないほうが正しいかもしれない。……わかってても悲しいな。

 そんなことを思っていると、エマが慌てたように弁解してきた。

「別に信用してない訳じゃないよ⁉ ただ──」

「ただ?」

「相談するほどのことじゃないから!」

 エマは普段通りの笑顔を浮かべて言う。相談するほどのことじゃない(・・・・・・・・・・・・・)ね……。今は普段通りの笑顔でも、朝が普段通りじゃなかったことを考えると、やっぱり俺では力不足なんだろうな。

「そっか。なら良いんだけどさ」

 でも、何かあったら言ってほしい。君が──家族が笑顔でいること。それこそ俺の願い。だから笑っていてほしい。君が悲しい表情をすると俺も悲しくなってしまうから。

 

 

 

☆☆☆☆☆☆

 

 自由時間だけど、特に何かする予定がない。

「どうしようかな」

 本を読んだり、遊んだりしても良いんだけど、正直そんな気分でもない。

「……ん?」

 エマとノーマンが一緒にいる。それは不思議じゃないけど……森の方に行っちゃった。まあいいや。

「そんなことより良い場所探しだ」

 いい天気だし、良い場所見つけたら寝よ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん……うーん、よく寝た……!」

 鐘の音で目が覚めた。タイミングばっちりだな。ママたちの所に行こう。……何かエマとノーマンが急いで来たみたいに見えるけど、気のせいかな。

 そんな意味もないことを考えていたときだった。

「ママ──ッ」

「マルク! 何かあったの?」

「どうしよう! 森でナイラとはぐれちゃった‼ いっぱい探したけど見つからないんだ!」

 マルクが走ってきて、ママに泣きついた。

「……大丈夫よ。みんなここから動かないで。いいわね?」

 それを聞いたママが動かないようにいったけど……なんで時計を開いた? 時計を見てもナイラの場所がわかる訳じゃないはずなのに。……もしかして時計じゃないのか? …………あ、ママが帰って来た。

「ママ!」

「ナイラ!」

 みんなが駆け寄る。……いや、みんなでもないか。ノーマンやエマは駆け寄ってないし。

「疲れて眠っちゃったのね。ほらケガ一つないわ」

 ママに抱えられているナイラは寝ていた。……いや、いくら何でも見つけるのが早すぎる。ナイラに発信器か何かを埋められていて、ママはそれを確認したと言われても信じられるくらいには早い。……いや、もし発信器が埋められてるとしたらナイラだけじゃなく、俺たち全員かな。だとしたら、ここは孤児院じゃない(・・・・・・・・・・)。……まあ、そんなことはどうでもいいか(・・・・・・・・・・・・・)

 ここが孤児院でも、そうじゃなくても、俺はエマが──家族(みんな)笑顔(しあわせ)であれば構わない。

 

 

☆☆☆☆☆☆

 

 

 

「……エマたちといられるのもあと少しか」

 部屋でボーッとしながら呟く。夕飯前にママに呼ばれたのでママの部屋に行くと、〝おめでとう。貴方の里親が決まったわ〟と言われた。

 正直予想はしていた。今月の18日は俺の誕生日。その日を迎えれば俺は12歳になるんだし、違う用件だったら驚いてた自信がある。

 それにしても──

「気になるのはエマたちの反応だな」

 夜ご飯の時間、俺の里親が決まったことをママが言った。そのとき明らかにエマやノーマン、それにレイの表情が変わった。それが喜んでるといったものなら気にもしないけど、そんな雰囲気でもなかった。むしろ悲しんでるような、悔しがってるような、そんな感じに見えた。……里親が決まったというのは嘘なんだろうか。本当に里親が決まったのなら、他は知らないけど、エマは喜びそうなものだし。……コニーはやっぱり死んだと思うべきなのだろうか。それとも、生きているとは言えない状態にされてると思うべきなんだろうか。

「……わからねぇや」

 そう。わからない。コニーが死んでいると考えた場合、どうして殺したのかという疑問が残る。生きているとは言えない状態にされたのならば、実験動物とでも考えるのが妥当だけど、それならもっと適当に……それこそ名前すらいらない気がする。誰かを判別するだけなら数字で充分だし。どうしても、どっちも疑問が残ってしまう。……前提が違うのかな。もしくはどちらでもないのか。何か予想する材料は……あ、そういえば──

「──格子窓が内側からは届かない位置に固定されてる上、ネジ穴が潰されてたっけ」

 なら、ここは檻とでも言うべきかな。……そう考えたとき気になるのは、俺たちは何のために育てられてるのか(・・・・・・・・・・・・・・・・・)。そして、ここは何のために、誰が作ったのか。それがわかれば何のために育てられてるのかに繋がりそうなものなんだけど。……やっぱり情報が足りない。だけど、知らない方が幸せなこともありそうだし、何か知ってるかもしれないエマたちに聞くのは止めておこう。気にならないと言えば嘘になるけども。

 そういや、夕飯前にママとエマが変なやり取りしてたな。ママのほうはエマの反応を確かめるように見えたけど……。まあ、そんなことはどうでもいいか。俺の気のせいかもしれないし。……さあ、もう寝よう。朝を楽しみにしながら寝るのは悪い気分にならないだろうし。

「…………どうか、エマたちの未来に光がありますように」

 エマたちが幸せに生きてほしい。それが叶うのなら──俺の命くらい惜しくない。

 

 

 

 

 

 

 

「私たちのことより、自分のことを優先してよ……。自分のことを蔑ろにしないで……‼」

 ──ごめんエマ。きっとそれは出来ないと思う……。と言うか、聞こえてたんだね……。俺は小声で言ったつもりだったんだけど、思ってたより声が大きかったみたい……。

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