〝勝利〟は誰の手に   作:幻想の詩人

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もう続きは書けないと言ったな。
G「ヴァルゼライド閣下なら出来たぞ?」
F「どうして覚醒しないんだ?」
などと光の亡者に煽られたので書きました。クオリティはどうかって? 聞かないで……。迷走しまくってるから……。意味不明に思われそう……。矛盾してたりおかしなところがあったらごめんなさい。


〝勝利〟とは?

 ハウスがただの孤児院で、みんなが笑顔でいられる夢を見た。

 誰もが笑って、幸せに生きていられる夢を見た。

 エマが、コニーが、ノーマンが、レイが、みんなが幸せそうな笑顔を浮かべて毎日を過ごす夢を見た。

 あぁ、これが現実ならどれだけ良かったんだろう。

 だけど、そんな(しあわせ)は突然すべて砕け散った。……(だれか)が砕いていた。嗤いながら心底愉しそうに家族(みんな)笑顔(しあわせ)を踏みにじっていた。だが、(だれか)は踏みにじるのを突然止めると、暗く恐ろしい笑みを浮かべて俺を見た。そして──そこで俺は目が覚めた。

「──っ! ……はぁ……はぁ……!」

 ……あれは夢だ。現実じゃない。あんなものが現実であってたまるか……! 俺が家族(みんな)笑顔(しあわせ)を踏みにじることなんて有り得ない……!!

「……怖い」

 死ぬのは恐ろしくない。苦痛はどうでもいい。だけど──

家族(みんな)が死ぬのを見るのは……」

 とても恐ろしい。家族(みんな)の幸せの為に俺が犠牲になるのは構わない。俺だけの犠牲で済むのなら、喜んで犠牲になる。だけど──

「ベル……大丈夫?」

「──⁉」

 エマ⁉ まずい、聞かれたか……? と言うか、どうして俺のベッドにいる!? いや、いま気づいたのには自分でもどうかと思うけど。

「……何かあったの?」

「……なんで?」

「泣いてる」

「……そんなはずない」

 俺は泣いていないはずだ。涙など流していないはずだ。……でも、泣いてないのなら、この頬を伝うものはなんだろう。

「泣いてるよ。……怖いときは──ううん、いつでもいい。何かあったら私たちを頼って……!」

 ……頼る? なんだそれ(・・・・・)

「わからない……。頼る? 頼り方なんて(そんなもの)俺は知らない……!」

「ベル……!」

 ──エマがいきなり抱き締めてきた。どうして俺を抱き締めて……? エマの身体が震えてる?

「……エマ?」

 どうして震えてるんだ? どうして泣いているんだ? 何か怖いことでもあったのか? ……わからない。

「それはこれから知っていけばいいって言いたい。だけどベルは明日には出荷され(いなくなっ)ちゃう……!

やっぱりみんなの中にベルがいないのなんて嫌だよ……! 一緒に逃げたいよ……!!」

「……それは出来ない」

「わかってる……!」

 ……俺はその気持ちだけで嬉しかったよ。俺と一緒にエマは逃げたいと言ってくれた。俺を家族(みんな)に含めてくれてありがとう。それだけで充分だ。もう充分すぎるほどに幸せだ。これ以上を望むのは……贅沢すぎるよ……。

「……泣かせてしまってごめんね。心配してくれてありがとう。……大好きだよ、エマ。出来れば一緒に逃げたかった」

 ……泣き疲れたんだろうか。いつの間にかエマは寝てしまっていた。……朝からごめんね。

 内心で謝罪しながらエマを抱き抱えて、ベッドに寝かせたけど……エマが服の裾を離してくれない。寝てるんだよね? 起きてないよね?

「エマ?」

「スー……スー……」

 ……うん、寝てるね。え、まさかこのままでいろと? さすがにそれは勘弁して……いや、このままエマが服を離してくれるまで寝顔を見てようかな。

 

 

 

 

 

 結局、エマは起きるまで服を離してくれなかった。でもいいか。エマの寝顔を見れたし。……俺ヤバいこと言ってね? 大丈夫か?

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

「紹介するわ。新しい妹キャロルよ。そしてシスター・クローネ。ママのお手伝いに来てもらったの」

 やっぱり増えた。まあ、赤ん坊(しんいり)はちょっと驚いた。部屋の片付けをやったから、大人が増えるのは予想できてたんだけどな。

「さ、シスター・クローネ」

「はい」

 力関係はママのほうが上かな。手伝いと言っていた以上、そう判断しても問題ないと思うけど……そうだと思い込むのは危険か。

「今日からここで一緒に暮らします。どうぞよろしく」

 シスター・クローネはそう言った。……俺はあまり好きになれない気がする。

 ……まあ、明日に俺はいなくなる。俺がシスターを観察する必要はないか。観察したところで1日じゃ大したことは知れないだろう。エマたちがシスターのことを観察して、把握すればいい。

 エマたちの邪魔をするなとは思わない。だけど有益な情報源にはなってくれよ。シスター・クローネ。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 シスター・クローネが増えたが、自由時間は変わらないな。

 エマたちとシスターの対応とかを考えるのがいいんだろうけど、あまり集まり過ぎてても怪しまれるだろうし。……手遅れの可能性を否定できないけど。

「……本でも読むか」

 何か面白い本はあるかな。適当に何冊か取り出して来たのはいいけど、大して興味が惹かれるものはない。

 ……いや、フクロウの蔵書票がある本は少し興味を惹かれた。他にもないか探してみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ウィリアム・ミネルヴァ」

 他にもフクロウの蔵書票がある本を見つけたけど、すべてウィリアム・ミネルヴァからの寄贈本だった。他の本にはフクロウの蔵書票なんてない。

 でも特におかしなことはない。なんで興味を惹かれ……あれ? フクロウを囲ってる円、途切れてる場所がそれぞれ違う……? 気のせい……じゃないな。何か意味があるのか、それともないのか……。わざわざ変える必要なんてないし、意味があると──いや、もしかして、これモールス符号か? ……試してみるか。

 

「……RUN……逃げろ。DOUBT……疑え……ね。つまりこれらは外からのメッセージか」

 一つだけモールスがないのは何でだ? ……何か足りないのか? ……今日はここら辺でいいか。これをエマたちに教えておけばいい。……いや、レイなら気づいてそうだし、教える必要はないかもしれないな。まあそれでも一応教えておくか。

 ……これがエマたちに渡せる最後の情報かもしれないな。俺は明日の夜に死ぬ。だけど──

「──最後の勝ちまでは譲らない」

 家族が無事にハウス(ここ)から逃げ出すこと。それが俺の〝勝利(こたえ)〟だ。……欲を言えば、幸せに生きて納得出来る死を迎えてほしいけど、そこまで言わない。

 見ていろ鬼ども。人間(おれたち)を家畜扱いし続けられると思うなよ。

「最後に〝勝つ〟のはエマたちだ」

 見ていろママ。エマたちは必ずここから逃げる。エマたちをいつまでも制御出来るなんて思わないでほしいな。

 ……でも、それは俺の願望も混じっているんだろう。だからそうなるとは限らない。むしろそうならない可能性のほうが高いと思う。……なのに、そうなると確信出来る。きっとエマたちなら出来ると思えてしまう。……不思議だな。

「っと、本を片付けないとか」

 そして寝る前にでもエマにモールス符号のことを教えとこう。

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

「エマ」

 エマに近づいて小声で話しかける。

「ベル。どうかしたの?」

「発信器の場所は調べたか?」

 耳だとは言ったけど、合っているとは限らない。キャロルの耳を確かめておかないと確信するのは危険だろう。……さすがにそれはわかってるだろうけど、調べたかくらいは確かめておかないと。

「うん、左耳だった」

「左耳だったか。……あ、そうだ。フクロウの蔵書票。

モールス符号になってる」

 確かめていてくれて良かった。ついでにモールス符号のことを教えたし、これで俺のほうは目的達成だ。

「え、どういうこと?」

「それは自分で確かめるのが早いよ。……それじゃ眠いからおやすみ」

 眠いので自分のベッドに戻って横になる。

「寝る前にどういうことか教えてよ……!?」

 そんなエマの声が聞こえた気がした。

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