〝勝利〟は誰の手に 作:幻想の詩人
G「ヴァルゼライド閣下なら出来たぞ?」
F「どうして覚醒しないんだ?」
などと光の亡者に煽られたので書きました。クオリティはどうかって? 聞かないで……。迷走しまくってるから……。意味不明に思われそう……。矛盾してたりおかしなところがあったらごめんなさい。
ハウスがただの孤児院で、みんなが笑顔でいられる夢を見た。
誰もが笑って、幸せに生きていられる夢を見た。
エマが、コニーが、ノーマンが、レイが、みんなが幸せそうな笑顔を浮かべて毎日を過ごす夢を見た。
あぁ、これが現実ならどれだけ良かったんだろう。
だけど、そんな
「──っ! ……はぁ……はぁ……!」
……あれは夢だ。現実じゃない。あんなものが現実であってたまるか……! 俺が
「……怖い」
死ぬのは恐ろしくない。苦痛はどうでもいい。だけど──
「
とても恐ろしい。
「ベル……大丈夫?」
「──⁉」
エマ⁉ まずい、聞かれたか……? と言うか、どうして俺のベッドにいる!? いや、いま気づいたのには自分でもどうかと思うけど。
「……何かあったの?」
「……なんで?」
「泣いてる」
「……そんなはずない」
俺は泣いていないはずだ。涙など流していないはずだ。……でも、泣いてないのなら、この頬を伝うものはなんだろう。
「泣いてるよ。……怖いときは──ううん、いつでもいい。何かあったら私たちを頼って……!」
……頼る?
「わからない……。頼る?
「ベル……!」
──エマがいきなり抱き締めてきた。どうして俺を抱き締めて……? エマの身体が震えてる?
「……エマ?」
どうして震えてるんだ? どうして泣いているんだ? 何か怖いことでもあったのか? ……わからない。
「それはこれから知っていけばいいって言いたい。だけどベルは明日には
やっぱりみんなの中にベルがいないのなんて嫌だよ……! 一緒に逃げたいよ……!!」
「……それは出来ない」
「わかってる……!」
……俺はその気持ちだけで嬉しかったよ。俺と一緒にエマは逃げたいと言ってくれた。俺を
「……泣かせてしまってごめんね。心配してくれてありがとう。……大好きだよ、エマ。出来れば一緒に逃げたかった」
……泣き疲れたんだろうか。いつの間にかエマは寝てしまっていた。……朝からごめんね。
内心で謝罪しながらエマを抱き抱えて、ベッドに寝かせたけど……エマが服の裾を離してくれない。寝てるんだよね? 起きてないよね?
「エマ?」
「スー……スー……」
……うん、寝てるね。え、まさかこのままでいろと? さすがにそれは勘弁して……いや、このままエマが服を離してくれるまで寝顔を見てようかな。
結局、エマは起きるまで服を離してくれなかった。でもいいか。エマの寝顔を見れたし。……俺ヤバいこと言ってね? 大丈夫か?
☆☆☆☆☆
「紹介するわ。新しい妹キャロルよ。そしてシスター・クローネ。ママのお手伝いに来てもらったの」
やっぱり増えた。まあ、
「さ、シスター・クローネ」
「はい」
力関係はママのほうが上かな。手伝いと言っていた以上、そう判断しても問題ないと思うけど……そうだと思い込むのは危険か。
「今日からここで一緒に暮らします。どうぞよろしく」
シスター・クローネはそう言った。……俺はあまり好きになれない気がする。
……まあ、明日に俺はいなくなる。俺がシスターを観察する必要はないか。観察したところで1日じゃ大したことは知れないだろう。エマたちがシスターのことを観察して、把握すればいい。
エマたちの邪魔をするなとは思わない。だけど有益な情報源にはなってくれよ。シスター・クローネ。
☆☆☆☆☆
シスター・クローネが増えたが、自由時間は変わらないな。
エマたちとシスターの対応とかを考えるのがいいんだろうけど、あまり集まり過ぎてても怪しまれるだろうし。……手遅れの可能性を否定できないけど。
「……本でも読むか」
何か面白い本はあるかな。適当に何冊か取り出して来たのはいいけど、大して興味が惹かれるものはない。
……いや、フクロウの蔵書票がある本は少し興味を惹かれた。他にもないか探してみよう。
「……ウィリアム・ミネルヴァ」
他にもフクロウの蔵書票がある本を見つけたけど、すべてウィリアム・ミネルヴァからの寄贈本だった。他の本にはフクロウの蔵書票なんてない。
でも特におかしなことはない。なんで興味を惹かれ……あれ? フクロウを囲ってる円、途切れてる場所がそれぞれ違う……? 気のせい……じゃないな。何か意味があるのか、それともないのか……。わざわざ変える必要なんてないし、意味があると──いや、もしかして、これモールス符号か? ……試してみるか。
「……RUN……逃げろ。DOUBT……疑え……ね。つまりこれらは外からのメッセージか」
一つだけモールスがないのは何でだ? ……何か足りないのか? ……今日はここら辺でいいか。これをエマたちに教えておけばいい。……いや、レイなら気づいてそうだし、教える必要はないかもしれないな。まあそれでも一応教えておくか。
……これがエマたちに渡せる最後の情報かもしれないな。俺は明日の夜に死ぬ。だけど──
「──最後の勝ちまでは譲らない」
家族が無事に
見ていろ鬼ども。
「最後に〝勝つ〟のはエマたちだ」
見ていろママ。エマたちは必ずここから逃げる。エマたちをいつまでも制御出来るなんて思わないでほしいな。
……でも、それは俺の願望も混じっているんだろう。だからそうなるとは限らない。むしろそうならない可能性のほうが高いと思う。……なのに、そうなると確信出来る。きっとエマたちなら出来ると思えてしまう。……不思議だな。
「っと、本を片付けないとか」
そして寝る前にでもエマにモールス符号のことを教えとこう。
☆☆☆☆☆
「エマ」
エマに近づいて小声で話しかける。
「ベル。どうかしたの?」
「発信器の場所は調べたか?」
耳だとは言ったけど、合っているとは限らない。キャロルの耳を確かめておかないと確信するのは危険だろう。……さすがにそれはわかってるだろうけど、調べたかくらいは確かめておかないと。
「うん、左耳だった」
「左耳だったか。……あ、そうだ。フクロウの蔵書票。
モールス符号になってる」
確かめていてくれて良かった。ついでにモールス符号のことを教えたし、これで俺のほうは目的達成だ。
「え、どういうこと?」
「それは自分で確かめるのが早いよ。……それじゃ眠いからおやすみ」
眠いので自分のベッドに戻って横になる。
「寝る前にどういうことか教えてよ……!?」
そんなエマの声が聞こえた気がした。