魔道士リザの冒険譚(星のドラゴンクエストStory冒険日誌)   作:ジョギー

10 / 80
アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



エピソード4.「すれ違い夫婦」

足取りが重い。

ボロンはずーっと黙ったまま。

いつもスラッピとじゃれ合いながら

歩いてるモガマルでさえ口数が少ない。

オリオリにいたっては書から

全く出てこない。

 

青雲のオーブに刻まれた

魔法団団長、そしてオリオリの夫である

セアドのメッセージの内容が、

アタシ達一行の足取りと心に

重く暗い影を落としていた。

 

ただ、アタシとしては、

事態が悪化してるのとオリオリの私人

としての気持ちを思うと確かに

暗い気持ちにはなるんだけど、

青雲の巨塔で判った事実には

いくつか疑問も残るのよねぇ。

 

ボロンは、オリオリとセアドは婚約者、

生まれたときから決まっていた相手

だと言っていた。

 

オリオリ達の生い立ちは知らないけれど、

彼女らが生まれた当時の勢力関係っていうの?

義勇軍(その当時存在してたのかわからないけど)

と星屑魔法団の関係ってどうだったのかしら。

 

今現在は協力関係にあるらしいけど

(もっとも青雲のオーブのメッセージを

聞くまでの話)、それはオリオリとセアドが

夫婦ということが影響してるのか、

影響しているとして、結婚が先なのか

協力関係になってから結婚の話に

なったのか・・・。

あ、いや、生まれたときから婚約者

だというなら結婚のほうが先の話か。

婚約が成立したから協力関係へと

至ったのか、いわゆる政略結婚。

 

ふーむ、頭がこんがらがるぅ(TдT)

オリオリがあんまり自分の事を

語ろうとしないし情報が少ないから

よくわからないっ!

 

「モガー!見ろ!!

湖が見えてきたぞー!」

 

「よぉし、じゃあ左に向かおう、

しばらく歩くと右手に城が

見えてくるはずだ。」

 

「モガ?左に曲がるってことは

湖は右手になるんだろ?

なのに右手に城が見えるってのは

どういうことだ?」

 

「行けばわかるサ。」

 

アタシが思考停止に陥ろうと

している間に目の前に

湖が見える分岐道にまで

たどり着いたみたいね。

 

モガマルとボロンが

目的地への道のりを

話し合っている声が聞こえてきた。

どうやらジリョン城までもう少しみたいね。

けど右手が湖となる方向に進んで、

右手にお城が見えてくるだなんて。

まさか湖の中にお城が建ってる

とでもいうのかしら。

 

ボロンの言うとおり分岐を左に曲がり

しばらく歩くと、ようやくボロンの

言っていたことの意味を知ることに

なったわ。

 

アタシが予想したとおり、

湖の中にあるお城と城下町が

遠くに見えてきた!

湖のほぼ中心辺りに小島があり、

その島に向かって長い橋が

架かっていたの。

なるほど、そういう事ね。

 

橋のこちら側の渡り口まで

たどり着き、長くて頑丈そうな

鉄橋を小島に向けて歩く。

 

島に近づくに連れその大きさに

驚かされたわ。

街がひとつまるごと湖に

浮かんでるんだもんね、

そりゃあ、その規模は大きいわね。

 

橋を渡りきるとアタシ達は

ジリョン城下町の大きさに

ただただ唖然としていた。

 

「モガー!!

なんて大きな街なんだ、

こんな大きな街が湖のど真ん中に

あるなんて、惑星クラウドに来てから

一番の驚きだ~!」

 

「この街と城は宇宙政府の要所だからな、

規模の大きさも、城の豪華さも

自分たちの富と権力を内外に示すため

のものなんだ。

栄えてて当然さ、ま、オレは好かんけどな。」

 

「貴様ら何者だ!?」

 

モガマルとアタシ達が、ジリョン城下町の

豪華絢爛さにあっけに取られていると、

厳しく詰問するような声が街の門のほうから

飛んできた。

 

「あやしい奴らだな、何用だ?」

 

「オイラ達は・・・ぎ、義勇軍じゃないぞ!

あやしい者じゃないぞー!」

 

ゲ(゚д゚)!

 

モガマル・・・それじゃあ

アタシ達こそが義勇軍って

言ってるもんじゃない、

アヤシイってーーー^^;

 

「この先は宇宙政府の者しか

入れん、すぐに立ち去れ。」

 

「あ、いえ、オレ達は人探しを

していてあちこち放浪してるんだが。

星屑サーカス団がこの街に

来ていないかな。」

 

「何?星屑サーカス団?

あぁ、あのサーカスをしないサーカス団か。

ヤツらなら確かにここへやってきた。

この地を治める上級執行官ドアヌ様に

面会するためにな。」

 

「実は!

オレ達もサーカス団の団員なんだ。

オレ達がいないとサーカスをすることは

できない。

このままではドアヌ様にサーカスを

お見せできないんだ!」

 

「何?それはマズイな。」

 

「オレ達の仲間とドアヌ様は

どこで面会をしているんだ?

教えてくれ、急いでそこに向かうから。」

 

「ここから南に向かったところにある

ジリョニスタの塔だ、ドアヌ様と

お前たちの仲間はその塔で

面会しているはずだ。

急いで向かい、ドアヌ様をサーカスで

楽しませてこい!」

 

「ありがとう!助かったよ、感謝するぜ!!」

 

ま!

ボロンったら、イケナイ子ね~(゚∀゚)

 

「へっ、ちょろいな。」

 

「すごいな ボロン!」

 

「ピーッ!」

 

「宇宙政府っていっても三下は

あんなモンさ。

魔法団が上級執行官に会うのは

サーカスを披露するため、としか

知らされていないみたいだし。

・・・しかしマズイな、魔法団が

上級執行官に接触するとなると

秘術に関する密談か、

それとも、もう魔星王誕生が

時間の問題なのかもしれないっ!!

さあ!リザ達、ジリョニスタの塔へ

急ごうぜ!!」

 

モガマルがやらかしてしまいそうだったけど

ボロンの機転でうまく乗り切ったうえに

重要な情報まで手に入れたわ(*´∀`*)

さすがレジスタンスグループの親衛隊長ね。

普段から諜報活動をしている彼らにすれば

これぐらいの作り話はお手の物なのね!

 

ボロンの手際のいい話術のおかげで

みんなの空気が若干和んだ気がするわっ!

よぉし、急いでジリョニスタの塔へ向かおう!!

 

渡ってきた橋を戻り、さらに南の方角へ

向かって歩き始める。

確かに、今まで以上に時間がないわ。

魔法団と上級執行官を接触させては

いけない。

魔星王誕生に直結してしまうわ(_ _#

 

 

アタシ達はしぜん、足取りが早くなる。

青雲の塔から休み無しで旅を続けている

ことになるけど、そんな事を言っては

いられないわ!

 

しばらく歩くと平原の彼方に塔らしき

建造物が見えてきた。

 

「あれがジリョニスタの塔に違いない、

急ごう!」

 

ボロンが号令をかける。

さらに歩くと塔と、そして海が見えてきた。

どうやらジリョニスタの塔は

海岸沿いに建っているようね。

 

塔の入り口にたどり着くと

ようやくオリオリが書の中から

現れた。

 

「星屑魔法団が宇宙政府に協力すれば

新たな魔星王が誕生します・・・。

それすなわち宇宙政府の打倒が

不可能になることを意味します。

・・・絶対に阻止しなければなりませんっ!!

リザさん達、お願いします!!!」

 

オリオリ・・・旦那様が魔法団のリーダーなのに

自分の志とは違う方向を彼が向くという

事実を、ううん、受け入れられないはずなのに、

義勇軍のリーダーとして受け入れようとしている。

そして自分がどういう意思表示をすべきか、

ということも(><;)

 

わかってるわオリオリ、

魔星王の恐ろしさは誰よりもアタシ達が

知っている。

あんな化物を再びこの世に出現させる

だなんて、この冒険王が許さないっ!!

 

「リザ達、いくぞーーー!」

 

アタシ達は覚悟を決めて塔へ

踏み込んだ。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・ボロン
義勇軍親衛隊隊長でオリオリの幼馴染。
義勇軍の中でもかなりの実力者らしいけど
超の付く怠け者。
そして超の付くスライム愛の持ち主。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。