魔道士リザの冒険譚(星のドラゴンクエストStory冒険日誌)   作:ジョギー

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アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



2ndシーズン第3章[魔星王の影]***惑星クラウド・ヨンツゥオ大陸編***
エピソード1.「恐怖政治、心さえ奪う」


星屑魔法団と上級執行官ドアヌは

とうとう接触してしまったらしい。

彼らは大陸の東部へ向かったという。

 

そこには魔星王誕生に必要な“秘術”を

使える場所「ヨンツォオ大宮殿」がある。

状況証拠だけど、星屑魔法団が宇宙政府に

協力するっていうのは、

いよいよ現実味を帯びてきたわ。

 

オリオリとアタシ達は、魔星王誕生を

阻止するために魔法団とドアヌが向かった

であろう大宮殿へと急いだ。

 

大宮殿へと向かう途中、レェノォ村という

処に立ち寄った。

そこでアタシ達は、村人達が収穫した食料を

宇宙政府の役人が奪っているという実態を

目にする。

 

村に立ち寄ると引きつった笑顔を浮かべた

女性が出迎えてくれたわ。

 

「レェノォ村へようこそ。

けど、十分な歓迎はできないのです。

宇宙政府の役人が、私達の収穫した

作物を根こそぎ奪っていってしまうの。

けど私達はそれで幸せなの。

だって宇宙政府の繁栄のために

貢献できるんですもの、あは、

あははは・・・・」

 

「もが〜なんだかこの女の人、

無理して笑ってるぞ。」

 

「無理もない、宇宙政府に逆らえば

皆殺しにされる、笑ってごまかすしか

ないんだろうな。」

 

「なんだかかわいそうだ〜。」

 

【挿絵表示】

 

村の人々が汗水垂らして作った農作物、

それはきっと生きるために命がけで

生産されたものに違いない。

それを奪うなんて許せないわ!

 

魔星王誕生を一刻も早く阻止しなければ

いけないのはわかってるんだけど

目の前で困ってるこの村の人たちを

見過ごすわけにはいかない。

 

アタシは食物を奪う政府の役人を

退治することをオリオリに申し出た。

 

「もが、けどよぉ〜リザ、おいら達は

一刻も早く魔法団に追いついて魔星王誕生を

阻止しなきゃいけないんだぜ!?

寄り道してる場合じゃないんだぞ。」

 

「いえ、リザさんの言う事はごもっともです。

我々義勇軍は宇宙政府に苦しめられている

人々を助けるのも役割です。

その洞窟へ向かい、食料を奪うという政府の

役人を退治しましょう。」

 

オリオリ!よかった、アタシの主張を

受け入れてくれて!

うん、ブルリア星でも、アタシ達は冒険の

さなか、困っている人々を助けてきたんだもん。

それが冒険王の務めだっておじぃちゃんから

習ったわ。

アタシは今、おじぃちゃんの代わりとして

ここ惑星クラウドにやってきてるんだもの、

ブルリア星の冒険王の名を汚すわけには

いかないからね。

 

ところがアタシは、この行きずりの村で

今までとは違う奇妙な光景を目にすること

になるの。

 

政府の役人がいるという洞窟へ向かい、

その役人はあっさり退治したわ。

役人というか、ただのコソ泥と言うべき

魔物だったわね。

政府の名を騙って私利私欲のために

村から食料を奪ってただけのただの魔物だった。

 

全くもってけしからんヤツね!

けど政府の役人ではないから、

コイツを退治した今、村が搾取を受ける

心配は完全になくなったと言えるわね。

アタシ達は急いで村に戻り、事実を報告した。

きっと村人達の喜びと安堵に満ちた笑顔が

出迎えてくれるって。

 

「なんですってーー!

なんて事をしてくれたの、政府に逆らうなんて!

どうしてくれるんですか!!」

 

え!?

喜ぶどころか

怒ってる???

 

「洞窟に居たのは政府の役人でも

なんでもない一介の魔物だ。

政府から反感を買うことはない、安心しろ。」

 

「え!?・・・いいえ!

そんな事は認めません!

だから貴方達にお礼も言いません、

そしてこれからも宇宙政府の為に作物を

作り続けます、アハ、アハハハハ・・・」

 

ボロンが説明をしたにもかかわらず

この女性は引き続き政府に作物を納める

という、現状維持を選んだの!

 

「モガーーー!

助けてやったのになんて言い草だ!!」

 

「仕方ありません、これが宇宙政府に

支配されている人々の生活の実態なのです、

逆らえばきっと村ごと、いえ星ごと滅ぼされる

という恐怖政治の実態・・・!」

 

「クソっ!宇宙政府の恐怖政治はもう

まっぴらだ!

オリオリ、急ごう!

政府に協力するという魔法団を止めなきゃ!」

 

アタシは。

別にお礼を言ってほしくて魔物を退治した

わけじゃない。

けど村人達が苦しみに耐えて、引き攣った

笑顔を作りながら生きているのがかわいそう

だと思ったの。

その苦しみを取り除ける力をアタシ達は

持ってる。

だったら見過ごすわけにはいかないって

思っただけ。

 

けどそれはアタシ達の思い上がりだった

というの?

アタシ達の思惑よりも宇宙政府の影響力が

はるかに強いという事実を突きつけられた

ようで、アタシはなんだか、すごくショックを

受けてしまった。

 

あの村人達が心の底から安心して笑う日なんて

ホントにやってくるのだろうか。

 

「ヨンツゥオ大宮殿へは飛行船でしか

行けないんだ。飛行船の発着場はこの先の

東雲の洞窟を抜けた先にある。

しかし洞窟には扉があって鍵が掛かっている。

あの洞窟はさらに東にあるタァコ城の王の

管理下にある。

まずは王に謁見し鍵を借りてこないとな。」

 

うん、クヨクヨ考えてても仕方ない。

今やるべき事は魔星王誕生を阻止すること。

その為にまずはボロンが告げた行き先へ

向かうのが先決ね。

 

アタシ達は村を後にし東へと向かった。

 

けどこの村で見た奇妙な光景。

それはアタシの心に小さなトゲとなり

チクリと刺さった。

アタシはそれが、惑星クラウドでのこの先の

冒険でどんどん大きくなるなんて

この時は知る由もなかった。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・ボロン
義勇軍親衛隊隊長でオリオリの幼馴染。
義勇軍の中でもかなりの実力者らしいけど
超の付く怠け者。
そして超の付くスライム愛の持ち主。

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

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