魔道士リザの冒険譚(星のドラゴンクエストStory冒険日誌)   作:ジョギー

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アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



エピソード4.「真のリーダーの器」

ガラガラガラーーーーー!!

 

黒い甲冑を纏った怪人が

その頭に装備していたカブト。

それが床に落ち、派手な音を立てて

転がっていく。

 

「す、すごい・・・」

 

後方に控えていた義勇軍の3番隊長の

女性戦士が思わず心の声を零す。

 

「我が3番隊が全く歯が立たなかった軍勢を

・・・まるで風を凪ぎるみたいに・・・

瞬く間に、倒してしまった・・・

こ、これがブルリア星の冒険王・・・!」

 

「さすがリザ達!

上級執行官ドアヌを難なく倒したぜ!」

 

【挿絵表示】

 

このドアヌという上級執行官は・・・

おそらく偵察兵の類か、それとも魔星王誕生

までの時間稼ぎの捨て駒だったのだろう、

大した強さではなかったわね。

 

「グググッ・・・まさかこのオレが

返り討ちとは・・・!

貴様ら一体何者だ!?」

 

「リザ達はブルリア星の冒険王だ!

宇宙政府の悪事は許さないぞ!!」

 

「ピピィ!!」

 

「なんだと!?ブルリア星の・・・!

ではドスラーデスを・・・た、倒し・・・

たというの・・・貴様ら・・・か!?」

 

ドアヌはもう虫の息だろう。

息も絶え絶えといった感じだ。

 

「ふ、ふふ、フハハ、では魔星王の・・・

お、恐ろしさというものを・・・よく・・・

知っているで・・・あろう!

だがし、しかし!・・・新しい魔星王は・・・

ドスラーデスとは・・・全く違う・・・

す、姿を・・・している・・・ぜ、ぜ、前回と

・・・同じよ・・・に・・・は・・・

いかぬで・・・あろう!・・・ぐ、グフ」

 

そう言い残してドアヌは息絶えた。

書の中からオリオリが現れた。

 

「リザさん達、よくやってくれました!

恐ろしい上級執行官をいとも簡単に

倒すとは。コッツ、これでアナタの

心の傷も少しは癒えた事と思います。」

 

「ハっ!

御心遣いありがとうございます、オリオリ様!

そしてリザ殿達、本当に貴方達は強い!

このコッツ、心底感激しました、ありがとう!」

 

ひとまずコッツの無念は晴らせたかな。

けど、目の前の障害をひとまずは

取り除いただけ。

連行された3番隊の隊員はここには

いなかった。

コッツの、安堵した表情の中にも

微かに残る不安の色が消えていないのを

アタシは見逃さなかった。

 

そして何より、魔星王誕生!!!

とうとう現実となってしまった!

これはアタシの責任でもある・・・。

余計な考え事などせず、もっと早く洞窟を

抜けていればあるいは秘術行使を

防げたかもしれない・・・!

 

アタシは申し訳ない気持ちで心が

潰れそうになった。

仲間たちに頭を下げて心から謝った。

 

「いいえ!リザさんのせいではありません、

元はと言えば、我が夫セアドが心変わりをし、

魔法団が政府に協力してまったのが原因。

責は妻である私にもあります・・・」

 

オリオリ・・・!

アタシを責めるどころか、自分が責任を

負おうだなんて。

アナタ自身も夫への信頼が壊されたかも

しれないという傷を負っているのに!

 

アタシは。

タァコ城から考えていた事を。

オリオリに打ち明けて謝ろうとした。

 

「オリオリ、あのね、ごめんなさい、

アタシね、実は・・・迷って・・・」

 

「リザさん!」

 

オリオリはアタシが言葉を繋ぐのを制止した。

 

「口にしてはなりません!

私達が為すべき事は変わりません、そして

起こってしまった事はどうしようも

ないのです。」

 

オリオリ!

まさかアタシの迷いに気づいていた

というの!?

その上で気づかないフリをしてくれていた?

 

うぅぅ、やっぱりこの人にはかなわない。

これが一軍の将たる人間の器。

そうね!

アタシの迷いは・・・言葉にしてしまっては

いけない。

義勇軍の一員としても冒険王としても!!

口にすれば仲間達にも動揺を与えてしまうし

何よりアタシ自身、迷いがどんどん大きくなり

確信へと変わってしまう可能性がある。

それを止めてくれた。

ありがとうオリオリ。

その度量の大きさにアタシは感激し

体が勝手に膝をつき平伏しようとしていた。

 

「リザさん、何をしてるのです!

我が義勇軍3番隊を全滅の危機に追いやった

上級執行官ドアヌの軍勢をアナタ方は

倒してくれたのです。コッツの心の傷も

癒えた事でしょう、顔を上げ胸を張ってください!」

 

アタシはハっとした!

無意識に跪こうとしていた体が強張った。

オリオリはアタシの冒険王としての

面目を保とうとしてくれている。

モガ丸や弟妹達が動揺するかもしれない

アタシの行動を、すんでのところで

止めてくれた。

 

アタシはこの瞬間、本当の意味で

義勇軍の一員となったと、心の底から思った。

オリオリの真のリーダーシップを垣間見た

気がした。

おじぃちゃんとはまた違ったカリスマ性。

 

ジニョリスタの塔で、コッツがオリオリの

言葉に涙したあの時。

あの時のコッツの気持ちが今、

アタシには痛いほど分かるっ!

 

失敗を犯した者を許し、失敗が生んだ

暗い気持ちをすぐさま取り除き

再び立ち上がらせる、その巧みな

人心掌握術!

 

宇宙王とは・・・!

まさにオリオリのような人物ではないかと

感じた。

 

「誕生してしまったという魔星王。

しかしこの島や、周辺地域に大きな変化は

見られません。ひょっとすると魔星王は

誕生したばかりで、まだその活動を

開始していないのかもしれません。

急げばまだ、被害を生まずに

済むかもしれない!」

 

「しかし魔法団の行方もまたわからなくなって

しまいました。」

 

「この先どうする、オリオリ?」

 

「ドアヌは新しい魔星王は私達の全く

想像できない姿で誕生したと言いました。

その言葉の意味も気になります。」

 

義勇軍の首脳達が今後の行動を

話し合っている。

その時、アタシはほんのわずかな、

邪悪な気配が漂うのを感じた。

 

慌ててアタシは周囲を見渡して

耳をすませてみた。

ドアヌの軍勢の残党がいるかもしれないと

思ったから。

 

けど宮殿内にはそれらしき魔物は

いなさそうだった。

この邪悪な気配は、もっと遠くのほうから

漂っている、そんな感じがした。

 

何?

この感覚は。

こんな感覚には、今まで陥った事がないわ。

 

アタシは、惹かれるように宮殿の入り口の

扉に向かい外に出た。

邪悪な気配はタァコ城の方角から、

ううん、さらに先のほうから

感じられる気がした。

 

「もが、どうしたリザ!そんなに慌てて。」

 

アタシは自分の感覚に忠実に感じた事を

モガ丸に伝えた。

 

「何?東の方から邪悪な気配を感じるって?

もがー!リザ、なんだかガイアスじじぃ

みたいな事を言うようになったな!」

 

おじぃちゃんのように?

アタシが?

よくわかんないけど、邪悪な気配を

感じるのは事実。

アタシの中の冒険王の血が、おじぃちゃんの

ような能力を目覚めさせたとでもいうの?

 

「東の方角か、そっちの方角には

マタセ島がある。」

 

「邪悪な気配の持ち主は新しい魔星王

かもしれません。

ここはブルリア星の冒険王の直感を

信じてみましょう。」

 

「よし、じゃあマタセ島の最寄りの港

ニョレ 港へ行こう!」

 

次の行き先は決まった。

マタセ島。

新しい魔星王がいるかもしれない。

 

オリオリはアタシを擁護してくれたけど、

だからといってアタシが失態を犯したことに

変わりはない。

そこに魔星王がいるならば全力でこれを

倒さなければ!

アタシを信頼してくれているオリオリに

顔向けできない!

 

アタシは東雲の洞窟で考えていた悩みを

捨て去り、まず第1に宇宙の平和の為、

そして宇宙王の血を引く真のリーダー

オリオリの為に戦う事を心に誓った!

 

けどアタシは気付いてなかった。

宮殿内でアタシがオリオリに悩みを

打ち明けそうになった時、そして今まさに

ニョレ港へ出発しようとしているこの時、

ある人物がアタシの顔を覗き込むように

観察していたのを。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・ボロン
義勇軍親衛隊隊長でオリオリの幼馴染。
義勇軍の中でもかなりの実力者らしいけど
超の付く怠け者。
そして超の付くスライム愛の持ち主。

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

・ドアヌ
宇宙政府の上級執行官。
"秘術"を扱う星屑魔法団と共に
行動する。
"秘術"を行使できる場所、ヨンツゥオ大神殿で
魔星王誕生に立ち会ったうえでアタシ達を待ち構えていた。

Story日誌 第3章<魔星王の影>了
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