魔道士リザの冒険譚(星のドラゴンクエストStory冒険日誌)   作:ジョギー

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アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



エピソード2.「ニオイ対策の意外な方法」

星屑魔法団を追うため、

ここヨンツゥオ大陸南部へやってきたアタシ達。

最初に訪れたランペェ村の住人から

新しく赴任した宇宙政府の上級執行官

チョルルカの悪政の話を聞き、

これを倒す事を決めた。

 

けど問題がひとつ。

チョルルカは"異常にクサい"のだそう。

その激臭のためにまともに戦うことが

できない、と。

 

村人は「"道具職人ゴッシュ"の協力が

あればチョルルカに対応できるでしょう」

と教えてくれた。

 

アタシ達はその、ゴッシュという人物が

居るという洞窟へ向かった。

 

「もが、この洞窟にゴッシュが居るんだな、

事情を話してチョルルカを倒す道具を

作ってもらおうぜ!」

 

「ピピッ、ピー!」

 

「そうですね、スラッピさん、

どうやらここに居るのはゴッシュさん

だけではなさそうです。」

 

魔物の気配か。

ひょっとしたらゴッシュが

この洞窟から出てこないのは

魔物のせいで出てこられないのかも。

 

「もが!よぉし、じゃあさっさと

魔物をやっつけてゴッシュを助けようぜ!」

 

洞窟内部には、やっぱり魔物が居た。

アタシ達はそれらを薙ぎ払い、

洞窟の奥へと進んだ。

ゴッシュの無事を祈りながら。

 

洞窟の最深部までたどり着くと

頑強そうな1人の男が居た。

男はアタシ達の存在に気づき

少し驚いたような様子で話しかけてきたわ。

 

「誰だ!?お前たち、ここまで

たどり着いたってことは・・・。

魔物を倒したのか?」

 

「我々は宇宙政府に抵抗する集団、

義勇軍です!

アナタは・・・腕利き道具職人と

呼ばれるゴッシュ殿ですか?」

 

「・・・・そうだが・・・・

お前ら義勇軍なのか?」

 

よかった、この男性が道具職人ゴッシュ。

無事でよかったわ。

書の中からオリオリが現れて名乗った。

 

「はじめまして、私は義勇軍の総司令官

オリオリと申します。」

 

「わっ!ほ、本の中から人が!?

これは、どういう仕掛けなんだ?

どんな道具を使っているんだ!???」

 

「これは仕掛けではありません、

道具でもありません、

星屑魔法団の秘術により

本の中に封じ込められているのです。」

 

「そ、そうか・・・・

宇宙王の末裔が本の中から

レジスタンス集団を指揮してるって

話は本当だったんだな。」

 

このゴッシュという男は。

根っからの職人なのね。

宇宙王の書を見て真っ先に

何か仕掛けがあるだなんて

発想の持ち主は今まで

出会ったことないかも(゜o゜)

 

「で?その義勇軍がオレに何の用だ?」

 

「我々はこの地方を悪政で苦しめている

宇宙政府の上級執行官チョルルカ打倒を

目指しています。

ぜひゴッシュ殿のご協力を仰ぎたい。」

 

「はぁ?オレは道具職人だぜ?

魔物と戦う力は持ち合わせてはいない。

倒したきゃ勝手に倒しゃいいだろ!?」

 

む、何よコイツ、この地方の人々が

苦しんでるのに全く関心がないの?!

自分は洞窟に籠もってるから

政府とは無関係だとでもいいたげね!

 

「そうしたいのはヤマヤマなのですが。

チョルルカという魔物はとてつもなく

臭いという話です。

その激臭ともいえるニオイのせいで

まともに戦えないとか。

ランペェ村の住人の話では

『ゴッシュに頼めばニオイを

どうにかしてくれる道具を

作ってくれるんじゃないか』という事です。

それゆえこの洞窟へやって来た次第です。」

 

ゴッシュの無粋な物言いをさらりと流し、

コッツがこちらの用件を伝える。

するとゴッシュの態度が変わった。

 

「ほぉぉ!そういうことか!

・・・・面白い!

わかったランペェ村へ向かうぜ、

話はそこで聞こう。」

 

ゴッシュは、コッツの話を聞き、

道具職人としてのゴッシュに依頼がある、

と理解してくれたんだろう、

途端に協力的になってくれた。

 

そうか、戦うために自分に依頼が来た

と勘違いさせちゃったのね。

大丈夫、戦うのはアタシ達だから。

 

ゴッシュはさっそく身支度を始め、

アタシ達と一緒にランペェ村へ向かった。

 

村に着くなりゴッシュはチョルルカと

戦った村の男性たちに話を聞くべく、

各家々を回った。

アタシ達は広場でゴッシュが

戻ってくるのを待った。

 

「もが、ニオイが気にならなくなる道具って、

そんなの作れるのかな~?」

 

「わかりません、けどゴッシュ殿は

何か閃いたような、自身に満ちた

表情をされていたように私は思いました。」

 

「たしかにな、チョルルカの話を聞いた途端、

村へ向かうって言い出したもんな。

その、ニオイが気にならない道具のビジョンが

見えてるのかもしれないな。」

 

しばらくするとゴッシュが広場に戻ってきた。

 

「おー、お前ら。

チョルルカと戦った連中から話は聞けたぜ。

確かに!

チョルルカを倒すにはヤツのニオイを

断つ必要があるみてぇだな。」

 

「ゴッシュ殿、それを可能にする

道具なんてあるんでしょうか?」

 

「まぁな、オレの中ではもう、その道具の

完成図が出来上がってるぜ!」

 

「おぉぉぉ!さすが腕利き職人!

ぜひそれを作っていただきたい!

お願いします!」

 

「だはははは!

そう言ってくれるのを待っていたぜ、

オレはこういう、バカバカしい頼みが

大好きなんだ。

この星一番のせんたくバサミを

作ってみせるぜ!」

 

え?せ、せんたくバサミ??

 

「あぁ、それで己の鼻をつまむんだ、

そうすればニオイを気にせず

戦えるだろう?」

 

えー!

そんな単純な手段!?

腕利きの職人っていうから

どんな凄い道具を作るのか

興味津々だったのに!

 

「お?そこのお嬢ちゃん、

今すっごく呆れた顔したな?」

 

ギク(゜o゜)

ヤバイ、アタシ顔に出ちゃった(-_-;)

 

「バカバカしいって思ったな?

さては。

確かにそこいらに転がってる

せんたくバサミだってんなら

わざわざオレに依頼をしなくても

いいだろうよ。

けどこの星一番のせんたくバサミだぜ?

そしてこのオレが作ってみせるんだ、

きっとチョルルカとやらのクサイ臭いも

遮断してみせるさ!」

 

う、どうやら冗談じゃないらしい・・・。

大真面目にせんたくバサミで

チョルルカに対抗しようと。

 

「確かに発想は単純だが、

単純だからこそ効き目があるんだ。

バカバカしいけどオレは本気で仕事するぜ!」

 

ちょっと変わってるけど、

彼が本気だっていうのは伝わったわ。

 

「で、そのせんたくバサミだが、

まず材料が必要だ、なんたって

この星一番のせんたくバサミだからな。

ただ、この村には、その材料がない。

お前ら、せんたくバサミの材料を

集めてきてくれねえか?」

 

ふむ、話が具体的になってきた!

 

「必要な材料を言うぞ?

まずは軽くて硬い特別なハリガネ、

次にそのハリガネを曲げて加工するための

特別なトンカチ、最後に鼻をつまんだ時に

痛くならないようクッション代わりとなる

特別なワタ。

ハリガネ トンカチ ワタ、この3つが

必要だ。」

 

特別なハリガネに特別なトンカチ、ワタ・・・。

どこにでもありそうな材料だけど

全部特別なヤツ・・・?

そんなのどこにあるんだろう。

 

「トンカチはここの隣町のクラビィンにある。

クラビィンでトンカチを持ってるのは

オレの兄貴だ。

兄貴からトンカチを借りてきてくれ!」

 

やっぱり、なんだかスッキリしないけど、

ここはゴッシュを信じて"この星一番の

強力なせんたくバサミ"を完成させるしか

ないみたいね。

 

よし!

まずはクラビィンの町ね。

さっそく向かおう!

 

アタシ達は支度を整え

クラビィンの町へ向かった。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

・道具職人ゴッシュ
ヨンツゥオ大陸南部地方で名を轟かせる
腕利きの道具職人。
バカバカしい依頼ほど大真面目に引き受けてくれる
ちょっと変わった職人。


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