魔道士リザの冒険譚(星のドラゴンクエストStory冒険日誌)   作:ジョギー

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アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



エピソード4.「モウィ遺跡の罠」

道具職人ゴッシュに作ってもらう

この星一番の超強力せんたくバサミ。

それの3つの材料を集める為、

まずゴッシュのお兄さんヨンシュに会った。

 

彼はせんたくバサミを作る為の

トンカチを快く貸してくれた。

そして残り2つの材料のありかも

教えてくれた。

 

材料の1つ「軽くて硬いハリガネ」を

求めハリィの塔にアタシ達は

やって来た。

 

塔に巣食う魔物たちを蹴散らしながら

最上階までたどり着くと

確かにそれらしきハリガネが

無造作に置かれていたわ。

 

「もがー!あったぞー!

これがきっとゴッシュが言ってた

ハリガネに違いない。

そしてヨンシュが言ってたように

あとちょっとしか残ってないぞ!」

 

よかった、まだ残ってたみたいね。

 

「よし、じゃあオイラ達もちょっくら

拝借しよう。」

 

うぅぅ、なんかその他大勢の

ネコババする人達と同じに

なっちゃうみたいで心苦しいんだけど

理由が理由だけに、ね。

ごめんなさい、大昔の人、

ちょっとだけ貰っていきます。

 

「次はモウィ遺跡だな、どうする?

いったんクラビィンの町へ戻るか?」

 

「いえ、ワタの入手場所もわかってる

ことですし、このままモウィ遺跡へ

向かおうと思いますが、

リザさん達はどうでしょう?

戦いの疲れはありませんか?

次の目的地は政府の警備が厳しい

ということですし。」

 

大丈夫よ、オリオリ。

アタシもできるだけ早く材料を

集めたほうがいいと思うもの。

幸いここの魔物たちも大したこと

なかったからね。

 

「わかりました、ありがとうございます!

ではこのままモウィ遺跡へ向かいましょう。」

 

「もがー!了解だぞぉ!」

 

「ハッ!承知しました!」

 

アタシ達はモガ丸のルーラで

いったんクラビィンの町に戻り、そこから

モウィ遺跡を目指した。

そのほうが早いからね。

 

町から北西に向かうと岩山に囲まれた

深い場所に古びた神殿が

そびえ立っていた。

 

「もが~、なんか、打ち捨てられた神殿

ってカンジだな。」

 

「はい、そしてヨンシュが言う通り

宇宙政府の警備も厳しいようですね。

リザさん達、十分警戒していきましょう。」

 

「私もいつでも加勢します、リザ殿!」

 

確かにハリィの塔のようには

いかないかもね。

そして魔物だけでなく、どんな罠が

仕掛けられてるかわからない。

 

アタシ達は魔物退治を担当するから

コッツはオリオリやモガ丸の警護に

専念してほしいかな。

 

「承知しました、私はオリオリ様と

モガ丸殿達を守ります。

ボロンがいない今、私が代わりに

オリオリ様をお守りせねば!」

 

そうね、そういえばボロン、どうしてるかしら。

黄金色のスライム・・・エルフ達を

無事故郷に連れていき

元気を取り戻させているかしら。

 

アタシは、別行動を取ったオリオリの

幼馴染の名前を聞き、ふと彼に思いを馳せた。

大丈夫、ボロンは強いもの、きっと役目を

果たしているはず。

アタシは目の前の事に集中しよう!

 

装備のチェックを入念にし、

アタシ達は遺跡の中へと足を踏み入れた。

内部には。

特にこれまでと大差ない魔物たちしか

居なかった。

拍子抜けしそうになったけどそこはこらえて

アタシ達は警戒を解かずに

慎重に奥へと進んだ。

 

しかしその後も特に強い魔物は現れずに

遺跡の最深部へと到達できた。

そのフロアの、そこかしこに白い植物が

生えていたわ。

 

「もがー!この白いのがゴッシュの

言ってた特別なワタだな。

たくさん生えてるぞー!」

 

「これでせんたくバサミの材料が

全て揃いましたね!」

 

「よぉし、じゃあさっそく摘んで

ランペェ村まで戻ろうぜ!

ん??」

 

モガ丸がフロアの隅の方に

何かあるのを見つけた。

アタシ達もモガ丸の視線の先に

それを見つけた。

 

「もが、なんだ?木の箱か?

しかも割とデカイぞ。」

 

それは普通の倍ぐらいはある大きな

木の箱だった。

アタシは少し嫌な予感がした。

宇宙政府の警備が厳しいと言いながら

ここまで特にそう感じる出来事や

魔物は居なかった。

 

ひょっとしてこれは罠かもしれない。

少し邪気を感じる。

木の箱・・・これって明らかに・・・。

 

「もが~、ひょっとして宝箱かもな、

しかもこんなデッカイ宝箱だなんて、

お宝がザクザクかもな~。」

 

な!モガ丸!!

ちょっと!開けちゃダメよ、

明らかに怪しいよ!

 

「ピ!ピピ~!

ピピピ~~~!!」

 

「なんだよスラッピ、そんなに狼狽えて。

きっと宇宙政府の秘密って

このお宝なんだよ、みんなで分けようぜ。」

 

ガチャリ。

 

アタシが制止するよりも先に、

スラッピが止めるのも聞かずに

モガ丸がその木の箱を開けちゃった・・・!

 

「もが~、お宝おたか・・・・・

ひぇ~~~!!!

なんだこの箱、目、目があるぞー!」

 

モガ丸~~~~

明らかおかしいでしょう!

全くもう!!

 

案の定、木の箱は人食い箱の類だった。

しかも邪悪な羽まで生やしてて

その姿は通常の人食い箱より

さらに凶悪そうだった。

 

「ひぇぇぇ!!

宇宙政府の厳重な警備って

コイツのことかーーー!」

 

「モガ丸!スラッピ!!

下がって、コッツは宇宙王の書を

守って!」

 

「わかりましたっ!リザ殿!!」

 

「ひぇぇぇ、ごめんよぉリザ~~!

あとは任せた~~~!」

 

モガ丸達の安全を確認し

アタシ達姉弟は戦闘態勢に入るっ!

まず弟のジョギーが剣で斬りかかる。

 

ガキィーーーン!

 

金属と木がぶつかり合う

鈍い音がフロアに響き渡る!

 

「クッソォ!かってーな!

手がしびれそうだ!」

 

弟は不平を言いながらも

次々に剣撃を繰り出し魔物を

攻撃していく。

明らかにダメージは与えているはず。

木の破片がそこかしこに飛び散り、

箱の形はどんどん崩れていくもの。

 

ただ相手は悪の魂を吹き込まれた

木の箱。

意志はあるのか、痛みはあるのか

見当もつかない、苦悶の表情も見えず

叫び声も聞こえない。

 

ただただ、無機質な斬撃の音だけが

フロアに響き渡る。

アタシは呪文攻撃で弟を援護した。

 

「メラガイアー!!」

 

特大の火の玉が人食い箱に直撃し

燃え盛る炎で包み込むっ!

もとは木の箱だからね、

きっと燃えやすいはず。

 

人食い箱はまもなく、その生命力を失い

ただの木の燃えカスに戻るだろう。

 

そう思った瞬間、炎の中から

箱は猛スピードで飛び出した!

 

クっ!まだ生きてるか!

と、ほとんど炭と化した人食い箱が

何やら呪文を唱えるのを

アタシは見逃さなかった!!

 

「マズイ!何か呪文を唱えてる!

気をつけて2人とも!」

 

アタシは弟たちに警戒するよう

指示を飛ばした。

緑色に光ってる、何か補助呪文か!?

 

「ラリホーマ!!」

 

な!?ラリホーマですって?

人食い箱は強力な催眠呪文を

唱えてきた。

 

マズイ!アタシ達は眠りの耐性を

準備してきていないわ。

アタシ達の周囲を催眠ガスが

取り巻いた。

意識が朦朧とする。

 

なんとか意識を確保し、催眠ガスが

消えるまで耐えきったアタシは

ラリホーマの効力に打ち勝った。

まだ意識が朦朧とするけれど。

 

混濁する意識の中、他の2人に

視線をやると。

レイファンもアタシと同じように

耐えきった様子。

しかしジョギーがっ!!

その場にうつ伏せで倒れてるっ!!

 

【挿絵表示】

 

硬い相手にひたすら剣撃を

繰り出していた分、消耗してたから

催眠効果が効きやすかったのかも

しれない。

 

「えーと、えーと、えーっとぉ!!

目覚めの花、目覚めの花、花ぁ!」

 

アタシは道具袋をかき漁った!

眠り状態を解除する道具を

取り出すために。

 

「リザ姉ちゃん!!

アイツ、まだ攻撃してくるよ!!

キターーー!!!」

 

アタシが道具袋を漁っているスキに

人食い箱は最後の攻撃を

繰り出そうとしていた。

 

「ガブッ!ガブッ!!ガブブッッ!!!」

 

「キャー!・・・・え?全然痛くない!?」

 

人食い箱はアタシ達に噛み付いてきたけど、

全く痛みはない?

やっぱり死にかけだから??

 

「ぐぅぅわァァァァ!!!」

 

え?ジョギー!!??

眠らされていたジョギーが!

激しく痛がっている!?

 

!!!

そうか!眠り食らい!!!

 

状態異常の相手に対して

大ダメージを与える、って技が

あったわ!

 

起きてるアタシ達はなんともないのに、

眠っていたジョギーだけが

あんなに痛がってるっ!

 

幸いジョギーは一命は取り留めている様子、

すかさずレイファンが回復呪文を唱える。

 

「ベホイム!!」

 

緑色の光がジョギーの体を包み、

彼の表情もみるみる生気を取り戻してゆく。

よかった、間に合ったみたいね。

 

くぅ!かなり恐ろしい魔物だわ!

あやうく弟を殺されるところだったわ。

うかうかしてると、またラリホーマを

唱えてくるかもしれない。

 

アタシは完全なるトドメを刺すため、

呪文を2つ同時に詠唱した。

連続呪文。

間違いなくトドメを刺す!!

 

「メラガイアー!メラガイアー!!」

 

大火球が2つ、人食い箱めがけて

飛んでいく。

魔物は今度こそ粉々になり、

その残骸をメラガイアー2つ分の

炎が燃やし尽くす。

 

ふぅぅ、危なかった~、なんとか

勝てた~~~・・・・!

 

「うぅぅぅ、もが~~~

ごめんよぉ、リザ達・・・。

オイラが不用意な事やってしまったから。

ジョギーもホントにごめん!

瀕死の重傷を負わせてしまった・・・。」

 

もぉ、ホンっトに!

モガ丸!ダメじゃないっ、

あれだけ警戒を強めなきゃ

って言ってたのに!

って叱りたいとこだけど、

アタシ達も戦闘中、気を抜いたつもりは

ないけど、全力を出したかって

言われたらそうじゃないかも。

たかが人食い箱、と軽く見てしまったかも

しれない。

 

「いえ、モガ丸さん、ハリィの塔攻略後に

引き続きこの遺跡の探索を命じたのは

私です。

この遺跡の攻略が難しいと知りながら・・・。

ジョギーさんが危機に陥ったのは

休息が不足だったからかもしれません。

いったん町へ戻り休息を取るべきでした。

私の指示ミスです、謝るべきは

指揮を取る私でした、冒険王のみなさん

ホンっトに申し訳ない、ごめんなさい!」

 

オリオリは深々と頭を下げて全員に

向けて謝罪した。

 

いやいやいや!

連続のクエストを承諾したのは

アタシ自身!

それを言うなら判断ミスを犯したのは

アタシだ、オリオリが謝ることじゃないわ!

お願いオリオリ!頭を上げて!!

リーダーに謝罪をさせるなんて、

あぁアタシもう!どうしていいかわかんないよぉ!

 

「いえ、リザさん、それを踏まえても、

決定したのは私です。

リーダーが!率いる集団を危険に

晒すなど決してあってはなりません、

リザさん達に甘えて判断は誤っていては

リーダー失格なのです!」

 

いや~でもぉ、リーダーだって人間だもの、

いつもいつも完璧な判断を下せるとは

限らないし。

それにオリオリは目標達成を迅速に

したかったからこその、あの判断だったわけで。

それはアタシも同じ考えだった。

 

だから連続クエストはアタシ自身の

考えでもあった。

そう、これは戦闘を甘くみたアタシ達

自身が招いた出来事だよ。

そうよ、お互い良かれと思ってやった事が

たまたま悪い方に向かっただけ。

 

「リザさん、冒険王!ありがとう。

頼りないリーダーだけど、

引き続き義勇軍のために協力を

お願いします。」

 

うん、そんなに畏まらなくたって、

アタシはもう既にれっきとした義勇軍の

メンバーだって思ってるよ。

 

アタシ達は、クエスト中はいついかなる時も

油断してはいけないね、って確認し合って

その場を収めた。

 

「もが~、みんなホントにごめんよぉ、

今度からは勝手な行動は慎むようにする!」

 

そうよ!もとはと言えばモガ丸が

軽率なことするから!

・・・けどモガ丸もホントに反省してるみたい、

特に、ジョギーが危ない目に遭ったのが

相当こたえてるみたいね。

まぁ、今後は大丈夫でしょう。

 

「リザ殿、みなさん、ご無事で何よりです。

このような危険なトラップを仕掛けるなんて、

やっぱりこの遺跡には宇宙政府の秘密が

隠されてるのかもしれませんね。

しかし我々は今は打倒チョルルカを目指しています。

せんたくバサミの材料も揃ったことだし、

ひとまずクラビィンの町に戻りましょう。」

 

そうね、コッツの言う通り。

宇宙政府の秘密が気になるところだけど、

まずは目の前の目標、打倒チョルルカね。

 

アタシ達はモウィ遺跡をあとにし、

クラビィンの町へ戻ることにした。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

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