魔道士リザの冒険譚(星のドラゴンクエストStory冒険日誌)   作:ジョギー

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アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



エピソード5.「会心の職人ゴッシュ」

「おー!義勇軍のメンバー達!

無事だったか、よかった。」

 

腕利き道具職人兄弟の兄ヨンシュに

お礼を言うためクラビィンの町に

戻ったアタシ達。

アナタの提供してくれた情報のおかげで

せんたくバサミの材料は揃ったわ、

ありがとう。

 

「いやしかし、場所を教えたはいいものの

魔物がうろついてるなか、よく無事だったな、

義勇軍っていうだけあって

なかなかつえーんだな、アンタたち。

ハリガネもまだ残ってたみたいで

よかったよかった。」

 

うん、まぁ、ちょっと色々合って

けっこう危なかったけどね

 

「よし、じゃあ弟のもとへ向かいな、

オレもな、弟の久しぶりの本気の、

バカバカしい仕事を楽しみに

してるんだ。

オレのトンカチ、大切に渡してくれよ。

道具の完成がうまくいって、

そしてチョルルカに勝てるといいな、

オレもアンタらの成功を祈ってるよ。」

 

ありがとう、ヨンシュ。

うん、なんか、応援してくれてる

っていうのがジンワリくる~~~。

なんかこのカンジ、久しぶりな気がする。

 

「よし、ではリザさん達、コッツ、

ランペェ村へ戻りましょう。

ありがとうございました、ヨンシュさん。」

 

アタシ達はヨンシュに別れを告げ、

ランペェ村へ向かった。

 

「お、おぉ!お~~~!

お前ら、無事せんたくバサミの材料を

揃えてきたみてぇだな!

・・・そうか、兄貴にありかを聞いたんだな、

そして兄貴のトンカチも!

コイツは兄貴の大事な仕事道具だからな、

オレも心して使わせてもらう、

よし!さっそくオレは作業に入るぜ、

職人ゴッシュ、魂を込めて

この星一番のせんたくバサミを

作らせてもらう!」

 

ランペェ村に戻るとゴッシュが

出迎えてくれた。

確かにお兄さんのトンカチと、

そして2つの材料を手渡したわよ、

頼んだわね、腕利き職人ゴッシュ!

 

「にしてもお前ら、結構疲れてるだろ、

こんなに早く材料を集めるには

相当早足だったんじゃねえか?

無理が祟らねぇうちに休息を取りな、

オレの作業は一日仕事になりそうだ、

明日には完成するだろうから、

今日は宿でも取ってゆっくり休みな。」

 

うぅ、ありがとうゴッシュ。

アナタ達兄弟はなんて優しいの。

ここんとこ、人の裏切りとか

心離ればかりを目にしてきたせいか

人の気遣いがいつも以上に

心に沁みる。

 

「そうですね、リザさん達は戦いの

連続でしたし、特にジョギーさんは

今は回復しているとはいえ

ゆっくりお休みになったほうが

いいでしょう。

ゴッシュさん、では作業は

おまかせします。

明朝また参ります。よろしくお願いします。」

 

オリオリがゴッシュに挨拶をし、

アタシ達は村にある小さな宿屋に

泊まることにした。

 

ゴッシュがせんたくバサミを完成させたら

いよいよチョルルカのもとへ向かう。

今はゆっくり休もう。

やっぱり、人食い箱との戦闘で

疲れが蓄積していたのか、

宿屋のベッドに入るとあっという間に

睡魔がやってきてアタシは

深い眠りに落ちた。

 

「よぉ義勇軍の連中、昨夜はよく眠れたか?」

 

次の日の朝アタシ達はゴッシュの作業場へ

朝一番でやって来ていた。

よく眠れたんだろう、疲れはすっかり取れていた。

 

「えぇ、宿の方たちのもてなしも篤く

ゆっくりと休養を取ることができました。

といっても私はこのように本の中ですが・・・。

他の者は十分休息を取ることが

できたようです。」

 

「そうかい、そりゃよかった。

で!できてるぜ、この星一番のせんたくバサミ!

職人ゴッシュ会心の出来栄えだ!

コイツで鼻をつまめばきっとチョルルカの

ニオイを断つことができるだろうぜ!」

 

ゴッシュの手にはアタシ達の人数分の

せんたくバサミが乗っていた。

挟む部分にクッション代わりのワタが

取り付けられてはいたけど

一見して普通のせんたくバサミだった。

 

「モガ~!

これがこの星一番の超強力せんたくバサミ・・・

って見た目は割と普通のせんたくバサミだな。」

 

「ガッハッハ、見た目は普通だがな、

なんせハリィの塔のハリガネが材料だろ?

超強力な力で挟んだものを離さないんだ。

そして特別なワタをクッションにしてるからな、

その、超強力な挟む圧力を吸収するんだ、

鼻に痛みを感じることは皆無だぜ。」

 

「ほ、ほんとか~?

じゃあ、ちょっくらオイラが試着してみるよ。」

 

モガ丸はゴッシュからせんたくバサミを

受け取り自分の鼻に装着しようとした。

 

「む、か、かって~ぞ!

さすがにこの星一番っていうだけあるな!」

 

「ははは、だろう?

あえてコイツの難点を挙げるとすりゃあ

挟む時に硬すぎて開くのに苦労する、

ってことだな。素手じゃあ難しいかもな、

ほれ、こうやってペンチで開けばいい。」

 

ゴッシュが道具箱からペンチを取り出し

それを使ってようやくせんたくバサミは

開いた。

 

「モガガガ!

ペンチを使ってまでしてようやく

開くようなせんたくバサミ・・・

めちゃくちゃ痛そうだぞ!

オイラこえーよ・・・」

 

そのままゴッシュがモガ丸の

鼻にせんたくバサミを装着した。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「い"・・・・だぐな"い"!?

も"がー!

お"ー、全然い"だぐな"い"ゾー!!」

 

モガ丸・・・・めっちゃ鼻声

ちょっとおかしい(^_^;

 

「リ"ザ~~~!

こ"れ"な"ら"ぎっどヂョル"ル"ガの"

ニ"オ"イ"も防げる"ぞ!」

 

「さすが腕利き職人!

ありがたくこれを使わせてもらって

きっとチョルルカを倒してみせます!」

 

「あぁ!

お前たちならきっと上手くいくと

信じてるぜ!」

 

うん、きっと倒してみせる!

道具職人ゴッシュ、アナタはホンモノの

職人さんだわ。

アタシ達もアナタの仕事ぶりに

応えなくちゃね!

 

「この地方の町、村のみんなは

宇宙政府の悪政に苦しんでる、

ここいらの連中、みんな義勇軍を

応援してるぜ!頑張れよ!」

 

「・・・・嬉しいことですね。

白いスライムナイト、ピエールによって

心変わりした者たちもいれば

こうして義勇軍を支持してくれ者たちもいる。

彼らのためにも打倒宇宙政府は

絶対に達成しなければ・・・!

さぁ、リザさん達、先を急ぎましょう!」

 

そうね、オリオリ。

ピエールの主義主張は宇宙政府に対して

そこまで反感を持っていない、

いわば中立勢にとっては聞こえのいいもの

かもしれない。

だから宇宙政府を支持してしまうのかも。

 

けど、いくら建前を言ったところで

宇宙政府が星々の民を苦しめているのは

まぎれもない事実。

苦しめられながらも政府への恐怖心から

平然を装う人達もいた。

 

彼らに本当の平和と幸せを届けるためにも

アタシ達は信念を曲げるわけにはいかない。

こうやって応援してくれる人達がいるのも

確かだしね!

 

「チョルルカの居城へ向かうには

ここからまっすぐ西にあるブゥヘェ村に

行くといい。

詳しい場所はオレ達も知らないが

そこでなら情報を得られるはずさ。

じゃあ、達者でな、義勇軍のみんな!」

 

ありがとうゴッシュ!

アタシ達は支度を整えランペェ村を出発し

西へ向かった。




Story日誌 第5話<腕利きの道具職人>了

★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

・道具職人ゴッシュ
ヨンツゥオ大陸南部地方で名を轟かせる
腕利きの道具職人。
バカバカしい依頼ほど大真面目に引き受けてくれる
ちょっと変わった職人。


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