魔道士リザの冒険譚(星のドラゴンクエストStory冒険日誌)   作:ジョギー

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アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



エピソード2.「被支配層の怒り嘆き」

「よぉ、ここはギィシィの町。

宇宙政府で働く者達のベッドタウンさ。」

 

!!

魔物!?

アタシはとっさに身構えた。

ギィシィの町に着くといきなり半人半牛の

魔物が現れた。

 

「おっとぉ、ハハハ、そんな身構えなくても

大丈夫、お前達を襲ったりはしないさ。

政府に仕える魔物といってもオレは

末端の構成員さ。

むやみやたらと人間と争っても

オレ達にゃあ何の利益もないからな。」

 

確かにこの魔物からは殺気が感じられない。

嘘を言ってるようには見えないわ。

 

アタシもレジスタンス活動に加わって

結構時間が経つから、猜疑心というものが

かなり備わっちゃってるけど

この魔物からは本当に敵意を感じない。

 

「まぁ政府の命令が下れば仕方なく

人間を襲うこともあるにはあるが。

自分から進んでってわけじゃぁないんだ。

それはそれで疲れるからな。

で、お前ら何用でこの町に

やってきたんだい?」

 

「おいら達は上級執行官チョルルカの居城

に行きたいんだ。

ここに来れば何かわかるって聞いたんだけど?」

 

「チョルルカ様の居城か、それなら

ヨンツゥオ湾にある大聖堂だ。

ここからさらに北上したらミヤァロの宿屋

がある。

そこで色々教えてくれるはずさ。」

 

「ミヤァロの宿?

ん?お前は詳しくは知らないのかい?」

 

「あぁ、オレは末端構成員だからな、

上級執行官の居場所はあまり詳しくは

知らないのさ。

けどミヤァロの宿ならここより大聖堂には

近いしな。

宿屋ってのは、不特定多数の宿泊者が

いるからそれだけ情報もたくさん集まる

ってわけだ。

ここよりも詳しいことが聞けるだろうよ。」

 

「わかった、どうもありがとう!」

 

「あぁ、お前ら気を付けていけよ、

じゃあな。」

 

この魔物は本当にアタシ達に敵意はなさそうだ。

それどころか旅路の心配までしてくれて。

些細なやりとりだったけど、

アタシは人間と魔物との関係がますます

わからなくなりつつも、ちょっとだけ

明るい気持ちになった。

 

「宇宙政府に仕える者と一口に言っても

全てが悪しき者とは言えない。

そんな好例でしたね、彼は。

政府を倒し、何が正しいのか示すことが

できれば・・・。

彼のような魔物は賛同してくれそうな

気がします。」

 

そう!オリオリ。

アタシが思ったのはまさにそれよ。

まさに、正しい道を照らす事が何よりも大事。

そしてその役目は貴女しかできない!

 

「よし!じゃあミヤァロの宿を目指そう!」

 

馬車の契約はこの町までだったので

アタシ達は徒歩でミヤァロの宿を目指した。

 

橋を渡りしばらく歩くとそれらしき建物が

見えてきた。

割と小さな建物でそばに小屋と畑がある。

ひとつ目を引いたのが少し先に設置されてる

気球。あれはこの宿屋の気球なんだろうか?

それとも定期船か何か?

 

「あぁ、気球船があるのね。」という程度に

特に気に留める事もせず宿屋の玄関に

向かった。

 

「いらっしゃいませ旅のお方。

遠路はるばるようこそおいでくださいました。

ここはミヤァロの宿でございます。」

 

「こんにちは。

ご主人さん、悪いけどオイラ達客じゃないんだ。

ちょっと道を聞きたい。

チョルルカの居城っていうのはどこにあるのか

知らないか?」

 

「はっ、チョルルカ様の居城・・・

ヨンツゥオ湾にある大聖堂でございますね。

ただ・・・現在チョルルカ様が突然行方不明に

なってしまったとかで聖堂内は大混乱

とのこと。

もしや義勇軍に倒されたのでは!?という

噂も出回っております。

チョルルカ様の前の執行官、マレドー様と

いう方も突然姿を消してしまい、上級執行官が

立て続けに行方不明となり、聖堂内は

混迷を極めてると聞きます。

上級執行官がこうも代わられると我々庶民も

困るのです、なにせ代替わりのたびに

重い税を課せられてしまい・・・

はっ!私としたことが!

旅の方に愚痴をダラダラと・・・・

申し訳ございません!」

 

上級執行官が代わる度に重税ですって!?

ったく宇宙政府というのは!

一般人達から毟り取ることしか考えてないのね!

代替わりで重課税なんて意味がわからない!

 

けど、この人達からすればチョルルカが

いなくなったせいでまた生活が苦しくなる

わけだから。

大義の為にやった事だとしても

直ちにアタシ達の事を理解してくれるかは

わかんないわね。

ここはチョルルカとの事は伏せて

おいた方がいいんじゃないかしら。

ねぇ?オリオ・・・

 

「大丈夫!オイラ達は宇宙政府を倒す為に

活動している義勇軍なんだ。

政府を倒したらもう税金に苦しまなくて

済むぞ!」

 

え!?

 

ちょっとモガ丸!????

 

「はっ?アナタ達が義勇軍?

そ、それは本当なのですか?」

 

「本当だぞ!」

 

「本当・・・・あ、そう・・・・・

はぁああああああああああああああ!!??

テメエらが義勇軍だとぉ!

テメエらがチョルルカ様に何か

しやがったなぁ!?

出てけ!出てってくれ!!

義勇軍なんぞに関わってたらオレまで

政府に睨まれちまう!

とっとと出てけーーーー!!」

 

「もがー!

な、なんだ?いきなり怒りだしたぞー!

どうしたんだ!?」

 

あちゃー、けどそりゃそうでしょ(+_+)

 

「ま、まぁご主人、まずは落ち着いて。

もう少し我々の話を聞いてください。」

 

コッツが宿屋の主人の怒りをなだめようと

したけど。

 

「これが怒らずにいられるかってんだ!」

 

「わかった、わかった!出て行くよ!

けどお願い、大聖堂の場所だけでいいから

教えてくれ!」

 

「はぁ!?図々しいにもほどがあるぞ!

・・・ん、待てよ。」

 

モガ丸・・・ちょっとは話してる相手の気持ち

を考えなきゃ!

このご主人にとっては死活問題なのよ、

上級執行官が次々と代わるっていうのは。

そしてその原因にはアタシ達も関わってる

んだから。

いくら自分達は正しいことをしてると

思っていてもそれを他人が同じように

共感してくれるかはわかんない、

っていうのをここまでの旅で散々

思い知ってるでしょうに!

 

と、アタシはモガ丸の無神経さに内心

苛立ちながらも、なんとか最低限の質問だけは

宿屋の主人に投げかけたモガ丸のちゃっかりさ

に苦笑いするしかなかった。

 

すると宿屋の主人は何やら思案している様子。

アタシ達は主人の次の言葉を待った。

 

「・・・いいだろう、テメェらに協力

してやろう。

ただし!オレの命令をこなしてからだ!」

 

「お、おぉ!良かった、なんだ、

最初っからそう言ってくれればいいのにぃ!」

 

「やかましいぃ!

どうせ義勇軍に絡むんだったら利用するだけ

利用したほうが損はしないからな!」

 

まっ!こっちもちゃっかりしてる。

心配したアタシが損したかも(^ ^;

 

「いいか?オレはこの宿屋を増築して

今よりも大きくしたい。

だが増築するには当然、材木が必要だ。

材木にはヒノキを使いたい。

良質なヒノキだ。それはここから西に雲海を

渡った先にあるチィゴ島で採れる。

ところがここ数年で政府の圧政がキツくなり

島にも魔物が巣食うようになっちまった。

テメエら、島の魔物を一匹残らず

駆除してこい。オレは魔物と戦う力はないし、

もしあったとしても魔物を倒したりしたら

政府への反逆になっちまう。

けどテメエらならできるだろう?

大聖堂に行きたいのなら拒否なんて

できねぇよな?」

 

あぁ、結局この展開ね。

確かに大聖堂の情報は欲しいけど

かなりゴリ押しされてる感じ。

 

「ここんとこの立て続けの上級執行官の

代替わりで俺たち平民は本当に重税に

苦しんでる、だから儲けをもっと大きくして

税金を払うしかない、だからこの宿を

大きくしたいのに魔物、元はといえば政府の

せいで増築はできない、まったく理不尽な

話だろ??ちょっとでもオレらを可哀想だと

思うんなら頼みを聞いてもバチは

当たらないと思うぜ!」

 

むむ、確かに理不尽な話だわ、悪循環に

陥ってるわね。

ふぃ〜、ギィシィの町では、人間と魔物とが

分かり合えるかもしれないって希望を

持てたのに、やっぱり魔物退治しなきゃ

いけない事もあるのか〜。

これもまた理不尽というか不条理というか。

 

「オリオリ様、私怖いです、この人。

めちゃくちゃ怒ってる・・・」

 

「けど命令を聞かなければ情報を

教えてくれはしないでしょう。

リザさん、やむを得ませんが、このご主人の

言う通りにしてもらえないでしょうか?」

 

そうね、あまり乗り気じゃないけど

この人たちの境遇が理不尽である事は

間違いない。

アタシ達の目的も絡んでる事だし。

この主人が困ってるのは確か。

ちょっと態度に難ありで、そこが引っかかるけど。

 

「チィゴ島には気球船で渡れる。

ここから先の岬に気球船が設置してある。

それで島に向かえ。

で、魔物の巣があるのは島の中心部にある

チィゴの祠だ。

わかったな?わかったら早く行ってこい!」

 

あぁ、あの気球船ね。

ここへ来る時に見かけた。

 

「よし、じゃあ気球船でチィゴ島へ

向かうぞー!」

 

やっぱり上から目線なのよね〜この人。

態度とか雰囲気で人を判断しちゃいけない、

とは思うんだけど。

けど人に物を頼む時の言い方も大事だとは

思うんだけどね。

 

アタシ達は岬に向かい、気球船に乗り込んだ。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。
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