魔道士リザの冒険譚(星のドラゴンクエストStory冒険日誌)   作:ジョギー

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アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



エピソード5.「双方化かし合い」

「オイラ達、ヨンツゥオ大聖堂へ行きたい

んだけど。

え?オイラ達は何者かって?

オイラ達はぎゆ・・・んが!ングググっ!」

 

ジョギーが慌ててモガ丸の口を手で塞ぐ。

んもう!

だぁから!モガ丸っ!

簡単に自分達の素性を明かしちゃダメだって

あれほど言ったのに!!

しかも相手は政府の魔物じゃないっ!

皆が皆、ギィシィの魔物のように友好的

だとは限らないでしょ!?

 

ヨンツゥオ大聖堂への通行証を発行して

もらう為、アタシ達はここ、キュウエルの

関所へとやってきていた。

 

関所に居た役人らしき魔物に用件と身分を

聞かれたモガ丸がいとも簡単に

自分達の素性を口にしようとしたので

慌ててジョギーがモガ丸の口を塞いだ

ってワケ。

 

「君達見たところ宇宙政府関係者では

ないようだが?

関係者以外が大聖堂へ行くには此処で通行証を

発行しなければならんのだ。

しかし現在、上級執行官が不在ゆえ通行証を

発行する事ができん。

すまんがお引き取り願おう。

ちなみに、もう一度聞くが何用で大聖堂へ

行かれるのか?」

 

「あー、えーと、そう!

なんでも先の上級執行官チョルルカ様が

行方不明になったとかで新しい執行官様が

まもなく就任されるとか。

その際に課せられる税金を一足早く納めよう

かと思いまして。

こういうのは早いに越したことはないかなぁと。

新しい執行官様の覚えを愛でたくして

おこうかなぁ、なんて・・・ハハハハハ。」

 

コッツがとっさに、それらしい理由を

繕ってくれた。

うん、それっぽい。

 

「ほう、そのような政府の内情、どこで

聞きつけたのか知らんが・・・。

まぁ、その心掛けはなかなかよろしい。」

 

(・・・チョルルカ様が行方不明!?

新しい上級執行官が間もなく着任だとぉ!?

このような内部機密、一般の民がこんなに

早く知る由もない。

間違いないな、此奴らが義勇軍と冒険王一味!)

 

「よし、君達。

たしかに大聖堂にはまもなく新しい上級執行官

が着任される。

次の執行官候補は2名おられてな、ここから

西に向かった先にキュウエル西砦がある。

そこに候補者のお方がおられる。

どうしても用件があるというのなら

西の砦へ向かうがいいだろう。」

 

「ありがとうございます、お役人さま。

それともう1つ、質問が。

星屑サーカス団の行方を知りませんか?

私達、あのサーカス団の大ファンでして。

この地方に向かったという風の噂を

耳にしたもんですから。」

 

(!!星屑魔法団の行方を探しているっ!

間違いなく此奴らが義勇軍!

はっはっは!ズデーロン様、全て手筈

通りですぞ!)

 

「星屑サーカス団か、ちょうど良いぞ君達。

彼らならキュウエル西砦に向かった。

その、執行官候補様に面会にな。」

 

「おぉ、これはラッキーだ。

わかりました、ありがとうございます。

それでは我等はこれにて。

失礼いたします。」

 

(ふん、納税にサーカス団の大ファンだぁ?

よくも抜け抜けと嘘八百を並べたものよ。

しかし全て予定通りだ。

これで此奴らはアッガラー様の元へ向かう。

そこで此奴らはアッガラー様を倒し

次にズデーロン様が此奴らを倒す。

晴れて我らズデーロン派がこの地を

治めるという寸法よ。

しかし・・・あのような年端もゆかぬ

若者達が義勇軍の中核、そして冒険王とは。

いささか信じ難くはあるがな。)

 

関所でアタシ達を案内してくれた魔物こそ、

例の密談合に加わっていたアクルという

通行官。

もちろんアタシ達は彼がどういう思惑で

行動しているか、裏にどのような陰謀が

働いているかなど知る由もない。

 

「今度も親切な魔物で助かったな!」

 

「もう、モガ丸!

全く懲りてないんだからっ!

たまたま親切な魔物だったから良かったものの

時と場合と魔物によっては即逮捕!

なんて事もあるんだからね!!」

 

「モガ〜申し訳ない・・・。

今度から最初の挨拶はコッツに任せるよ・・・。」

 

またも失態を犯しそうになったモガ丸を

アタシは叱責した。

 

ちょっと言いすぎかしら、

かなりしょげさせてしまった・・・(^ ^;

 

「まぁまぁリザ殿、モガ丸殿も反省してますし。

けどたしかに、魔物との無用の争いを避けるには

我等の身分は簡単には明かさないほうが

良さそうです。

特にこの辺りは大聖堂が近いこともあり、

今まで以上に警戒を強めて行動しなければ

いけないでしょう。

モガ丸殿は少しウッカリさんなところが

あるので次からは挨拶や応対は私がやります

・・・。」

 

「モガ!コッツこの野郎!

誰がウッカリさんだっ!!」

 

「え!?ひえーーーーー!

ごめんなさい!モガ丸殿、そんなつもりでは!」

 

「ピッ!ピピー!」

 

「だってヨォ、スラッピ〜!」

 

「・・・こんなやり取り、前にも見たような。

コッツも割と失言が多いのかもしれません

・・・」

 

書からオリオリが現れ、アタシにコソっと

囁いた。

確かに・・・コッツとモガ丸のこんなやり取り

前に見たかも(^ ^;

 

けど、そうね、確かにこの辺りはもう

政府の中枢、大聖堂の近くだもの。

警戒は強めなければ。

それに今から向かう砦には執行官候補が

居るという。

今度は面会だけでは済みそうにないわね。

 

多少、緩みがちなパーティーの空気を

引き締めながら、今度は厳しい戦闘に

なるだろう、という覚悟を持ちアタシ達は

キュウエル西砦へ向かった。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

・アクル
キュウエルの関所を守る役人。
2名の上級執行官候補者のうち、
ズデーロンという候補者の魔物を
支持している。

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