魔道士リザの冒険譚(星のドラゴンクエストStory冒険日誌)   作:ジョギー

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アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



エピソード9.「恐怖による抑圧の結末」

「あわわわ、どうなってるんだ!?

お互いがお互いを・・・殺しちゃったぞ!?

モガガガ!なんでーーー!?

なんでそうなっちゃうんだーーー!」

 

しばし沈黙が続き・・・

ようやくモガ丸が口を開いた。

 

あまりに。

壮絶な最期・・・!

この補佐官達は・・・きっとケジメを

つけたかったんだろう。

 

上官に見捨てられた自分たちの悔しさに。

上官に手をかけてしまった自分たちの

罪深さに・・・。

 

自らの命より死に方、いや生き方か。

そっちを重んじた。

補佐官達の方がアッガラーよりも

よっぽど武人だったわね。

 

ただ、仕えた上官がゲスだった。

それがこの者達の不幸だった。

 

もちろん、だからといってアタシ達が

手を抜いてアッガラーに敗れるなどという

選択肢はあり得なかった。

けれど。

ただただ普通に、上官と部下として

アタシ達と戦い共に死んだ方がよっぽど

幸せだったでしょう。

そうすれば上官の裏切りを目撃することも

なかっただろうに。

 

今はただ、この補佐官達の魂が

迷わず天に召される事を祈りたい。

アタシ達には、それぐらいの事しかできない。

 

「・・・リザさん達、見事でした。

上級執行官候補者を倒した事で・・・

この地方の一般の人々が苦しむかもしれない

という可能性を潰す事ができました。」

 

書からオリオリが現れ、アタシ達を

労ってくれた。

そうね、そう思うようにしよう。

でないと、あまりにも後味が悪い。

 

アッガラー・・・少しでも部下を

信頼することを知っていれば。

協力して戦えば。

アタシ達はもっと苦戦していたかも

しれない。

アナタの敗因はアナタ自身だった。

部下を使い捨てのモノ扱いに

してしまったのが敗因。

 

これって・・・。

宇宙政府と支配される星々の

民衆達との縮図かもしれないわ。

 

恐怖と力で押さえつけ、

一時は従うけれど・・・・

それは心から従ってるワケ

じゃあないの。

何かのきっかけで下位の者が団結し、

上位の者に抵抗することもある。

 

アッガラーと補佐官達に起こった

今回の出来事。

第三者のアタシ達からすれば

実にやりきれない、それでいて壮絶な

結末だった。

 

けど、この出来事にアタシ達を

当てはめてみるならば・・・

縮図と考えるなら。

これから義勇軍・・・下位の者が

宇宙政府・・・上位の者へ反旗を翻す

事には・・・壮絶な出来事が伴う、

とも考えられるわね。

 

「・・・ここには魔法団とピエールは

いませんでした。

たしか関所の役人は『執行官候補者は

2名いる』と言っていましたね。

魔法団とピエールはもう1人の候補者に

面会しているのかもしれません。」

 

「よぉし!関所に戻ってもう1人いる

という候補者の居場所を教えてもらおうっ!」

 

「あ、モガ丸殿・・・あの~・・・その・・・

役人への対応はわ、私がやりますので・・・。」

 

「モガ!コッツ!この野郎、またオイラの事

ウッカリさんて言ったな・・・ん?

あれ?言ってないか・・・ハハハハ・・・

ご、ごめんよ~。」

 

・・・まぁ、言外に言ってるような

もんだけどね(^_^;

 

「それにしてもコッツ!

ナイスタイミングだったな、

レイファンを助けた時!」

 

そうっ!

あの時コッツが助けてくれなければ

アタシ達やられていたわ!

 

「いえ、滅相もない!

私は3番隊隊長という立場でありながら

戦闘の殆どをリザ殿たちに任せて

しまっているという事に

責任を感じてますっ!

あ、いえ、リザ殿達の強さを

考えれば当然なのですがっ!

けど何かお役に立てることは

ないかと、おこがましくも

常々考えております。

此度、リザ殿達の戦いに貢献

できたのなら、これほど光栄な

事はございませんっ!」

 

ありがとう、コッツ!

アナタも戦闘に加わってくれるのなら

これほど心強い事はないわ。

 

「うぅぅぅリザ殿~~~。

そのようなお言葉・・・・

コッツ、非常に感激ですぅ・・・

うぅぅぅ・・・。」

 

え?ま、まぁまぁまぁ。

別に泣くほどの事じゃないじゃない。

 

「コッツは・・・本当に心底

リザ殿達を尊敬しているのですっ!

そのような方からのお言葉・・・

涙せずにはおられませんっ!!」

 

「まぁ、コッツ。

私よりもリザさんのほうが

大事ってワケね?クスっ」

 

オリオリが珍しく

いたずらっぽくコッツに

意地悪を言う。

 

「はっ!あ、いえ!

・・・・オリオリ様の次にリザ殿達を・・・・。」

 

「モガ~~!

コッツ、お前も割と失言が多いなっ!」

 

「え~~~~も、モガ丸殿に

言われたくないかな~・・・。」

 

「む、なんだとこの野郎!!」

 

「ピ!ピピッ!

ピピピピ、ピピピピピピ、ピピピピ!」

 

「え?なんだってスラッピ、

確かにオイラにウッカリさんって

言われるなんて誰だってイヤだろうって?

なーーー!なんだよスラッピまで!」

 

さて、場が和んできたところだけども。

激戦地だったここ西砦。

アタシ達は砦に向かって手を合わせ

黙祷を捧げた。

 

そして・・・もう1人の候補者か・・・。

どんなヤツか知らないけど今度もまた

戦う事になるのかしら?

だとしたら厳しい戦いになりそうね。

 

色々と思うところがあった今回の戦い。

けれど。

それらを深く検証する暇はなく、

次の候補者に会うべく、その所在を聞くため

アタシ達はキュウエルの関所へ向かった。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

・アッガラー
次期上級執行官候補者の魔物。
気性が荒く、口調もかなり汚い。
上級執行官の地位を得るべく、
前任者チョルルカを倒したアタシ達を
倒そうと躍起になっている。
『星域の崩壊』という特大スキルを
持っていながらもそれを有効に扱えず
アタシ達に敗れる。
最期は部下の恨みを買いトドメを
刺された。

・執行官補佐官ヨエル・ヨアキム
アッガラーの戦闘に於ける直属の部下2体。
補助呪文『ディバインスペル』を得意とし、
上官の呪文攻撃をサポートする。
日頃からアッガラーにパワハラを受けていたが
彼が上級執行官になれば報われる、という
思いで仕えていた。
しかしアタシ達との戦闘中、捨て石にされた事で
とうとう上官に反旗を翻した。
最期は上官への反逆罪のケジメをつけるべく
お互いの首を刺し2体揃って絶命した。

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