魔道士リザの冒険譚(星のドラゴンクエストStory冒険日誌)   作:ジョギー

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アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



エピソード12.「候補者達の最期」

「全身全霊の力を込めてっ!

貴様らをズタズタに切り裂いてやるっ!!

『紅蓮の構え』っ!!!」

 

ズデーロンが2本の剣を

十文字に構える。

今だっ!

 

「こだまする光撃を我が兄

ジョギーにっ!」

 

シュイィィィィン!

 

「己を極めるっ!!」

 

バシュッ!!!

 

ジョギーが怒るっ!

 

すると、構えを取ったまま

ズデーロンの双眼が妖しく

光ったっ!

 

「汝らの防壁を崩し去れっ!

ルカナンッ!!」

 

ドゥウウウンッ!

 

ルカナンッ!?

守備力ダウン補助呪文っ!

なるほど、アタシ達の被ダメを

上げようってワケね!

けどっ!

 

「グヘヘヘヘッ!

これで貴様らのダメージは

増大するぞっ!!」

 

「リザ姉っ!

デバフが通ってしまったぞっ!!

どうするっ!?」

 

「怯むなっ!

ビビったら負けるわっ!

レイファン、行けぇぇぇっ!!」

 

「わかったっ!

希望の舞っ!!」

 

バシィッ!!

 

「イオナズン&イオナズーーーンッ!!!」

 

キュィィィィイイイイン、

 

ドガァァァァァァァァン!!!

 

「奥義っ!天下無双っ!!!」

 

ガガガガガガツ!!!

 

スキルがこだまするっ!

 

ガガガガガガツ!!!

 

「こ、コイツらっ!

こっちのスキルが発動する前に

全力でこ、攻撃してきやがっ・・・

う、ウゴアアアアアアアアア!!!!」

 

『紅蓮十字剣』が発動する前に

アタシ達のフルコンボが炸裂したっ!

ズデーロンの体はズタズタになり

宙高く舞い上がり、その後地面に

打ち付けられた。

 

よしっ、勝ったっ!

ふぃ~~~、なかなか強敵だったわ。

アタシが知ってる、そしてわかりやすい

弱点を持っているスキルだったのが

勝因ね。

 

「グゴゴゴゴ・・・・ま、まさかこのワタクシが

・・・ぎ、義勇軍ごときに・・・・。

そ、それにしても・・・こっちがスキルを

繰り出そうとしている・・・し、瞬間に・・・

全力で突っ込んで来るとは・・・・

く、狂っている・・・・!」

 

「攻撃は最大の防御よ。

どんなに強いスキルでも喰らわなければ

やられない。

いくら威力が強くてもあんなに

のんびりしたスキルじゃあ、

攻撃してください、って

言ってるようなものね。

まぁ、最もアナタの敗因は仲間を

信頼せず、そのちっぽけな

プライドに固執したことかしらね、

仲間と共に戦っていれば

構えからスキル発動までの

時間稼ぎをしてくれたかも

しれないのに。」

 

「グググ・・・ち、ちくしょうっ!

上級執行官になるはずだった

ワタクシが・・・・こ、こんなところで

・・・・・。」

 

「そう、そうやって策を巡らせ過ぎて

それが上手くハマったのかも

しんないけど、もうそれでアタシ達に

勝った気でいたのも敗因ね。

策士、策に溺れる、ってヤツ?」

 

「ぐ~・・・・む、無念っ!・・・グフッ!」

 

ズデーロンは息絶えた。

よし、執行官候補は2体とも撃退。

これでこの地方に上級執行官が

当分やって来なければ一般の人々も

苦しまずに済むんだけど・・・。

 

「リ、リザーーーーっ!!

やったぞ、執行官候補を

2体ともっ!」

 

「ピピーーーッ!」

 

「それにしても本当に強敵でした、

でもリザ殿達のほうがもっとすごい

・・・あ、あんな戦い方、私では

想像もできない・・・すごすぎるっ!!」

 

「上級執行官2体に続き、

執行官候補2体も撃退っ!

確実に政府の重要ポストの魔物達を

駆逐しているっ!

政府にも大きな打撃を与えているはずっ!

リザさん達っ、素晴らしい功績ですっ!

ありがとうっ!」

 

仲間達がアタシ達の勝利を祝福してくれた。

アタシ達を使ってくだらない賭け

なんかするからよっ!

成敗してやったわっ!!

 

「ヒ、ヒィィィィ!

ズ、ズデーロン様がやられたっ!!」

 

「そんなっ!

あれだけの実力を持ったお方がっ!」

 

「お、オレは次期執行官には

ズデーロン様こそ相応しいと思い

肩入れしたというのにっ!」

 

「コイツら強すぎるっ!!」

 

ズデーロンの敗北を前に魔物たちの

動揺がどんどん大きくなっていく。

 

「ど、どうする!?

俺たちで弔い合戦をするか!?」

 

「これだけの軍勢だっ、全員で

かかれば勝てるんじゃねえか!?」

 

「し、しかし!この目で見ていたが

あの冒険王とやら・・・・つ、強すぎるぜっ!

オレぁ、魔物だろうと人間だろうと

これほど強いヤツを見たことがねえっ!

オレ達全員でもかなわねえかもっ!」

 

アタシ達に戦いを挑むか退くかで

魔物たちがざわついている。

アタシの取った行動は・・・・。

 

「メラガイアーッ!!」

 

ゴォォォォォォン!!

 

ドゴォォォォォン!!!

 

西砦の時と同じ。

威嚇射撃で脅しをかける。

 

「聞きなさいアンタ達っ!

アンタ達の大将は敗れたっ!!

ただ、アタシ達は無益な殺生は

望まないっ!

戦う意志がないのなら立ち去るがいいっ!

それでも向かってくるというのなら

容赦はしないっ!」

 

「ヒッ・・・ヒィィィィ!!!」

 

「に、逃げろっ!!!」

 

「殺されるッ!!!」

 

砦の出口に魔物の大群が殺到し

我も我もと逃げていく。

殺される、とは失礼ね。

殺すつもりはないから早く逃げなさい、

って言ってるだけなんだけど・・・。

 

ともあれ。

今度はボス以外に死者はなし。

犠牲を最小限に、という方針も

遵守できた。

 

ふぃ~~~。

それにしても疲れた・・・。

アタシは気が抜けたのか、

ペタンとその場に座り込んでしまった。

 

「しかし・・・魔法団はやはり居なかった。

そもそも候補者に面会というのが

偽りだったとは・・・。

この先どうしたものか・・・。」

 

オリオリが困り果てた様子で

この先の方針を決めかねていた。

その時。

 

パチパチパチッ!

 

どこからか拍手をする音が

聞こえてきた。

このカンジ・・・。

いつもアタシ達が激闘を終えた時に

現れるアイツに違いない。

 

「見事だったぞ諸君っ!

実に強い、強すぎるぞ

冒険王の諸君っ!!」

 

キッ!

振り返ると白いスライムナイトが

立っていた。

 

「ピエールッ!」

 

出たわねっ!ピエールッ!!

座り込んでいたアタシは

すぐさま立ち上がり、杖を構えた。

 

「チョルルカに続き次期執行官候補者の

2名ともことごとく退けるとはっ!

その強さ、計り知れんっ!

敵を叩き斬る腕力、溢れ出る攻撃魔力など

基礎能力のみならず敵を知り己を知り

瞬時に状況を把握し最良の手を打つ、

その百戦錬磨ぶりっ!

どれを取っても政府の上級執行官達を

はるかに凌駕している。

素晴らしすぎるぞぉぉぉぉ!」

 

ピエールがアタシ達を褒めちぎる。

けど、そんなアタシ達より自分のほうが

さらに強い、とでもいいたげな

余裕をどこか感じてしまう。

 

まったく嫌味なヤツね。

 

「それにしても此奴等の醜態・・・

無様この上ない。

せっかくのチャンスをことごとく

逃すとは・・・。

くだらん派閥争いに終始し、

己の戦闘力に胡座をかき

鍛錬を怠った末路よ。

いずれの候補者も部下を有効活用

できず自滅の道を進んだ。

まぁ、当然の結果よな、

そうは思わんか?冒険王諸君っ!」

 

「・・・コイツら、アタシ達を賞品扱いして

自分達の昇進を賭けてたらしいけど

アンタも1枚噛んでたワケ?」

 

アタシはピエールに疑問をぶつけた。

 

「さあな、私はただ、一刻も早く

新しい上級執行官が誕生し

かのダン灯台の宇宙船を作動させて

くれるのを待っていただけだ。

候補者当人同士がお互い自らを

推薦主張しあっていては

いつまでも事は決まらぬゆえ、

少しアドバイスをしてやっただけだ。

その先の事は此奴等が勝手に決めた事。」

 

「ふ~~ん、そうなんだ。

相も変わらず、ハッキリしない物言いと

それっぽい理屈で誤魔化すのね。

暗躍とか陰謀とか、影でコソコソ動くのが

好きそうだからさアンタ、

てっきり本当の首謀者はアンタかな、

って思ったワケ。」

 

「ふふふ、影でコソコソとは心外。

まぁ、結果として候補者は2名とも

死んでしまった。

宇宙船作動はまたまた持ち越しだな。」

 

「この星そのものが魔星王・・・

その事実は、そんなにこの惑星クラウドに

影響を与えるというの?

宇宙船作動にアンタがそれほど躍起に

なっているところを見ると。」

 

「それはまだ言えん。」

 

アタシがピエールと会話を続けていると

書からオリオリが現れた。

 

「ピエールッ!

アナタを追いかけていましたっ!

星屑魔法団の居場所を教えなさいっ!」

 

「おぉ麗しきオリオリよ、よくぞ無事だった。

星屑魔法団か、フフフフ、愛しい夫にそんなに

逢いたいか?オリオリよ。」

 

「私が気がかりなのは魔星王のことよっ!

この星そのもが魔星王、とは何を

意味するのですっ!?」

 

「貴女が抱くその疑問、それは全て

愛しい夫セアドに問うことを進言する。

魔法団はすでに大聖堂へと移動させた、

諸君らも大聖堂へ向かうといい。

私も大聖堂へ向かう、そこで会おう。

通行証はなくても関所を通過できるよう

私が手を回しておこう。

では失礼する、ルーラッ!」

 

ピエールは瞬間移動呪文で立ち去った。

 

上級執行官達の居城、ヨンツゥオ大陸に於ける

宇宙政府統括拠点であるヨンツゥオ大聖堂。

この長旅の終着点へようやく辿り着くことが

できそうね。

 

そこでとうとう星屑魔法団に会えるのかしら?

なんだかアタシ、気持ち悪い予感がするのよね。

執行官候補者達との戦いの裏では

色々な陰謀が渦巻いていた。

 

なんだかもう、現況の何がホントで何が嘘なのか

わけわかんないというか。

星屑魔法団なんて、そもそも実在するんだろうか?

とさえ思えてしまう。

 

いえ、オリオリはセアドの妻なんですもの、

実在するかどうか、は言い過ぎとして。

なんかこうも行く先々で肩透かしばっかり

喰らってると、ピエールはそもそも魔法団と

行動をともにしてないんじゃないかって

思うのよね。

一緒にいるいる詐欺じゃないかって。

 

「オリオリ様、いよいよセアド様に、

星屑魔法団に会えそうですね!」

 

「・・・・そうですね・・・・。」

 

オリオリも何か思うところがあるのか

コッツの声掛けにも気のない返事を

している。

 

「リザッ!今すぐ大聖堂に向かうのか?

オイラ、なんだかイヤ~な予感がするんだ。」

 

モガ丸も何か感じ取っているみたいね。

アタシは同意を示した。

 

「やっぱりっ!

リザもそう思うか、けど、とにかく

大聖堂に行ってみなけりゃ

何もわからないもんなっ!

とにかく、引き続き警戒を緩めずに

大聖堂へ向かおうぜっ!」

 

「ピピッ!」

 

そうね、モガ丸。

気持ち悪いからってここで立ち尽くしてても

仕方ない。

いるかどうかわかんないけど、

魔法団には問いたださなきゃいけない事が

たくさんあるっ!

行って確かめるしかない。

 

アタシ達は様々な複雑な思いを抱えながらも

キュウエル東砦を後にした。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

・ズデーロン
次期上級執行官候補者の1人。
高圧的で口調も汚いアッガラーとは対象的に
物腰が柔らかく丁寧な口調の魔物。
かつロジカルで先見性も備えた、
かなり頭の切れる魔物でもある。
たくさんの部下の魔物を率いているが
単身でアタシ達と戦うと宣言するなど、
絶対的な自信を持っている。
けど、部下の加勢を拒絶し己のチカラを過信し
最期は冷静さもプライドも打ち砕かれながら
アタシ達に敗れた。

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