魔道士リザの冒険譚(星のドラゴンクエストStory冒険日誌)   作:ジョギー

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アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



エピソード15.「相いれぬ戦い」

「フフフフフ、数々の上級執行官達、

そして魔星王すら葬った諸君らとの戦い、

まこと楽しみだっ!」

 

「っていうかアンタさぁ、なんでそこまで

オリオリを宇宙政府に参加させたいワケ?

なんでそこまでこだわるの?」

 

「な、なに?」

 

「内部変革とやらをアンタが信じるのは

勝手だけど、別にやりたきゃアンタ1人で

やればいいじゃない。

1人が怖いんだったらアンタが説得してまわった

お仲間達と一緒にやればいいじゃない?

そのために仲間を増やしてるんでしょ?」

 

「別にこだわっているわけじゃない。

義勇軍などと無駄な事を続ければ

やがて政府の怒りを買いオリオリが危険な目に

遭うからだ。」

 

「だぁからぁ!

もしそうなったとしてもオリオリにとっては

信念を貫いた上での結末だと思うし、

アンタはアンタで信念の通り内部変革を

成し遂げればいいじゃない。そこにオリオリが

必ず参加してなきゃいけない理由がわからない。

もしアンタの大義が叶えば、それはそれで

アタシはアンタを見直すよ!

オリオリも同じだと思うけど。

どう?オリオリ。」

 

モガ丸達が身を潜める物陰から

オリオリが答える。

 

「リザさんのおっしゃる通りです、

私はできもしない政府の内部変革などに

時間を費やしている暇はないのです、

義勇軍として打倒政府を目指すことに

この生命を使います、

その結果力及ばず命を落とすことに

なっても後悔はありませんっ!

そしてピエール、アナタが目指す

宇宙政府内部変革構想、私は賛同しませんが

アナタがそれを実行させ、結果宇宙に

平和をもたらせる事ができたなら、

私もアナタを讃えます。

今はっ!同じゴールを見据えてはいても

同じ道を歩む事はできませんっ!」

 

「オリオリ・・・愚かな・・・・

私が安全な近道を用意してやると

いうのに・・・・。」

 

「好きなの?」

 

「な、何?」

 

「オリオリの事好きなの?アンタ。

好きだっていうんなら、そのほうが

よっぽどアタシ納得するよ、

アンタがここまでオリオリにこだわる理由。」

 

「バ、バカを言うなっ!!

わ、私は・・・!オ、オリオリとはこうやって

数回しか顔を合わせたことがないのだ、

どうしてオリオリに恋慕の情を抱く理由がある!?

バカも休み休み言えっ!」

 

ふむ、こんなうろたえてるピエールは

初めてね、なかなかどうして・・・フフフ。

アタシ核心ついちゃったんじゃないっ!?(*´꒳`*)

 

「ふうん、まぁそりゃそうね、ほんの数回

顔を合わせた程度じゃあ好きにはならないか。

アタシてっきりそうなんじゃないかって。

で、自分に全然靡かないオリオリが、

裏切った格好の旦那様を信じ抜くって

答えたからヤキモチ妬いてるのかな~って。

でもダメよ、人妻に恋しちゃあ!」

 

「リ、リザさん・・・・私で遊ばないでください。」

 

あ、オリオリ、ごめんね!

ただ、いつもいつも生意気な口しか聞かない

ピエールがうろたえてるもんだから

ついつい無責任な発言をしちゃった。

けど。

いつも冷静なピエールには効果が

あったみたいよ、オリオリ。

 

「お、おのれ冒険王っ!!

私を愚弄するつもりか!!!

ここまでコケにされたのは生まれて初めてっ!

許さんぞっ!

ダァァァァッ!」

 

いつもスマシタ態度のピエールが

怒りに任せて突進してきたっ!

 

ビュルルルッ

ズザァァァ!!

 

ピエールが手に持った槍をグルグルと回し、

アタシ達に槍撃を繰り出すっ!

槍撃はジョギーに向かった。

ジョギーは盾で槍撃を受け止めるっ!

負けじと剣撃を撃ち返す。

 

ブゥンッ!!

 

しかしピエールもまた盾で剣撃をガードした。

ジョギーは剣撃をガードされた瞬間、

横っ飛びで右方向に飛ぶっ!

 

「なにっ!?」

 

予想外のジョギーの動きにピエールは

思わず目を奪われスキが生まれた。

 

「メラゾーマッ!」

 

ゴォォォッ!

 

大火球が無防備のピエールに炸裂っ!

 

「グワァァァッ!」

 

ルビス秘術で威力が上がったメラゾーマ。

ピエールはその威力に耐えきれず

火球が炸裂した衝撃で吹っ飛びそうになったが、

駆っているスライムにしがみつき、スライムから

転げ落ちそうになるのをこらえた。

 

「グム~、さすが冒険王達っ!

戦い慣れている、見事な連携だ。

ならばっ!我らもこうだっ!」

 

ピエールを乗せたスライムがピョンピョンと

跳ねながら突進してくるっ!

アタシ達はスライムのその動きに目を奪われた。

自然、その上下運動を視線で追う。

 

ピョンピョンピョン、シュンッ!!

 

スライムは何回か跳ねたのち、突如一直線に

アタシ達に突進してきたっ!

上下運動に目が慣らされていたアタシ達は

突然の直進行動に虚を突かれ、スライムの

体当たりをもろに受けてしまった。

 

「キャーッ!!」

 

「グワァァァ!!」

 

「キャーッ!!」

 

「キャーッ!!!」

 

アタシ達4人はスライムのボディアタックの

衝撃で吹っ飛んだ。

見事なフェイク攻撃っ!

しかしピエール達の攻撃はそれで終わらない。

スライムに乗っているはずのピエールがいない。

 

「ハーッハッハッハ!

見事にホワイピの動きに惑わされたなっ!

喰らえっ!『天より降る雷撃』っ!!」

 

ピエールは上方にジャンプしていたっ!

ヤツのスキルが天井方向から飛んでくるっ!!

 

ガガァァァァッ

 

「キャーッ!!」

 

「グワァァァッ!!」

 

「キャーッ!!」

 

「キャーッ!!」

 

電撃を帯びたピエールの槍から

スキルが繰り出されスライムのボディアタックで

倒れ込んでいたアタシ達はまともに

その攻撃を受けてしまったっ!

 

ピエールとホワイピ?と呼ばれた白いスライムとの

見事な連携攻撃。

ヤツらもまたアタシ達と同じように仲間との

コンビプレーを得意とするってワケねっ!

 

「ハッスルダンスッ!」

 

パァァァァ

 

レイファンが回復の踊りを舞ってくれた。

一連の攻撃で受けた傷が回復していく。

幸い、そこまで威力は大きくなかったからか、

傷はほぼ全快した。

 

けどっ!

 

「姉ちゃん、コッツがっ!!

コッツが気を失ってるよっ!!!」

 

コッツの一番近くに居たレイファンが叫ぶ。

視線を送るとコッツが倒れ込んだまま

動かないっ!

 

マズイな、休み状態かっ!?

命に別状はなくても動けないのは危険だわっ!

 

「フフフ、冒険王達は堪えられても、

その女戦士には耐えられなかったみたいだな、

とんだ足手まといではないのか?」

 

キッ!

アタシはピエールを睨んだっ!!

アタシ達の仲間を侮辱するヤツは許さないっ!!

 

「メラミッ!ライデインッ!!」

 

アタシは中級呪文を連発した。

 

「超はやぶさ斬りっ!!!」

 

ジョギーも剣のスキルを放つっ!!

ピエールは盾でアタシ達の攻撃をガードした。

しかし威力の大きさに態勢を崩す。

 

「ウグググッ!しかし此奴等の攻撃力の

なんと高いことっ!!

この私が威力を押し殺す事で精一杯とはっ!」

 

ピエールが態勢を崩しているスキにアタシは

コッツの元に走り寄り彼女の頬を2発3発と

平手打ちした。

 

バシッバシィッ!

 

「コッツッ!起きなさいっ!!

気絶してる場合じゃないわ、やられるよっ!!」

 

「う、う~ん・・・」

 

意識がかすかに戻ってきた。

けど完全に目を覚まさない!

アタシはコッツの上体を起こし背中側に回って

喝を入れた。

 

「ふんっ!」

 

「キャッ!・・・・あ、あぁ!リザ殿!?」

 

「よかった、気がついたわね!

気絶してたのよ、ピエールのスキルで。」

 

「え、えぇぇぇぇ!

ハッ、も、申し訳ございません、

なんと無様な姿を見せてしまったのか!」

 

「傷は!?痛みは!?

レイファンがハッスルダンスをしてくれたので

支障はないはずだけど?」

 

「あ、は、はい!そういえば傷の痛みは

感じませんっ!

それより皆さんっ!足を引っ張ってしまい

申し訳ございませんっ!!」

 

コッツは気絶してしまった事を全力で謝った。

ううん、大事に至らなくてよかった。

 

「けど、あの電撃のスキルは威力は高くないけど

厄介ね、また撃ってくる時は注意しましょうっ!」

 

「わかったっ!」

 

「わ、わかりましたっ!」

 

「ジョギーッ!アナタ次、『魔剣乱舞』

撃ってみて!ヤツの弱点が知りたい。」

 

「あ、あぁわかった。

ドルマが弱点なのか?」

 

「さっきの電撃はおそらくデインね、

デインを得意とするヤツは反対の属性が

弱点っていう場合が多いわ。」

 

「そうだな、さすがリザ姉っ!」

 

「よし!じゃあサポートするよ、兄ちゃん!」

 

アタシ達はオフェンス面での作戦を練った。

ピエールの弱点がわかれば戦いを有利に

進められる。

 

「オンステージッ!」

 

ピュアアアアア♪

 

レイファンがアタシ達を鼓舞する舞を舞うっ!

 

「レイファン殿っ!私がお護りしますっ!

不覚を取ってしまった汚名を晴らしたい、

私が戦友の盾でお護りすればサポートスキルが

途切れる事を防げますっ!」

 

コッツはそう叫ぶとレイファンの前に移動し

盾を掲げてガードした。

よし!これでアタシ達に有利な状態が

長く続くっ!

コッツ、危険な役目をよく引き受けてくれた。

ありがとうっ!

 

「ググググ、ブルリア星の冒険王・・・

お、恐るべし!これほどとはっ!

しかし私も引き下がるワケにはいかんっ!

ゆくぞ、ホワイピッ!!」

 

「ピエッ!!」

 

ピエール達が態勢を立て直し反撃してきた。

 

ビュルルルッシャーーーッ!!

 

ホワイピは今度は最初から一直線に

アタシ達に突進してくる。

突進してくるホワイピを踏み台に

ピエールが跳躍して槍撃を放つっ!

相乗効果を得たその一撃はこれまで

よりも威力が高く速度も速いっ!

 

アタシとジョギーは横っ飛びで槍撃を

躱した。

槍撃はレイファンを護っているコッツに

向かったっ!

 

ガキィィィィンッ!

 

槍と盾がぶつかる音が響き渡るっ!

 

「ググググッ!

わ、私はレイファン殿をお護りするんだっ、

これぐらいの攻撃は耐えてみせるっ!

・・・・・えっ!?」

 

「フフッやるな、コッツとやらっ!

私の攻撃に耐えるとはな、驚いたぞ!」

 

ギリギリと槍と盾が交わったままピエールと

コッツが睨み合うっ!

すると懸命に盾でレイファンを護っている

コッツが素っ頓狂な声をこぼした。

 

「だぁっ!」

 

「チッ!」

 

コッツの援護をする為ジョギーが剣を

振り抜くっ!

ピエールは剣を避けようと後ろに跳んだ!

 

「・・・・・え?い、今のピエールと交錯した時・・・

なんだか懐かしい気がした・・・・!

なんなのだ、このカンジ・・・・。」

 

「え、なんだって?コッツ。」

 

コッツはほとんど聞き取れないぐらいの

小声で独り言を呟いた。

すぐそばに居るレイファンでさえも

聞き取れなかったみたい。

 

「あ、いえ、なんでもありません、

レイファン殿。」

 

「あ、そう?大丈夫?

今のピエールの攻撃で深いダメージを

負っちゃったのかと思ったわ。

けど、アナタは私を庇ってる分

ダメージがより深い、回復をしましょう、

ホイミッ!」

 

パァッ!

 

レイファンがコッツに軽めの回復呪文を

施した。

 

「あ、ありがとうございます、レイファン殿!」

 

「うん、頑張ろうっ!」

 

「チィィッ!コイツらっ!

連携や陣形の取り方がスムーズ過ぎるっ!

私の予想以上だっ!

だが我らも負けてはおらんっゆくぞ!

ホワイピッ!!」

 

「ピエッ!!」

 

再びピエールをその背に乗せたホワイピが、

今度はいきなり上方にジャンプしたっ!

 

「もう一度喰らえっ!

『天より降る雷撃』っ!!!」

 

ピエールが先程のスキルを繰り出そうとした。

 

「させるかぁ!!」

 

ギラッ!!

 

ピエールを激しく睨みつけたジョギーが

ピエールのスキルに対しカウンター気味に

撃ち返すっ!!

 

「『魔剣乱舞』っ!!!」

 

ビュオオオオオッ

ガシガシガシガシッ!!!

 

アタシが注文した剣技スキルを

ジョギーが上方に向かって放ったっ!

ピエールのスキルが発動する前に

ジョギーのドルマ剣技スキルが

炸裂したっ!

 

「グワァァァァァ!!」

 

「ピエェェェェ!!」

 

ピエールとホワイピは激しく

後方に吹っ飛び床に打ち付けられた。

ピエールの指がピクピクと

痙攣している。

 

ニヤリ。

睨んだ通りドルマが弱点らしい。

ピエール達は痙攣したまま立ち上がらない。

かなり効いたみたい、倒したか!?

 

一瞬、勝利かと思われたが・・・。

 

ムクリ。

ピエールは這々の体で起き上がろうとした。

 

「お、おのれ・・・・ほんの少し・・・い、

痛めつけてやれば・・・・!

おとなしく、私の言うことを・・・・

き、聞くだろうと思っていたがっ!

貴様らっ!!!

そんなに私を本気にさせたいかーーーーっ!!!!」

 

バシューーーッ!!

 

ピエールは起き上がると殺気を強め

全身をオーラで包んだっ!

呼応するようにホワイピも起き上がる。

するとみるみるホワイピが巨大化し

刺々しい鎧が出現しその身を包んだっ!

 

ピエールの纏っている鎧もより歪な

突起がいくつも出現し恐ろしい意匠に

変化したっ!

 

なるほど、ここからが本気、

レッドゾーンってわけね。

 

「もう容赦せんっ!

殺しはしまいと力をセーブしていたがっ!

ここまで私を追い詰めたからには

死んでもらうっ!!」

 

クッ!さっきまでとは全然lvが違う

オーラッ!

 

アタシ達も仕切り直さなくてはっ!

じゃないと殺されてしまうっ!!

 

「覚悟しろっ冒険王達っ!!」

 

イカツイ姿になったピエール達が

突進してきたっ!!!




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
宇宙政府と星屑魔法団の接触を阻止すべく
奮闘するが上級執行官ドアヌの軍勢の
返り討ちに遭い彼女以外の隊員は
全員捕虜となってしまった。
その後、アタシ達と行動を共にし
離脱したボロンの代わりにオリオリの
護衛を務める。
どうやらアタシに憧れを抱いてる模様\(//∇//)\

・ピエール
打倒宇宙政府ではなく、内政変革により
平和的解決で宇宙平和を志す男。
あくまで打倒政府を願うオリオリとは
対極に位置する思想と言っていいわね。
宇宙政府の幹部級の魔物達が
軒並みアタシ達に倒され、とうとう自ら
アタシ達を倒そうと立ち上がる。

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