魔道士リザの冒険譚(星のドラゴンクエストStory冒険日誌)   作:ジョギー

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アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



エピソード16.「幕切れはあらぬ方向へ」

ズバババババッ!!!

 

ピエールが真っ赤なオーラを発したっ!

燃えたぎる怒りのオーラ!?

 

「ゆくぞっホワイピッ!!」

 

「ピエッ!」

 

ピエールは跳躍し白い相棒の背なに

着座する。

これはっ!

かなり強烈なスキル、キラースキルを撃つ

つもりね!

 

「レイファンッ!バフ行動っ!」

 

「わかった姉ちゃんっ!」

 

アタシはレイファンに守備力上昇を

施すよう短く指示を飛ばしたっ!

 

「我らに天空城の城壁の如き

防壁を与え給うっ!スクルトッ!!」

 

「聖王の舞っ!!」

 

ギュイイイイン!

 

守備力を上昇させる呪文とスキルが

同時に発動したっ!

物理ダメージを大幅に抑えられるっ!

 

「・・・私がこの技を使うとはなっ!

死んでもしらんぞっ!!」

 

ピエールがそう言うとホワイピが

一度ググっとかがみ込み、

そして上空高くジャンプしたっ!

 

「喰らえっ『ピエール彗星』ーーーーっ!!」

 

白い騎士を乗せた白いスライムが

赤いオーラを発散させながら

急降下してくるっ!

さながら彗星のようにっ!!

 

ヒュイイイイイン・・・

ガァァァァァァァァ!!!

 

「グググッ!!」

 

「キャアアアアアアアッ!!!」

 

頭上から急降下して体当たりしてくる

強力なボディアタックッ!!!

さっきの電撃のスキルとは比べ物に

ならない威力っ!!

真っ赤な彗星と化したピエール達が

激しい勢いで激突し床から真っ赤な

岩の塊のようなものが無数に隆起したっ!

凄まじい衝撃でアタシ達は吹っ飛んだ。

 

ただ。

バフを重ねて施していたので

なんとかアタシ達は持ちこたえることが

できた!

傷はそこまで深くない。

けどまたしてもコッツがっ!

 

「姉ちゃんっ!またコッツがっ!!

気絶してしまったっ!!!」

 

アタシ達姉弟は全員意識は保ってるけど

コッツは耐性が低いのか、

またしても休み状態に陥ってしまった!

 

「クッ!まずは傷の手当をっ!

我が友人の傷を癒やし給う、

ベホイムッ!!」

 

パァァァァ!

 

強い緑色の光りがコッツを包む。

アタシは回復呪文をコッツに施した。

 

「ス~、ス~。」

 

「姉ちゃん、大丈夫っ!息はあるっ!

死んではいないよ、コッツはっ!」

 

レイファンがコッツの状態を確かめる。

よかった、気絶してるだけみたいね、

けどレイファンを庇っている分、

コッツは他の者よりダメージが大きい!

強めの回復をしておくほうがベター。

 

「な、な、な、何だとぉ!?

わ、私の渾身のスキルを喰らっていながら

コイツら生きている!!??」

 

ピエールの自身最高の技を繰り出したんだろう。

しかしアタシ達はそれに耐えた。

その事実が信じられない様子。

 

ゆら~~~~。

 

アタシはゆっくりとピエールの方に

向き直りピエールに近づいていく。

 

「クッ!コイツら不死身かっ!

ホワイピッ!」

 

「ピエッ!」

 

ピエールが跳躍しホワイピから離れる。

するとホワイピはなんとっ!

無数の小さなスライムに分身し、

そいつらがボディアタックをしてきたっ!

 

「喰らえ『拡散する白き騎士』っ!」

 

ドドドドドッ!

 

無数の白きスライム達が襲いかかるっ!

けど守備力が上昇しているアタシ達には

ほとんどダメージを与えられない。

 

攻撃を終えると分身していた小さきスライム達が

集まり元のホワイピの姿に戻る。

 

ブゥンッ!

 

ジョギーが剣で反撃するっ!

ピエールも槍で応戦するっ!

 

しばらく剣と槍の応酬が続いた。

その間、気を失っているコッツは・・・。

夢を見ていたらしいの。

 

*****************************************************

 

「やぁっ!」

 

ガシィッ!!

 

「やっ!やっ!やぁ!!」

 

ガシガシッ!!

 

「ホラァ!もっと鋭く突くんだ!

そんなノロマな拳じゃ敵に当たらないぞっ!」

 

「は、はいっ!

でやあああああっ!!」

 

ヒョイッ

 

「わぁ~っとっとっとっ!」

 

「バ~カッ!

ノロマだって言ってるのに

そんなに大きく振りかぶったら

避けてくださいって言ってるようなもんだぞ?

空振りしたスキに後ろから斬られたら

死んでるぞ、コッツッ!」

 

「はぁはぁはぁっ!くぅ!」

 

「見ろ、無駄な動きが多いから

そうやってすぐに息が切れるんだ。

よし、次はディフェンスだ。

オレから攻撃する、避けるなりガードするなり

好きにやってみなっ!」

 

「はぁはぁっわかりましたボロンッ!」

 

「ゆくぞっ!」

 

その夢は・・・。

当然アタシには見えないんだけど。

コッツとボロンの修行風景だった。

 

ブンッ!

 

「グッ!」

 

ブンッ!ブウンッ!!

 

「グッ!!」

 

ブンブンブンッ!!!

 

「ダァッ!!」

 

「フフン、相変わらず盾の使い方は

上手いな!

これはどうだっ?セイッ!!」

 

ズシャッ!!

ガキィィン!!

 

「ググググッ!!

アァァァァ!!!」

 

ガラガラガラーーー!

 

盾を器用に使いこなしボロンの

攻撃を捌いていたコッツ。

けど最後にボロンが強めの一撃を

繰り出すと、その威力にこらえきれず

盾が弾かれてしまった。

 

「ハァハァハァッ!」

 

「・・・・フフ、最後の一撃は

力で押し切られたな、

まだまだ修行が必要だぞ?

コッツ!」

 

「ハァハァハァッ、

おっお稽古あ、ありがとうございましたっ!

ボロンッ!」

 

「あぁ、しかしお前は修行次第では

良い守護騎士になれそうだ、

オレの剣撃をあそこまで盾で

弾けるんだからなっ!

あの受け流す動作はなかなか見込み

あると思うぜっ!」

 

「ホントッ!?

ボロンに褒められたら本気で

私嬉しいっ!」

 

「ああ。ただしっ!

オレは全力は出してないからなっ!

その分を差し引いて、ますます精進

することだな。

もっと基礎体力を上げるトレーニングを

やりな。そうすれば今日の最後の一撃

だって耐えられるようになるさ。」

 

「はいっ!

アドバイスありがとうっ!」

 

ダメ出しをされながらも

良かった部分も口にしてくれたので

コッツは嬉しそうだった。

 

「オレ達全員が強くなれば・・・。

オリオリの役に立てるんだ、

その事を肝に命じてお互い

精進しようぜっ!」

 

「あ・・・・うん・・・・。

ねぇボロンは・・・・オリオリ様を

護るために修行をしているの?」

 

と思ったのも束の間。

コッツの表情が少し陰る。

 

「は?

当たり前だろ、それが俺たち義勇軍の

使命であり存在意義だ。

宇宙政府に支配された、こんな不公平な

世の中をオレは変えたいんだ。

そしてそれができるのはオリオリだけだと

オレは信じている。

そんなオリオリを護るのが俺たちの

役目だろ?違うか?」

 

「あ、うん、もちろん!

心得てるわっ!!

私もオリオリ様を尊敬しているし、

お護りするためにもっと強くなりたいっ!

けど・・・。」

 

「けど?」

 

「ボ、ボロンがオリオリ様を護るのは・・・

本当に宇宙の平和を取り戻すため

なのかなって。

え、えーとえーと、その、お、幼馴染だから

特別なのかなって、オリオリ様の事。」

 

陰った表情が今後は真っ赤になり、

支離滅裂な質問をボロンにし始めたコッツ。

 

「?

変なことを聞くヤツだ。

まぁ、腐れ縁だからな、オリオリとは。

そういう意味では特別といえば特別だ。」

 

「ふ~ん、そうなんだ・・・。

特別なんだ・・・・。」

 

「だから腐れ縁だって言ってるだろう!」

 

「ん、わかった。

お稽古ありがとうございましたっ!

じゃあ失礼しますっ!!」

 

そうかと思うと急に不機嫌そうな表情になり

キッっと姿勢を正し一礼をして

ボロンの前から走り去ってしまったコッツ。

 

「あぁん?

なんだアイツ・・・最後不貞腐れてなかったか?

ありがとうございましたって態度じゃないよな?」

 

残されたボロンは、よく状況がわからないまま

独り言を呟いていた。

 

そんな・・・・コッツの夢・・・・。

******************************************************************

 

「・・・・ッツ!・・・・・コッツ!・・・・・・

コッツ!!起きてっ!!コッツーーーー!!」

 

「・・・・・あ・・・・・はっ!?」

 

「よかった!やっと目を覚ましたっ!

アナタ、またピエールの技で気絶してたのよっ!」

 

「はっ!?レ、レイファン殿!?

・・・・あ・・・・あぁぁぁぁ!

もっ申し訳ございません、一度ならず

二度までもっ!

皆さんの足を引っ張ってしまいましたっ!

申し訳ございませんっ!!」

 

「ううん!仕方ないわっ!

アナタ、ずーっと私を庇ってくれてるからっ!」

 

「すみませんっ!そ、それで!?

戦いの行方はっ!?リ、リザ殿やジョギー殿は!?」

 

「うん、無事だよっ!

ってか、こっちが優勢に進めてるっ!!」

 

(そ、それにしても・・・。

なぜボロンの夢を見ていたんだろう私・・・。

ボロンとの修行の夢・・・・。

・・・・・・!・・・・・・・・・・・!!っ

あっあの時のっ!

ピエールの攻撃を盾で防いだ時の

あの妙な懐かしさっ!!

そして今しがた見ていたボロンの夢っ!!

まっまさかっ!!

ピエールとはっ!!??)

 

コッツが意識を戻す少し前。

アタシとジョギーはピエールとホワイピ相手に

優勢に戦いを進めていた。

 

「ググググッ!

わっ私が真の姿を見せたというのにっ!!

コイツらに明らかに遅れを取っているだとぉ!?」

 

「そりゃっ!!」

 

ジョギーと応酬を続けていたピエールだったけど

徐々に形勢はジョギーに傾きつつあった。

 

「はぁぁぁっ!!!」

 

バシューーーッ!!!

 

ジョギーが闘気のオーラを発散し

とうとう怒ったっ!!

 

「いくぞっ!ピエールッ!!

『魔剣乱舞っ』!!!」

 

ガシュシュシュシュッ!!!

 

超速の剣技が放たれピエールに

炸裂するっ!!!

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

「ピエェェェェェェ!!!!!」

 

ピエールとホワイピは衝撃で

派手に吹っ飛んだっ!

 

「ガハァァッ!!

凄まじい・・・・威力・・・・・・ゴフッゴフッ!

まっ負けるっ!?こ、この私がっ!

負けるのかっ!??

はっ!!」

 

アタシはトドメを刺すべく杖を掲げていた。

その姿が視界に飛び込んで来たんだろう。

ピエールの敗北を覚悟した表情を

アタシは目にした。

 

「魔の故郷、魔界よりいづる悪霊どもよっ!

黒き霊魔の力で我が敵を滅ぼせっ!

ドルモ・・・・」

 

アタシはドルマ系上級呪文の詠唱を

終えようとしていた。

呪文の名を読み終えると、その黒い

エネルギーの塊がピエールに向かって

飛んでいき戦いは終わる・・・はずだった。

 

「ドルモー・・・・・・キャッ!?」

 

呪文の詠唱が終わるか終わらないかの刹那、

杖を掲げている右腕を掴まれる感覚が

アタシを襲った。

 

「ドルモーアッ!!」

 

右腕が何者かに引き下げられつつも

アタシは呪文の詠唱を終えたっ!

黒いエネルギー弾が発生し飛翔を

始めた。

が、腕を動かされたので狙いが

定まらなかったの。

 

ギュイイイイ、ブシャアアアアアッ!!!

 

ドルモーアのエネルギー弾が炸裂した。

ただし、蹲っているピエールの

すぐ近くに・・・・・。

ドルモーアは外れたの。

 

ハッと振り返りアタシの右腕を掴んだ

人物を確認すると・・・・。

 

「コ、コッツ!?」

 

「ハァハァハァ、リッリザ殿っ!

申し訳ございません、戦いの邪魔を

してしまって。け、けどっ!

ピエールを倒してはダメですっ!

・・・・・ピエールを倒さないでーーー!!」

 

「・・・・?

どういう事っ!?」

 

「ピッピエールは!ピエールの正体は

・・・・おそらくっ!」

 

「えっ?正体?正体って何??

正体って事は・・・誰かがピエールに

化けてるって事?」

 

アタシはコッツがアタシの邪魔をした事

を咎めるよりもピエールの"正体"と

言ったコッツの言葉の真意を探った。

けど、その真意は測りかねる。

 

そして。

苦しそうに呻いているピエールのほうを

見やった。

ピエールの正体・・・?

 

「ハァハァハァ、どうやら私の負けの・・・

ようだな。

おっ恐るべしブルリア星の冒険王・・・!

きっ貴様らの事はよぉく・・・

ずーっとそばで見てきたゆえ・・・

よぉく知っているつもりだったが・・・・。」

 

え!?

今なんて言ったのピエール、

ずっとそばで・・・・?

 

「お前たちの事をわかっていた

"つもり"に過ぎんかったというワケか。

そして・・・・私はコッツに命を救われた

・・・というワケだな。」

 

「そっそうよピエールッ!

リザ殿達はっ!

私や・・・アナタでも計り知れないほどの

強さを持っているのっ!

私はその強さの根源を知っているもの。

だからもう・・・抵抗はやめて。」

 

何をワケのわからない事を言っている?

コッツにはコイツの言っている事が

わかってるというの?

 

「フフフフ・・・・あっイツツ・・・!

そうか、わかった!

このピエール、潔く負けを認めよう!

あるいは・・・この仮面が邪魔だった

かもしれんな。」

 

コッツとピエールだけの世界で進んでいた

会話が終わると、これまた2人だけが

納得し終わったみたい。

 

アタシは全く何の事かわからない事だらけだった。

けど・・・次の瞬間、その訳のわからない事の

訳が明かされる。

 

コッツとの会話で何かを悟ったピエールは

自らの仮面に手をやり脱ぎ始めた。

その仮面の下から現れた人物の顔、

それを見て、ピエール本人とコッツを除く

その場に居る全員が言葉を失った。

 

「・・・・ボロン?・・・・

モガーーーー!!ボロンじゃないかっ!!

な、な、なんでボロンがここに居るんだよぉ!?

って、って、ってかピエールがボロン!!!???」

 

物陰に隠れていたモガ丸が・・・・

しばしの静寂の後に叫ぶ。

 

・・・・・えっ?????

ボロンッ!!!???

 

月並みな言い方だけど・・・・

アタシは頭の中が真っ白になった。

 

ピエールの仮面の下からボロンが

現れた。

オリオリの幼馴染、義勇軍の親衛隊長、

アタシ達の仲間っ!!!

ピエールの正体はボロンだった!!!???

 

激闘を終えた聖堂内に静寂が

横たわっていた。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
宇宙政府と星屑魔法団の接触を阻止すべく
奮闘するが上級執行官ドアヌの軍勢の
返り討ちに遭い彼女以外の隊員は
全員捕虜となってしまった。
その後、アタシ達と行動を共にし
離脱したボロンの代わりにオリオリの
護衛を務める。
どうやらアタシに憧れを抱いてる模様\(//∇//)\

・ピエール
打倒宇宙政府ではなく、内政変革により
平和的解決で宇宙平和を志す男。
あくまで打倒政府を願うオリオリとは
対極に位置する思想と言っていいわね。
宇宙政府の幹部級の魔物達が
軒並みアタシ達に倒され、とうとう自ら
アタシ達を倒そうと立ち上がる。

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