魔道士リザの冒険譚(星のドラゴンクエストStory冒険日誌)   作:ジョギー

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アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



エピソード18.「惑星クラウドの魔星王」

これはっ!青雲のオーブッ!!!

このオーブにメッセージを

込められるのはっ!?

 

「あぁ、この珠にはおそらくセアドの

メッセージが込められている。

そしてそれを聞くことができるのも

・・・。」

 

「私しかいませんね。」

 

そうっ!

宇宙王の末裔であるオリオリしか

この珠に封じ込まれたメッセージを

開放することができないんだっけ!

 

「このオーブのメッセージを

開封する前にっ!

もう1つ伝えておくことがある。

オリオリ、コッツ、リザ達・・・・

勘違いしないでくれ、

政府を内側から変える内政変革計画・・・

それは何もオレ1人の独断ではないんだ。

この計画はセアドの考えでもあるんだっ!」

 

えっ!?

オリオリの旦那様がっ!?

他でもないオリオリの一番信頼している

人がオリオリの考えと真逆だというのっ!?

 

「そ、そんなバカなっ!

デタラメを言いなさいっ!

まさかセアドまでもが私の考えに反する

というのですかっ!?」

 

「だから言っているだろうっ!

オレもセアドもっ!

オリオリを否定してるんじゃないっ!!

その身を案じてるからこそ、

平和的解決を模索しているんだ。

なぜそれがわからない、オリオリッ!」

 

そ、そんな・・・・

宇宙政府を打倒するというのは

それほどに間違った考えなの!?

オリオリの旦那様の名前を

出されてはさすがにアタシも動揺の色が

隠せない!

 

「リザ、お前だってそうだ、

お前はいっとき、義勇軍の活動に疑問を

感じていなかったか!?

オレは気付いていたぜ、タァコ王との

謁見からこっち、お前はどこか上の空で

冒険をしていた。

オレがピエールとしてタァコ王に説いた

考えにっ!

お前は少なからず同調して

いたんじゃないのかっ!?」

 

うっ!!まさかっ!!

そ、そうか!!

ピエールがボロンだったならっ!

あの時行動を共にしていたならっ!!

あの頃のアタシの迷いを

見抜かれていたとしても

不思議じゃあないっ!

 

けど・・・そうだとしても・・・!

今のアタシは・・・・!

 

「確かに・・・

アタシはピエール、つまりアンタの

考えをタァコ王から聞き義勇軍の活動が

正しいのかどうか、いっとき迷っていたわ。」

 

「リッリザさんっ!

それは口にしてはならないという

約束っ!!」

 

「モガッ!!ほ、本当かリザッ!

お前までボロン、いやピエールの考えに

同調してたっていうのかっ!?

お前はオイラ達の冒険王なんだぞ!!」

 

「ピピィ!!」

 

「隠しててごめんなさい、モガ丸、スラッピ。

そして約束を破ってごめんなさい、オリオリ。

けど心配しないで、あの頃の迷いはもう

とうの昔に吹っ切れたの。

ほかでもない、アタシ達のリーダー、オリオリの

おかげでね。」

 

「ほ、本当か、リザ・・・。」

 

「うん、オリオリのリーダーとしての

器の大きさ、宇宙の指導者たるべきカリスマ性、

それらがアタシのちっぽけな迷いを

吹き飛ばしてくれたの。

それどころかオリオリは・・・・

冒険王姉弟のリーダーとしてのアタシの立場を

考えて、この一件を伏せておくよう

取り計らってくれた。

だからモガ丸や姉弟には内緒だったの・・・

ごめんなさいね。」

 

「モガ〜そうだったのか~・・・・

安心したぞ、リザッ!」

 

「うん、ゴメン、ジョギーとレイファンも

ごめんね。

姉ちゃんのアタシが迷ってたなんて

聞いたらアンタ達にも悪影響を

与えちゃうでしょ?」

 

「へへ、オレはなんとなく気付いてたけどね、

リザ姉の様子がおかしいの。」

 

「うん、私もっ!」

 

「えっ!アンタ達、気付いてたのっ!?」

 

「俺たち姉弟だぜ、リザ姉がいつもと

違うのぐらい、すぐわかるよ。」

 

「へへ、私も~。」

 

そうだったの・・・さすが姉弟・・・

隠し事はできないわね。

 

「それは当然、今は吹っ切れてるってのも

わかるって事さ。」

 

「ジョギー・・・・。」

 

「モガッ!ジョギーやレイファンが

そう言うなら心配いらないなっ!

さすがお前らは3人で1人の冒険王だなっ!」

 

そう、だからボロンッ!

今のアタシはあの時とは違うっ!

もう義勇軍の活動には一片の疑いも

抱いていないわっ!!

 

「フフン、しかしいっときでも、

冒険王たるお前を惑わせるぐらいの

価値はあるわけだ、内政変革の話は。

さて、御託はそれぐらいにして・・・・

さぁオリオリッ!

オーブのメッセージを開放してみろっ!

セアド自身からっ!

オリオリも内政変革に協力するように、

という説得だろうっ!

心して聞くがいいっ!!」

 

ゴクリ。

そ、そんな・・・・。

もしもそうだったとしたら。

オリオリは・・・耐えられるのだろうか。

気が触れてしまわないだろうか。

幼馴染にも愛する旦那様にも

己の生き方を否定されて

しまうのだから・・・。

 

「・・・・

う、宇宙王の血のもとにおいて命じます

・・・・青雲のオーブよ・・・・・。」

 

オリオリ・・・・

あんなに知りたがっていた旦那様の

メッセージが・・・・

今は知ってしまうのが

こんなに怖いだなんて・・・・!

 

「どうした、愛する夫のメッセージだぞ、

そんなに怖いのかっ!!??」

 

「わ、私はセアドを信じますっ!!

・・・・せ、青雲のオーブよっ!!

刻まれし言葉を今此処にっ!

解き放てっ!!!」

 

意を決してオリオリがオーブ開放の

呪文を詠み上げるっ!

 

シュ~~~~

シュパーーーーーーーンッ!!

 

青雲の塔の時と同じように。

碧い宝玉からまばゆい光が発せられ、

辺り一面を照らす。

目を開けてられないほどの眩しさっ!

 

やがて光が弱まり、碧い髪の物憂げな

表情をした青年のビジョンが

映し出された。

 

オリオリの夫、そして星屑魔法団団長、

セアドの幻影。

 

ようやく・・・・!

渦中の人物の心の内を知ることができる。

残念ながら”置き手紙”ではあったけど・・・。

 

『この言葉を聞ける者それは・・・・。

愛する妻オリオリだけ。

オリオリよ、聞いてほしい、

この私の心変わりの理由を・・・・。

そして星屑魔法団が秘術を使い誕生させた

・・・・新しき魔星王・・・・。

惑星そのものとなった魔星王・・・・。

その意味と正体について語ろう。』

 

他の誰でもない、本人から語られる真実。

やっぱり重みが違うっ!

他人であるアタシでさえも自然と

背筋が伸びる厳粛な空気が漂い始めた。

 

『そもそも宇宙の星々はコアと呼ばれる

心臓部を持っている。

コアが存在するからこそ星は生き

あらゆる生命体の生命活動が

維持されている。

つまり・・・・それほどに星の心臓部、

コアは!

絶大なチカラを秘めているんだ。

・・・・新たな魔星王を生み出すには

星屑魔法団だけが使える秘術と・・・・

そのコアが必要なのだ。』

 

コアッ!

星の心臓部っ!

なるほど、魔星王のような強大な存在は

星そのもののチカラを要するってワケね。

ゆえに”魔星王”と呼ばれるのかしら。

 

『ただし、従来は・・・

星のコアというものは地底の奥底・・・・

その星の中心部に眠っており

・・・・なんびとたりとも触れることが

できないんだ・・・・しかしっ!

ここ惑星クラウドのコアはっ!

事情が違った。

宇宙政府の調査により我々が触れることの

できる場所、手が届く範囲の場所にコアが

眠っていることが判明した。

そこで私は、その場所を知るために

宇宙政府に協力するフリをした。』

 

「っ!!フリッ?

協力するフリだとっ!?」

 

「・・・・!あぁっセアドッ!

やっぱりっ!!

アナタを信じていたわっ!!」

 

『オリオリよ、安心してほしい。

私が宇宙政府に寝返ったのは・・・・。

奴等を騙すためだ。』

 

セアドさんっ!!

・・・・よかった・・・・・!

オ、オリオリが悲しむような結果に

ならなくてっ!!

逆に憤懣やるかたない様子へと

急変したのはボロン。

届くはずのない怒りを魔法団団長へと

向け始めた。

 

「・・・・・っ!なんだとぉぉぉ!

セアドォォォ・・・・!」

 

『私達星屑魔法団は宇宙政府に寝返った

フリをして・・・・

コアが眠る場所を聞き出し秘術によって

惑星クラウドのコアを魔星王の命に代えた。

惑星そのものが新たな魔星王として

誕生したのだ。

ここまでは・・・・政府の計画通りだ、

しかしこれ以降は・・・私達星屑魔法団の・・・

いわばクーデターとなるんだっ!

オリオリよ・・・・君は思うだろう、

クーデターとはなんなのか、

魔星王を誕生させる事がどうしてクーデターに

繋がるのか、と。

それは・・・・・魔星王を味方にするんだ。』

 

「えっ!?

魔星王が味方にっ!?」

 

な、な、なんですってっ????

魔星王を味方にっ!!!???

 

アタシは・・・・思いもよらないセアドの

考えに言葉を失ったっ!

 

『クラウドのコアが眠っている場所には

今は魔星王が眠っている。

聞いてくれオリオリッ!

誕生したばかりの魔星王ならばっ!

邪心を持ってしまう前の段階ならばっ!

魔星王を味方にすることができるはずだ。

魔星王を手なづけてほしい。

さすれば宇宙政府を倒す心強い味方となる。

義勇軍のレジスタンス活動が実り、

クーデターは夢ではなく現実のものとなるっ!』

 

「ふ、ふざけるなっ!」

 

ボロンの怒りはさらに膨らんでいく。

 

『愛するオリオリよ。

魔星王を味方にするため・・・・

今すぐに魔星王が眠る場所へ

急いで向かってもらいたい

その場所は・・・・。』

 

「ふざけるなっ!セアドッ!

オレを騙したなっ!」

 

ガキィィィィンッ!!!

 

「モガーーーー!!

ボ、ボロンがっ!

青雲のオーブを破壊してしまったぞー!!」

 

なんとボロンがっ!

セアドが魔星王の眠る場所を語る寸前でっ!!

青雲のオーブを、その拳で叩き割ってしまったっ!

こ、これではっ!

魔星王が何処に眠っているかわからないっ!!!

 

「おのれ~~~~セアドッ!

このオレを騙しやがったなっ!!」

 

「ボロン・・・・・!」

 

「オリオリを共に護るため、

宇宙の平和を取り返すために宇宙政府の

内政変革を志す・・・・

その同志だと信じていたのにっ!!

結局は打倒政府の意志を秘めていたとはっ!

お前も所詮その程度の男だったかっ!!!

バカめっ!!」

 

「ボロン~~~~・・・・

ア、アナタ・・・・なぜそこまで・・・・・・。

なぜそこまで打倒政府を否定するのっ!?

なぜそんなに私達の考えを

否定するのよぉっ!!!」

 

・・・・憑かれている。

アタシはそう感じた。

ボロンはもう、自身の考えの是非を問う、

自身を客観視する了見を失っている。

何かに取り憑かれたように。

それはやはり!

宇宙政府に入閣してしまったからだ。

例え片足でも踏み入れてしまえば・・・・

そのドス黒いチカラに飲み込まれて

しまうんだ・・・・。

アタシはそう感じた。

 

「セアドめ・・・・

さては魔星王を政府側に奪われない為に

コアの在る場所へ向かったのだな、

打倒政府を画策していたからこそ

オレの指示を無視してここに

留まらなかったんだな!

まんまとオレは出し抜かれたワケだ。

・・・・クックック・・・・

そうか、そういうワケだったか。」

 

怒りの表情を見せていたボロンがやがて

・・・・何やら企みを持ったヒドイ笑みを

浮かべた表情に変わっていく。

 

「セアドと星屑魔法団の裏切り・・・。

政府に報告せなばな。

オレがどれほどの思いで・・・政府にっ!

仲間を裏切るという誹りを受けるのを

覚悟して政府に潜入したと思ってるんだっ!

好き好んで義勇軍を離れたワケじゃない、

それがオリオリの身を護る最善の策だと

信じたからだ。

セアドも同じ考えだと言っていたのにっ!!

オリオリの身を案じる気持ちはこのオレと

同じぐらい大きいと思っていたからこそっ!

セアドならオリオリを幸せにできると

信じているからこそ・・・・

オレも未練など・・・。」

 

ボロンはそこまで言うと言葉を

詰まらせてしまった。

オリオリへの想いが溢れそうなのを

必死に堪えている・・・

そんなカンジだった。

 

「セアドだからこそっ!

オレはオリオリの事を諦められたのにっ!

そんなオレの想いすら踏みにじるのかーーー!!

セアドッ!!」

 

堪えきれずボロンは絶叫した。

 

「・・・・さらばだお前達。

情勢が変わった、オレも予定を変更せざるを

得んようになってしまったようだ。

ここは一旦退かせてもらうぜ!」

 

「ボロンッ!!」

 

ルーラで飛び立とうとしていたボロンを

アタシは呼び止めた。

 

「やっぱり・・・・ピエールとして動くの?

魔法団や・・・その・・・・新しい魔星王も

義勇軍側ってことが判明したのよ、

それでもアンタはまだ・・・・アタシ達の元に、

オリオリの元に帰るという選択肢はないの?」

 

セアドのメッセージが語られ情勢は

かなり変わりつつあることがわかった。

除名処分が下った直後ではあるけれど・・・

アタシはピエールではなく・・・

義勇軍のボロンとしての意志は戻らないのか、

という問いをボロンにぶつけた。

 

「・・・・リザ・・・・言っただろう、

お前達が意志を変えないようにオレもまた

ピエールとしての意志は変わらないっ!

それに・・・。」

 

ボロンはチラリとオリオリを一瞥した。

 

「惨めすぎるよ・・・もうオリオリの元へは

戻れない・・・・・。

・・・・・お前達・・・・

ブルリア星の冒険王よっ!

正直に言おう、オレはお前らを

見縊り過ぎていた。

オリオリがお前らに助っ人を申し入れると

言い出した時も・・・内心、良い思いを

してはいなかったよ、どうせ大した実力では

ないだろう、と。

無駄足だぜオリオリ、と。」

 

ボロンが・・・アタシ達姉弟への本音を晒し始めた。

 

「しかし・・・!

お前らは噂に違わぬ・・・いや、それ以上に!

めちゃくちゃ強かった!

まさか、ここまで強いとはな、

1人1人もそうだが、姉弟3人揃った時の強さは

まさに無敵だと思ったよ。

だが・・・その強さが・・・ピエールとしての

オレには実に邪魔だった。」

 

じゃ、邪魔っ!!??

邪魔ってどういうことよっ!

 

「負けたオレが言うのもなんだが・・・

これほど強いお前達でも・・・

宇宙政府という組織を覆すには

至らんだろう。

当然だ、政府の規模は全宇宙規模

なんだからな。

しかし、なまじ上級執行官クラスの魔物を

次々と倒すお前らがそばにいるせいで・・・

オリオリの打倒政府のモチベーションは

大きくなるばかりだったろう。

オリオリの説得を目指すオレには

邪魔以外の何者でもなかった。」

 

・・・アタシは・・・

アタシ達姉弟がいれば

宇宙政府そのものを倒せるだなんて、

そんな過信を持っているつもりは

毛頭ないけど・・・アタシ達を筆頭に

粘り強く政府に反抗すれば・・・

同志が増えていき、いずれ道は

拓けると信じていた。

 

それをボロ・・・いえ、ピエールに

否定され・・・思わず黙ってしまった。

アタシ達は中途半端だと・・・。

 

「ゆえにオレ自身の手でお前らを止め、

オリオリから引き離せば・・・

オリオリと共に政府改革を始められる

はずだったんだがな・・・・。

フッ、完敗だったぜ。

・・・今回は負けを認めるがが・・・

オレもこのままでは終わらないっ!

次に会う時までにオレもさらに精進するっ!

次は必ずオレが勝つっ!!

じゃあなっ!強き冒険王達よっ!

オレ以外のヤツに負けるなよっ!

ルーラッ!!」

 

ビュ~~~ン、ビュ~~~~ン!!

 

ボロン・・・・いえ、ピエールがルーラで

立ち去ってしまった。

聖堂には・・・アタシ達と・・・・

粉々に砕かれた碧い宝玉だけが残った。

 

「・・・・・クゥゥゥ・・・・・

ボロン・・・・・

あぁ、なんで・・・なんでよぉおぉボロン!

なぜアナタがピエールなのよぉぉぉぉ!!」

 

気丈に振る舞っていたオリオリだけど。

やっぱり突然起こってしまった出来事に、

心が耐えきれないのだろう。

再び崩れ落ちてしまった。

 

それはアタシも同じ。

付き合いが短い分、オリオリほどの落胆は

ないにしても、義勇軍のメンバーが

憎むべき宇宙政府に寝返るという事実を

受け入れ難い。

 

そして。

オリオリの最も信頼していたボロンでさえも

あのように、取り憑かれたように

宇宙政府の為に活動しようとする・・・・

たとえそこにオリオリの生命を護るという

志があったとしても、だ。

 

それほど人々の心を狂わせてしまう

宇宙政府に改めてアタシは戦慄してしまった。

 

けど悪いことばかりじゃない。

オリオリの信頼するもう1人の人物、

オリオリの夫セアドがっ!

オリオリと同じ志を持っていたという事が

わかっただけでも、アタシ達義勇軍の、

オリオリの心の救いだ。

その手段がかなり奇抜というか、

アタシでも想像できないような方法だったけど。

 

魔星王を手懐ける・・・・かぁ・・・・。

本当にそんな大それた事ができるんだろうか。

 

・・・・そうね、やってみないと

わからないわね、

そうっ!まずはその眠っているという

新しい魔星王・・・・それをこの目で

確かめなければ何もわからないわっ!

 

そう、結局!

その場所へ行ってみないと何もわからない。

振り出しに戻ってしまった。

けどゴールはっ!

少しかもしれないけど希望のあるもの

だってわかったんじゃないかしら。

そうよ、オリオリ!

落ち込んでる暇はないっ!

ボロンのせいでわからなくなって

しまったけど、魔星王の眠る場所へ一刻も

早く向かわなければっ!

そこにアナタの愛するセアドもいるかも

しれないしっ!

 

「リザさん・・・・そ、そうですねっ!

魔星王が我々の味方になれば確かにっ!

打倒宇宙政府に大きく前進できるでしょう。

よし、急ぎ魔星王の眠る場所へ

向かいましょうっ!」

 

オリオリ、よかった、気持ちを切り替えられた

・・・ワケではないでしょうけど

とりあえず前を向いてくれた!

 

「しかしオリオリ様・・・・その場所とは

何処なんでしょう、

情報が全くないこの状況では・・・・。」

 

コッツ、アナタもボロンのことできっと

ツライでしょう・・・・。

けどここは義勇軍の大義の為に

踏ん張ろう、ね。

 

「・・・・・そうだっ!オリオリ様っ!

マレドー殿ですっ!

元上級執行官の彼なら何かご承知かもしれません、

そもそも魔星王誕生計画のリーク元は

彼だったのでしょう!?」

 

「モガッ!コッツッ!ナイス閃きだぞ!」

 

「ピピー!」

 

そうか、そうだった、っていうか今はもう

マレドーが情報を持っているかもしれないって

事に賭けるしかないわね!

よし、急ぎバァジ島の秘密基地に戻ろう!

 

青雲のオーブに込められたセアドからの

メッセージ。

それはこの星を根底から揺さぶる、

とてもとても大きな事実が込められていた。

 

『魔星王を味方に』

 

ブルリア星で戦った魔星王ドスラーデス。

あの魔物の印象が強烈に残っている

アタシ達では到底思いつかなかった発想。

 

それをオリオリの夫、セアドは持っていた。

やっぱりっ!

宇宙王の末裔と結婚するだけの、

大きなスケールの持ち主だった。

 

ボロンの事、魔星王の事、

ここ大聖堂に来る前と後では、

アタシ達を取り巻く状況がまるで変わって

しまったけれど・・・今は一刻も早く

惑星クラウドのコア、つまり新しい魔星王が

眠る場所へ向かわなければいけない。

 

色々な感傷に浸る間もなく、大聖堂を

後にし、モガ丸のルーラでアタシ達は

義勇軍の秘密基地で保護されている

元上級執行官マレドーの元へ向かったっ!




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
宇宙政府と星屑魔法団の接触を阻止すべく
奮闘するが上級執行官ドアヌの軍勢の
返り討ちに遭い彼女以外の隊員は
全員捕虜となってしまった。
その後、アタシ達と行動を共にし
離脱したボロンの代わりにオリオリの
護衛を務める。
どうやらアタシに憧れを抱いてる模様\(//∇//)\

・ピエール(ボロン)
宇宙政府の恐怖政治を正す為、
政府に潜入し内政変革を志す男。
その正体は・・・なんと義勇軍親衛隊隊長、
オリオリの幼馴染ボロンだった。
ボロンは密かにオリオリに想いを寄せ、
彼女の生命の安全を最優先し
打倒政府を目指すオリオリを内政変革へと
変更するよう説得し続けていた、
という本音が本人の口から語られた。
この事実を受けオリオリはボロンに
除籍処分を言い渡し決別宣言をしてしまう。

・セアド
星屑魔法団団長、そしてオリオリの夫。
彼が率いる星屑魔法団が政府に寝返ったのは
実はフェイクだった。
彼は誕生させた新たな魔星王を味方にし、
打倒宇宙政府の切り札に使おうと
画策していたの。
政府に協力したのは魔星王誕生に必要な
星の心臓部“コア”の場所を聞き出す
為だったわけ。

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