魔道士リザの冒険譚(星のドラゴンクエストStory冒険日誌)   作:ジョギー

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アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。




エピソード4.「この島に秘密基地を置くのはもう潮時かもしれねぇな」

レジィトの街から西に向かう。

島の中心に位置する大きな岩の山地が

遠くに見える。

時折襲いかかってくる魔物達を片付けながら

岩の山地をひたすら目指す。

 

やがて、岩山がアタシの視界に収まり切らない

ようになってきた。

かなり麓に近づいたんだろう。

けど気になる。

この方角の先にミィツの祠、つまり秘密基地が

あるのでしょう?

魔物に遭遇する回数が減らない、

むしろ増えてる。

 

秘密基地のはずなのに、そこにほど近い

この場所で魔物がうろついてるなんて。

これは、その祠にも魔物が巣食ってると

考える方が自然だわ。

 

ボロンはちょっと前から口数が減ってる。

っていうかもうほとんど無口。

おそらく、アタシと同じ事を考えてるんだろう。

イヤな予感がする。

 

アタシ達はしぜん、早足になっていた。

胸騒ぎがそうさせる。

 

すると、古い石造りの小さなお堂らしき

建物が見えてきた。

 

「着いたぜ、ここがミィツの祠だ。」

 

ボロンが目的地の名を告げた。

この古ぼけた祠が秘密基地・・・!

確かに、路傍に宿る地母神しか祀られて

いないような小さな祠。

こんな場所に、まさか義勇軍の基地が

あるだなんて誰も思わないだろう。

 

けど、その感覚は一般人からすれば、

とも言えなくない。

隠れる者を探そうとする者からすれば

「こんな場所こそ、いかにも隠れてる」という

印象を与えはしないだろうか。

 

「ボロン、もう気づいてるかも

しれないけど、ここには・・・。」

 

「あぁ、どうやら魔物がいるみたいだな、

クソ!宇宙政府のヤツら嗅ぎつけやがった

のか!?」

 

アタシは道中から感じていた事をボロンに

伝えた。

やっぱりイヤな予感は的中してしまった。

 

「モガー!

とにかく魔物をやっつけないとな。

リザ達、頼むぞー!!」

 

そうね、まずは魔物を掃除しなきゃ!

アタシ達は装備の確認をして祠の中へ

踏み込んだ。

中にはやっぱり魔物がいた。

けどアタシ達の敵ではない。

祠の中は地下空間になっていてアタシ達は

最下層まで進み、最後の魔物を倒した。

 

「んもう!ボロンったら!!

秘密基地に魔物の侵入を許すまで眠ってる

なんて!親衛隊長失格よ!」

 

「まーそう怒るなよ、美人が台無しだぜ?」

 

「私は美人じゃなーい!!茶化すなーーー!」

 

うーむ、このやり取りはお約束なのかしら、

そしてイマイチ深刻さが足りないんじゃ

ないのかしら(^_^;)

 

と、そこへたくさんの足音が近づいてきた。

まさか!?まだ魔物がいたの!?

 

「義勇軍一番隊長ドゥエイン!

助太刀いたすーーーー!!」

 

「遅ぇよ、ドゥエイン。」

 

「魔物達はリザさん達が倒してくれましたよ。」

 

「お?おぉぉぉぉぉ!

これは失礼いたしました、しかし

冒険王殿の強さはホンモノなのですね!」

 

「あぁリザ達の強さにはこのオレ様も

ホンットに惚れ惚れするぜ!」

 

足音の主は、隊長さんと、その隊員達

だったのね。

隊長さんはアタシ達より先にここへ向かった

はずなのに。

アタシ達追い抜いちゃったみたいね。

 

「隊員達にも冒険王殿のことは

伝えております。しかし、この目で

その活躍を拝見したかったですなぁ!」

 

ふふ、また褒められちゃった(・∀・)

ってワケで、これで正式に義勇軍の一員として

認められたのかなぁ。

 

「久しぶりですね、一番隊のみんな。」

 

「は!ご無事でなりよりです、オリオリ様!」

 

やっぱりオリオリってすんごくエライ人なのね、

こんなに美人なの・・・ってあぁ、

美人って言っちゃいけないんだっけ(^_^;)

 

「一番隊は揃っているようですが

二番隊の姿が見えませんね?」

 

「それがオリオリ様、レジィトの街で

隊員達を招集していたところ、

聞き捨てならない情報が入りまして

・・・」

 

「聞き捨てならない!?

どういう情報です?」

 

隊長さんが語った情報の内容は、

確かにとても重大な内容だった。

事のいきさつを知らないアタシ達でも

十分そう感じた。

 

「宇宙政府の上級執行官が政府を裏切り、

我らに寝返るというのです。

寝返る事の証明として政府の内部機密の

情報を提供する、と。」

 

なんと!!

ドゥエインはさらに続ける。

 

「その者の名はマレドー。

当然ながら宇宙政府は彼に追っ手を

差し向けました。隊員の報告によれば

彼はここより南のチタヌ洞窟に

身を潜めているという事です。

ゆえにマレドーを保護するべく二番隊は

チタヌ洞窟に向かいました。」

 

ええええ~、いきなりスゴイ展開!!!!

上級執行官って言えば、あのラデュラゲや

ディミトリと同格の役人って事でしょ!?

それほど、宇宙政府でも重要なポストに

就く者が組織を裏切るなんて、

一体全体、どういう心境なのかしら!!

 

しかも組織の内部機密を外部に漏らす

だなんて。

上級執行官達と戦ってきたアタシ達からすれば

想像もできない事態に、にわかには

思考が追いつかない。

 

「内部機密!それはありがたい!

是非とも保護しなくては、ねぇボロン、

アナタもそう思うでしょう?」

 

「あぁそうだな、急いで接触しなくては!」

 

え、え、え!?

そうなの?オリオリ。信用しちゃうんだ!?

いいのかな、そんな簡単で。

仮にも上級執行官を務めるようなヤツよ?

一応、裏とか取らなくていいのかな・・・?

 

「しかし洞窟へ向かった二番隊からは

一向に連絡がございません。」

 

「それはいけません!

追っ手の魔物達に捕まってるのかも!

急いでチタヌ洞窟へ援軍を送らねば!!」

 

「ふふ~ん、じゃあリザ達の出番だな?

オリオリ。」

 

「ですね、お願いできますか?

リザさん達。」

 

そうね、事の真偽はこの際後にして

とにかく現場へ向かわねば!

寝返るという上級執行官とも

実際に顔を合わせて見なければ何も

始まらないわ。

 

アタシは二つ返事で洞窟へ向かう意思を

オリオリに伝えるっ!

 

「あぁ、ありがたい!

では引き続きよろしくお願いします!!」

 

事態は急展開だわ!

アタシ達が戦ってきた上級執行官は

どいつも卑劣でそしてとても強い魔物だった。

でも、全宇宙を支配するという宇宙政府。

アタシ達が想像するより巨大な組織に

違いない。

ひょっとすると巨大がゆえに、様々な考えの

持ち主がいるのかもしれない。

執行部の考えに意を反する者がいても

不思議ではないのかもしれない。

 

アタシは、組織を裏切るという、

その上級執行官にとても興味を抱いた。

会ってこの目で確かめたい。

どういう理由で反旗を翻したのか、

義勇軍に寝返る事になった今、

何を思うのか、そして何より信頼するに

値する者なのか、直接この目で確かめたい。

 

オリオリとボロンの先導のもと、

アタシ達はチタヌ洞窟へ向かった。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。

・ボロン
義勇軍親衛隊隊長でありオリオリの幼馴染。
義勇軍の中でもかなりの実力者らしいけど
超の付く怠け者。
そして超の付くスライム愛の持ち主。
スライムに話しかける時だけ
赤ちゃん言葉になる。

・ドゥエイン
頑強な体躯を持つ義勇軍1番隊隊長の男性。
彼もかなりの実力者らしい。

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