魔道士リザの冒険譚(星のドラゴンクエストStory冒険日誌)   作:ジョギー

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アタシは魔道士リザ。
ブルリア星の2代目冒険王姉弟の1人。
かつて全宇宙を平和に治めていた宇宙王。
その末裔であるオリオリは・・・
現在、全宇宙に君臨する邪悪な組織
『宇宙政府』、これに反抗する為
レジスタンスグループ『義勇軍』を率いて
打倒宇宙政府を目指していた。
アタシ達姉弟は義勇軍に参加しオリオリと
共に宇宙政府を打倒する為ここ惑星クラウド
での冒険を続けているの。
さて本日の冒険日誌^_^



エピソード5.「神獣オリハルゴン」

「リ、リザー!

おめえらも離れろ〜!殺されちまうぞー!

早くその、移動呪文で逃げるだ〜!!」

 

ドゼウがアタシ達にも逃げるようにと

叫ぶ。

するとモガ丸がポンッとドゼウの肩に

手をやる。

 

「大丈夫だ、リザ達はオリハルゴンに

やられたりしないぞ、まぁ、見とけ。」

 

「えっ?ど、どういう事だ?」

 

ドゼウがモガ丸の言葉の意味が分からず

キョトンとした。

 

・・・そうね、やられはしないんだけど

・・・どうしたもんかしら?

流石にアタシ達も神の使いだと言われる

魔物を倒すのは憚れるわ。

それこそ、ここいら辺の地域一帯に

祟りをもたらしてしまいそう(>_<)

 

「グガァァァ!!」

 

オリハルゴンがその巨大な岩石のような

腕でアタシ達を攻撃してきたっ!

アタシ達は左右に散り、魔物の攻撃を躱す。

 

「グルルルルッ!」

 

低く太い唸り声を響かせるオリハルゴン、

ひどくイラついてるように思える。

やっぱり腹ペコなんだろうか、

そこへ人間が現れたから余計にイライラ

してるのかも。

 

「どうする!?リザ姉ぇっ!倒すのか?」

 

むむむ〜、倒すワケにはいかない、

けど相手はめちゃめちゃアタシ達に

敵意を発している。

どうしよう、威嚇して逃げさせるか!?

 

「ジョギー!レイファン!

いくらなんでも人間の勝手で

この魔物を傷つける訳にはいかないわっ!

アタシが呪文で威嚇してみるっ!

それで逃げてくれたらいいんだけどっ!

アンタ達は待機しててっ!!」

 

「わかった!」

 

むぅ、魔物に当てないように〜・・・。

 

「メラガイアー!!」

 

ゴォォォォォォ

ドォォォォォォォン!!

 

アタシはさっきと同じようにオリハルゴンの

目の前に火の玉を着弾させた。

炎を見れば逃げるんじゃないかという

期待と共に。

 

「ギシャアアアアアアアアアッ!!!」

 

と、オリハルゴンは一瞬怯んだものの、

さらに怒りを爆発させたっ!

ひぇええええ!

ま、マズイ、余計に怒らせちゃったわ

(゚o゚;;

 

怒り心頭のオリハルゴンはその巨体で

アタシ達に突進してきたっ!

左右に散り躱すアタシ達。

やむを得ない、ちょっと手荒い事を

させてもらうっ!

 

「メラミッ!」

 

ドォォォンッ!!

 

「ガガガッ!!」

 

躱し際に軽めの呪文をヒットさせた。

オリハルゴンは態勢を崩すっ!

 

「姉ちゃん、攻撃するのかっ!?」

 

「やむを得ない、けどできるだけ力を

押さえるのよ、2人ともっ!」

 

「りょ、了解っ!」

 

「わかった、姉ちゃんっ!」

 

アタシ達は三方に散り戦闘態勢に入った。

ジョギーがまず斬りかかるっ!

 

「うりゃっ!」

 

ブンッ!

 

剣撃がオリハルゴンにヒットする!

文字通り岩のような鱗を切り裂き、

体液が噴き出すっ!

 

「グガッ!」

 

オリハルゴンは構わず、体を瞬時に

回転させ、その丸太のような尻尾で

アタシ達を攻撃してきたっ!

 

「キャアッ!」

 

「グワッ!」

 

「キャァァ!」

 

アタシ達は尻尾攻撃を受けてしまい、

全員吹っ飛ばされてしまった。

くぅぅ、倒してはならないと思えば思うほど

やりにくいわね、攻撃をセーブすれば

いいだけなのに、調子狂うもんだから

ディフェンスまでおかしくなっちゃう!

 

どうしたもんか、倒してはいけないんだ、

動きを止めさせるだけでもできたら・・・

動きを止める・・・

動きを止めるっ!??

 

そうかっ!

その手があったっ!

 

「モガ〜、リザ〜、どうしたんだ!?

なんで逃げてばっかり・・・攻撃も

どうして本気でやらないんだ??」

 

「オリハルゴンは神の使い、

彼が怒っているのはゼンチャンに騙された

人達がカツオを買い占めた為に

食料を奪われたせいです、つまり人間の

都合で怒っているのです。

なのに、さらに攻撃までされては・・・

オリハルゴンにとっては理不尽この上ない

仕打ちでしょう、だからリザ殿達は

オリハルゴンに手を出せないのでは!?」

 

「た、確かにっ!

オリハルゴンは今までお供えのおかげで

人間達と上手く付き合ってくれていた。

だのにゼンチャンが現れてからその関係は

一方的に人間のほうから壊したことになる、

怒るのも無理ねえべ。」

 

「そ、そうかぁ〜、モガ〜、リザァ、

どうするんだぁ?」

 

効くかどうかわかんないけどっ!

これが効けばお互い傷付かなくて済むっ!!

 

「宵闇の精霊よ、汝ら囁きて誘い給うっ!

ラリホーマッ!」

 

ボワアァァン

 

アタシは上級の催眠呪文を詠唱したっ!

甘い香りが漂う黒い霧がオリハルゴンの

顔を包む。

催眠ガスと同様の霧が睡魔となって

オリハルゴンに襲いかかるっ!

お願い、効いてぇっ!!!

 

「ガ、グ、グゴ・・・」

 

するとオリハルゴンの動きが鈍り始めた。

やった!成功だわっ!!

 

「ゴ・・・・スピ〜スピ〜」

 

オリハルゴンはその場に崩れ落ち、

やがて鼾を始めた。

ふぃぃ、よかった、これで倒さなくて

済んだわ。

最初っからこうしとけばよかった、

事態が切迫してたもんだからラリホーマの

事忘れちゃってたわ、反省。゚(゚´ω`゚)゚。

 

「モガー!やったぞリザ!

オリハルゴンを倒さずに大人しくさせる事に

成功したなっ!

さすが冒険王っ頭も冴えてるっ〜!」

 

「ピピィ!」

 

「す、すげぇだ、オリハルゴンを

大人しくさせちまった、お、おまんらは

一体っ!?」

 

「だぁかぁらっ!

ブルリア星の冒険王だって言ってるだろぉ?」

 

「ぼ、冒険王!?

な、なんだかわからねぇが、とにかく

すごいんだな、リザ達っ!」

 

ふぃぃ、けどなかなか難しいミッション

だったわ、これほど凶暴な魔物を

倒さずに大人しくさせるのは・・・。

けど、いくつか傷を負わせてしまったわ、

せめて傷の回復だけでもさせて貰おう。

 

アタシは眠っているオリハルゴンに

回復呪文を施した。

これで目が覚めたとき、傷で痛む事は

ないだろう。

 

と、ドゼウの背中からカラが降りて

オリハルゴンの後方にある岩山に向かって

走り出したの。

 

「な、カラちゃんっ!

な、何をするだっ!!??」

 

「きっ決まってるだろっ!

こ、このスキにオリハルゴンの巣さ

入ってカツオを取ってくるっ!

そ、それが私へのゼン様からの指令だっ!」

 

「な、なんだとぉ!?

これほど危険なメに遭ったっていうのに

まだそったら事いうのかぁ!?」

 

「な、何言ってるだ!

私にカツオを取らせる為に助けに来て

くれたんでねぇべか、ドゼウッ!

ちょっとは見直したと思ってたんにっ!」

 

なんとカラはっ!

まだカツオを手に入れる事を諦めて

いなかったのっ!

ウソでしょ、アタシ達がカラにカツオを

手に入れさせる為に助けに来たと

本気で勘違いしてるのっ!?

 

ア、アタシは・・・乱暴だけど

本気でブン殴ってやりたくなった。

どれほどに色んな人に迷惑をかけているのか

まるで自覚がないっ!

 

バチィィィッ!!

 

「い、いい加減にするだっ!

目を覚ますだっ!」

 

と、ドゼウがカラに追いつきカラの頰を

引っ叩いたの。

 

「ってぇっ!な、何するだっ!?」

 

「カラちゃん・・・おまんらぁがカツオを

奪ったせいで・・・どれだけの人に

迷惑をかけたかわがってんのがっ!?」

 

「な、何を訳のわがんねぇ事をっ!

ディッ、D Vだっ!

ドメスティックバイオレンスだっ!!」

 

「D Vだろうと、何と言われようとも

構わねぇ、けど自分の嫁っこが

人様に迷惑をかける事、オラはぜってぇ

許さねぇっ!!

カラちゃん、知らねぇとは言わせねぇど!

おまんらぁがカツオを奪ったせいで

オリハルゴンへのお供えができずに

オリハルゴンさ怒って漁師さんらぁの

船が襲われてる事っ!

それもこれもゼンチャンの狂った

教えのせいだぁ!」

 

「うっググググ、そ、そんなのっ!

証拠さ、ねぇべっ!

漁師のおっさんらぁの被害妄想だっ!

私らはちゃんと金さ払ってカツオを

買ってるんだっ!

文句言われる筋合いは何もねぇっ!!」

 

「なっ!

自分らぁの為には他の人らぁが

どうなったって構わねぇっていうのが!」

 

「そ、そうは言わねぇ・・・言わねぇが

・・・船が行方不明なんとゼン様は

関係ねぇって言ってるだっ!!」

 

「さっきの怒ったオリハルゴンを見ても

まぁだそったらこと言えるだなんてっ!

おまんはどこまで狂わされてるだぁ、

オ、オラ情けねぇど・・・。」

 

「ド、ドゼウ・・・。」

 

カラを叱っていたドゼウはやがて

涙を浮かべてその場に蹲ってしまった。

カラのあまりの非常識ぶりに、

ドゼウの思いの届かなさぶりに、

無力感を感じてしまったのかしら・・・。

 

「クックッソォ・・・!」

 

するとカラはすっくと立ち上がり、

浜辺のほうに向かって走り出した。

 

「ドゼウ、おまん、なぁんも知らんくせにっ!

勝手に怒って勝手に泣くんじゃねぇ!」

 

「カラちゃんっ!どこ行くだっ!?」

 

「ついてくんなっ!

今度こそぜってぇついてくんなよっ!!」

 

気球船で陸に戻るのか?

けど・・・心なしか、その叫び声には

悲痛な感情を帯びているように

アタシは感じた。

 

ドゼウを本気で嫌っているようではない、

むしろドゼウの身を案じてあえて

強い語気で叫んでいるように・・・。

アタシの考え過ぎかしら。

 

「ウゥぅぅ、カラちゃああん、なしてっ!

なしてそこまであのペテン師を

崇めるだぁ、アイツが現れてから幸せ

どころか皆んな不幸になるばかりだのに!」

 

うぅぅ哀れ過ぎる・・・。

こ、ここまで人を不幸にするなんてっ!

 

泣き崩れるドゼウを見て、アタシは

ゼンチャンに対する怒りがフツフツと

湧いてきたっ!

 

「ドゼウッ!

ツライのはわかるけどっ!

カラを追いかけるわよっ!

ここまでアナタや周りの人を不幸にする

ゼンチャンをアタシは絶対許さないっ!

カラを追いかければきっとゼンチャンに

辿り着くっ!行くよっ!!」

 

アタシはドゼウに檄を飛ばしたっ!

泣きたいのはわかるけど泣いてても

しょうがないっ!

 

「リザ殿、我々はモガ丸殿のルーラで

先回りしてカラを尾行しましょう。

カラ殿のあの様子では真正面から

説得しても意固地になり余計にドゼウ殿を

拒否してしまうだけかと思います。」

 

コッツッ!

そ、そうね、その方がいいかもしれない、

ヤダ、アタシったら、ドゼウを見てたら

ついついカっとなってしまっていたわ。

冷静な意見、ありがとう^_^

 

「モガッ!よし、じゃあルーラで港まで

戻るぞ、皆んなオイラに捕まっ・・・」

 

「お〜〜〜〜いっ!

誰かいるのかぁ〜!?」

 

モガ丸のルーラで港に戻ろうとした瞬間、

寝ているオリハルゴンのさらに向こうの

ほうから誰か人間の声がした。

 

「お〜〜〜!お前達〜〜〜!

お前達も遭難者かぁ!?」

 

岩陰から数人の男性がこっちに向かって

大声でアタシ達に話しかけてきた。

 

・・・遭難者っ!?お前達もっ???

・・・・えっ!?

も、っていう事は!?

あの人達は!?

もしかしてっ!!??

 

突如現れたこの男性達は何者!?

凶暴化してしまったオリハルゴンが

棲む島に人間がいるなんてっ!

 

アタシは驚きとともに淡い期待をも

少し抱いていたの。

 

 




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
宇宙政府との抗争のさなか、自分を除く3番隊の
隊員全員を政府に捕虜として奪われてしまう。
その事に深く後悔と自責の念を抱きながらも
アタシ達と共に懸命に冒険を続け、
上級執行官候補者やピエールとの戦いでは
実際に戦闘に参加するなど戦力面でも
成長を遂げる。
アタシに憧れを抱いている模様\(//∇//)\

・ドゼウ
全知全能のオンナ「ゼンチャン」に恨みを
抱く男性。
どうもゼンチャンはペテン師で、彼の奥さん
がゼンチャンに騙されたあげくお金を
たくさん騙し取られた事が原因で
夫婦は離婚の危機に陥ってしまったらしい。
ゼンチャンの悪事を暴くべく彼女を
必死で探しているらしいの。

・カラ
ドゼウの奥さん。
全知全能の神の化身と嘯くゼンチャンを
モロに信じ込んでしまっている。
そして多額のお金をゼンチャンに
渡してしまい、ドゼウと離婚の危機に
陥ってしまうが、それを悪びれもせず、
逆にゼンチャンを信じない夫を
激しく罵倒する始末。
ゼンチャンの催す儀式に必要な
カツオ節を手に入れる為、
魔物の棲む島へ渡ろうとしてしまうの。

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