魔道士リザの冒険譚(星のドラゴンクエストStory冒険日誌)   作:ジョギー

6 / 80
アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。




エピソード5.「秘術を巡って」

宇宙政府を裏切り、義勇軍に寝返るという

上級執行官マレドーを保護するべくチタヌ洞窟

へ向かったという義勇軍二番隊。

 

けどマレドーには厳しい追っ手が放たれてる。

マレドーと二番隊の身を案じたオリオリと

アタシ達は急いでチタヌ洞窟へ向かった。

 

そこには!

この星に来てからという限定の話では

あるけれど、確かに一番大きな規模の

魔物の軍勢が押し寄せていた。

上級執行官が裏切るという、やっぱり

宇宙政府としてもただ事ではない事態

だってのがわかるわね。

 

特に洞窟の最下層で二番隊らしき人たちを

取り囲んでいたマドハンドの大群。

そして群れを統率するひと際大きい

マドハンド。

こんな魔物は出遭った事がないっ!

さすがにアタシ達も手を焼いたわ。

 

ううん、強いってわけじゃないんだけど

雑魚のハンドを倒した瞬間に新しい仲間を

呼ぶの。その呼ぶスピードがまさに

ギガ級だわ。

 

序盤はアタシ達も牽制の意味で全体攻撃で

雑魚ハンドを一掃しようと試みた。

大方の雑魚ハンドはあっという間に

仕留めたけれど、やっぱり本体というべき

デカいマドハンドは生き残ってる。

コイツが生きてる限りは際限なく

雑魚ハンドを呼ぶようね。

 

うん、ラチがあかない。

アタシ達は狙いをデカハンドに切り替えた。

まずコイツを仕留めてから雑魚を一掃しよう。

 

と、不意にデカハンドが床へと潜り込み

姿を消した。まさか、やっつけた!?

いや、手応えはないわ。

と、次の瞬間、レイファンの目の前の床が

盛り上がり消えたはずのデカハンドが現れた!!

 

「キャアぁぁぁぁ!!」

 

現れたデカハンドはレイファンの足を掴み、

彼女を空中へと連れ去った!!

クっ!!

なんという攻撃!!

まさか地面に潜って移動してくるとはっ!!

 

デカハンドはレイファンの足を掴んだまま

彼女を2度3度と空中で、こともあろうに

振り回し始めた。

あれでは目が回って戦闘どころじゃないっ!

なんとかヤツからレイファンを引き離さないと!

 

しかし妹を人質に取られては迂闊に

全体魔法は使えないわね、彼女を

巻き込んでしまうわ。

 

アタシはデカハンドの足元

(と言っていいのかな?)へ狙いを定めて

威力を絞ったメラゾーマを放った。

 

これで多少のダメージは与えられるはず。

するとデカハンドは意外にも機敏な動きで

横に移動しメラゾーマを避けたのっ!

 

「な!?避けただとぉっ!」

 

モガ丸が叫ぶ!

確かに。その巨体からは想像し難い

動きでメラゾーマの火球をかわした。

 

アタシは次の手に思考を巡らせる。

 

「リザ姉っ!それでいいよ、呪文で

敵の動きを牽制するんだ!」

 

隣で雑魚ハンドを振り払っていた

ジョギーがアタシに指示を出してきた。

そして彼はウン、と頷き手に握っている

剣をポンっと叩いた。

 

そうか、わかったわジョギー。

アナタの作戦が。

アタシも黙って頷き返し、すぐに呪文の

詠唱を始めた。

 

今度は軽めの呪文メラミを連続で放った。

ただし敵のど真ん中ではなく、

少し右側を狙った。

当然、敵は左に避ける。

そこをジョギーは逃さなかった!

 

レイファンを掴んでいる指であろう

部分の根本を剣で一閃!!

敵の親指と人差し指であろう部分と

レイファンが空中に舞う。

弟はすかさず妹をキャッチして

すぐさまアタシの元へ駆け寄るっ!

 

指を切り飛ばされたデカイマドハンドは、

魔物ゆえ痛みを感じないのだろうか、

悶絶するような素振りは見せなかったけど

確かに一瞬怯んだ。

アタシはそのスキを見逃さない。

すかさず本命の呪文を連続で唱えた。

 

ギガデインとイオナズン!

 

群れを統率する巨大なマドハンドもろとも

雑魚のマドハンドも全て一瞬で消え去る。

統率者が仲間を呼ぶスキなど

もちろんありはしなかったわ。

 

ふぅ、少々手こずったけど弟の機転で

なんとかやっつけた。

もはや、阿吽の呼吸ね。

一瞬でお互いの考えてる事がわかる。

戦闘が終わりを告げた。

 

一番隊隊長のドゥエインがアタシ達に

駆け寄ってくる。

 

「すごい!さすがですなぁ!!

魔物達も強かったがリザ殿達は

もっと強いっ!!!

このドゥエイン、感服いたしました!!!」

 

うん、これで名実ともに義勇軍の

仲間として認められたかな。

いくらブルリア星の冒険王だなんて

伝え聞いたところで

実際に目で確かめないと

納得できないもんね、人って。

 

みんなの前で実力を示すことが

できてよかったわ(^o^)

 

「ごらんなさい!

あそこに二番隊のみんなが!!」

 

「おぉ!クサロ!」

 

「ドゥエイン!?それにボロン!

ああっ!オリオリ様まで!」

 

「こいつはクサロ。

義勇軍二番隊の隊長だ。」

 

やっぱり、マドハンドの群れに

囲まれていたのは二番隊の人達だったのね。

で、このキリリとした青年将校らしき人が

二番隊隊長・・・!

クサロさんね。

 

「無事か?クサロ。」

 

「あぁ、おかげでな。

マレドーを保護したのはいいものの、

魔物に囲まれ立ち往生して困っていた。

で、今、魔物を倒したこの方達が例の・・・?」

 

「あぁ、冒険王リザ達だ!

そしてオイラはモガ丸。コイツはスラッピ。」

 

「ピーッ!」

 

「かたじけない、冒険王殿。

二番隊を代表して心から感謝します、

そしてようこそ!義勇軍へ!!」

 

うん、とにかく間に合って良かった。

みんな無事みたい。

そして二番隊にも認められたみたいね、

それも合わせて良かったわ(・∀・)

 

「それでクサロ。

そのマレドーとやらは何処に?」

 

「ハッ!

魔物たちに処刑される前に

我々で保護しておりました。

今、連れてまいります。

さぁ、マレドー殿こちらへ。」

 

いよいよ義勇軍へと寝返るという

上級執行官とご対面。

ドキドキ・・・・。

 

二番隊隊長クサロの後方から

マレドーと思しき魔物が現れた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

え!?

なんか邪悪!!??

 

えと、ごめんなさい、思わず

第一印象を言ってしまった。

ううん、ギリギリ口にはしなかったけど

心の中で、そう思っちゃった。

表情に出てなければいいんだけど・・・。

 

「はじめまして、私は義勇軍の

総司令官オリオリです。

アナタが宇宙政府を裏切ったという

上級執行官のマレドー殿ですね?」

 

「いかにも、ワシがマレドーだ。

アナタが宇宙王の書に閉じ込められたという

宇宙王の末裔オリオリ様か。」

 

「モガ?閉じ込められた?

そういや事態がいちいち急展開なので

聞くのを忘れちまってたけど、

惑星クラウドに来れば本物のオリオリに

会えると思ってたけど本の中にいるままだな?

今、マレドーが言ったとおり

閉じ込められているのか?」

 

「はい・・・・実は・・・・

あ、いえ、その話はまたおいおい

話すとしましょう、今はマレドー殿に

話を聞くのが先決です。」

 

そう、今モガ丸が言ったとおり。

おじぃちゃんと冒険王の書の関係に

倣うとすれば、ブルリア星に現れたオリオリは

星見る神殿の力と同じような力で

宇宙王の書から出現している、という事になるわ。

でも今、マレドーとオリオリは"閉じ込められている"

と言ったわ。

 

どうやらおじぃちゃんとはまた違う事情が

オリオリにはあるみたいね。

 

と、これもまたオリオリの言うとおり、

まずはマレドーの話を聞こう。

 

「みなさんはドスラーデスをご存知か?」

 

「モガー!!ドスラーデスだってーーー!!??

知ってるも何も・・・」

 

「もちろん知っています、魔星王ドスラーデス

の事ですね。

ここにいるリザさん達は、そのドスラーデスを

倒したのです。」

 

「な、なんと!!

ではブルリア星の冒険王というのは

この娘達のことか!」

 

「はい、ゆえに我が義勇軍へと加勢願いました。」

 

「むぅ、では話が早い。

ワシが貴殿らに伝えたい内部機密とは・・・

宇宙政府はドスラーデスに代わる

新たな魔星王を誕生させる準備に

入ったという事だ。」

 

なんですってーーーー!?

新しい魔星王!!!

ようやく、本当のほんっとうに

ドスラーデスを完全に倒したと思ったら

また違う魔星王ですって!?

全く、宇宙政府のやる事ときたら(●`ε´●)

 

「新たに生み出される魔星王の強さは

ドスラーデスの比ではない。

星を丸ごと滅ぼしてしまうような

とてつもない邪悪な強さだ。

政府は新しい魔星王を使って宇宙の

人々を脅すつもりだ、自分たちに従え、と。

さもなくば魔星王を差し向け星を滅ぼして

しまうぞ!とな。

ワシは・・・宇宙を平和に治めるべく

組織に参加した。

しかし、組織が行うのは恐怖政治ばかり。

自分たちの富と権力を維持する事

しか考えておらん。

ワシは、自分で自分が嫌になってしまった。

もうこれ以上、組織の者でいたくないのだ!!」

 

 

・・・なるほど。

宇宙政府の中には、本当に宇宙の平和を

願っている者もいるってことなのね。

うん、とりあえずはこちらに寝返る事の

大義名分としては成り立つ・・・か。

 

けどやっぱりアタシは心中では

無条件にこの元上級執行官だという

男を信用はできない。

 

しかし、それを表情には出さず、

マレドーとオリオリの会話を引き続き

聞いていた。

結論を急ぐには、まだまだ情報が足りないわね。

 

それにしても宇宙政府はっ!

全くもって考えることがいちいち低俗ね(●`ε´●)

なんでそうやって、なんでもかんでも

壊そうって考えちゃうのかしら。

自分たちが得ようとしている富や権力だって

みんな壊しちゃったらなくなっちゃうじゃないの!

 

いや、富を差し出すから星を壊さないでほしい、

っていう考えが正しいとは言わないけれど、

それにしても事あるごとに星をぶっ潰すぞ!

ってすぐに言っちゃうその浅はかさが

気に入らないわっ!!

 

アタシはマレドーが信用に値するかを

見定めるために、

冷静でいようとはするんだけど

宇宙政府の事を考えると

どうしても怒りがこみ上げてきちゃう!

怒りの方は顔に出ちゃってるかも

しれないわね・・・。

 

オリオリは、ひょっとしたら

アタシの燃えたぎる怒りに

気づいてるかもしれない。

けど、アタシには声をかけず

引き続きマレドーとの会話を続ける。

 

「宇宙政府が新たな魔星王を・・・!

確かに脅威だわ。

しかし1つ疑問があります。

魔星王を生み出すには"秘術"が

必要だと言われています。

いかな宇宙政府とて"秘術"もなく

無から魔星王のような強大な存在を

創り上げるなど神でもあるまいに・・・。」

 

「"秘術"の話はワシも聞いたことがある。

そしてそれを扱えるのは・・・。」

 

「そう、星屑魔法団という集団です。

ですが彼らは現在、宇宙政府とは

距離を置いている。

何を隠そう、我が義勇軍へ協力を

してくれているのです、いわば

星屑魔法団は義勇軍の一員の

ようなもの。

彼らが宇宙政府に協力し、

魔星王誕生の片棒を担ぐなど

考えられませんっ!」

 

「うむ、その点については

ワシも疑問に思う。

で、星屑魔法団は今何処に?」

 

「ヨンツゥオ大陸です。

我が義勇軍三番隊が保護し、

身を隠して生活しています。」

 

「星屑魔法団は義勇軍の味方か・・・。

すると心変わりでもしたのか?

理由はわからんが直接会って

確かめるしかないだろうな。」

 

魔星王を生み出すのに必要だとされる

"秘術"に、それを扱える星屑魔法団・・・。

話がかなり具体的になってきたわね。

 

オリオリの言うとおり、魔法団が

義勇軍側にいるならば、

魔星王誕生は杞憂に終わる。

けれど元執行官マレドーは

「宇宙政府が魔星王誕生の準備に

入った。」と伝えている。

その証言が事実なら、魔法団に

なんらかの動きがあった可能性は

かなり高いわね。

 

「よしっ!

ヨンツゥオ大陸へ行こう!!

なっ?オリオリ。

ここで議論してても仕方ない、

実際に確かめなくてはな!」

 

ボロンが次の行き先と方針を掲げる。

 

「そうね、参りましょう、ヨンツゥオ大陸へ。

リザさん達、付いてきてくれますか?」

 

もちろん!

事実はともかく、冗談でも新しい魔星王を

誕生させるだなんて話、絶対に阻止しなくてはっ!

その鍵を握っている星屑魔法団に一刻も早く

会って真意を確かめなくてはっ!!

 

「よかった、ありがとう冒険王!!

では我々はレジィトの街へ戻り、

そこから飛行船で雲海を渡り

ヨンツゥオ大陸へ向かいます。

ドゥエインの一番隊はバァジ島に

留まり宇宙政府の動向を探ってください。

クサロの二番隊は引き続きマレドー殿の

警護を頼みます。」

 

「はっ!

承知いたしました!!」

 

「二番隊、承知しました!

オリオリ様、本の中にいらっしゃるとはいえ、

どうか道中お気をつけて。」

 

「オレはオリオリについてくぜ、

親衛隊長として総司令官を

守らなくてはなっ!!」

 

軍の役割も決まったみたいね、

よし、行こう、ヨンツゥオ大陸へ。

 

ただ、アタシはまた思考を巡らせる。

新しい魔星王、秘術、星屑魔法団、

そして寝返った元執行官マレドー・・・。

オリオリには悪いけど無条件で

マレドーの事を信用できない。

ううん、アタシの考え過ぎなら

それでいいの。

 

ただ、今回の情報のやり取りで

出てきたキーワード。

これが密接に絡み合ってる気が

してならない。

 

魔星王誕生のために秘術を

欲しがっているであろう宇宙政府。

秘術を扱う星屑魔法団の所在を

知りたくて仕方ないはず。

そんな折に義勇軍へ寝返るといって

現れた上級執行官マレドー。

魔星王誕生という情報を餌に

魔法団の情報を義勇軍から釣り上げる、

っていうのは考え過ぎかしら?

 

現にオリオリは魔法団の現状と所在を

あっさりマレドーに話してしまっている。

なんだか引っかかるわ・・・。

 

アタシは、新しい大陸での冒険に

ドキドキワクワクしながらも

若干の不安を覚えながら

モガ丸の手を握りルーラで

レジィトの街へと戻った。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。

・ボロン
義勇軍親衛隊隊長でありオリオリの幼馴染。
義勇軍の中でもかなりの実力者らしいけど
超の付く怠け者。
そして超の付くスライム愛の持ち主。
スライムに話しかける時だけ
赤ちゃん言葉になる。

・ドゥエイン
頑強な体躯を持つ義勇軍1番隊隊長の男性。
彼もかなりの実力者らしい。

・クサロ
義勇軍2番隊隊長。
精悍な顔つきをした青年将校。

・元上級執行官マレドー
宇宙政府の上級執行官だった魔物。
政府の恐怖政治に嫌気が差し義勇軍へと
寝返った。
その際に「新たな魔星王誕生計画」という
政府の内部機密をオリオリ達に伝えた。

★★★戦闘シーンについて★★★
アプリ内における戦闘システムはオフェンス面においては
チャージタイム制、武器選択制、スキル選択制を
採用しており1つのクエストにおける使用可能なスキルの
種類が限定されておりますが
本作品内の戦闘シーンにおいては一部これを採用しつつも
ナンバリング作品の戦闘システムやリアルな戦闘を
仮定した描写を模索していこうという方針です。
難しく書きましたがアプリ内に存在するスキル、呪文、
装備の追加効果など自由に戦闘シーン描写に
活用していこう、という方針です。
ディフェンス面も同様です。

第1章<新たなる雲海の星>了

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。