魔道士リザの冒険譚(星のドラゴンクエストStory冒険日誌)   作:ジョギー

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アタシは魔道士リザ。
ブルリア星の2代目冒険王姉弟の1人。
かつて全宇宙を平和に治めていた宇宙王。
その末裔であるオリオリは・・・
現在、全宇宙に君臨する邪悪な組織
『宇宙政府』、これに反抗する為
レジスタンスグループ『義勇軍』を率いて
打倒宇宙政府を目指していた。
アタシ達姉弟は義勇軍に参加しオリオリと
共に宇宙政府を打倒する為ここ惑星クラウド
での冒険を続けているの。
さて本日の冒険日誌^_^



エピソード6.「食人薔薇の恐怖」

ベェルの町から処刑場に向かう道中に

設けられた関所「監獄の砦」を“強行突破“

したアタシ達は、処刑場ではなく「イバラ

の町」にゼンチャンが囚われているという

情報を得て、そこを目指していた。

 

!?

後方から何者かの気配がする。

けど邪悪なモノではない?

というかアタシ達への殺気は感じない、

と言った方が正しいかしら。

 

アタシは感じた事をオリオリに伝えた。

パーティーの足が止まる。

 

「・・・居るのはわかっているっ!

出てきなさいっ!」

 

アタシは後方に向かってその何者かに

声をかけた。

すると。

 

「はぁはぁっ、さ、さすがだ。

何もかもお見通しとはな。

す、すまん、やはり心配になってついて

きてしまった・・・。」

 

物陰から紫色の怪人、監獄の砦の役人

コモゴモスが現れた。

 

「モガッ!

監獄の砦の役人さんっ!?」

 

なんと現れたのは砦で刃を交えたものの

ゼンチャンの身を案じて関所を通して

くれた、あの役人だった。

 

「モガッ!

想像以上に優しいぞ、役人さん!」

 

そうね、政府の役人なのに捕まっている

ゼンチャンを心配してくるなんて

なかなかできる事じゃないわ。

けど・・・砦を飛び出して来て大丈夫

なのかしら?

彼には・・・アタシ達に敗れたとはいえ

引き続き任務があるでしょうに。

 

「大丈夫だ、この大陸は・・・君らも

気づいてるかもしれんが政府の支配は

そこまで強く及んでいないんだ。

政府は罪を犯した者を、といっても

濡れ衣に近い罪だが、捕まえるだけ

捕まえて後は僻地であるこの大陸に

送り込むだけで後は放置に近い。

それは罪人達を管理するワシら収容所の

役人に対してもあまり指示をしてこない

という事でもあるんだ。

君らがゼンチャンを救出するのを見届け

たらすぐに持ち場に戻る事にするよ。」

 

むっ!そうなのっ!?なんて杜撰なのっ!

いやまぁ、そのおかげで囚人さん達は

そこまで苦しい思いをしなくて済んでる

のかしんないけど。

放置するぐらいなら捕まえなきゃ

いいのにっ!(_ _#

どうせ捕まえる理由なんて理不尽なモノ

ばかりでしょうにっ!

 

まぁけど、この役人さんの立場については

今は心配する必要はなさそうね。

 

「それより、今から向かうイバラの町。

注意しなければならない事柄があるんだ。

もし君らが・・・その・・・強行手段に

打って出てしまわないか、と心配でな。

何しろ監獄の砦に殴り込んでくるぐらい

だからな。」

 

「モガ、ちゅ、注意!?

イバラの町とはどんな町なんだ??」

 

「まぁ、行けばわかる、先を急ごう。」

 

きょ、強行手段・・・う、確かに。

とにかく今のアタシ達はゼンチャンの

救助が最優先事項だからね。

場合によってはそうゆう事もあり得るわ。

でもコモゴモスはそれじゃあダメだって

言ってる。

ゼンチャンがどういう状況かわかんない

けど、アタシ達が失敗しないようにと

後をつけて来てくれたんだ。

 

よし、とにかく急ごう。

コモゴモスをパーティーに加えてアタシ達は

先を急いだ。

2時間ほど歩くと町、というより森?

のような・・・緑に覆われた集落が

見えてきた。

そこに近づくにつれ見えて来た町の様子に

アタシ達は驚愕したの。

 

「ここがイバラの町だ。」

 

コモゴモスが言う。

こ、これは!?

森だと思っていたのは・・・木ではなく

薔薇のツタのようなモノだった。

ツタには無数の棘が生えている。

 

「モガー!!

建物に無数のツタのようなモノが

絡みついて・・・イバラに囲まれたという

より巨大なイバラの森のようだぞ!」

 

「このツタは一体何処から生えている

のでしょう!?」

 

モガ丸とコッツの言う通り、巨大なバラの

森のようだった。

町というには程遠い。

 

「ここは町とは名ばかりの宇宙政府の

もう一つの処刑場だ。

人は誰も住んでおらん。」

 

「処刑場!?

それはどういう意味なのです?」

 

「町の中心部に向かおう。

そこに巨大な薔薇の花が居るはずだ。」

 

居る?“咲いている”じゃなく居るって

どういう事?

まるで動物か魔物でも存在するかのような

言い方だけど。

 

「モガ〜、それにしても歩く隙間もない

ぐらいのツタの量だな、棘に気を付けて

進もう・・・って言ってるそばから

棘が刺さってるぞ!

大丈夫か?スラッピ!」

 

「ピピッ!」

 

棘に注意しながら町の中を進む。

けど、これだけツタが溢れかえっていては

無傷で歩くのは至難の技だわ。

全員、そこかしこに棘の刺さり傷を負い

ながら町の中心部を目指す。

その先で視界に飛び込んできたもの、

それは巨大な真っ赤な薔薇だった。

 

「モガーッ!で、デカイ!

確かにデッカい薔薇が咲いているっ!」

 

「あっ!あそこっ!

薔薇の近くに人影がっ!

ツタに絡まれている・・・人間が居ますっ!

あれがゼンチャンでしょうかっ?」

 

太い1本のツタの先がグルグル巻きに

なっていて、そこに人間が縛られていた。

た、確かにっ!

女性のように見えるっ!

 

「そうだ、あれがまさしくゼンチャン、

薔薇のツタに捕らえられているのが

ゼンチャンだ。」

 

よ、ようやく・・・!

やっとゼンチャンを見つけた。

薔薇のツタがあんなにグルグル巻きに、

さぞかし沢山の棘が刺さってて

傷だらけで痛みも尋常じゃないのでは!?

けど!

これは一体どういう状況なの!?

 

「あの薔薇は・・・宇宙政府が飼っている

処刑用の人喰い薔薇だ。

今は眠っているが目覚めて花ビラが全開に

なるとツタに絡まっている獲物を食べて

しまうんだ。」

 

ひっ、人喰いっ!?

な、なんとむごい、残酷な事をするの!

 

「通常の処刑はまた別の場所にある処刑場

で行われるのだが。

中にはゼンチャンのように、さらに残酷な

食人の刑に処される者も居る。

それだけゼンチャンが政府の秘密を知った

というのは重い罪なのだろう。

あの薔薇も最初はここまで大きくは

なかった。それがこんなに巨大になって

しまったという事は・・・それだけたくさん

の囚人が食人の刑に処されたという事だ。」

 

うへ〜聞いてるだけでも吐き気を催す!

せ、政府とは!

強大で邪悪で、そしてなんと残酷な

集団なの!

ますます持って許せなくなってきたわ

ಠ_ಠ

 

「普段は餌を与えているんだが処刑される

者が護送されてくると餌を断ち空腹に

させて薔薇が囚人を食べるように

仕向けるのだ。」

 

「モガーッ!

言ってるそばから花ビラが開いていくぞ!」

 

「リザ殿っ!

ツタを切り裂いてしまいましょうっ!」

 

「わかったっ!

ジョギー、お願いっ・・・」

 

「ダメだっ!

下手に攻撃すると目を覚ましてしまい

“獲物”を食べてしまうっ!

それを心配したからこそ、ワシは君達に

ついてきたのだっ!!」

 

そっそんなっ!

ではこのままむざむざとゼンチャンが

食べられるのを指を咥えて見てるしか

ないというのっ!?

 

「モガ〜、どうするんだ〜、

どんどん花が開いていくぞ・・・」

 

「人喰い薔薇の餌だ、刑の予定がない時

に与える餌があればゼンチャンよりも

好物を食べるはずだ。」

 

え!?そ、そうなの!?

そうなのか・・・いや、コモゴモスが

言うんだもの、この薔薇の習性をアタシ達

よりも知ってるはずよね。

 

「人喰い薔薇の好物とは!?

今すぐ用意できるモノなのですか?」

 

「オムライスだ、ムッチリ鳥の卵の

オムライスがヤツの好物。

ただ、今はゼンチャンが刑に処されるとの

事で材料がここにない。

ムッチリ鳥は此処から北に向かった

ルアン神殿に生息している。

そこから卵を採ってきてくれないか。」

 

オ、オムライス!?

バ、薔薇がオムライスを食べるっていう

のがなんか違和感あるけど。

けどそれが事実なんだから今はオムライス

を用意するしかないわね。

 

「卵の次は米が必要だ。

米は此処から西に向かった先の稲穂の塔

にある。そこの屋上は季節を問わず

いつでも『最高ほくほく米』が収穫できる

という不思議な場所なんだ。

いいか、卵と米、この2つが必要だ、君ら

なら難なく持ち帰って来れるハズだっ!

ワシは此処で調理の準備をして待機するっ!」

 

ちょっ、調理っ!?

コ、コモゴモスが直接調理するのかしら?

なんだかおかしな光景を想像しちゃった

(°_°)

け、けど!とにかくっ!

言われた通り材料を取って来なくてはっ!

食人薔薇の花びらはどんどん開いていって

るものっ!

 

「リザさん達、時間がありません、

北のルアン神殿と西の稲穂の塔、続けて

行軍いたしましょう!

疲労もあるかもしれませんが、どうか

よろしくお願いしますっ!」

 

了解したわオリオリッ!

アタシ達もそのつもりよっ!

ルアン神殿で卵を手に入れルーラで此処に

戻り、その後稲穂の塔へ向かいましょう。

モガ丸も頼んだわよっ!

 

「モガッ!了解したぞっ!」

 

「ピピッ!」

 

そうね、スラッピも!

急いでルアン神殿へ向かおうっ!

 

ようやく見つけたゼンチャンは正に

危機迫る状況だった。

アタシ達は人喰い薔薇の好物、ムッチリ鳥

のオムライスの材料を求めて北のルアン神殿

へ急いで向かった。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
宇宙政府との抗争のさなか、自分を除く3番隊の
隊員全員を政府に捕虜として奪われてしまう。
その事に深く後悔と自責の念を抱きながらも
アタシ達と共に懸命に冒険を続け、
上級執行官候補者やピエールとの戦いでは
実際に戦闘に参加するなど戦力面でも
成長を遂げる。
アタシに憧れを抱いている模様\(//∇//)\

・コモゴモス
宇宙政府の役人。監獄の砦の責任者。
アタシ達と戦い敗れるも、本心ではゼンチャンの
処刑に反対していたので砦を通してくれた。
冤罪に近い罪で人々を逮捕する政府の方針に
常々嫌気がさしているという、宇宙政府に
ありながらも心ある魔物。

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