魔道士リザの冒険譚(星のドラゴンクエストStory冒険日誌)   作:ジョギー

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アタシは魔道士リザ。
ブルリア星の2代目冒険王姉弟の1人。
かつて全宇宙を平和に治めていた宇宙王。
その末裔であるオリオリは・・・
現在、全宇宙に君臨する邪悪な組織
『宇宙政府』、これに反抗する為
レジスタンスグループ『義勇軍』を率いて
打倒宇宙政府を目指していた。
アタシ達姉弟は義勇軍に参加しオリオリと
共に宇宙政府を打倒する為ここ惑星クラウド
での冒険を続けているの。
さて本日の冒険日誌^_^



エピソード10.「想いの伝承」

ギリギリと・・・ゼンチャンの命を正に

繋ぎ留めている鎖の音でアタシはハッと

思い出したの。

今にもコッツの気力と体力が事切れ、

ゼンチャンの首が刎ねられようとしている

事態を。

 

これほどの一大事なのに・・・それを

失念してしまうほどの衝撃告白を

紫色の役人コモゴモスが始めようと

していた。

 

「い、今・・・なんと・・・仰いました

か・・・?」

 

宇宙王の書の中の女性が消え入るような

声で紫色の役人に問いかけた。

 

「・・・貴方様・・・宇宙王の末裔にして

義勇軍総司令官オリオリ様の・・・ご、

ご両親がかけられたギロチン台にて・・・

刑をしっ・・・執行した・・・処刑執行人

・・・そ、それはワタクシ・・・も、

元・宇宙政府処刑執行人コモゴモスで

ございますっ!!!」

 

っ!!!!!

 

「なっなんとっ!!

あ、貴方が私のりょ・・・」

 

「なんだってぇぇぇっ!!??」

 

オリオリが驚愕の声を漏らそうとした刹那

その声をかき消すように処刑の洞窟の

役人サシーラが・・・更なる大きな声で

叫んだの。

ただし・・・オリオリのそれが悲しみと

・・・戸惑いの色が混ざり合ったもので

あるのに対してサシーラのそれは

狂喜と羨望の色を帯びているという違い

があったけれど。

 

「コモゴモスっ!!

テメェがあの時の執行人本人だってのか

っ!?

ほぇぇコイツは驚いたぜっ!

まさか俺様が憧れた執行人がお前だった

とはなぁっ!!」

 

「くっ!き、きっさま〜〜〜!」

 

事が急展開すぎるっ!

あ、アタシの思考はまるで目の前の

出来事に追いつかないっ!!

当然、感情もっ!

誰に何をどう思えばいいのかっ!

 

しかしコモゴモスはっ!

明らかにサシーラを嫌悪しているっ!

それだけは理解できたっ!!

 

「それでっ?それでそれでっ??

死ぬ瞬間の宇宙王の末裔達の様子はっ?

どんなだったんだよぉ!?

1番近くで見てたんだろぉ?

聞かせろやっ!

今さっき、この小娘が言ってたのは

こいつら一族の強がりなんだろぉ??

ホントはビビリまくって震え上がって

ションベンちびりそうだったんだろぉ?

あ、いや、ちびってたのかっ?

ギャーッハッハッハっ!!!」

 

「黙れっ!

この恥さらしがっ!!!」

 

「あ?んだとぉ!?

誰が恥さらしだってぇ??」

 

サシーラの醜い下劣な言葉をコモゴモス

は鬼の形相と返事で遮った。

 

「貴様のような処刑執行人の風上にも

置けんやつは黙っておれっ!」

 

「んだとぉっ!!

貴様、上官に向かって吐く言葉じゃ

ねぇなぁ、いくら元・執行人だからって

よぉ、今は俺様は上官だ、ナメた口

聞いてるとよぉ〜貴様からぶっ殺す

ぜぇ?」

 

サシーラとコモゴモス・・・現役の処刑

執行人と元執行人とのやり合いが続く中、

ふとオリオリがアタシに視線を送ってきた。

何やら目配せをして合図を送ってくる。

 

オリオリの視線はまずアタシが床に置いた

杖を捉え、次にギロチン台にかけられた

ゼンチャンと側で鎖を握らされている

コッツに送られた。

 

・・・!

オリオリッ!!!

貴方という人はっ!!!

こ、こんな大事な話が語られようって

時にっ!

 

サシーラは・・・コモゴモスが元執行人

だと知った事で明らかにコモゴモスとの

会話に意識を奪われているっ!

ゼンチャン達を助けるなら今しかないと

言わんばかりにオリオリはアタシに

目配せをして来たのだっ!

 

リーダーとしてのその冷静さぶりに

アタシは心の中で脱帽するしかなかった!

そうね、ゼンチャン達を助けるのは

今しかないっ!

コモゴモスから事情を聞くのは救出が

終わってからでも遅くはないっ!

そう言いたいのね、オリオリッ!

 

しかしどうやって助けるかっ!?

アタシは長くない時間で救出の手立てを

考えるっ!

 

あの・・・ギロチンの刃さえどうにか

すれば・・・とりあえずギロチン刃で

ゼンチャンが殺される事はなくなる・・・

結果コッツの精神と体も解放される!

 

後はサシーラさえ押さえればっ!

アタシの作戦は決まったっ!

いつサシーラの意識がゼンチャン達に

向くかもしれないっ!

考えてる暇はないっすぐさま実行っ!!

 

「氷の精霊よ、我に力をっ!

ヒャダルコォォォッ!!」

 

ビキビキビキビキィィィィイイ

 

アタシは右手を床に拡げ中級のヒャド系呪文

を詠唱したっ!

右手の少し先の床面からギロチン台に向かっ

て氷の塊が発生しながら走って行く!

中級程度の呪文なら杖なしでも扱えるっ!

 

みるみるうちに氷の帯はギロチン台に届き

台の向かって右側だけを凍らせながら

刃の部分に到達しギロチン刃を氷で

包んだっ!

 

「なっ!なんだとぉ!?

ギ、ギロチン刃が凍ったっ!?

しかもゼンチャンだけを避けて凍るだ

なんてっ!?

きっ!貴様っ!!妙なマネすっと

ゼンチャンの命はないって・・・」

 

ザクリッ!

 

サシーラは異変に気付いて手にした斧を

ゼンチャンの首目掛けて振り下ろそうと

した。

けど、それは叶わなかった。

その頃にはジョギーが跳躍し床の剣を

拾いつつ、さらに低く跳躍しサシーラを

剣で突き刺す間合いまで詰めて・・・

サシーラの首から剣が生えていたの。

ジョギーの剣先から緑色の体液が滴る。

 

奇襲。

一瞬の出来事。

阿吽の呼吸。

 

アタシも床の杖を手に取りゆっくりと

サシーラに近づいて行く。

 

「コッツ・・・もう大丈夫・・・。

よく頑張ったわね。

手を離しても大丈夫だよ。」

 

「リッリザ殿・・・!

さ、さすがです・・・きっきっと・・・!

助けてくれると・・・!」

 

「ん・・・ホント・・・よく頑張った!

レイファン、コッツの鎖を外してやって、

それからゼンチャンも解放して。」

 

「了解っ!」

 

妹に人質として踏ん張った2人を解放

するよう指示を出す。

そしてアタシは・・・もう事切れようと

しているサシーラに向き直った。

あとでジョギーが言うには鬼の形相を

していたらしいわ、アタシ・・・。

 

「あうっあうっ・・・あうぅぅぅ・・・!」

 

急所を剣で突き刺されながらもサシーラは

まだ息があった。

しかし喉に剣が突き刺さっているので

声にならない声しか出せないようだった。

 

「サシーラ・・・痛いでしょう?

今楽にしてあげる・・・。」

 

アタシはとても優しい声でサシーラに

話しかけた・・・のは、ほんの一瞬っ!

瞬時に鬼に変わったっ!!

 

「お前のようなゲスは・・・地獄すら

生ぬるいっ!!

魂さえも蒸発して残らないよう、アタシ

が刑を執行してやるっ!!」

 

「・・・・っっっ!!!っっっ!!!!」

 

ズサッ

ブシャアアアアアッ!!!

 

ジョギーが剣を抜いて後方に下がる。

”栓“を外されたサシーラの傷口から

一気に緑色の噴水が溢れ出た!

 

アタシはそれを幾許か浴びてしまったけど

それ以上浴びたくなかったのでサシーラの

土手っ腹に蹴りを入れて”噴水の元“を

自分から遠ざけた。

そして火球の超級呪文を詠唱する。

 

「炎の精霊グァモン・カリクティスよ、

紅蓮の炎でっ!我が敵を灰燼と化すまで

焼き尽くせっ!メラガイアー!!」

 

杖の先端から火の玉が発生しみるみる

巨大化し大火球となったっ!

アタシのサシーラへの怒りの分だけ

大きくなり、その大きさはアタシでも

見たことのないものだった。

 

ゴォォォォォオオオオオオ

ドガァァァァァァァァァァァァァアアアアア

 

大火球はサシーラに炸裂し洞窟内を激しく

紅い光で照らしたっ!

そのあまりの威力の高さに、熱風が発生し

アタシ自身も・・・仲間達も火傷を負うほど

だった。

そして洞窟内の壁や天井をも破壊して

しまったっ!

洞窟内に激しい揺れが起こるっ!!

 

やがて炎は収束し無残に破壊された壁や

天井が露わになる。

火球が炸裂した辺りは真っ黒になり

ブスブスと煙が立ち上がっていた。

 

サシーラの死体は・・・残っていなかった。

本当に蒸発してしまったらしい。

それほど威力が高い・・・それほどに

アタシのヤツへの怒りが大きかったん

だろう。

 

「アチッアチチチチ〜〜〜っ!

リッリザっ!

や、やりすぎだぞっ!

オイラ達まで火傷しちまったぞっ!

どんだけお前の魔法は強力なんだぁっ!?」

 

「はっ!

ごっごめーんっ!!!

みんな大丈夫っ?って大丈夫じゃないかっ!

いっ急いで火傷の手当てをっ!!」

 

モガ丸の声でアタシの意識は現実に戻り、

アタシの攻撃で味方にもダメージを

負わせてしまった事に気が付いた。

急ぎ回復呪文を施したわ。

 

「もう、姉ちゃん危なかったよぉ、

私がゼンチャンをギロチン台から解放した

後だったからよかったものの解放する前に

あんな強烈な炎の呪文使ってたらせっかく

凍らせたギロチンが溶けちゃってゼンチャン

死んじゃうじゃないのぉっ!」

 

なぁっ!

そっそう言われればっ!

それはその通りだわっ!!

ヒェえええ〜アタシがゼンチャンを殺して

しまうところだった・・・。

全く・・・・ダメねぇアタシ、怒りで我を

忘れるととんでもないミスを犯しそうに

なっちゃう・・・これは大反省だわ(;o;)

 

ゴ、ゴゴゴ、ゴゴゴゴゴォォォ

 

と、その時、メラガイアーの余波で

揺れていた洞窟の揺れがさらに激しさを

増したの。

や、ヤバイっ!

こ、これは洞窟が崩れるっ!?

 

「いっいけませんねっコレはっ!

今にも洞窟が崩れそうですっ!

急いで脱出しなければっ!!」

 

オリオリが叫ぶっ!

 

「モガッ!

みんなオイラに掴まれっ!!」

 

「ピピィッ!?」

 

「オイラはルーラの応用で『リレミト』って

呪文も使えるんだっ!

洞窟とか、ダンジョンから抜け出すって

いう短い距離限定の移動呪文だっ!

さぁ、早くっ!!」

 

モッモガ丸っ!!

考えてる暇はないっ!

全員急いでモガ丸を中心に手を繋ぎ

円陣を組んだっ!

体力の消耗が激しいコッツにはレイファンが

肩を貸しているっ!

 

と、ふと視界の端に紫色の何かが映った。

 

「コモゴモスさんっ!!

どうしたのですっ!早くコチラへっ!!」

 

なんとコモゴモスだけが一歩も動かず、

円陣に加わっていなかったの!

 

「わ、ワシは・・・オリオリ様にとって

・・・憎き親の仇・・・。

貴方のような立派な宇宙王のご両親の

命を・・・この手で奪ってしまった者

・・・これ以上貴方と顔を合わせる事が

できませぬ・・・ここで死んで詫びたく

思います・・・!

オリオリ様・・・どうかご無事でっ!

早く行かれよっ!!」

 

コモゴモスはっ!

崩れる洞窟と運命を共にしようと言うっ!

 

「かつてはっ!

何百人、何千人という人間、魔物を

処刑してきたのだっワシはっ!

そのような死神のワシには此処は相応しい

死に場所と心得るっ!

後生だっ!

ワシに対して一片でも情けを感じるの

ならっ!此処で死なせてくれっ!!

頼むっ!!」

 

「なりませんっ!!!」

 

オリオリがコモゴモスに叫ぶっ!

 

「コモゴモスさんっ!

事情や経緯は存じませんがっ!

貴方が執行人を今は辞しているのはっ!

もうこれ以上命を奪う行為を行いたくない

と思ったからではありませんかっ!?

であるならばっ!

貴方は貴方の命を奪ってはなりませんっ!

自ら命を絶つ事、これも立派な殺人です、

もうこれ以上貴方はっ!

殺しをしないと自分に誓ったのでは

ありませんかっ!?

それは貴方自身の命も含まれているの

ですっ!!」

 

「オッオリオリ様〜〜〜・・・!」

 

「それに貴方はっ!

私に何か伝えたい事があるのでは

ありませんかっ!?

何か貴方の思いのようなものをっ!

でなければ、わざわざ私達に正体を明かす

事はなかったはずですっ!!

私はまだっ!

貴方の思いを何も受け取っていませんっ!

生きてそれを伝えてくださいっ!

お願いしますっ!!!」

 

「グッ!

グググ〜〜〜!!

オリオリ様〜〜〜貴方様という方はぁ

〜〜〜貴方様のご慈悲のなんとむごい事

〜〜〜っ!」

 

コモゴモスの決心はっ!

オリオリの必死の説得で揺らいでるっ!

しかし、もう時間がないっ!!!

 

「リザ姉っ!

ダメだっもう崩れるっ!」

 

「みんなっ!

アタシ達が動けばいいんだっ!

全員コモゴモスの方へっ!!!

早くっ!崩れるっ!!」

 

円陣を組んでいるアタシ達が手を繋ぎ

ながらもコモゴモスの元へ駆け寄るっ!

レイファンに抱きかかえられたコッツも

懸命に走るっ!

1番早くコモゴモスの元へたどり着いた

アタシが彼の腕を掴んだっ!!

 

「よし、全員掴まったなっ!!

リレミトォォォっ!!!」

 

ビュウウウンビュウウウン

 

モガ丸が呪文を唱えた瞬間、アタシ達は

時空の歪みの中に溶け込み、意識も

飛ばされてしまったっ!

その直後・・・おぞましい数々の処刑装置

の巣窟である忌まわしい処刑の洞窟が

完全に崩壊したの。

 

「・・・ザァ・・・・ザァッ!!・・・

リザァ・・・リザーーーーーッ!・・・

リザーーーーーーーッ!!!」

 

ハッ!

モガ丸がアタシを呼ぶ声で・・・

アタシは目を覚ました。

 

「よかったぁリザ・・・リレミトの

衝撃で気を失ってたみたいだな。

・・・大丈夫か?気分は・・・?」

 

あ、あぁモガ丸・・・そっか、アタシ達、

アナタのリレミトで洞窟から・・・

脱出できたのね・・・?

すごいじゃんモガ丸、ルーラだけじゃ

なくてこんな呪文も使えたんだね、

見直したわ!

 

「えっへんっ!

リザに褒められるとオイラ照れるぞっ!

ってかリザ〜〜〜お前の呪文の威力の

高さも考えモンだなぁ、洞窟ひとつ

まるごと壊しちゃうなんてなっ!」

 

う、うぅぅぅ、確かにっ!

今回は完全にアタシのミスの連発で

皆を危険な目に合わせてしまったし、

傷も負わせてしまった。

もっと状況と時と場合を考えて行動

しなきゃ・・・冒険王として失格だわ

・・・。

 

「でもリザさんが居なければ・・・

私達はコッツとゼンチャンのもとまで

たどり着く事すら叶わなかったでしょう、

それに救出する事もっ!」

 

「そうですっ!

私はきっとリザ殿が助けてくれるって

信じてましたからっ!

だから鎖を手放さずに頑張れたんですっ!」

 

あぁう〜む、そ、そうかなぁ?

けど本当に賢い冒険王なら・・・もっと

安全にスマートに事態を好転させられると

思うんだけど・・・。

 

「違うだろ、だから俺たち3人で冒険王

なんだろ、なぁレイファン?」

 

「そうそう、私たち足りない部分を補い

合いながら1人前なんだって、きっと

オジィちゃんもそう思って私達を冒険王

って認めてくれたんだよ。」

 

「まぁ、リザ姉の暴走を止められるのは

オレとレイファンだけだって事。」

 

「アハハハハ、そうかもな、さすが

お前らは3人で1人の冒険王だなっ!」

 

仲間達全員が・・・ミスを犯し続けた

アタシをフォローしてくれた・・・。

どれだけ・・・アタシは心が救われた

だろうか・・・!

けど、アタシはそれに甘えちゃいけない。

仮にもアタシは冒険王。

そして姉弟の長子だ、いわゆる冒険王姉弟

のリーダーだ。

いついかなる時も判断を間違えては

ならないっ!

一歩間違えれば、とんでもない・・・

取り返しのつかない事態を招いてしまう

かもしれないんだ。

 

アタシは・・・そもそもの・・・

ベェルの町で監視員の魔物を1体逃した

事に始まる一連の判断ミスを己の糧と

する事を声には出さず心に誓った!

 

「アナタ達・・・助けてくれて・・・

ありがとうっ!

ワタシ、こんなだけど・・・コッツちゃん

がワタシのせいでヒドイ目に遭わされて

ホントにつらかった・・・。

けどハッキリ言って、ワタシも死にたく

なかったし・・・もう神様に祈るしか

なかったわ・・・そしたらアナタ達が

現れて・・・助けてくれた・・・

あぁ神様はホントにいるんだぁって

思ったわ。」

 

「ゼンチャンさん、ご無事で何よりです。

しかし神様は・・・本当にいらっしゃる

のかどうかはわかりませんが・・・

ブルリア星の冒険王、強くて決して

諦めない者は今我々の目に前に実際に

居てくれていますっ!

貴方を救い出したのは神様ではなく、

この強き冒険王さん達なのです!」

 

「あぁ、そうだったわね・・・ブルリア星

の冒険王・・・代替わりをしたとはワタシ

も知っていたけど・・・こんな可愛くて

イケメンなコ達だったなんてね〜・・・

さすがのワタシも知らなかったわ。」

 

オリオリとゼンチャンがアタシ達を讃えて

くれる・・・。

いやぁ、なんだかこそばゆいわ(^_^;)

 

「ま、それでも麗しいワタシには叶わない

けど・・・ホホホ。」

 

と思ったら(o_o)

ゼンチャン節健在だわ。

ま、色々な危機が去ったという事かʅ(◞‿◟)ʃ

 

と。

皆の無事を喜ぶのはこれぐらいにして。

コモゴモス・・・宇宙政府の元処刑執行人

だという彼の話を聞かなくては!

 

「・・・オリオリ様・・・ワシ・・・

いや・・・ご両親の憎き仇であるワタクシ

めをどうしてお救いになられたのか・・・

貴方様のご両親だけではないっ!

ワタクシめはっ!

数多くの囚人をこの手で葬ってきた男に

ございますっ!

オリオリ様達、宇宙王一族のお覚悟に

照らし合わせるならばっ!

ワタクシはワタクシ自身の業を償わねば

ならんという事っ!

あの場で死ぬ事が償いでございました

のにっ・・・!!」

 

「・・・確かにアナタは・・・執行人と

いう役目のもと、数多くの者の命を

奪ってきたのでしょう。

しかし、それは役目に過ぎません。

処刑という判決を下すのはアナタでは

ないはず。

上層部の命令のもと、貴方は役目を

果たし続けたに過ぎない・・・と私は

推測します、違いますか?」

 

「・・・そっそれは・・・!

たっ確かにそうでございますが・・・。」

 

「貴方は我々と初めて出会った時から

その優しい心を滲ませていました。

イバラの町でゼンチャン救出にお力添えを

くださったのも然り。

生来の気質であるのか、はたまた執行人

という役目を果たし続けた末に、

そのような心をお持ちになったのかは

わかりませんが。」

 

「・・・ワタクシが執行人を勤めるよう

になってからの死刑囚は・・・

そのほとんどが冤罪に近い罪でギロチン台

に送られてくる者でした。

政府の愚痴を零したり、政府からの理不尽

な徴収に少しばかり抵抗してしまったりと

死をもって償わねばならないほどの罪では

ないと・・・ワタクシは思いながらも

役目を果たし続けました。

そんな者達の首を刎ね続けるうち、政府の

統治に疑問を抱くようになったのです。」

 

一同皆、固唾を飲んでコモゴモスの

話す内容を聞いていた。

 

「しかし、いつ頃からか政府執行部は

・・・囚人の死刑をあまり行わなく

なりました・・・囚人達を殺すのでは

なく・・・労働力として確保するほうが

自分達の富を維持する事ができる・・・

そう方針転換したのでしょう・・・

全くもって身勝手な話ですっ!

今まで理不尽に処刑されてきた冤罪の

囚人達は何の為に死んでいったのか・・・

ワタクシは執行人を続ける事に嫌気がさし

辞意を固めつつありました。

そんな時期です・・・オリオリ様のご両親

が処刑台に送られてきたのはっ!」

 

コモゴモスの独白は熱を帯び、さらに

続けられるっ!

 

「ワタクシは・・・長く執行人を続けて

おりましたが・・・あのような誇り高い

面持ちでギロチン台に上がった者を

見た事がありませぬっ!

オリオリ様っ!貴方様のご両親は・・・

それはそれはご立派に刑を受けられた

のです・・・!

しかし唯ひとつの無念・・・を抱いておら

れました、それは他ならぬ貴方様の

行く末でございました。」

 

「わっ私のっ!!??」

 

「幼い子どもを持つ親としては当然の感情

でござりましょう。

貴方様を護る事ができなくなってしま

う・・・それだけを案じておられました。

そして・・・宇宙王一族に生まれたばかり

に・・・これから過酷な運命に晒されて

しまう貴方様の未来を憂えておられました

・・・ごく普通の家庭に生まれれば・・・

そのような運命を歩まなくて済んだのに

・・・と。」

 

「お、お父様・・・!お母様・・・っ!!」

 

サシーラと論戦を繰り広げていた時は

・・・一切の私情を見せず毅然としていた

オリオリ・・・しかしコモゴモスの口から

伝えられるご両親の本心に触れ、押さえ

込んでいた感情が溢れ出たのか、オリオリ

は今にも崩れ落ちそうになった。

 

「しかしこうも仰っておりました・・・

自分達が処刑される事で・・・初代宇宙王

の業は相殺される・・・負の遺産は断ち切ら

れる・・・これで娘は宇宙王一族の呪縛

から解放される・・・後は一般人の娘

として・・・女の幸せを掴むように・・・

とも願っておられました。」

 

「うぅっ!うぅぅぅ・・・!」

 

オリオリの嗚咽は加速する。

 

「貴方様の運命が良き方向に向かわれる

為ならば・・・ご自分達の命を喜んで

差し出す・・・言葉の最後には・・・

宇宙王一族の覚悟よりも・・・娘の身を

案じるただの親としての想いが込められて

おりました・・・。

ワタクシはあの方々の・・・一族としての

誇りと・・・親としての慈愛に・・・

心動かされたのでございます・・・!

そしてご両親の刑の執行を最後に・・・

執行人の職を辞しました。」

 

コモゴモスの語るご両親の想いに・・・

オリオリはしばらく動けずにいた。

口を押さえ体を震わせ、ただただ

泣いていた。

そう、まるで幼子のように。

ご両親が健在だった幼少期に・・・

今だけ戻ったようだった。

 

「・・・しかし運命は皮肉なもの・・・

貴方様はご両親の願いとは裏腹に・・・

勇猛果敢に宇宙政府と戦っている・・・

一族の無念を晴らすかのようにっ!

あるいは時代が・・・やはり宇宙王を

求めているのか・・・。

貴方様の勇ましきお姿を監獄の砦で拝見

した時・・・ワタクシは・・・許される

ならば・・・貴方様のご両親の想いを

伝えたい・・・そういう思いに駆られた

のです・・・いや、それが使命だと・・・

自分の意思とは別の何かに突き動かされる

ように・・・あの時、貴方様を追いかけた

のです・・・もちろんイバラの町の食人

薔薇の秘密もありましたが・・・ワタクシ

の前に貴方様が現れたのは、もう運命

だと・・・。」

 

そうか・・・それでコモゴモスは・・・

オリオリの事を認識し、表情を緩めたり

アタシ達パーティーに加わろうとした

のか・・・。

オリオリのご両親の想いを伝えるために。

 

オリオリは・・・しばらく動けなかった

ものの、涙を拭い、いつものように

凛とした表情を取り戻し顔を上げた!

 

「コモゴモスさん・・・お心遣い

感謝します・・・両親の最期の想い・・・

しかと受け取りました。」

 

「いえ、まこと・・・申し訳ございませぬ

っ!ワタクシは・・・臆病者っ!

政府の意に反してまで・・・ご両親を

助ける事ができませなんだっ!!

どうかその手でっ!

ワタクシに介錯をお与えくだされっ!!」

 

っ!!

コモゴモスは尚、罪の意識からっ!

オリオリから死罪を言い渡すよう

求めたっ!

 

「・・・言ったはずですよコモゴモスさん、

軽はずみにご自分の命を捨てるような事を

口にしてはならないと。

貴方は私の両親の想いを伝えてくれたのです

・・・これは・・・その最期の瞬間を見届け

た貴方しかできない事です。

もしも貴方がサシーラのような執行人で

あったなら・・・私は両親の思いを知る事は

叶わなかったでしょう。

むしろ両親の刑を執行したのが貴方で

良かったとさえ思います。感謝こそすれ、

どうして処断する事ができましょう。

そもそも私は貴方の上官ではありません、

貴方に何かしら処分を下せるはずも

ありません。

もし私に何か命令をしろというなら・・・

生きてくださいっ!」

 

「っ!!!」

 

「以前にも申し上げた通り、貴方のような

優しく忠誠心ある者が宇宙政府の中で

増える事こそが・・・やがて宇宙政府打倒

に繋がると私達は考えています。

貴方のような者を・・・私怨で葬るなど

憎しみの連鎖を生む以外のなにものでも

ない行為です、いいですね?

生きてください、それが私の両親の

願いでもあると思いますっ!」

 

「くはぁっ!!」

 

今度はコモゴモスがその場に蹲り、

崩れ落ちてしまった。

オリオリ・・・やっぱり貴女は偉大だ

・・・義勇軍のリーダーどころじゃない

・・・世が世なら貴方こそ宇宙王その人

だわ。

アタシはオリオリとコモゴモスのやり取り

から、そう思うようになっていた。

 

コモゴモスはきっと・・・オリオリのご両親

の死に様に触れ・・・死刑囚に対する敬意

・・・という概念を持つようになったん

だろう。

だから死刑囚を自らの快楽の道具のように

扱うサシーラを激しく嫌悪したのね。

 

コモゴモスによれば・・・政府執行部は

やはり囚人は捕虜として労働力として

扱う方針らしく死刑判決を下す事は

極端に減ったという。

 

己の快楽のために独断で死刑を執行する

サシーラを執行部は苦々しく思っていた

のではないか、とも推察していた。

 

ゼンチャンについては、この限りではなく

政府の重大な秘密を知った為、口封じする

為に止む無く処刑を決めたとの事。

それゆえに・・・コモゴモスの今後の

身の振り方は複雑だわね(>_<)

 

「ワタクシは・・・やはり野に下ります

・・・監獄の砦に戻れば・・・ゼンチャン

救出に手を貸した反逆罪に問われる事に

なりましょう・・・もしかすると処刑を

言い渡されるやもしれません・・・。

オリオリ様に処分されるのは本望で

ございましたが、政府に殺されるのは

納得がいきませぬっ!

下野して・・・政府による冤罪での逮捕を

減らす活動を行おうかと思います。

自分に何ができるのか、まだ具体的には

わかりませぬが・・・その信念のもと

生きていこうかと。」

 

「そうですか・・・それは良いことです、

生きる意味を持つ事は貴方の未来を

明るいものにする事でしょう。」

 

「オリオリ様、お会いできて本当に

光栄でございました。

打倒宇宙政府が叶うようワタクシも

陰ながら祈り申し上げます。

ワタクシにも何かお手伝いができるので

あればいつでも何処からでも参上いたし

ますっ!

どうかご無事でっ!」

 

「私も貴方に会えてよかった。

貴方達のような者が安心して暮らせる

社会が到来するよう、全力で頑張ります、

そういう活力をいただく事ができました。」

 

「はっ!有難きお言葉っ!」

 

監獄の砦の役人コモゴモスは・・・

実に晴れやかな表情で去っていった。

オリオリ・・・本当は心中複雑でしょうに、

けど打倒宇宙政府の為の味方をまた1人

増やす事になった。

本当に貴女には・・・宇宙王の血だけでなく

徳や人を惹きつける力が備わっている。

貴女の祖先、初代宇宙王・・・当然アタシは

お会いした事はないけれど・・・その

祖先様をも上回る素晴らしい人物だと、

アタシはオリオリの事を思うようになった。

 

さて。

やっと・・・完全に救出したゼンチャン。

やっとアナタに惑星クラウドのコアの

場所を聞ける・・・長かった〜^_^;

 

「オリオリちゃん、それにリザちゃん達、

助けてくれてありがとうっ!

麗しき乙女ゼンチャン、完全解放っ!」

 

あぁ、そうだった、こういうキャラだった

わねこの人ε-(´∀`; )

 

「ゼンチャンさん、長い拘束期間、

お辛かったでしょう、ご無事でなにより

です。

さて、私達は貴女の全知全能のお力の

噂を聞きつけて教えて欲しい事があって

会いに参りました。」

 

「モガッ!

全知全能だから何でもわかるんだろうっ?」

 

「そう、ワタシはゼンチャン、全知全能の

オンナよ!

けどゴメンなさい、今は何を聞かれても

答えられないわ。」

 

えっ!?

な、なんでっ!?

めっちゃ苦労して助けてあげたのにぃ!?

ここまで来て教えてくれないなんてっ!

 

「違うの、怒らないでリザちゃん、

アナタ可愛いのにすぐ怒るんだからっ!

ダメよ可愛いコは怒っちゃぁ!」

 

うはぁぁぁ(;´Д`A

なんかゾクゾクしちゃうっっ

寒気で・・・!

 

「全知全能のチカラを扱う為の道具が

ここにはないわ。

だから何もわからないの。

ワタシの館にそれはあるの。

今からいらっしゃい、案内するわ。

助けてくれたお礼に何でも教えて

あ げ るっ❤︎」

 

ゾクゾクゾクッ

 

やばい、めっちゃ鳥肌立ってきたΣ(゚д゚lll)

で、できたら逃げたい・・・!

サシーラなんかよりよっぽど怖いんだけど。

 

け、けどそういうワケにはいかないわね、

ようやくゼンチャンに教えてもらえる

んだから。

 

ようやく・・・完全に救出する事が

できたゼンチャン。

しかし全知全能のチカラは彼女(彼)の

館に行かないと使えないという。

 

アタシはやっぱり・・・未だにゼンチャン

のキャラに拒否反応を示してしまう

けれど(他の皆、OKなのかな?)、

一刻も早く新しい魔星王の居場所を

見つけなきゃいけない事を思い出しつつ

ゼンチャンの館に急いで向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
宇宙政府との抗争のさなか、自分を除く3番隊の
隊員全員を政府に捕虜として奪われてしまう。
その事に深く後悔と自責の念を抱きながらも
アタシ達と共に懸命に冒険を続け、
上級執行官候補者やピエールとの戦いでは
実際に戦闘に参加するなど戦力面でも
成長を遂げる。
アタシに憧れを抱いている模様\(//∇//)\

・コモゴモス
宇宙政府の役人。監獄の砦の責任者。
アタシ達と戦い敗れるも、本心ではゼンチャンの
処刑に反対していたので砦を通してくれた。
冤罪に近い罪で人々を逮捕する政府の方針に
常々嫌気がさしているという、宇宙政府に
ありながらも心ある魔物。
しかし彼には・・・宇宙政府の元死刑執行人という
過去が存在していたの。
その職務のさなかオリオリのご両親の
処刑執行も彼が担当していた。
しかしコモゴモスはオリオリのご両親の
死に際の立派さと娘の未来を慮る想いに
心を打たれていた。
監獄の砦でオリオリと出会った事に運命
を感じ、ご両親の想いをオリオリに伝える
べくアタシ達の仲間になったの。

・サシーラ
ボォフゥ大陸の宇宙政府の牢獄、処刑場などの
施設を統括する役人。
コモゴモスら一般の役人のボス。
残虐な性格。
死刑囚を残酷な方法で処刑する事に
快感を覚える狂った殺人者。
その残虐さは、ゼンチャンの公開処刑を
コッツに執行させようとするなどの
行為にも表れている。
最期はあっさりアタシ達に倒される。

星ドラStory日誌第9章<囚われた全知全能>了
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