魔道士リザの冒険譚(星のドラゴンクエストStory冒険日誌)   作:ジョギー

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アタシは魔道士リザ。
ブルリア星の2代目冒険王姉弟の1人。
かつて全宇宙を平和に治めていた宇宙王。
その末裔であるオリオリは・・・
現在、全宇宙に君臨する邪悪な組織
『宇宙政府』、これに反抗する為
レジスタンスグループ『義勇軍』を率いて
打倒宇宙政府を目指していた。
アタシ達姉弟は義勇軍に参加しオリオリと
共に宇宙政府を打倒する為ここ惑星クラウド
での冒険を続けているの。
さて本日の冒険日誌^_^



エピソード4.「全知全能のチカラの全貌」

「モガ、ここがピピタワーか、ほえ〜

高い塔だな〜。」

 

「ピピっ!」

 

「こんな強風が吹いてるなか、よく倒れ

ませんね。

昔の人の建築技術には驚かされます。」

 

相変わらず、やっぱり、この辺りは風が

猛烈に強く吹いていた。

ホントに歩くのもやっと。

いつもの旅路の倍ぐらい疲れるなか、

ようやくピピタワーにたどり着いた。

 

進んできた道のりを振り返ると遥か彼方に

確かに竜巻らしきものが見える。

あんなに遠くにあるのに、これだけ強い

風を吹かせるだなんて、どれだけ大きい

竜巻なんだろう。

 

と、今は竜巻に思いを馳せている場合じゃ

ない、急いで塔内を探索しゼンチャンの

能力を扱えるアイテムがないか探さなきゃ!

 

アタシを先頭にパーティーはピピタワー内

に踏み込んだ。

ゼンチャンの館に空き巣に入った政府の魔物

がいるかもしれない。

アタシ達は全方向に意識を向け魔物が

いないか警戒を強めながら歩を進めた。

 

しかしアタシ達の警戒心とは裏腹に・・・

魔物の気配は一切感じられずパーティーは

最上階まで一切戦闘を行わず登りつめた。

この塔にストーカー?の魔物が居るって

いうのはゼンチャンの被害妄想??

なんか・・・ゼンチャンっ・・・かなり

自意識過剰だしね・・・見られてる、

っていうのも願望だったりして(。-_-。)

 

しかし最上階のフロアに着くと、やっぱり

魔物が居るらしき邪悪な気配が感じられた。

 

「むむ、侵入者だと?何者だ貴様ら。」

 

そこには緑色で人型をした大柄な魔物が

居た。魔族か?

大きな翼を背中から生やしている。

 

「モガ!やいやいっ!

お前がゼンチャンを監視している政府の

魔物か!?

そしてゼンチャンの館から全知全能の

アイテムを盗んだのもっ!

オイラ達は義勇軍、そして義勇軍に味方

するブルリア星の冒険王だぞ!」

 

しかしその魔族は・・・なんだかおかしな

格好・・・というか、おかしなモノを

足元に置いていた。

緑色の魔族の足元には宝箱大ぐらいの

金属でできた籠らしきものが置かれていた。

その籠?檻の中に・・・オレンジ色の

スライムが、何故か居た。

 

「むぅ?義勇軍だとぉ!?

義勇軍がこんなところに何の用だ?」

 

「質問しているのはこっちよっ!

お前はゼンチャンの監視役!?

そしてゼンチャンの館から何か盗んだのか!?」

 

魔物がスライム(魔物)を檻に入れている

・・・その構図がアタシに違和感を

覚えさせる。

 

「アナタッ!

ワタシの事ここからずーっと覗いてた

でしょっ!

ダメよ、いくらワタシが麗しく魅力的

だからってストーカーなんてしちゃあっ!

そんな陰湿なやり方じゃなくて正々堂々と

アプローチしてきなさいっ!」

 

しかしアタシの違和感は次の瞬間に

消え去ったの。

檻の中にいるスライムこそがアタシ達の

探しているモノだったの。

 

「そ、その声はゼンチャンッ!」

 

檻の中のスライムがゼンチャンの声を聞き

彼女(彼)の名を呼んだの。

 

「えっ?あ、あぁっ!!

よ、よく見るとチャングーじゃないっ!」

 

ゼンチャンもスライムに向かってその名を

呼び返す。

すると緑色の魔族が驚いたような声を

上げた。

 

「なっ!ゼンチャンだとっ!!

ゼンチャンが何故生きているっ??

ゼンチャンはもうとっくに処刑されている

ハズ!」

 

「処刑寸前だったところを我々が救出

いたしました。

政府の魔物よ、貴方はたった1人でここで

何をしていたのです?

他に魔物が居ないところを見ると貴方は

隠密だと推察します、やはりゼンチャンさん

に対する監視役ですか?」

 

書からオリオリが現れ緑色の魔族に対し

質問をする。

なるほど、偵察兵だから単独行動で・・・

他に魔物が居ないのか。

その証拠にこの魔族は途端に固く口を

閉ざしてしまった。

しかしその無口ぶりが、この魔族が間者で

ある事を一層に証明させる事でもあるわね。

 

「・・・。」

 

「モガッ!おい、どうなんだっ!!

お前がゼンチャンの監視役なのかっ!?

黙ってないで何とか言えよっ!」

 

「・・・どうやら図星のようですね、

答えられないのが答えのようです。」

 

フロアーに気味の悪い緊張がジワリと

広がる。

 

ババッ!!

 

と、緑色の魔族が背中の大きな翼を広げ

オレンジ色のスライムの檻を手にし、

この場から飛び去ろうとしたっ!

 

「ハハハッ!

さらばだ義勇軍っ!

まさかゼンチャンが生きていたとはなっ!

すぐさま報告させてもらうっ!!」

 

させないっ!

 

「汝の肢体は蜘蛛の糸に捉えらし蝶の

ごときにっ!ボミエッ!」

 

ドゥウウウンッ

 

アタシは魔族に向かってデバフの補助呪文

を放った!

素早さを下げる効果のっ!

 

「なっ!グ、グオオ、か、体が重い・・・

つ、翼も思うように動かせぬだとぉ!?」

 

明らかに動きが鈍くなった緑色の魔族は

飛び立つ事が出来ずに無様にその場に

ドスンと墜落した。

すぐさまジョギーが魔族のそばまで駆けつけ

馬乗りになって喉元に剣先を突きつける。

 

「貴方はゼンチャンさんは既に処刑されて

いるものと思い込んでいましたね、にも

関わらずこの塔に残っていたのは何故です?

ゼンチャンさんの監視以外にも密命を

帯びているのですか?

その檻の中のスライムが関係しているの

ですか?」

 

魔族が逃げも抵抗もできない状態にした

ところでオリオリが再度質問を投げかける。

確かにそうね、コイツの中ではゼンチャン

は既に処刑済みだとすれば、監視の対象

が居なくなった今も此処に残っている

意味がわからない。

 

「違うのオリオリちゃんっ!

そのオレンジ色のスライムがワタシの

大事なアイテムなのっ!

多分コイツはそれを守るために此処に

残ってたんだと思うわっ!」

 

「えっ!?そうなのですかっ?

あのスライムがゼンチャンさんのアイテムっ??」

 

なんとっ!

檻の中に居るスライムこそがゼンチャンの

能力を引き出すアイテムっ!?

どういう事っ?

 

と、ジョギーに押さえ込まれていた魔族が

何かに弾かれたように動き出すっ!

 

「チッ!もはやこれまでっ!」

 

剣先を突き付けられていた魔族は・・・

しかし自由だった手を檻に向けてかざし

檻の中のスライムを攻撃しようとしたっ!

 

「かくなる上は始末するしかないっ!!

イオナズ・・・」

 

ブンッ!!

 

「ウギャアアアアアアッ!!!」

 

と。

馬乗りになっていたジョギーが咄嗟に

呪文エネルギーを放出しようとしていた

魔族の右腕を剣で斬った!

魔族は叫び声を発し悶絶する。

 

「あぐ、ググググ・・・お、おのれ義勇軍

め・・・!」

 

檻のスライムを殺そうとしたところを見ると

・・・ゼンチャンの大事なアイテムだと

言うのは本当のようね。

・・・アタシは・・・弟に非情の指示を

飛ばす・・・。

 

「ジョギーッ!トドメをっ!!

ここでソイツを逃してしまえば後々また

厄介な事が起きるかもしれないっ!」

 

アタシはベェルの町で監視員の魔物を

見逃し、その後サシーラによるゼンチャンと

コッツの誘拐事件が発生してしまった事の

反省から、目の前の緑色の魔族を始末する

よう判断した。

 

「わかった、ではお命頂戴するっ!

覚悟されたしっ!!」

 

ジョギーが剣を振りかぶったその刹那、

しかし魔族がそれを制するように声を

発した。

 

「ハァハァハァ・・・フッ、そ、それには

及ばん・・・ハァッ!!!」

 

ズボッ!!!

 

魔族は残った左手を手刀にし、自らの左胸

に突き立てたっ!

な、なんとっ!

緑色の魔族は・・・自ら命を絶とうと

したのっ!!

 

「グ、グググ、フハハハ・・・!

て、敵に敗れるぐらいなら・・・こうする

のが我の役目よ・・・じゃ、じゃあな、

義勇軍ども・・・あばよ・・・!」

 

むぅ、あくまでも隠密たるべき使命を・・・

守秘義務を守るため自ら口封じるか・・・

仕方ない、せめて情けを・・・。

アタシはジョギーにコクンと頷いてみせた。

弟も頷き返す。

 

シュンッ!!

 

ジョギーの剣が緑色の魔族の首筋を走る。

首を落とされ魔族は絶命した。

自ら心臓を抉ったとて、すぐに息絶える

わけではない、せめて少しでも早く楽に。

フロアーにはアタシ達パーティーだけしか

存在しなくなった。

 

「チャッチャングーッ!!」

 

「ゼンチャンッ!!」

 

と。

ゼンチャンがスライムを閉じ込めている檻の

箱に駆け寄った。

オレンジ色のスライムもゼンチャンの名を

呼ぶ。

どうやら無事、ゼンチャンの大事なアイテム

を取り戻す事ができたようね。

しかしスライムがアイテムっていうのは

どういう了見かしら。

アタシの疑問をよそに、2人は再会を

喜び合う。

 

「あぁチャングー!無事でよかったぁ!」

 

「こっちのセリフやねん、ゼンチャンッ!

もう処刑されて死んでしもうたかと

思てたわぁ!」

 

う、この・・・チャングーと呼ばれた

オレンジ色のスライムも何故かコテコテの

関西弁・・・(´・ω・`)

なんなの、スライムの公用語って関西弁

なのっ???

 

「モガッ!このスライムがゼンチャンの

大事なアイテムなのか?」

 

「せやっ!ワイはチャングーやっ!

ゼンチャンの相棒やでー!!

ゼンチャンが宇宙政府に捕まった後、

ワイも、その緑色の魔物に捕まってここで

監禁されてたんやぁ〜!」

 

なるほど、やはりこの魔族は・・・えっと、

チャングー・・・を見張る為にここに単独

で待機していたってワケね。

 

と、チャングーに釣られるように?

もう1人、いやもう1体、関西弁を操る者が

口を開いたの。

 

「こりゃたまげたで〜!

モガ丸はんっ!ワテこのお方と近い波長を

感じるで〜!

いやぁ、チャングーはん、ワテ、スラッピ

言いますぅ、以後よろしう頼んますぅ!」

 

「お、おぉう!

ホンマや、わいもえろぉアンさんに

親しみを感じますわぁ!」

 

な、な、なんだぁ?このおかしな会話

(;´Д`A

ここ、惑星クラウドでいいのよね??

どこの漫才劇場かと思うじゃないっ(°_°)

と、スラッピの関西弁が出たとき必ず

口を挟むヤツが、当然ながらダメ出しを

飛ばした。

 

「ススス、ス、スラッピッ!

あの、あの約束を忘れないでくれっ!!」

 

「はい?約束ぅ??はて・・・・・・

・・・・・はっ!・・・・・あ、あぁっ!

モガ丸はんっ!・・・あぁぁ!えらい

すんまへんっ!!」

 

しばし沈黙が続き・・・

 

「ピッ!ピピィッ!!」

 

「スラッピッ!それでこそスラッピだっ!」

 

・・・はい、これでワンセットね、

終了〜〜〜ʅ(◞‿◟)ʃ

 

「モガ丸さん、スラッピさん、本題に

戻りますがよろしいですね?」

 

「あ、あぁ、ごめんよぉオリオリっ!」

 

「ピピ!」

 

淡々と話の方向を修正するオリオリ。

うん、その無表情っぷりがアタシには

可笑しかった( ˊ̱˂˃ˋ̱ )

もう慣れっこみたいね。

 

「ゼンチャンさんっ!

このチャングーさんが貴方の能力を引き出す

アイテム・・・相棒さんで間違いない

ですね?」

 

「ええそうよ、オリオリちゃん。

チャングーが居れば貴女達のお願いを

叶えてあげられるわ。」

 

「わかりました。

チャングーさんが無事で何よりです。

というワケで・・・此処は物騒です、

取り急ぎ館へ戻りましょう。

話はそれからです。」

 

「了解したわオリオリちゃん。」

 

「っていうか、とりあえず早くここから

出してもらえまへんかぁ?

窮屈でしゃーないわぁ!」

 

「あら、そうだったわね。

・・・けど困ったわね〜、鍵は何処にあるの

かしら・・・ってヒィッ!!ま、まさかっ!

あの魔物が持ってるのっ!?

い、いやだぁっ!麗しきワタシ、し、死体

の懐をまさぐるなんてできないわっ!

怖いっ!!」

 

チャングーが閉じ込められてる檻の鍵は

・・・やっぱりこの隠密兵が懐に隠し持って

いた。

死体に怯えるゼンチャンを尻目にジョギー

が動かない魔物の懐から取り出し檻の施錠

を解いた。

 

「ぷハァァァ、久しぶりのシャバの空気は

うまいなぁっ!」

 

・・・なんか緊張感に欠けるんだけど(o_o)

ま、とりあえず目的は達成。

一同、ルーラでゼンチャンの館に戻った。

またあの強風の中を歩くのは骨が折れる

もんね・・・。

 

「いやぁしっかしゼンチャン、よぉ無事

やったなぁ、どないして宇宙政府から

逃げたんや?」

 

「違うの、この人達に助けてもらったのよ。

チャングー聞いて驚いて、この人達は

義勇軍とブルリア星の冒険王さん達なの、

とっても強いのよ。」

 

「え!?義勇軍とブルリア星の冒険王っ!?

なんでまたそんなごっつい人らがゼンチャン

の事を!?」

 

「それがねー、ワタシにどうしても聞きたい

事があるみたいなの。

最初、麗しいワタシに美の秘訣を聞きに

来たんだって思ったんだけどそうじゃない

らしいの。

だってこんなに可憐な乙女に聞く事って

それしかないと思うじゃ・・・」

 

「オ、オッホンッ!

ゼ、ゼンチャンさん、チャングーさん、

久しぶりの無事の再会で積もる話も

ございますでしょうが・・・あの・・・

そろそろ本題に入らせていただいても

よろしいですか?」

 

終わりそうもないゼンチャンとチャングー

の会話・・・しびれを切らしてオリオリが

強引に本題に入ろうとした。

 

「そ、そう言えばっ!

義勇軍のリーダーはんは本の中に居てはる

言うてたなぁっ!

確かにこのオナゴはん、本の中に居てはる

わぁっ!

こらホンマもんやわぁっ!」

 

いやしかし、よく喋るスライムね(´Д` )

 

「でしょっ?

本物の義勇軍ちゃん達よ。

ってわけで助けてくれたお礼にこの子達の

願いを聞いてあげようと思うの。

さっ!やるわよ、チャングーッ!」

 

「あいよぉ、ほないっちょやったるでー!」

 

チャングーが加わる事でますます調子が

狂いそうだったけど、ようやく本題に入る。

さぁ、ようやくアタシ達の願いが叶う。

惑星クラウドのコアの眠る場所、新しい

魔星王が眠る場所が何処なのかをゼンチャン

に教えてもらえるっ!

バァジ島でゼンチャンの噂をマレドーから

聞いて以来、なかなか長かったわぁ!

 

「ハァッ!」

 

と、ゼンチャンがチャングーに向かって

両手を翳した。

 

ポッ

ボワ〜〜〜ン

 

すると!

チャングーの身体が光りだした。

そのオレンジ色の光はどんどん強くなるっ!

 

「モガーーーーーっ!

すごいっ!チャ、チャングーの身体が

どんどん透けていって・・・な、何か

見える・・・ど、どこかの景色か・・・!?」

 

輝きを増す光に反してチャングーの身体

はどんどん透けていったのっ!

なんて不思議な光景っ!!

って、てかっ、ゼンチャンッ!!

ホンモノだったっ!!!

 

「全知全能・・・ゼンチゼンノウ・・・

ゼンチゼンノウ・・・!

ゼンチャングーーーーーッ!!!!」

 

ゼンチャンが何やら呪文を唱える。

するとやがてチャングーの光は館の室内

全体を包み視界が無くなるぐらいにまで

強まり、そして弾けた。

光は弱まり視界も戻ってきた。

ゼンチャンとチャングーは微動だにせず、

ゼンチャンは半透明になったチャングー

の身体を凝視していた。

 

そ、そうか、こういう事だったのか!

ゼンチャンの能力を発揮させるアイテム、

チャングーはその身体を水晶玉代わりに

する事ができるのねっ!

ゆえにスライムでありながらアイテムと

呼ばれてるんだ。

ゼンチャンの能力とは・・・!

チャングーという媒介を通した霊視っ!

 

「全知全能のオンナ、ゼンチャンが拝見

しました、魔星王の眠る場所、それは

・・・。」

 

「そ、それは・・・!???」

 

ゴクリ。

そ、それは・・・!?

 

「ビナビ諸島のどこかよ。」

 

「モ、モガ〜〜〜!

お、おぉぉぉ!ビナビ諸島・・・!」

 

ビナビ諸島っ!具体的な名前が出たっ!

・・・で?

ビナビ諸島ってどこっ??

 

「ビナビ諸島っ!

このボォフゥ大陸の東に浮かぶ島々ですね。」

 

コッツがアタシの疑問に答える。

 

「モガ〜!ビナビ諸島か〜、で?

その島々のどの島に魔星王は居るんだ?」

 

モガ丸が更に詳しい情報を聞き出そうと

する。

するとゼンチャンの口から意外な返答が。

 

「もう一度言うわね、『ビナビ諸島の

どこか』よ。」

 

・・・モガ丸を筆頭にアタシ達は沈黙

する・・・。

 

「せやで!『ビナビ諸島のどこか』やで!」

 

身体が半透明状態のチャングーも

ゼンチャンの答えを復唱する。

 

なおもアタシ達の沈黙は終わらない。

 

「聞こえなかったかしら?魔星王の眠る

場所、それは『ビナビ諸島のどこか』よ。」

 

「・・・もしかして・・・それ以上は

わからないのか・・・?」

 

ようやくモガ丸が口を開き、アタシ達全員の

胸中に浮かんだ質問をゼンチャンに

投げかける。

と、そこへオリオリが割って入った。

 

「モガ丸さん、いいではありませんか、

ビナビ諸島のどこか・・・それだけ分かれば

十分です。

闇雲に探さなければいけない事を思えば

・・・ビナビ諸島地方に限定していただいた

だけでも十分ありがたいです・・・

ゼンチャンさんっ!

ありがとうございます!

本当に助かりました、このお礼はいずれ

必ず・・・」

 

そうね、魔星王の眠る場所を伝えてくれる

はずだったセアドのメッセージがインプット

されていた青雲のオーブ、それをボロンに

壊された時はもう!

この星中を探さなきゃなんないのかと、

絶望しかなかったもんね。

それがハッキリとその、ビナビ諸島に

眠ると分かっただけでもめっけもんだわ!

 

オリオリがゼンチャンにお礼を言いかけた

その時・・・。

 

「ま、待ってっ!」

 

??

ゼンチャンの様子が急変した。

ど、どうしたのかしら、何かに怯えている?

・・・えっ!!!

な、何、この邪悪な気配はっ!?

 

ゼンチャンが急に怯え出したのと、ほぼ

同時にっ!

アタシの中の星見るチカラが、巨大な邪悪

なオーラを感じ取ったっ!

しかもこのオーラはっ!!

燃え滾る真っ赤な意志をも含んでいるっ!!

このオーラを・・・アタシは知っているっ!!

 

以前にアタシはこのオーラの持ち主と

対峙した事があるっ!!

これって・・・!!!

 

「あわわわわ・・・じゃっ邪悪な何かが

ここにやって来るっ!

な、何者なのっ!!??

チャッ、チャングーっ!!

こっち来てっ!!!」

 

「あ、あいよぉっ!!」

 

ゼンチャンが半透明のままのチャングーを

呼び寄せるっ!

邪悪なオーラの持ち主の正体を霊視しよう

っていうのっ!?

けどっ!

アタシはそれが誰なのかわかってしまった

・・・まさかアイツがっ!

何の用で此処にっ!?

 

「ぬぬぬぬ!

全知全能ゼンチャンが拝見しましたっ!

邪悪なオーラを放つ者が此処にやってくる

っ!その者はっ!

白いスライムを従え銀の仮面を被った

・・・。」

 

やっぱりっ!!

キッ!!

 

・・・アタシは、この赤く燃えながらも

以前より邪悪さを孕んだオーラを感じる

方向、バルコニーのある窓の方を睨み

つけたっ!

 

「えっ!?

あ、アナタは・・・!ボロンッ!!!!」

 

宇宙王の書の女性が真っ赤で邪悪なオーラ

の持ち主、自身の幼馴染の名を呼んだっ!

そう・・・窓のそばに・・・白いスライム

ナイト・ピエール、オリオリの幼馴染、

義勇軍を裏切ったボロンが立っていたっ!

 

ビュウウウウン

 

ボロンが此処に入ってくる時に窓を開けた

のか・・・竜巻が巻き起こす強い風が

部屋の中に入り込んできた。




***登場人物紹介***
・リザ
本編の主人公。つまりアタシ。職業は賢者。
偉大な魔道士を目指し冒険を通じ日々修行
しています。
理不尽な事がキライで宇宙政府の汚いやり方
等を聞かされるとちょっと、ほんのちょっと
気性が荒くなる、と言われます滝汗
恋愛には疎く恋バナはニガテです。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスターで剣が得意。
彼もアタシ同様、日々修行を欠かさずどん
どん強くなっていて、そのスキルの強さには
もうアタシでもかなわないわ。
アタシも負けてられないっ!

・レイファン
末の妹。職業はスーパースター。
回復行動やオンステージというサポート行動
が得意。
こだまする光撃という最高のサポートスキル
でアタシやジョギーの攻撃を最大限に強く
してくれます。

・モガ丸
アタシ達の冒険の最初からの友達。
戦闘は得意ではないけど見え〜るゴーグルで
宝物を発見したり移動呪文ルーラで冒険の
移動を助けてくれたり、と冒険のサポートを
してくれる。
種族はモモンガ族で一族には悲しい過去が
あったけど、それを乗り越えて今なおアタシ
達と一緒に冒険を続けてくれてるの。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉は通じないけどモガ丸だけはスラッピ
の話している事がわかるの。
ただ、トラスレの聖水を飲む事でアタシ達
とも会話ができるようになり、実はコテコテ
の関西弁を話す事が判明。
モガ丸のワガママで関西弁で話す事は禁止
されてるけどʅ(◞‿◟)ʃ

・オリオリ
宇宙王の書という本にワケあって閉じ込め
られている美しい女性。
その正体は宇宙王の末裔。
圧政を敷く宇宙政府を倒すため義勇軍という
レジスタンス組織を作り反政府運動を続けて
いる。義勇軍の総司令官。
実は既婚者でセアドという夫がいるの。
義勇軍親衛隊長ボロンとは幼馴染だけど
ボロンが義勇軍を離れ宇宙政府に参加した
上にオリオリに愛の告白をした事により衝撃
を受けてしまったの。

・コッツ
義勇軍3番隊隊長。
3番隊は政府軍に捕虜として連行されていた
けどベェルの町でついに全員無事で発見され
救出された。
コッツは冒険のさなかも部下達の安否に心を
砕いていた。
無事の救出でようやくコッツの心の闇は完全
に取り除かれた。
アタシ達と行動を共にするうち、アタシに
強い憧れを抱くようになったらしい\(//∇//)\

・ゼンチャン
全知全能のチカラを持つと言われている人物。
その正体はオネエだったガーン
その能力ゆえ幾度となく宇宙政府に命を
狙われ処刑寸前に。
アタシ達は心ある宇宙政府の役人コモゴモス
の協力もあり、なんとかゼンチャンを救出
する事に成功したの。
その全知全能の能力とは!
チャングーという相棒のスライムと協力して
行う霊視だった!
彼女(彼)はホンモノだった!
ただアタシはどうしても彼女(彼)のキャラが
受け付けられなくて、極力絡むのを内心避け
てるの、これ内緒だけどね:(;゙゚'ω゚'):

・チャングー
ゼンチャンの相棒のスライム。
ゼンチャンがその能力を発揮するためには
チャングーの身体を媒介しなきゃいけない。
イコール2人で1つのコンビなの。
宇宙政府はそこに目をつけチャングーの事
も捕らえて監禁していた。
スラッピと同じく何故かコテコテの関西弁
を話すの( ̄◇ ̄;)

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