魔道士リザの冒険譚(星のドラゴンクエストStory冒険日誌)   作:ジョギー

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アタシは魔道士リザ。
ブルリア星の2代目冒険王姉弟の1人。
かつて全宇宙を平和に治めていた宇宙王。
その末裔であるオリオリは・・・
現在、全宇宙に君臨する邪悪な組織
『宇宙政府』、これに反抗する為
レジスタンスグループ『義勇軍』を率いて
打倒宇宙政府を目指していた。
アタシ達姉弟は義勇軍に参加しオリオリと
共に宇宙政府を打倒する為ここ惑星クラウド
での冒険を続けているの。
さて本日の冒険日誌^_^



エピソード10.「乙女の失恋」

手にした者にとてつもないチカラを与える

というオーブ。

都市伝説の類か、それとも本当に存在する

のか・・・。

 

真偽のほどはともかく、自らの強さを追い

求める戦士達がオーブを信仰するという現象

が起きていると告げた謎の少年。

 

彼は何者だったのか?

ピエールは祠の前で出会った少年の事を

・・・すぐさま意識から除外するには

至らなかった。いや、除外できなかった

ようなの。

 

「・・・ところで。

ゼンチャン、チャングー、政府の重大な

秘密は?他に何かわかったのか?」

 

「う〜〜ん、だってスキャンダル程度

だったら却下するんでしょう?

・・・でも・・・これはどう?

政府はあんまり関係ない話だけど。

政府に味方しようとしたある国王の秘密

ってネタ。」

 

「政府に味方しようとした国王?

なんだそれは?」

 

「ヨンツゥオ大陸の沖合に浮かぶマタセ島

っていう島国の王様なんだけど。」

 

(「・・・!マタセ王っ!

オレが政府に味方するよう説得したあの

マタセ王かっ!?」)

 

「マタセ王の事だな?

彼がどうしたというのだ?」

 

「それがねぇ。

この王様・・・聞いて驚かないで。

彼、政府に味方するって決心したのち、

なんと魔物になっちゃったらしいのっ!」

 

(「あぁ、その話か。

驚くもなにも・・・彼が魔物化の要望を

伝えたのは他ならぬオレだ。

チッ!何かと思えばそんなくだらん話か、

ゼンチャン・・・コイツ、使えそうに

思えて使えんヤツだな。」)

 

「どうやったら人間が魔物に変貌するのか、

それが気になったんで調べてみたの。

そしたら・・・。」

 

(「・・・星屑魔法団の持っている秘術

だろう。この星のコアを魔星王に変えた

という秘術を使いマタセ王は魔物化した

と聞いている。」)

 

「“邪心のオーブ”っていうアイテムのチカラ

で魔物になっちゃったんだって!」

 

「な、何っ?

邪心のオーブだと!?

何だそれは?マタセ王が魔物化したのは

星屑魔法団の秘術を受けたからだと聞いて

いる、王自身もそう申していたはず・・・」

 

「え、そうなのっ!?

ピエール様えらく詳しい事知ってるのね。」

 

「・・・実は・・・マタセ王を宇宙政府側

に付くよう説得したのは私なのだ。

その見返りとして自身を魔物化したい、

という望みを私に伝えてきた。

それゆえ私は星屑魔法団に彼の望みを

叶えるよう指示した。」

 

「えぇっ!!

ピエール様がこの件に関わっていたっ!?

あぁ、それでそんなに詳細を知ってるのね。」

 

「あぁ。しかし私が知る限り、魔法団は

別の方法で王を魔物化させたと聞いて

いたのだが・・・。

邪心のオーブなる名前は初めて聞くワード

だ。

ゼンチャンッ!その情報は確かなのかっ!?」

 

「えぇ、ワタシとチャングーが調べた事で

誤りがあった事は今までないわ。

そのオーブは・・・被験者に対し絶大な

チカラを与えるとともにとてつもない

邪悪な心をも喚び起させてしまうっていう

シロモノらしいわね。

チカラを持ち、邪悪な心に支配される・・・

確かに魔物のごとき存在だわね、オーブに

支配された者は。」

 

(「絶大なチカラを与え邪心を呼び起こす

・・・オーブ・・・も、もしや・・・

先程の小僧が言っていたオーブ信仰とやら

の・・・まさにそのオーブ様がっ!

邪心のオーブと呼ばれるアイテムの事

かっ!?」)

 

「ゼンチャン、そのオーブについて

もう少し詳しく調べられないか?

もしやその邪心のオーブとは、この大陸の

ジグゾナ半島に於いて信仰の対象に

なっていたりはしないか?」

 

「わかったわ、もう少し調べましょう。

チャングーッ!」

 

「あいよぉ!」

 

ゼンチャンとチャングーがさらに霊視を

行う。

しかし邪心のオーブですってぇ!?

そんなモノが本当にあったら大変

じゃないっ!

人間をどんどん魔物化させてしまう・・・

まさに魔物量産機、恐るべきアイテム、

悪魔のようなオーブじゃないのっ!

 

「全知全能のオンナ、ゼンチャンが拝見

しましたっ!」

 

「おうっ!で、どうだっ!?」

 

「ピエール様の言う通り、邪心のオーブは

このボォフゥ大陸東部に位置するジグゾナ

半島で篤く信仰されているそうよ。

かなり古い時代からオーブは存在していた

という記録があるそうで、強きチカラを

人々に与える、という部分のみが独り歩き

し徐々に信仰心を集めていったみたいね。」

 

「・・・やはりっ!

するとあの小僧が申していた話は事実

だったという事かっ!?

自身のチカラの何倍もの強さを得ることが

でき、代わりに邪心に支配されてしまう

・・・くだらん迷信ではなかったと。」

 

「あの小僧・・・?」

 

「あぁ、先程私が散策に出た折、そこの

祠の前で出会った少年だ。」

 

「えぇ??

だから・・・そこの祠の前にはピエール様

はおろか、誰も居なかったと思うんだけど

・・・?」

 

(「むう、此奴本当にオレ達の姿が見えなか

ったのか・・・?

まぁいい、今はそこに構っている場合では

ない!」)

 

「・・・まぁいい。

その小僧が言っていた事と今そなたが

霊視した事と内容が合致した。

強きチカラと黒きココロを与える邪心の

オーブ、それはこのボォフゥ大陸に実在

した、という事だな。」

 

「ワタシの霊視はそう告げているわ。

そしてピエール様は実際に魔物化した

マタセ王を見たのかしら?

もし見たんだとしたら・・・実在する

って事になるわね。」

 

「ふむ、しかしひとつ引っかかる事が

ある。

マタセ王を魔物化に導いたのは星屑魔法団

だ、これは間違いない。

しかし何故、魔法団は秘術ではなく、邪心

のオーブを使用したのか?

そして邪心のオーブは、この大陸のジグゾナ

半島に眠る、という伝承が残っている。

魔法団が何故それを手にしているのか、

という疑問も残るわけだ。

邪心のオーブは今は魔法団が所持している

のか?それともジグゾナ半島にあるのか?」

 

「それも霊視してみる?」

 

「あぁ、頼む。」

 

「はぁい。

ったくピエール様、ホンットに人遣いが

荒いわ〜!」

 

「そんなん言いながらちょっと嬉しそう

やないかいっゼンチャンッ!」

 

「うふふ、だってやっとワタシ達が拾って

きたネタに食い付いてくれたんですもの、

さぁやるわよ!チャングーッ!」

 

「あいよ〜。」

 

ゼンチャン達は邪心のオーブの現状を

調べる為、何回めになるのかわからない

霊視を始めた。

 

「全知全能のオンナ、ゼンチャンが

拝見しました!

ピエール様、邪心のオーブはジグゾナ半島

に安置されたままよ。

オーブを祀るお城があるみたいなんだけど

そこから動いてはないわ。」

 

「・・・では魔法団は・・・セアドは

いかにして半島にあるというオーブを

遠く離れたマタセ島で使用する事ができ

たのだ?

王に使用したのち元の場所に戻したとでも

言うのか?

なにゆえ、そのような回りくどい事を

する必要があったのだ?」

 

「それがねぇわからないの。」

 

「なに?」

 

「星屑魔法団とか団長セアドについても

調べてみたんだけど何故かワタシの霊視に

引っかからないのよ、こんな事初めて

だわ、宇宙政府の内情だってワタシは

見抜く事ができるのに・・・。」

 

「・・・邪心のオーブについて調べられる

と何かマズイ事でもあるのか?

セアド・・・アイツなら何かしらおかしな

魔法や術を使ってそなたの霊視にかからぬ

ような対策を取っていても不思議では

ない・・・これは調べてみる価値があり

そうだな。」

 

「ワタシの能力に引っかからないです

ってぇ!!??

そ、そんな事できるのっ!?」

 

「分からん・・・しかしヤツは・・・

セアドは底知れぬ男だ。今も昔もな。

ヤツは・・・出身地である惑星イリスの

魔法学院でもトップクラスの実力を

持っていたという。

どういう術かは知らぬが、それぐらいの

事は平然とやってのける男だ。」

 

「えぇぇっ!

な、なんか悔しい〜〜〜!

こんなの勝ち負けとかあるわけじゃない

けど・・・なんか負けた気分・・・。」

 

「ゼンチャンよ、私はジグゾナ半島に

赴き邪心のオーブについて調べてみよう

と思う。」

 

「そうね、ここまでオーブについて

調べたんだから、オーブがどんなシロモノ

か気になるわよね!

あぁ、次は古き信仰が行われている

秘境の地をピエール様と旅するのね〜、

ロマンチック・・・❤︎」

 

「・・・いや、悪いがゼンチャン・・・

そなたらと行動を共にするのは此処まで

だ。ジグゾナ半島には私1人で向かう。」

 

「えっ?な、なんで?

えっ、えええーーーーーっ!!

なんでっ!?どうしてよぉっ!!」

 

「邪心のオーブ・・・得体の知れんシロモノ

だ。ここから先はゼンチャンらには危険

すぎる冒険になろう。故に私1人で向かう。

ゼンチャン、チャングー、世話になった。

連れ回して悪かったな。

もう今からは自由だ、館に戻るがいい。

政府の手の者に見つからぬよう気を付けて

な。」

 

「そっ、そんなぁっ!

勝手よっピエール様っ!!

アナタの方から言い寄ってきたクセにっ!

私のモノになれだなんてっ、あんなに

アツイ告白をしたクセにっ!

初めから遊びだったのっ!?

弄ぶつもりでワタシに近寄ったのっ!?

なんとか言いなさいよっ!!」

 

「・・・。」

 

「ゼ、ゼンチャン〜〜〜、多分あの時、

館に居てた全員がわかってたと思うで、

ピエールはんの腹づもり・・・。

全知全能のチカラだけが目当てやったん。

ゼンチャンだけやと思うわ、騙されてたん。」

 

「えぇっ!?やっぱりっ!?

やっぱりそうなのっ!?

ワタシ、ピエール様に弄ばれてたの!?

チャングーっ!そうならそうと、なんで

その時ワタシを止めなかったのっ!?」

 

「はぁっ!?アホかっ!!

あっちゅー間ぁにイチコロに落ちてしも

たんはゼンチャンやでっ!

ほんで有無を言わさんとわいも道連れに

したん誰やっ!

止めるヒマらなかったわっ!

それに・・・ピエールはんのここまでの

行動見てたらよぉわかるぅっ!

オリオリはんの事、めーっちゃ惚れてる

やんっ!

オリオリはんとの思い出の場所、魔物の

アジトになってしもてるの、だいぶ腹に

据えかねたさかい、あないに必死に取り

返そうとしたんやでぇ。

見てたらわかるやん、ゼンチャンなんか

眼中にないのん。」

 

「う、う、うぅぅぅ。

ひ、ヒドイわぁぁぁぁ!

こんなに麗しくて美しい乙女の心を踏み

にじるだなんてぇっ!

オリオリちゃんなんかよりよっぽど美しい

ワタシを捨てるだなんて・・・!

う、うぅぅぅピエール様のバカァッ!!」

 

「あっゼンチャンっ!

どこ行くねーーーーーーんっ!!」

 

・・・勝手に惚れて勝手に失恋したゼン

チャンが泣き喚きながら何処ぞへ走り去

っていった・・・。

うん・・・チャングーの言う通り、アタシ

達全員わかってたわよ、ピエールの腹の

内なんか。

ってかピエールはそんなシュミ持ってない

だろうし、オリオリにベタ惚れだし( ̄◇ ̄;)

 

「あ〜あ、どっか行ってしもたぁ。

ピエールはん、ほやさけぇ罪な事あんま

言わんといてほしかってん。

宥めんの大変やでぇあれ、誰が宥めると

思てんねん・・・。」

 

「・・・すまんなチャングー。

ゼンチャンに逃げられると困るんでな、

ついつい調子のいい事を言い続けてしま

った・・・。」

 

「ほんまにぃ。

アレでも体は男やけど心はれっきとした

乙女や。あんた、乙女心っちゅうのん

わかってはりまへんなぁ。

たとえ相手がゼンチャンでも乙女心っちゅ

うのは女子はんみぃんな同じやで。

そんなんやったらオリオリはんの心

掴むことできまへんでぇ。」

 

「・・・そ、そういうものなのか?」

 

「ほれ見てみぃっ!

もうハナからわかってへんやんっ!!

オリオリはんの事想うんやったら戦いの

事だけやのぉてソッチのほうも気張りや

ぁ!

ってまぁ、ゼンチャンの事はもうええわ。

それより・・・あんたホンマに邪心のオー

ブ、探しに行くんか?」

 

「あぁ、星屑魔法団の真意も気になる。

それに・・・強きチカラを与えるという

オーブ・・・正直怖くもあるが惹かれる

気持ちも皆無ではない、というのが本音

だ。」

 

「えぇっ!?

オーブに支配されたら邪悪な魔物になって

しまうんやでぇ!?

アンタそうまでして強ぉなりたいんか?」

 

「いや、魔物になるなど真っ平ゴメンだ。

しかし1戦士として、強きチカラに惹かれ

る・・・これだけはどうしようもない本

能なのだ。」

 

「・・・まぁ、わいには逆立ちしても

わからん気持ちやけどな。

せいぜい気張りぃ。

アンタがこの先、何を目指すんか知らん

けどぉ、魔物になってしまうんだけは

やめときや、ならんよぉに努力しぃや。

魔物になんかなってしもたら、それこそ

オリオリはんと幸せになるやなんて

無理な話になってしまうんやさかいなぁ。」

 

「フッ私は別に、オリオリとどうこう

なろうなどとは思っておらん。

ただ彼女が幸せならいい、それを見守る

事さえできればいいのだ。

何より、オリオリには既にセアドという

夫がいる。無粋な話だ。」

 

「・・・そうやってカッコつけてんのか

自分に嘘ついてんのか知らんけど、

それが周りに迷惑かける事もあるっちゅう

の、覚えときや。」

 

「どういう事だ?」

 

「さぁ?

そういう事もあるっちゅう喩え話や。

まぁわいは館に戻れるさかい、ここで解放

してくれるぅゆうんはありがたい。

ほなな、ピエールはん。

くれぐれも気ぃ付けてなぁ。」

 

「世話になったな、チャングー。

ゼンチャンにもよろしく伝えてくれ。」

 

「はいヨォ〜。

ゼンチャ〜〜〜ンッ!!

いつまで泣いてんね〜〜んっ!!

帰るで〜〜〜〜っ!!!」

 

チャングーが走り去ってしまったゼンチャ

ンを探しにいく。

ピエールはその後ろ姿を無言で見送る。

奇妙な3人の冒険は此処で終わりを告げた。

 

ピエールは邪心のオーブを調べる為、

ジグゾナ半島へ向かう事を決意し、その

足を東へ向けた。

 

とうとう、ピエールが邪心のオーブの

存在を認識してしまった。

それは・・・この先のアタシ達に起こる

悲劇・・・それを生む選択だったの。

運命に向かって歯車は・・・暗い暗い

歯車は回り始めてしまったの。

 

と。

祠の森の遥か上方。

ピエール達を見下ろせる高台に、彼らを

遠目に観察する人影があった。

 

「フフ、思っていたよりは食い付きが

良くなかったみたい。

けどやっぱりオーブが気になるみたいだね

ピエールさん。」

 

人影はボロのフードとローブを纏ってい

た。

祠の前でピエールと話をしていたあの

少年だった。

少年は懐から水晶珠を取り出し何やら

ボソボソと呪文を詠唱した。

珠はうっすらと白み淡い光を放つと・・・

珠の中に人影が映し出された。

 

『・・・マビトか・・・如何した?』

 

「はっ!

ピエールの件、任務完了いたしました。

ヤツはこれからジグゾナ半島に向かう

ようです。」

 

『そうか、かかったか。

よし、ご苦労だった。

これ以降は隠密としてヤツを監視するよう

申し伝える。

“無事に”ヤツがオーブを手に入れる事が

できるよう取り計らえ。』

 

「ははっ!

・・・しかし・・・思ったよりもピエール

はオーブに対し興味を示しませんでした。

計画通り上手く事が運ぶのでしょうか?」

 

『・・・フフ、プライドの高い男だから

な〜。

マタセ王が我々の手により魔物化したと

いう事実にヤツは嫌悪していたのだろう。

一国の主が浅はかにも安易にチカラを

求めるという発想、行為にな。

ゆえに自分が軽蔑した男と同じ方法で強く

なりたいなどと、プライドが邪魔をして

口が裂けても言えなかったのだ。

フッどこまでも小さな男よ。』

 

「なるほど・・・そういう事でございまし

たか。」

 

『しかし結局のところオーブに興味を

示した。

どうせピエールの事、なんのかんのと

それらしい理由を拵えて自分の行動を

正当化していることだろう。

ヤツの心には負の感情が渦巻いている。

ブルリア星の冒険王らに敗れ彼女らの

強さに嫉妬しているのだ。

自分はあんな田舎者に負けたままで

いたくない、という妬みの感情がな〜。

オーブを前にした時、その負の感情を

必ずやオーブに嗅ぎつけられ否が応でも

ヤツはオーブに支配される。

フフ、冒険王らのお陰で邪心のオーブ

のチカラは成長する、彼女らには感謝

せねばな。』

 

「さすがセアド様、その慧眼、恐れ入り

ます。」

 

『うむ、ではまたの報告を待っている。』

 

「ははぁっ!!」

 

このマビトと呼ばれた少年はっ!?

セアドの部下っ・・・?

あ、星屑魔法団の団員かっ!?

 

セアドはピエールと邪心のオーブを使って

何を企んでいるのっ!?

なんかどう見ても黒い・・・邪悪な意志

を孕んだ交信だったけど・・・!?

 

バッ!!

 

マビトは立ち上がり纏っていたローブを

脱ぎ捨てた。

ローブを脱ぎ捨てたその姿は。

濃い藍色の生地に何やら紋章が刺繍された

立派な装束に包まれていた。

 

その紋章は・・・見覚えがある。

確かそうっ!

青雲のオーブでの姿しか見たことがない

けど・・・セアドが着ていた装束にも

デザインされていたモノと同じっ!

おそらく星屑魔法団の紋章っ!

 

やはりマビトは星屑魔法団の団員、

しかも隠密兵っ!

と、マビトは両手を広げ何やら術を

行使するそぶりを見せ始めた。

掌がうっすら淡く光る。

 

するとマビトの遥か下方、そうっ!

彼とピエールが話をしていた祠の辺りが

再び濃い靄に包まれたのっ!

 

【挿絵表示】

 

モワァァァ・・・・

スゥゥゥゥゥゥ・・・・

 

あっという間に靄が濃くなり祠を覆った

かと思うとすぐさま靄は引いていき、

元の様子に戻った。

 

しかしそこにはっ!

それまで存在していたはずの祠がっ!

消えて無くなっていたの。

 

まさかっ!

あの祠自体が幻術っ!?

マビトがピエールを誘い込む為に創出した

空間っ!?

だからゼンチャン達にはピエールとマビト

の姿が見えなかったのっ!?

 

「フフッ、さぁピエールさん。

頑張って試験をクリアしてくださいよぉ。

でないとオーブは手に入りませんから

ね〜。」

 

???

何やらマビトは意味不明な言葉を呟いた。

その頃、まだ星雲の洞窟にも辿り着いて

いなかったアタシ達には当然、わかりも

しない話・・・。




***登場人物***
・ゼンチャン
麗しき全知全能のじょ・・・いえ、男性
・・・いややっぱり女性。うん、つまり
オネエねガーン
相棒のスライムベス、チャングーを媒体とし
た霊視こそが彼女(彼)の全知全能のチカラ。
そのチカラは宇宙政府の隠したい内情すらも
暴くほどの性能。
しかしそのチカラゆえ命を狙われたり、チカ
ラ欲しさに拉致される事もしばしば。
現在はピエールに身柄を拘束されている。
もっともゼンチャン本人はピエールから愛の
告白をされたとソッコーで勘違いしてしまっ
たので、喜んでついて来てるんだけどね:(;゙゚'ω゚'):

・チャングー
ゼンチャンの相棒のスライムベス。
コテコテの関西弁を駆使する。スラッピも
人間の言葉を話すときは関西弁・・・。
スライム達の公用語なのかしらびっくり
その体を水晶玉代わりにしてゼンチャンの
霊視能力の一端を担う。
意外にも(?)人情肌であり常識を持ち、また
女心すらよく理解しているふうでもあるみた
いね。ピエールとの別れ際では彼を諭すよう
な話をいくつもしていたわ( ̄∀ ̄)

・ピエール
元義勇軍親衛隊長でありオリオリの幼馴染、
ボロンが宇宙政府に寝返った姿。
武力で打倒宇宙政府を目指す義勇軍の方針
に異を唱え政府の政策を平和主義に変革させ
宇宙に平和をもたらそうと考えている。
理由は・・・幼馴染のオリオリに惚れている
から・・・義勇軍が政府に反抗を続ければ
やがてオリオリの生命が危険にさらされる
と危惧し、打倒政府路線をやめ内政変革路線
を推し進めようと考えたからなの。
しかしオリオリは既婚者。そして彼は内々で
正体を隠し政府に寝返った。その行動全てが
タブーを犯してしまっている。
周囲からの非難は避けられないものであり、
当然アタシもピエールとは主張、考えが全く
合わず顔を合わせれば言い争いが絶えない
のo(`ω´ )o

・マビト(オリジナルキャラ)
サロイクン山脈を成す山々に住む少年・・・
というのは仮の姿で、その正体は星屑魔法団
の団員。幻術を得意とし、幻術で創り上げた
空間でピエールに“邪心のオーブ”というアイ
テムに興味が向くように仕向けたの。
そこにはもちろん団長であるセアドの意向が
働いている。けど今のところ真意は不明。
全くもって不気味だわ:(;゙゚'ω゚'):

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