魔道士リザの冒険譚(星のドラゴンクエストStory冒険日誌)   作:ジョギー

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アタシは魔道士リザ。
ブルリア星の2代目冒険王姉弟の1人。
かつて全宇宙を平和に治めていた宇宙王。
その末裔であるオリオリは・・・
現在、全宇宙に君臨する邪悪な組織
『宇宙政府』、これに反抗する為
レジスタンスグループ『義勇軍』を率いて
打倒宇宙政府を目指していた。
アタシ達姉弟は義勇軍に参加しオリオリと
共に宇宙政府を打倒する為ここ惑星クラウド
での冒険を続けているの。
さて本日の冒険日誌^_^



エピソード11.「嫉妬に狂う3番隊長」

ピエールが邪心のオーブの秘密を探る為ジグゾナ

半島へ出発した頃、アタシ達はようやく星雲の

洞窟へと辿り着いたところだった。

 

「あぁ〜懐かしい〜。そうです、この星雲の

洞窟にも私とボロンはよく遊びに来ていました。

此処にも、此処にしか咲かない花があって

よくそれを摘みに訪れていたのです。」

 

書からオリオリが現れ幼少期を過ごした洞窟に

思いを馳せる。

 

「・・・オリオリ様、お懐かしゅう思い出を

懐かしむお気持ち、理解いたします。

が、急いで洞窟内部を探索しピエールから

ゼンチャン殿達を救出せねばなりません、

急ぎましょう。」

 

「あ、はいっ!ごめんなさいっ!

そうですね、思い出に浸っている場合では

ありませんでした!

コッツ、リザさん達、急ぎ洞窟内へ突入

しましょう!」

 

そうね、ゼンチャン達はピエールにとって

利用すべき存在だと思うけれど、いつ用済み

と判断されるかわからない。

その後、どんな扱いを受けるかは定かじゃ

ないもの、急ぐに越したことはない。

まぁ、いくらピエールでも・・・戦士ではない

ゼンチャン達にヒドイ事するとは思えないけど。

魔物が此処を根城にしてるっていう話だしね、

急ごう!

 

アタシ達は洞窟内に突入した。

・・・けど、そこには迫真の洞窟で見た光景と

同じモノが広がっていた。

魔物達の遺骸がそこかしこに転がっていたの。

 

此処もやっぱりピエールが・・・いえ、ボロンと

呼ぶべきか・・・彼が既に巣食っていた魔物達を

一掃した後なのか!?

・・・彼の気配・・・それも既に微量なモノしか

感じない。

もう此処にはいないんだろう。

スラッピの方はどうかしら?

 

「ピピッピピピピーッ!!」

 

「モガ、リザ。

チャングーのニオイは確かにこの洞窟の奥へと

続いている、とスラッピが言っているぞ!」

 

やはりボロンが此処の魔物達を倒したのは間違い

ないみたいね。

アタシは奥へ進む必要はこれ以上ないと思い

ながらも、何か手がかりや痕跡が残っているかも

しれないとも思ったのでそのまま黙って行軍を

続けた。

 

洞窟内ではいくつか道が交差していて分かれ道

になっていたけど、スラッピの鼻を頼りに迷う事

なく最深部まで辿り着く事ができたの。

 

「モガ〜、やっぱりこのフロアにも魔物達の

遺骸しか転がってないな。

ピエールがやっつけたんだろうな!」

 

「ピピッ!」

 

「けど・・・此処も花がたくさん咲いてるな〜!

魔物達の遺骸さえなければ、さぞ綺麗な光景

だっただろうにな!

よくよく考えれば洞窟内って事は太陽の光が

差さないのに、こんなに花が咲き乱れるって

いうのは不思議なもんだな〜!」

 

書からオリオリが現れる。

 

「そうなんです、迫真の洞窟にしてもこの洞窟

にしても、不思議な事に花がほぼ年中咲いている

んです。

幼い頃の私もボロンも、その不思議さなど考えも

しなかったのですが。

美しい花が見られる、ただそれだけが楽しみで

訪れていただけなのです。」

 

洞窟の最深部のフロアには、やはり何体かの

魔物達の遺骸が転がっていた。

そして迫真の洞窟に咲いていたのとはまた

別の花がたくさん咲いていた。

魔物に汚されようとも懸命にその生命活動を

行う、という強い意志を花達は抱いているように

アタシには感じられた。

 

「此処に咲いている花はクラウドパンジーです。

非常に沢山の色種があり、また例えば同じ赤で

あったとしても微妙な色合いの違いのモノや花弁

の中心と端で違う2色のツートン色のモノもあり

観るものを楽しませてくれる花です。

クラウドケイトウも美しいですが、私はこの

パンジーの方をより好みました。

あぁ、皆さんすみません・・・やはりこの洞窟

での記憶は私にとって大切なもののようです、

自然と当時の記憶が蘇ってきてしまいます。」

 

クラウドパンジーと呼ばれた花は確かに様々な

色のモノがありアタシでも鑑賞していると楽しい

気分になってきた(*´-`)

幼いオリオリが此処へ通いたくなる気持ちはよく

わかる。そして此処で過ごした思い出を懐かしむ

気持ちもね。

 

「モガ〜、それなのになぁ・・・余計なモノが

転がってるよなぁ・・・モガッ!よしっ!

オイラいい事思いついたぞ、リザ達っ!

このフロアの分だけでも魔物の遺骸を埋めて

やろうぜっ!そうすればオリオリも心置きなく

パンジーの鑑賞ができるってもんだ!」

 

!!

あぁ、そうね!

ちょっとこのままじゃ確かに花を愛でる気分には

なれないもの。それに。

憎き宇宙政府の魔物とはいえ、生命を終えた者達

には等しく供養をしてあげないと。

 

モガ丸ッ!

たまには良いこと思いつくじゃない!

 

「ヘッヘ〜だろ?

って!たまにとはなんだ、たまにとはっ!」

 

「ピピ〜ッ!」

 

「え、なんだって?リザの言う通り、だって!?

モガーっ!スラッピまでそんな事言うのかよぉ!!」

 

と。

モガ丸をいじってはみたものの、確かに妙案

だった。

アタシ達は早速、魔物達の遺骸を埋める穴を掘り、

数体の遺骸を埋め供養をしてやった。

 

「ふぃ〜、自分が言い出したものの、なかなか

疲れたな。

けど!

どうだ?オリオリ、これで心置きなく花を楽しむ

事ができるだろう?」

 

「・・・モガ丸さん、皆さん、私のために・・・

時間もないというのにすみません、

ありがとうございますっ!

洞窟の花の鑑賞など完全な私事なのに・・・。」

 

ハァハァハァ・・・!

た、確かにちょっとくたびれたけど!

これでパンジーの鑑賞を邪魔する異物は視界から

消えた。

 

オリオリは。

リーダーとして常に公私を分別する人間。

昔の思い出を大事に思っているとはいえアタシ達

が自分の為に労力と時間を割いた事にえらく

恐縮しているようだった。

 

いいのよ、だって此処のパンジー達、ホント

にキレイで鮮やかだもの。

オリオリだけじゃなくてアタシ達女子メンバー

だって花を純粋に鑑賞したいもの。

ねぇ?レイファンにコッツ。

 

「うんっ!ホントに綺麗だね、此処の花っ!

オリオリさんがよく通ったっていうのわかるよ

私もっ!」

 

レイファンが屈託のない笑顔を見せて言う。

 

「・・・そうですね、とても綺麗な光景。

オリオリ様のお気持ち、このコッツにも理解

できます・・・。」

 

・・・コ・・・ッツ・・・?

あら、なんだか生返事ね、コッツ。

どうしたんだろう?

魔物の遺骸処理で疲れちゃったのかしら?

 

アタシはコッツの返事がどこか上の空なカンジ

がして少し気になってしまったの。

それはジョギーとレイファンも同じでアタシ達

姉弟は思わず顔を見合わせてしまった。

 

しかしオリオリは。

ようやく純粋にパンジーの鑑賞に集中できる

ようになったからか、花々のほうに意識を集中

しているようだった。

そしておもむろに幼少期の思い出話を始めたの。

 

「・・・幼い頃の私とピエール・・・いえ

ボロンは。よくこの洞窟を訪れていました。

・・・ボロンは・・・大きくなったらアレスの

聖剣に入隊したいと言ってた、という話は先日

お話しましたね?

そう、まさにこの洞窟で。

彼は私にそう約束してくれたのです。

『オリオリだけのアレスの聖剣になる』

って・・・。」

 

オリオリがボロンとの幼少期の思い出を語る、

それはもう独り語りという様相だった。

アタシ達他人が入り込む余地はなさそうに

感じられた。だからアタシ達は黙ってオリオリの

話を聞いていた。

 

「・・・それなのに・・・どこでどう間違えて

しまったのでしょうか?・・・すみません、

みなさん。

私は、私の中では・・・!

やっぱりまだ消化し切れていない部分がある

ようです・・・。

ボロンがピエールとなり宇宙政府の・・・手先

になるだなんて・・・!

ここで過ごした日々が永遠に続くものだと

・・・!

未来で・・・て、敵味方に分かれるだなんて

・・・あの頃には想像もできなかった・・・

いえ、今だって受け入れられない部分がある

のです・・・!

こんな私はっ!あの頃から何も変わっていない

のでしょうか?

成長もせず、まだ子どものままなのでしょう

かっ!?」

 

オリオリの独り語りは続き、やがて感極まった

のか涙が溢れていた。

オリオリ・・・。

貴女そこまで自分を押さえ込んでいたのっ!?

ボロンの事でそこまでショックを受けていた

だなんて。

 

確かにこの大陸に入ってからの貴女の様子。

今までとはショックの度合いが違うなって、

付き合いの浅いアタシでも容易にわかるほど

だった。

けど、崩れそうになる度に凛々しく立ち直って

いたんだと思っていた。

 

いや、そう思いたかったんだ、アタシが。

オリオリは公人、そしてアタシ達のリーダーだ、

いくら幼馴染の裏切りに遭ったとしても・・・

最後には立ち直る、どこかアタシはそう思い

たかったんだ。

 

公としてのオリオリは確かに立ち直ったかも

しれない。

けど今目に前にいるオリオリは明らかに私人、

私としてのオリオリは・・・まだまだ打ちのめ

されたままだったんだ。

 

幼少期の楽しい思い出が詰まったこの場所も

・・・さらに私としてのオリオリの現状を残酷に

打ちのめしてしまったのかもしれない。

 

あまりのオリオリの気落ちぶりに・・・パンジー

の鑑賞に集中させた事をアタシは後悔し始めて

いた。

それほどオリオリの落胆ぶりは大きかったの。

 

ザッ

 

と。足音が聞こえた。

誰かが落ち込むオリオリの前に進み出たの。

 

「・・・オリオリ様!少しよろしいですか?」

 

それはコッツだった。その表情は硬い。

そういえばさっきの生返事といい、コッツは

どこか重い空気を発していた。

 

「あ、は、はいっ!何でしょう?コッツ?」

 

「オリオリ様は・・・ボロンの事をどう思われ

ておられたのですか?

ボロンの気持ちに・・・お気付きにはなられて

はいなかったのですか?」

 

「えっ!?

ど、どうって・・・ボロンの事は・・・お、幼馴染

です・・・そう、幼馴染です・・・!それ以外の

思いなど・・・ありません。

クーデターから共に生き延び、この地で共に懸命に

生きてきたかけがえのない幼馴染です!

それに私にはセアドという許嫁が。

私はいずれセアドと結婚するという事以外の

何かを想像したことすらありませんでした、

だからボロンが私に・・・しっ、思慕の情を

・・・抱いているなどと想像もした事は

ありませんでした。」

 

コッ、コッツ!!

あ、あなた何をっ!

何を口にしているのっ!!??

 

アタシの脳裏に・・・コッツと2人でオリオリの

気持ちについて考えたあの時の話の記憶が

ありありと蘇って来たっ!!!

オリオリはボロンから愛の告白を受けて・・・

心が揺れているんじゃないかというあの話!

 

けどあれはっ!

決してオリオリの耳には入れてはダメっていう

暗黙の了解があったんじゃなかったっけ!?

あれ?アタシが勝手にそう思い込んでただけ

だったっけ??((((;゚Д゚)))))))

 

アタフタするアタシには目もくれずコッツは

質問を続ける。

 

「・・・そうですか・・・。

では今はどうですか?

ボロンの想いを知った今、その気持ちに応える

おつもりは・・・どうなのでしょう?」

 

「コッツ・・・!?

あ、貴方、一体どうしたのですか?

な、なにゆえそのような事を!?」

 

「申し訳ありません、無礼であるのは百も承知

でございます・・・しかし先程からのオリオリ様

のご様子・・・まるで恋人との懐かしい思い出を

愛でているような・・・そのような印象を私は

受けてしまいました。・・・質問をしているのは

私ですっどうかお答えください!」

 

ア、アタシは完全にフリーズ状態・・・今までに

経験した事のない種類の緊迫した空気が・・・

明らかにフロア内を支配しているっ!

 

「こ、応えるなど・・・私には既にセアドが

いますっ!

応えようなどとはっ!できる筈もありませんっ!

ボロンは・・・一時的な気の迷いを起こしている

のでしょう。

いつか・・・時が経てば目を覚ますはずです!」

 

「許嫁だからとかっ!決められていた結婚だから

とかっ!

そのような建前を聞いているのではありませんっ!

オリオリ様ご自身のお気持ちを問うておりますっ!

許嫁という縛りを外したオリオリ様ご自身の自然な

お気持ちを問うておりますっ!

オリオリ様にとってボロンは恋愛の対象なのですか?

そうではないのですか?

そうでないのならボロンにハッキリと否であると

伝えるべきですっ!

既に夫がいるからなどという答えはうわべだけの

ものでしかないと、私は思いますっ!

では夫が・・・セアド様がいなければ自分のほうを

向いてくれる・・・ボロンにそう捉えられても仕方

のないお答えになってしまいます、そうはお思いに

なりませぬかっ!?」

 

「コ、コッツッ!?ど、どうしちゃったんだ!?

と、とりあえず落ち着けっ!そんなにいっぺんに

捲し立てられてもオリオリだって答えに困るぞっ!?」

 

あ、あまりのコッツの剣幕に一同皆凍りつく。

とりあえずモガ丸がコッツを宥めた。

 

「コッツ・・・ごめんなさい、そのような事を

聞かれても・・・現実に・・・私は既婚者です。

仮定の話をされても・・・困ってしまいます

・・・。

しかしあえて仮定の話をするならばと前置きを

させてください。

わ、私はボロンの事を・・・い、異性と捉えた

事は一度もありません!昔も今もです!

私は夫セアドを愛していますっ!

他の男性を慕うなどありえませんっ!!」

 

「では・・・ボロンが求愛してきたとしても・・・

ハッキリと断りを仰る、という事でございますね?」

 

「とっ、当然ですっ!そのような人の道を外れた

行為、私は神に誓って致しません!」

 

「・・・あいわかりました・・・。

オリオリ様、無礼の段、申し訳ございませぬ

・・・!

コッツはどうかしておりました。少し頭を冷やし

てきます、御免っ!!」

 

ダッ

 

コッツは跪きオリオリに謝罪をした。そして何かを

振り払うように勢いよく立ち上がり洞窟の来た道

のほうへと駆け出していってしまった。

 

「あっ、コッツ!!」

 

オリオリが呼び止めるもコッツは従わずそのまま

フロアからいなくなってしまった。

 

「はっは〜ん、そうか、そういう事か。」

 

と、モガ丸がしたり顔で何かを得たような呟き

を発した。な、何この状況で!

何落ち着いてんの、モガ丸っ!!

 

「オリオリ、リザ、お前たち・・・なんでコッツが

あんなワケのわからない事を言い出したのか

わかるか?」

 

はぁ!?モガ丸っ!アンタまで何訳わかんない事

言ってんの!?そ、そりゃあ部下としてっ!

オリオリにいつまでも落ち込んでもらってちゃあ

困るからじゃないのっ!?

 

「わ、私にもわかりません、コッツが私に向かっ

てあのような激した態度を見せたのは初めてです、

何が何やら・・・。」

 

「フンっ!2人とも不正解だ!

コッツの気持ちがわかんない者がコッツを追い

かけても拗れるだけだ。

オイラ、ちょっとコッツの様子を見てくるっ!

まぁ、任せとけっ!」

 

「ピピッ!?」

 

「だぁ〜いじょうぶだって!

ってかスラッピ、お前も来いっ!!」

 

「ピピピピ〜ッ!!」

 

え、えぇ・・・!?ふ、不正解!?

だって・・・こないだオリオリが落ち込んだ時

だって『オリオリ様にはリーダーとして堂々と

振舞って欲しい』ってコッツ自身が言ってた

じゃんっ!

な、なんで不正解なのっ!?

 

コッツの突然の激昂も、モガ丸の謎の自信も訳

わかんないっ!!

アタシとオリオリは魔物にやられた訳でもない

のに完全にメダパニ状態だった。

 

な、なんだかよくわかんないけど。

モガ丸はコッツの気持ちがわかる・・・みたい

・・・こ、ここはモガ丸に任せるしかないのか

・・・?

 

狼狽するアタシとオリオリには目もくれずモガ丸

とスラッピはコッツが走り去った方向へ小走りで

駆けて行ってしまった。

 

****************************************************************

 

「ハァハァハァ・・・おっ、抑えられなかった

・・・。

わっ、私はなんて事を・・・!

オリオリ様に向かって何という無礼を働いて

しまったんだろうっ!」

 

ガッガッガッ

 

最深部から入り口までの本道からは外れた別の

フロアにコッツは居た。

オリオリに対して詰問口調をしてしまった事を

激しく悔やみ頭を壁に打ち付けていたの。

額からは血が滲んでいた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「ピピッ!」

 

「ハァハァハァ・・・!

こ、ここに居たのか〜コッツ!探したぞ〜、

ハァハァハァッ!」

 

「えっ!?

モ、モガ丸殿っ!?それにスラッピ殿っ!?」

 

そこにコッツを追いかけていたモガ丸と

スラッピが現れた。

 

「いやぁ、お前の事が心配になってな、

追いかけて来たんだ。大丈夫か?

随分取り乱していたようだったけど。

ん??

えっ!?

お、おいっ!血が出てるぞっ!!大丈夫かっ!!」

 

「・・・わ、私は大丈夫です。

オリオリ様に働いた無礼を思えばこんなのは

・・・!

私・・・少し疲れているのかもしれません・・・。

じ、自分でも何ゆえあのような態度を取って

しまったのか・・・。」

 

「まぁなぁ〜、ここんとこずーっとぶっ通しで

冒険してるからな、疲れてるっていうのはわかる。

けど。

オリオリにあの態度はマズイんじゃないのか〜??」

 

「うぅぅ・・・重々承知しておりますっ!

私の最も尊敬すべき方・・・オリオリ様に向かっ

てあのような態度を取るなど・・・自分で自分を

許せない気持ちで一杯です・・・あぁ、どう

申し開きをしたものか・・・い、いえ、そもそも

お許しになられなくとも致し方ないほどの事を

してしまった・・・!」

 

コッツはさっきの事を激しく後悔している

ようだった。

冷静になってみて、とんでもない事をしてしまっ

たと理解したんだろう。

 

「コッツ・・・アレか??

その・・・あれぐらいの事をやっちゃうぐらいの

事情が・・・お前の中にあるんじゃないのか??」

 

「えっ!!??

い、一体なんの事ですかっ!?」

 

モガ丸の意味深な質問にコッツはギョッとして

後ろの壁に背中をつけるまで後ずさりをしたの。

 

「単刀直入に聞く、間違ってたらゴメン、コッツ

お前・・・ボロンの事が好きなんじゃないか??」

 

「なっなっ!何をっ!!

何を言うんですかモガ丸殿っ!!!」

 

「ピピーッ!!??」

 

「な、何を根拠にそのようなっ!!」

 

「ふっふ〜ん、図星か・・・。」

 

「いっいえっ!ちっ、違いますっ!

わ、私はそのようなっ!!」

 

「何を根拠にって・・・そりゃあお前のさっき

の態度だよ。ってか普通そう思うぞ!

少なくともオイラの目には・・・オリオリの様子

は・・・幼い頃の思い出を懐かしむ・・・ごくごく

普通のものだったように思えたけどな。

それをあんだけボロンにこだわった質問を繰り返し

たんだから、こりゃもう恋する乙女のヤキモチ以外

の何物でもない、って思ったんだ。」

 

「そ、そんなぁ・・・。」

 

ヘナヘナヘナと・・・コッツはその場に座り込んで

しまった。

 

「しかしまぁ・・・複雑だぞ〜。

ボロンは禁断の愛をオリオリに向け、コッツ

・・・お前がボロンに・・・。

結ばれるはずのない愛に邁進するボロンの姿を

見せつけられるお前の気持ち、ボロン以上に

ツライものだな。」

 

「う、うぅぅぅ・・・。」

 

「だから・・・何気ないオリオリの仕草も

・・・たとえ幼馴染という認識であっても

・・・ボロンとの思い出を懐かしむオリオリの

姿も・・・お前にとっては理性のタガを外させて

しまうぐらいに心を抉ってしまうモノだったん

じゃないのか?」

 

「うぅぅぅ・・・わっ私は・・・私は

ぁぁぁあっ!」

 

「コッツ・・・オイラは人間じゃなくてモモンガ族

だ、けど、こういう系の話はリザよりも敏感だぞ。

大丈夫、これはオイラの胸にだけしまっておく。

スラッピも・・・そもそもスラッピが何を喋ってる

か分かるのはオイラだけだし・・・だから溜め込む

な、今ここだけは思ってる事をぶちまけておけよ、

オイラはただ聞くだけだ、そしてその後は聞かなか

った事にするからさぁ。」

 

「あ、あぁぁ!モ、モガ丸殿ォォォっ!!!

私は・・・!ただ、ただ遠くから眺めているだけ

でよかった・・・!

ボロンが稽古をつけてくれる・・・その後で嬉し

そうに私の上達を喜んでくれる・・・その笑顔を

見れるだけでよかった・・・!

なのに!

この地方に来てからというものっ!

ボロンとオリオリ様2人だけの思い出が詰まって

いるというこの地方でっ!

私の心はどんどん醜くなってゆくのです・・・!

自分の事がイヤになりますっ!!

す、すみませんっ!!!」

 

コッツの心の叫びがフロア内に響く。

コッツはその場に蹲り額を地面に擦り付けて

嗚咽を漏らす。

モガ丸とスラッピは黙して語らず、コッツが

落ち着くのをただただ待っている

ようだった。

 

「醜くなんてないぞ。

お前がボロンを想ってるんなら当然の気持ちだ。

お前は悪くない。

けど・・・オリオリだって悪くないぞ。

アイツはさっき言ってたじゃないか、ボロンの

事を異性として見ることは今までもこれからも

ないって。」

 

しばしの沈黙の後モガ丸が口を開いた。

コッツの気持ちを理解し、そして正論をも、

やんわりと伝えコッツを諭す。

 

「もっもちろんですっ!

オリオリ様は何も悪くないっ!

私の心が卑しいだけなのですっ!!」

 

「だぁからっ!

コッツも悪くないって!

卑しくなんかないって!

まぁ、悪いとすればボロンだな!

アイツがオリオリの事好きだなんてカミングアウト

しちゃうから皆んな不幸になっちゃうんだ。

そう、悪いのはボロンっ!

こんなベッピンの心を奪っておいて、なんで

わざわざ既婚者のほうへ靡いちゃうんだろう

な〜。」

 

「えっ!?モ、モガ丸殿っ!?

べ、ベッピン・・・?

ベッピンって・・・私の事ですか??」

 

「おうっ!

コッツはベッピンさんだぞっ!!

なぁ?スラッピ!」

 

「ピピッ!!」

 

「だから自分の事をそんなに卑下すんな、

ボロンなんかやめといて、もっと他に

イケメンを探そうぜっ!

コッツだったらすぐ捕まえられるって!」

 

精一杯モガ丸がコッツを励ます。

モ、モガ丸・・・何、今日めっちゃ

気が効く・・・ってか何!?

そ、その恋愛マスター然とした振る舞い

・・・。

た、確かに恋バナに疎いアタシでは

到底できそうもない・・・(-。-;

 

コッツの1番の親友はアタシだって自負

してたつもりだけど・・・今回ばっかり

はモガ丸がコッツを追いかけてくれて

よかった・・・。

 

「うぅぅ・・・モガ丸殿ぉ・・・

それにスラッピ殿・・・こんな私を気に

かけてくださり・・・コッツは・・・

幸甚この上ない気持ちです・・・!

私の想いは誰にも打ち明ける事のない

ものと誓っておりましたが・・・モガ丸

殿に聞いていただいて・・・気分が晴れ

ましたっ!

ありがとうございますっ!!」

 

「おぉ、そうかっ!よかったぞっ!

顔色もちょっとマシになったなっ!

死にそうな顔してたからな〜コッツ。」

 

「はい・・・死にたいぐらい情けない

気分でした・・・ご心配をかけて・・・

申し訳ないっ!

ただ・・・モガ丸殿・・・こ、この事は

どうか内密に・・・。

リザ殿にもオリオリ様にも打ち明けては

いないんですぅ・・・。」

 

「わぁかってるって!最初に言ったろ!

な、スラッピ!」

 

「ピピッ!」

 

「あぁ、ありがとうっ!!

・・・けど・・・まさかモガ丸殿にバレて

しまうなんて・・・意外でした〜。」

 

「モガッ!コッツこの野郎!

せっかく心配してやってんのに、どういう

意味だそれっ!!」

 

「え?あ、ひえーーーー!

ご、ごめんなさいー、そういう意味じゃ

ないんですぅモガ丸殿っ!!」

 

・・・久し振りのやり取りが飛び出した

ところで・・・ようやくコッツはいつも

の調子を取り戻したようだった。

今回ばかりはモガ丸のお手柄のようね。

 

けど・・・

ビックリ∑(゚Д゚)

 

まさかコッツの想いビトがボロンだった

なんてっ!!

いや、この時のアタシは当然まだ知らない

んだけど・・・。

しかしこれは・・・!

確かに複雑・・・。

確かにアタシには処理しきれない案件

・・・。

普通の恋バナですら苦手なアタシでは

ただただ絶句するだけだったと思う。

モガ丸・・・あんた、ヒトではないのに

よくこんな複雑な悩みを抱えたコッツを

宥められたわね・・・今回はホンット!

アナタがMVPだわ(´∀`)

 

「よし、じゃあ皆んなのところへ戻ろう!

そんでオリオリに謝ろうっ!

大丈夫、オイラも一緒に謝ってやる、

もちろんここでの話はここだけの話だ!」

 

「モガ丸殿・・・かたじけないです、

恩に着ます!」

 

「いいってっ!」

 

*****************************************

 

モガ丸とスラッピがコッツを宥めて

いた頃、残されたアタシ達は悶々と・・・

ただただ3人が戻ってくるのを待つしか

できない状態だった。

 

「モガ丸さん・・・大丈夫でしょうか?

コッツのただならぬあの様子・・・

一体どうしてしまったのでしょう?

先日、コッツは私を諌めてくれました。

裏切り者のピエールに惑わされては

いけない、と。

にも関わらず私は・・・彼との幼少期を

・・・大事な思い出を・・・捨てきれない

と言ってしまった。

その事でコッツは失望をしてしまったの

かもしれない・・・。」

 

オリオリは・・・コッツが激昂したのは

自分のせいかもしれないと思い始めて

いた。

けど・・・だからって「オリオリも

ボロンの気持ちに応えるかも」だなんて

推測は話を飛躍させ過ぎなんじゃない

かしら・・・。

 

アタシは・・・以前にコッツと2人で

内緒話をした時の事を思い出していた。

オリオリはボロンから告白された事で

気持ちが揺れているんじゃないかって

話をした時のことを。

 

今思えばコッツは・・・アタシでは

考え付きもしないオリオリの心の内を

読み取ろうとしていた。

今回も・・・アレコレと読み取ろうと

するコッツのその思考が・・・色々と

妄想を掻き立てて爆発してしまった

のかもしれない。

 

アタシはそんな風にコッツの事を

考えていた。

けどあの時だって・・・「オリオリの方

から道を踏み外す事はないだろう」って

コッツ自身が言っていたのに・・・。

なのにどうしてあんな質問をしたん

だろう??

 

アタシは今さっきのコッツの気持ちに

ついて・・・ホントにワケがわからな

かった・・・。

わからないでは済まないんだけど・・・

もうモガ丸に頼るしかないって・・・

祈る事しかできなかった。

 

フロア中が重苦しい空気に支配されて

いたその時、突如としてその空気を

切り裂くモノが現れた!

 

「どりゃ!どりゃどりゃどりゃ〜!!」

 

それは・・・聞き覚えのある可笑しな

かけ声だった。

 

「乙女の戦士セセニョン参上っ!!

宇宙政府の魔物は何処だ〜〜〜!?」

 

乙女の戦士、1人義勇軍を名乗る女の子、

セセニョンが再びアタシ達の前に

現れたの。




***登場人物紹介***
・リザ
本編の主人公。つまりアタシ。職業は賢者。
偉大な魔道士を目指し冒険を通じ日々修行
しています。理不尽な事がキライで宇宙政府
の汚いやり方等を聞かされるとちょっと、
ほんのちょっと気性が荒くなる、と言われます(;´Д`A
恋愛には疎く恋バナはニガテです。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスターで剣が得意。
彼もアタシ同様、日々修行を欠かさずどん
どん強くなっていて、そのスキルの強さ
にはもうアタシでもかなわないわ。
アタシも負けてられないっ!

・レイファン
末の妹。職業はスーパースター。
回復行動やオンステージというサポート行動
が得意。
こだまする光撃という最高のサポートスキル
でアタシやジョギーの攻撃を最大限に強く
してくれます。

・モガ丸
アタシ達の冒険の最初からの友達。
戦闘は得意ではないけど見え〜るゴーグルで
宝物を発見したり移動呪文ルーラで冒険の
移動を助けてくれたり、と冒険のサポート
をしてくれる。
種族はモモンガ族で一族には悲しい過去が
あったけど、それを乗り越えて今なおアタシ
達と一緒に冒険を続けてくれてるの。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉は通じないけどモガ丸だけはスラッピ
の話している事がわかるの。ただ、トラスレ
の聖水を飲む事でアタシ達とも会話ができる
ようになり、実はコテコテの関西弁を話す事
が判明。モガ丸のワガママで関西弁で話す事
は禁止されてるけどʅ(◞‿◟)ʃ

・オリオリ
宇宙王の書という本にワケあって閉じ込め
られている美しい女性。その正体は宇宙王
の末裔。
圧政を敷く宇宙政府を倒すため義勇軍という
レジスタンス組織を作り反政府運動を続けて
いる。義勇軍の総司令官。
実は既婚者でセアドという夫がいるの。
義勇軍親衛隊長ボロンとは幼馴染だけど
ボロンが義勇軍を離れ宇宙政府に参加した上
にオリオリに愛の告白をした事により衝撃を
受けてしまったの。

・コッツ
義勇軍3番隊隊長。
3番隊は政府軍に捕虜として連行されていた
けどベェルの町でついに全員無事で発見され
救出された。コッツは冒険のさなかも部下達
の安否に心を砕いていた。
無事の救出でようやくコッツの心の闇は完全
に取り除かれた。
アタシ達と行動を共にするうち、アタシに
強い憧れを抱くようになったらしい\(//∇//)\
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