魔道士リザの冒険譚(星のドラゴンクエストStory冒険日誌) 作:ジョギー
ブルリア星の2代目冒険王姉弟の1人。
かつて全宇宙を平和に治めていた宇宙王。
その末裔であるオリオリは・・・
現在、全宇宙に君臨する邪悪な組織
『宇宙政府』、これに反抗する為
レジスタンスグループ『義勇軍』を率いて
打倒宇宙政府を目指していた。
アタシ達姉弟は義勇軍に参加しオリオリと
共に宇宙政府を打倒する為ここ惑星クラウド
での冒険を続けているの。
さて本日の冒険日誌^_^
「迫真の洞窟」と「星雲の洞窟」、2つのオリ
オリ達の幼少期の思い出の洞窟。
ここにゼンチャン達を攫った(ゼンチャン本人は
ノリノリで付いていった)ピエールが来ていると
予想してアタシ達は2つの洞窟を訪れたんだけど、
既にピエール達の姿はなく・・・ピエールと同行
しているであろうチャングーのニオイを辿る事が
できるスラッピの嗅覚を頼りにしてアタシ達は
ピエールの行方を追っていた。
星雲の洞窟からひたすら東に進む。
やがて雄大な山脈を見上げる事ができる山の麓
まで辿り着いた。
麓には広大な森が広がっていた。
「ピピッ!ピピピピーっ!」
スラッピが突然何か言葉を発した。
「ピピピピッピピピピッピピー!」
「なんだってスラッピっ!本当かそれはっ!?」
「ピピッ!」
モガ丸がスラッピの発言を通訳する。
「リザ達、大変だ!チャングーのニオイは
ここいら辺で途切れているらしい!」
えぇ!?
そ、そんなぁっ!?
じゃ、じゃあもう完全にピエール達を見失って
しまったって事!?
「ピピピピッ」
「えっ!?それは一体どういう事だ!?」
「ピ〜・・・・。」
な、何??スラッピの表情が明らかに困惑の色
を浮かべている。
「モガっ!
よくわかんないけど・・・チャングーのニオイ
はここでUターンをしたように元来た方向に
向かっているらしいぞ!」
な、なんですって!?
アタシはすぐさま東の空に視線を送り自身の
感覚を研ぎ澄ましてみた。
・・・星見るチカラでは・・・微かにピエール
の気配は依然として東のほうから感じられる
気がする。
明らかにこの山脈より向こうのように感じる。
どういう事!?
ピエールとチャングーは既に行動を共に
していないっ!?
「ふ〜む、スラッピさんとリザさんで反応が
異なるようですね・・・。
そもそも・・・各々気配を探る相手が違うわけ
ですから・・・ピエールとゼンチャンさん達が
行動を共にしている、という前提で我々は行動
してきましたが、それは思い込みである可能性
も当然ながら出てきたという事か・・・。
さて、どうしたものか・・・。」
書からオリオリが現れて目の前の情報の意味を
読み取ろうとする。
「オリオリ様、我らの第一の目的はゼンチャン
殿達の救出です。
ここはチャングー殿の追跡ができるスラッピ殿
の意見を採用してはどうでしょう?」
コッツが進言をする。
そうね、アタシの星見るチカラは今ほとんど
機能していない。
東の方角にピエールが居るような気がするいう
程度の漠然としたものでしかない。
スラッピのほうは確実にチャングーのニオイ
を辿れる。
「ひょっとするとゼンチャンさん達はピエール
の元から逃げる事ができたのかもしれません。
であればゼンチャンさんは自分の館へ戻ろうと
考えるはず。
・・・よし、ここは一旦ゼンチャンさんの館へ
行ってみましょう。
あ、いえ・・・その前に教会へ戻ります。
シスターにここまでの報告をしなければ。
ピエールと・・・あのセセニョンの事を気に
かけていましたし。
モガ丸さん、教会とゼンチャンさんの館で
あればルーラで戻れますよね?」
「モガッ!
一度訪れた場所だからな、もちろんだぞ!」
「ありがとうございますっ!
ではよろしくお願いします!」
方針が決まった。
確実性の高いチャングーの跡を追う。
モガ丸のルーラでまずは竜巻の教会へ戻る
事になった。
ところが・・・。
思いもよらずゼンチャン達とは早々に再会する
事ができたの。
「あら〜おかえり〜みんな〜。」
「モガガガッ!?
ゼ、ゼンチャンーーーーっ!?」
「ピピピピッ!?」
ルーラで教会に戻ると・・・なんとゼンチャン
が出迎えてくれたのっ!
ほ、ホントにピエールから逃げる事ができた
のっ!?
「ゼンチャンさんっ!
ご無事だったのですね、あぁ心配しました〜!」
書からオリオリが現れゼンチャン達の無事を
喜ぶ。
「あ・・・オリオリちゃん・・・。
ど、どうも~~~・・・。」
??
ゼンチャンの様子が・・・おかしい??
えらく落ち込んでいるようだけど・・・?
「モガ?どうしたんだゼンチャン。
随分と元気がないな??」
「まぁ、失恋直後やさかいな~。」
と。
チャングーがゼンチャンの代わりに答える。
え、何?失恋・・・?どういう事?
「し、失恋とは?
チャングーさん、どういう事ですか?」
「ピエールはんは・・・別の目的ができたんで
1人で別行動を取るって言い出したんや。
ほんでワイらを解放したねん。
ワイはな・・・館に戻れるさかい解放してくれる
ぅいうんは有り難いんやけどなぁ。
ゼンチャンにとっては・・・乙女に突然沸き起
こった悲劇っていう捉え方らしいわ。」
「別の目的・・・?
チャングーさん、ピエールの別の目的とは!?
順を追って説明してくださいますか?」
「はいよぉ、それがな~~。」
落ち込むゼンチャンの代わりにチャングーが
・・・館からピエールと共に行動した詳細を
アタシ達に報告する。
それによると。
2つの洞窟に巣食う宇宙政府の魔物達を全滅
させたのは間違いなくピエール。
動機はやっぱりオリオリとの大事な思い出の
場所を荒らされた事による報復だとか。
その後、ピエールは”邪心のオーブ”なるアイテム
の事を調べるために東へ向かったとの事。
邪心のオーブを探る旅にゼンチャン達を同行
させる事は危険である、という判断から
ピエールは単独行動を取ることを選択し
ゼンチャン達を解放した、と。
「・・・邪心のオーブ・・・初めて聞くワード
です。一体何なのですか、それは?」
「えーと、それは~・・・。」
「手にした者に絶大なる強さを与えるアイテム
よ。」
それまで塞ぎがちだったゼンチャンがようやく
会話に加わってきた。
邪心のオーブというアイテムについては
ゼンチャンが説明をした。
「ワタシとチャングーは・・・宇宙政府の
弱みになるような秘密を探るようピエールから
頼まれた。
それらを霊視しているうち、邪心のオーブに
行き着いたの。
手にした者は自身の何倍ものチカラを持つ
ことができるオーブ。
しかし、手にした強大なチカラと引き換えに
邪悪な心に支配されてしまうという副作用を伴う、
諸刃の剣のような側面も持っている恐ろしい
アイテムよ。」
な、何倍もの強いチカラ・・・。
そして邪悪な心に支配される・・・な、なんて
恐ろしいのっ!
け、けど、そんな嘘みたいな話・・・本当なの
かしら?
「・・・リザちゃん、邪心のオーブが実際に
使われた実例があるそうよ、ピエールが
言っていたわ。
マタセ王という島国の王様が居たんだけど、
その王様はオーブの力で魔物になってしまっ
たの。
ピエールは実際に魔物になってしまった
マタセ王を目撃したって言っていたわ。」
えっ!!
な、なんですって~~~!!??
マタセ王って・・・あのマタセ王??
「マタセ王っ!?」
「モガー、マタセ王だってぇぇっ!!??」
皆、口々に驚きの声を上げる。
そりゃあそうよ、魔物化したマタセ王を倒した
のはアタシ達なんだからっ!
マタセ王が魔物になった経緯も!
アタシ達が彼を退治した後の国の混乱もっ!!
全部、アタシ達の心に傷跡を残した出来事だ
ものっ!
あ、あの事件に絡んでいたのが・・・!
今、議題に上がっている邪心のオーブ!!
「えぇっ!?
リザちゃん達がマタセ王を倒したのっ!?
ピエールだけじゃなく貴女達までマタセ王に
関係してただなんてっ!!
これもまた数奇な因縁ね~~~!」
そ、そうね・・・。
マタセ王の魔物化・・・同じヒトでも、かくも
愚かしく悲しい事件を引き起こすのか、って
アタシ達は嘆いたけれど・・・単一の事件だと
思っていた。
まさか、あの事件にウラがあっただなんて
・・・思ってもみなかったというのが正直な
ところ。
「ゼンチャンさん・・・その話は本当なの
ですか?
我々の認識ではマタセ王が魔物化したのは
事実ですが・・・その方法は別のモノでした。」
「星屑魔法団の秘術でしょ?でも違ったの。
実は邪心のオーブが使用されていたのよ。
ワタシとチャングーが調べた事で今まで誤り
があった事はただの一度もないものっ!
ただ・・・星屑魔法団がなぜ、秘術ではなく
邪心のオーブを使用したのか、という理由まで
はわからないの。」
ゼンチャン、星屑魔法団の事まで調べようと
してたんだ。けど詳細はわからない・・・。
あ、そっか。
ゼンチャンは『魔星王の眠る”おおよその”場所』
は言い当てたけども・・・ピンポイントの場所
までは霊視できなかった。
なんでもかんでも100%知ることはできない
・・・つまり分からない事は分からない
・・・イコール不正解かどうかも分からない
・・・確かにゼンチャンの霊視で判ったこと
の正解率は100%、って言い切れるわね。
ううん、これはゼンチャンをディスってるん
じゃなく、逆に言えば判っている事は間違い
なく100%正解って事。
つまりマタセ王は秘術ではなく邪心のオーブ
で魔物化したのは間違いない。
そして邪心のオーブの実在性を100%証明して
いる、って事になるわね。
「ピエールは・・・オーブ自体の信憑性を調べる
のはもちろんのこと、なぜ魔法団が秘術ではなく
オーブを使用したのか、どうしてボォフゥ大陸に
眠ると云われているオーブを持っていたのか
・・・という点にも謎が多いと感じたようで、
全てひっくるめてオーブについて調べたいって
言って・・・うぅぅぅ、そしてワタシを捨てて
1人で・・・!
ジグゾナ半島へと去っていったの・・・。」
「ジグゾナ半島・・・このボォフゥ大陸最東端
に位置する半島ですね。
その地方に邪心のオーブが眠っているのですか?」
「・・・うぅぅ、グス、え、ええそうよ、
コッツちゃん・・・うぅぅ。」
あ、あちゃ~ゼンチャン・・・またまたピエール
にフラれたショックがフラッシュバックしてきた
ようで会話がおぼつかなくなってきた。
「・・・しゃあないな~、ワイが説明するわっ!
えーとえーっとぉ、何処まで話進んでたやろか
・・・?」
「オーブの存在する場所がジグゾナ半島なのか、
というところまでです。」
「あぁ、せやせや!邪心のオーブ・・・実は
このオーブは遥かな昔にすでに実在していた、
という伝承があるそうでなぁ。
その・・・手にした者に強きチカラを与える、
っていう部分が独り歩きして後の世の人々が
オーブを信仰するようになったらしい。
主に戦士や騎士などといった職業の者が
・・・自身のlv向上を祈願するために・・・
オーブを祀る・・・といっても模倣品やけどな
・・・それを祀る祠や神殿に参拝するっていう
信仰らしいねん。
で、その信仰の本場がジグゾナ半島地域っ
っちゅうワケやねん。
そんでピエールはんは半島へと向かったって
ワケ。」
「オ、オーブ信仰・・・。
そのような信仰が存在するのですか・・・。
そら恐ろしいような・・・。」
「確かにジグゾナ半島はサロイクン山脈で
隔たれており、どこか秘境めいた地域といわれ
ていますね・・・。
秘境の地で信仰されてきた邪心のオーブ、
まさに密教と呼べるのではないでしょうか、
オリオリ様。」
「密教・・・なるほど・・・。
私はこの大陸で幼少期を過ごしましたが・・・
オーブを崇める信仰など全く知りませんでした。
私が匿われたのはこの教会です、私にとっての
信仰はミトラ神信仰であり、それ以外の信仰が
あるなど考えた事もなかった・・・というのが
正しいのかもしれませんが・・・。」
「オーブ信仰・・・!」
と、それまで無言だったシスターイェルバが
突然声を上げたの。
「あ、シスター様っ、これは失礼しましたっ!
シスター様、只今戻りましたっ!」
オリオリがイェルバに遅まきながらの挨拶をする。
「あ、はいっ!
オリオリ、それにコッツさん、冒険王のみなさん、
よくぞご無事で戻られました。
シスターは安堵しています。」
「すみません、まさか此処にゼンチャンさん達が
おられるとは思ってもみなかったので・・・
そちらに意識が向いてご挨拶、ご報告が遅れて
しまいました。
シスター様、先程からの会話でも話しており
ますが・・・ピエールは無事なようです。
ただ我々はピエールとは全く接触できて
おりませんが。
あ、それと此処を訪れた女性戦士の件ですが
・・・。セセニョンという名でしたか?」
「あぁ、そうそうっ!
そうです、セセニョンと名乗っていました。
とても溌剌としたご様子の。
なんでも1人義勇軍を自称している、と申して
いました。」
「やはり・・・。
その者とは接触いたしました。
不思議な人物でしたが・・・彼女もまた
無事です。
というか・・・魔物は全てピエールが退治
したようなので・・・そもそもセセニョンは
危険な目には遭ってなかったのですが・・・。」
「なるほど・・・。
セセニョンさんが無事であったのは何よりです。
あのような若い娘さんが1人魔物の巣窟に向かう
など危険極まりない行為ですから・・・。
それよりっ!
今、オーブ信仰という話が出ましたねっ!?」
「あ、は、はい・・・。」
「あぁ、そやで~~。」
「私も神に仕える者の端くれ。
自分が信仰する教え以外のモノについても
多少は知識があります。
オーブ信仰・・・あのような邪教に関わるだ
なんて・・・ピエール・・・大丈夫でしょうか?
シスターはまたまた心配です。
ピエールが邪教に近づく事、そしてオーブ
そのものに近づく事・・・も、もしもオーブに
魅入られてしまったりすれば・・・悲惨な事に
なってしまいますっ・・・!!」
えぇぇっ!!そ、そんなっ!!
そ、それって・・・ピエールが魔物になって
しまうって事!?
「・・・そういう事です・・・。」
「モガーっ!こ、これは一大事だっ!!
いくら今は敵味方に分かれてるとはいえっ!
さすがにピエールが魔物になってしまうのは
かわいそうだぞっ!!」
ピエールゥ~・・・アンタ・・・マタセ王の事
・・・あんなに軽蔑してたじゃないっ!
信念なくして得た強大なチカラなんて・・・
そんなモノなんの価値もないって。
だのにっ!
それと同じ道を辿るかもしれないっていう
危険性を予見できないのっ!?
オーブに近づくっていう事はっ!
「そう言えばピエールはん・・・オーブを
信仰する者の気持ち・・・戦いに身を置く者
として・・・同じ戦士という立場として・・・
わからんではない、とも言うてはった・・・。
こ、これってかなり危険って事やでなぁ~~??」
「!!いけませんっ!
そのように少しでもオーブを迎合する要素が
あるならば、なおのこと近づけさせては
いけませんっ!!」
こ、これはっ!
またまた一刻を争う事態になってきたっ!!
急いでピエールを追ってオーブに近づくのを
やめさせなければっ!!
ねっ!そうでしょ!?オリオリッ!!
「~~~~ピ、ピエール・・・!
いえっ!ボロンッ!!貴方という人は~~~!!
どこまで周囲の者に迷惑と心配をかければ済むの
かっ!!」
ゲっ!!
ま、またまたオリオリがピエール、ボロンに対して
キレちゃった(@_@;)
て、敵というより・・・周囲の者に迷惑、心配を
振りまくどうしようもない幼馴染を叱るっていう
気持ちのほうが強く働いてそう・・・。
「オリオリッ!シスターからもお願いします!
ピエールを、ボロンを止めてください。
この教会で過ごした貴方達が仲違いをしているのも
悲しいですが・・・ボロンが魔物になってしまう
など・・・さらに悲しい出来事ですっ!!
お願いしますっ!!!」
「シスター・・・承知しております!
あのバカモノは私が引きずり回してでも必ず
心を入れ替えさせてみせますっ!!!」
まっ!
ひ、引きずり回すだなんて・・・オリオリ
らしからぬ乱暴な言葉・・・。
よっぽどボロンの事が許せないみたいね
・・・(-.-;)
「オリオリちゃんっ!!」
「えっ!?」
と、さっきまで”失恋”のショックを引きずって
落ち込んでいたゼンチャンが突然、大声でオリ
オリの名を叫んだの。
「あ、は、はい、何でしょう?
ゼンチャンさん。」
「ワタシ・・・貴女に嫉妬していたの。」
「え?しっ嫉妬ぉぉぉっ??」
ピクッ
ゼンチャンがオリオリに嫉妬しているという
発言をした直後に・・・コッツの体と表情が
一瞬、強張った。
けど、それにアタシ達は気付かなかった・・・。
ただ一人モガ丸だけは・・・そんなコッツの様子
に気付いたようで・・・心配そうにコッツに視線
を送っていた。
そのモガ丸の様子すらも・・・。
アタシ達は気付かなかったんだけど・・・。
「しっ、嫉妬とはどういう事ですか?
ゼンチャンさん・・・。」
「ピエールは・・・2つの洞窟に巣食う魔物達
を・・・鬼の形相で・・・って仮面を被ってる
から表情は見えなかったけど・・・それぐらい
の鬼気迫る様子で倒してしまったの。
それはきっと・・・オリオリちゃんとの思い出
の場所を汚されたっていう想いが強かったから
だと思うわ。」
「・・・。」
「ワタシ、わかってたの。
ピエールの心にはオリオリちゃんが大きく存在
しているって。
洞窟にはオリオリちゃんの好きだった花が咲い
ているでしょう?」
「え、ええ。」
「ピエールは・・・その花達を愛おしそうに
愛でていたの。
そう、オリオリちゃん、貴女が好きだった
花達を守るために魔物達を退治したの、ワタシ
にはわかるっ!
けどワタシは・・・それでもピエールを愛し
ていた・・・。
オリオリちゃんの事を想うピエール・・・
既婚者である貴女との叶わぬ愛を捨てられ
ない彼に・・・せめて寄り添う存在になれれば
いいと思っていた・・・。
それなのにっ!
彼はワタシを置いて1人旅立っていってしまっ
た・・・。
ワタシは・・・『寄り添う事すら許さん』と
宣告されたようで・・・ただ悲しかった・・・
そしてオリオリちゃん、貴女を恨んだわ。
夫がある身でありながら、さらにピエールの
心まで所有している貴女を・・・!」
「しょ、所有しているなど・・・わ、私には
そのようなつもりなど毛頭ありませんっ!」
「それも判っているわっ!
貴女にその気がないって事なんて百も承知っ!
けどそれが余計にワタシの醜い嫉妬心を
燃え上がらせるのっ!!
何もしていないのにピエールの心を奪えるんだ
もの、これ以上に悔しい事なんてないじゃない
っ!!」
「そ、そんな事を言われても・・・私は
どうすれば・・・。」
そうか・・・だから此処に戻ってきて最初に
オリオリと顔を合わせた時・・・ゼンチャン
は暗い表情を浮かべていたのね・・・。
嫉妬の対象であるオリオリの顔を見て・・・
普通ではいられなかったんだ・・・。
ゼ、ゼンチャン・・・本当に乙女だわ・・・。
これほどに・・・女性以上に乙女だったなんて
・・・アタシはゼンチャンの乙女ぶりをかなり
見くびっていたみたい・・・。
自分が女である事が恥ずかしくなるぐらい
・・・ゼンチャンは乙女だった。
「ゼンチャン~~、ピエールはんにフラれて
ショックなんは分かるけど・・・それ、
オリオリはんにあたってもしゃーないでぇ~~。」
「わかってるわよっ!!自分でもっ!
今、自分が物凄く醜い姿だって事もねっ!!
・・・オリオリちゃん・・・どうかピエールを
救ってやって・・・。お願いしますっ!
どうかピエールを救ってあげてくださいっ、
お願いしますっ!!」
嫉妬の対象だったはずのオリオリに・・・
ゼンチャンは深々と頭を下げた。
「えっ!ゼ、ゼンチャンさんっ!
頭を上げてくださいっ!!」
「・・・いいえっ!
お願いします、どうかピエールをっ・・・
ピエールをっ!!」
「・・・わ、わかりました・・・。
ゼンチャンさんのお気持ちも踏まえて・・・
最善を尽くしますっ!
ここまで想っていただけるなんて・・・
ピエールは幸せ者です・・・幼馴染として
嬉しく思います、ありがとうゼンチャンさんっ!
ピエールに代わってお礼を申し上げます。」
「・・・そして・・・ヒドイ事を言って
しまってゴメンナサイ!
オリオリちゃんが悪くないのは分かってるの。
けど、どうしても言ってやらないと気が済ま
なくて・・・本当にごめんなさいっ!!」
ゼンチャンは思いの丈を存分にオリオリに
ぶつけたからだろうか、さっきまでとは
打って変わってしおらしくなってしまった・・・。
「オリオリはん・・・ワイからも謝らせて
もらうわ。ホンマ・・・すんません。
ゼンチャン言うたら、思い詰めたら前に
突進しかでけへんこないな性格やよって・・・。」
「あ、いいえ・・・ホントに、ゼンチャンさん
もチャングーさんも、もう頭を上げてください。」
ふ、ふぅぅううう。
や、やっと話は落ち着いたみたいね。
アタシは知らない間に息をするのを忘れてた
みたい、あまりの緊迫した空気のせいで・・・。
ん?ってか・・・。
つい最近もこんな場面があったような・・・。
あ、コッツだ。
ついこないだの星雲の洞窟でも・・・今と
同じような空気をコッツとオリオリが作って
いたわね・・・。
ちょ、ちょっとこういうのが立て続けに
起こると・・・さすがに参るわね~、アタシ、
特にこういう系の話苦手だから・・・。
・・・ってかどっちの話も元はと言えば
ピエールが原因じゃないっ!
ったくあのバカっ!!
邪心のオーブだの、恋バナだの・・・
周りに迷惑かける事しかしないんだからっ!
・・・アタシは・・・気付いていなかった。
ピエールに愛情を抱くゼンチャンが起こした
今回の修羅場・・・。
ピエールを愛するがゆえ、そのピエール、
ボロンが心を寄せるオリオリに嫉妬した
ゼンチャン。
この構図がそのままコッツにも当てはまる
っていう事を。という事はコッツも・・・!?
恋愛経験が少しでもある者ならば・・・コッツ
の気持ちを理解する事はそれほど難しい事では
ないんだろう。
恋愛経験もなく恋バナも苦手なアタシはしかし、
全くコッツの気持ちに気付かないでいた。
コッツが先程、一瞬表情と体を強張らせたのは
・・・ゼンチャンの気持ちが痛いほど理解できる
からだったんではないだろうか。
コッツの様子や気持ちに全く気付かないのは・・・
生まれる前から結婚を約束され・・・そして
その相手を今も純粋に愛しているオリオリも
同じだった。
「そうですか・・・ピエール、いえボロンは
やっぱりオリオリ、貴女の事が好きだったのですね。」
「えぇっ!?
シ、シスター様まで知っておられたんですかっ!?
ボロンの気持ちをっ!?」
「そりゃあ、そうですよ。私は大人ですよ。
幼い男の子の恋心など・・・わかりやすい事
この上ない。
しかし今現在もその気持ちを持ち続け・・・
それが原因で貴女達がこじれている・・・
そこまでは想像できませんでしたが・・・。」
「こ、こじれさせるつもりは私には全くない
のですが・・・。」
「フフフ、オリオリ。
貴女にそのつもりがなくても・・・恋愛ごと
とは・・・そういうものです。」
え、えぇ~~~・・・そ、そういうモノな
の???ダメだ、アタシ、ほんっとに付いて
いけない・・・(@_@;)
「・・・なんだか恥ずかしいですシスター・・・
何もかも見透かされているようで・・・。」
「うふふ、貴女が恥ずかしがる事ではありません。
貴女は今まで通り、ご主人の事だけを想っていれ
ばいい。」
「あ、は、はい・・・もちろんそのつもりです。
・・・シスター・・・話がかなり逸れてしまい
ましたが・・・。
我々も急ぎボ、いえピエールの後を追わねば
なりません。
邪心のオーブの事で何かご存知ではありませんか?」
「オーブの所在地などは・・・オーブ信仰の秘匿中
の秘匿事案ですから・・・流石に私も存じません。
しかし信仰の中心地・・・それについては耳にした
事があります。
星雲の洞窟からサロイクン山脈を越え、東に
向かった先にバルジャという町があります。
その町にカセザンという賢者が住んでいるそうです。
その者にまずは面会してはどうでしょう。」
バルジャの町、カセザンッ!
情報が出たっ!!次に向かうべき場所の情報がっ!
「わかりました。シスターありがとうございます。
コッツ、リザさん達、これからバルジャの町に
向かいます。
ピエールが邪心のオーブに近づくのをなんとして
でも阻止しますっ!!」
「・・・ハハッ!仰せの通りにっ!!」
「モガーッ!急がないとなっ!!
いくら今は敵でも、ピエールが魔物になって
しまったら悲しむ人間が生まれてしまう
からなっ!!」
そうねっ!
ピエールはどうしようもなくバカだけどっ!!
邪心に支配されて魔物になっちゃうだなんて、
それだけは阻止したいっ!
ピエールを健気に愛するゼンチャンのためにもねっ!
「オリオリちゃんっ!そしてリザちゃん達っ!
ピエールの事、頼んだわねっ!!
ってか・・・あぁ、ワタシが邪心のオーブの事
なんかピエールに教えてしまったからこんな事
に・・・。」
「今更過ぎてしもた事言うてもしゃーない
やろぉっ!!
もう後は義勇軍さんらぁに任せよっ、なあ、
ゼンチャンッ!」
そうよ、起きてしまったことはもうどう
しようもない。
これから先に起こる悪い出来事を全力
で止めるっ!
アタシ達にできるのはそれだけだっ!
任しといてっゼンチャンっ!
そしてシスターイェルバっ!!
ブルリア星の冒険王の名にかけてっ!
必ずピエールを止めてみせるっ!!
アタシ達はバルジャの町を目指して
東に向かったっ!!
***登場人物紹介***
・リザ
本編の主人公。つまりアタシ。職業は賢者。
偉大な魔道士を目指し冒険を通じ日々修行
しています。
理不尽な事がキライで宇宙政府の汚いやり方
等を聞かされるとちょっと、ほんのちょっと
気性が荒くなる、と言われます(;´Д`A
恋愛には疎く恋バナはニガテです。
・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスターで剣が得意。
彼もアタシ同様、日々修行を欠かさずどんどん
強くなっていて、そのスキルの強さにはもう
アタシでもかなわないわ。
アタシも負けてられないっ!
・レイファン
末の妹。職業はスーパースター。
回復行動やオンステージというサポート行動
が得意。
こだまする光撃という最高のサポートスキル
でアタシやジョギーの攻撃を最大限に強くして
くれます。
・モガ丸
アタシ達の冒険の最初からの友達。
戦闘は得意ではないけど見え〜るゴーグルで
宝物を発見したり移動呪文ルーラで冒険の
移動を助けてくれたり、と冒険のサポートを
してくれる。
種族はモモンガ族で一族には悲しい過去が
あったけど、それを乗り越えて今なおアタシ達と
一緒に冒険を続けてくれてるの。
・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉は通じないけどモガ丸だけはスラッピの
話している事がわかるの。ただ、トラスレの
聖水を飲む事でアタシ達とも会話ができるよう
になり、実はコテコテの関西弁を話す事が判明。
モガ丸のワガママで関西弁で話す事は禁止され
てるけどʅ(◞‿◟)ʃ
・オリオリ
宇宙王の書という本にワケあって閉じ込め
られている美しい女性。その正体は宇宙王の末裔。
そして最後の宇宙王の1人娘、つまり次期宇宙王
その人だった(´⊙ω⊙`)
恐怖による圧政を敷く邪悪な宇宙政府を打倒する
ため義勇軍というレジスタンス軍を作り上げ、
その総司令官として日夜、政府軍と戦っている。
そんななか、幼馴染であり義勇軍親衛隊長である
ボロンが宇宙政府に寝返り、かつオリオリへの
禁断の愛を告白してしまった。
この事実を知りオリオリは衝撃を受け激しい動揺
をし重く悩むようになってしまった。
時間とともに、総司令官としては立ち直った
けれど、私人としてはまだまだショックを引きずっ
ているようだった。
・コッツ
義勇軍3番隊隊長。
3番隊は政府軍に捕虜として連行されていた
けどベェルの町でついに全員無事で発見され
救出された。コッツは冒険のさなかも部下達
の安否に心を砕いていた。
無事の救出でようやくコッツの心の闇は完全
に取り除かれた。
しかし彼女には新たな心のモヤモヤが生まれ
つつあった。それは嫉妬。
コッツの片想いの相手、それはボロンだったの
∑(゚Д゚)
オリオリへの道ならぬ愛を抱くボロンを慕う
コッツ。しかもボロンが想いを寄せる相手は
コッツの上官、これは相当に複雑な相関図。
これは・・・義勇軍内にピシピシと静かに
忍び寄る影でもあるのかしらっ!?
・ゼンチャン
麗しき全知全能のじょ・・・いえ、男性
・・・いややっぱり女性。うん、つまり
オネエねガーン
相棒のスライムベス、チャングーを媒体とし
た霊視こそが彼女(彼)の全知全能のチカラ。
そのチカラは宇宙政府の隠したい内情すらも
暴くほどの性能。
しかしそのチカラゆえ命を狙われたり、チカ
ラ欲しさに拉致される事もしばしば。
現在はピエールに身柄を拘束されている。
もっともゼンチャン本人はピエールから愛の
告白をされたとソッコーで勘違いしてしまっ
たので、喜んでついて来てるんだけどね:(;゙゚'ω゚'):
・チャングー
ゼンチャンの相棒のスライムベス。
コテコテの関西弁を駆使する。スラッピも
人間の言葉を話すときは関西弁・・・。
スライム達の公用語なのかしらびっくり
その体を水晶玉代わりにしてゼンチャンの
霊視能力の一端を担う。
意外にも(?)人情肌であり常識を持ち、また
女心すらよく理解しているふうでもあるみた
いね。ピエールとの別れ際では彼を諭すよう
な話をいくつもしていたわ( ̄∀ ̄)
第10章<再会と決別>了