魔道士リザの冒険譚(星のドラゴンクエストStory冒険日誌)   作:ジョギー

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アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。




エピソード3.「ワケを聞かせて・・・」

「ここが青雲の巨塔か~、

なんかすっごい高い塔だなぁ。

・・・それにしても、人の気配がしないぞ。

ホントにここに星屑魔法団がいるのか?」

 

「思い出した!

確かこの塔のてっぺんには

宇宙王の一族にゆかりのある

金庫があるとかって話だぜ。

その金庫の扉には鍵が

かかってるんだが、

宇宙王の血を引く者なら

鍵なしで開けられるらしい。

もしかすると金庫の中には

星屑魔法団にまつわる何かが

保管されてるかも?」

 

「ボロンっ!

なによもう、珍しく名推理じゃない!

なんで時々、そう冴えてる事をするのっ!!」

 

「フフ、キビ洞窟では怠けちまったからな、

その分、冴えてるのもしれんな。

宇宙王の血を引く者・・・つまりオリオリなら

無条件で金庫を開けられるはず。」

 

「わかった、急ぎましょう!」

 

さっそくアタシ達は塔の中へと

潜入し、探索を始めた。

中には魔物が巣食っていて、

それを蹴散らしながら

どんどんと塔を登っていく。

 

しかし、やっぱり人がいる気配はなく、

星屑魔法団はここにはいない、

という予感がパーティー全体を

包み始めていた。

 

そしてとうとう最後の魔物を倒し、

最上階へとたどり着いた。

 

やっぱり人影はなく魔法団の姿も

当然なかった。

しかしボロンの言っていた

宇宙王ゆかりの金庫、

これは最上階フロアの一番奥に

存在したわ!

 

「見ろよ!

やっぱり金庫はあるみたいだぜ、

宇宙王の紋章が刻まれた扉、

これがきっとそうだ!

鍵はないが、オリオリ、お前なら

鍵なしでも扉を開けられるはずだっ!」

 

「わかりました。

宇宙王の血のもとに命じます。

扉よ、開きなさい。」

 

するとギギギギ~っという金属音と

ともに紋章が刻まれた扉が

ひとりでに開き始めたのっ!

 

不思議な光景・・・。

疑ってたワケじゃないけど、

オリオリはホントに宇宙王の血を引く

末裔だってことが証明されたわね。

目の前の神秘的な光景がそれを

物語ってる。

 

「ま、まぶしいーーー!!」

 

扉が開くと、中から眩い金色の光が

溢れ出た。

確かに目も開けてられない。

 

やがて光も収まり、金庫の中に

入っている物がなんなのか

視認できるようになってきたわ。

 

「中には一体何が入ってるんだ?

・・・ん?こ、これは!

珠・・・青雲のオーブか!?」

 

「モガ、青雲のオーブ??」

 

「星屑魔法団の魔術師たちが

創り上げた珠さ、

魔法団の者だけが、このオーブに

言葉を刻むことができる。」

 

「ってことは星屑魔法団からの

メッセージが残ってるかも

しれないって事だなー!!」

 

星屑魔法団のメッセージ・・・

彼らの真意を知ることができるのかも?

こんなに厳重な隠し方をしてまで

伝えたい事だもんね。

なにしろ、この金庫を開けられるのは

オリオリだけなんだもの。

 

「もしかしたらセアドからの

メッセージかもしれないぞ、オリオリ。」

 

「セアドからの・・・・♡!」

 

一瞬、オリオリの声に艶が宿った気がする。

セアドって?

 

「セアドは星屑魔法団の団長、

そしてオリオリの夫だ。」

 

え?

 

エエェェェーーーーー

 

オリオリって既婚者!!!???

 

「はい、星屑魔法団の団長セアドは

私の愛する夫です・・・♡」

 

なんですってーーーー!

こんなに美人で若くて素敵な女子が

もうすでに結婚してるなんてっ!!

最近では一番衝撃の事実かも(゚д゚)!

 

いえ、うん、こんな美人ですもの、

世の男性が放っておくはずはないわ。

けど、なんていうんだろ、

全然、所帯じみてなくて、

仮にも巨大なレジスタンスグループの長を

務めるような非常に行動力のある女性と

結婚っていうフレーズがいまいち結びつかない

というのか・・・。

 

そうか、それでさっきセアドという名前を

聞いたときに、声に艶が出たのね。

愛する人の名前を聞くだけで

嬉しくなっちゃうんだ。

アタシにはまだまだわからない感覚だけど、

結婚って、なんか、イイものなのね(*^^*)

 

「モガ~、かなりのビックリ事実だな、

オイラはてっきりオリオリは

ボロンと・・・その・・・」

 

「勘弁してくれよ!

オレはただの幼馴染だぜ!

宇宙王の末裔であるオリオリと

恋仲だなんて血筋が違いすぎるっ!

オレはおくまでオリオリの身を守る

という使命を帯びてるだけさ。」

 

あ、そうか、そういう見方のほうが

自然よね。

でもモガ丸ったら、そういう目で

オリオリとボロンを見てたのね(*´ω`*)

 

「ほら、オリオリ、オーブに込められた

メッセージを確認しようぜ!」

 

「そうですね。

・・・・・・青雲のオーブよ、

宇宙王の血のもとに命じます、

刻まれし言葉を今ここに

解き放て!!」

 

すると、扉が開いたときと同じか

それ以上に強烈な光が

オーブから放たれ、このフロア全体に

溢れ出した。

 

やがて光はオーブの周りをわずかに

照らす程度にまで弱まり、

オーブから人影が現れた。

まるで冒険王の書や宇宙王の書から

人が現れるように・・・!

 

現れた人影は・・・優しそうな青年だった。

優しそうで、それでいて少し憂いを

帯びた表情をしているように

アタシは思ったわ。

 

青い珠から現れた青年が

メッセージを語り始めた。

 

『このオーブから言葉が解き放たれたとき、

私はそこにはいない・・・。

しかしこの言葉を聞いているであろう

人物は容易に想像できる!

宇宙王ゆかりの金庫を開き

青雲のオーブに刻まれし言葉を聞く者、

それは全宇宙でただ1人、私の愛する妻

オリオリ、君だけだ!』

 

「えぇ、セアド。

アナタの言葉を聞いているのは

私です!」

 

『オリオリ・・・驚かずに聞いてほしい。

我が星屑魔法団は義勇軍を離れ

宇宙政府に協力することにした。

どうして?って君は言うかもしれない。

しかしもはや、道はそれしか

残っていないんだ。

夫のワガママを許してほしい。

しばらく会えなくなるかもしれないが

君の無事を祈ってる・・・。』

 

 

【挿絵表示】

 

 

映像として現れた青年は、

時折、寂しそうな表情を見せたり、

決意に満ちた表情を見せたりと、

実に複雑な感情を持ちながら

言葉を紡いでいた。

 

そして語り終わると再び封印を

解かれたときと同じ光を放ち

やがてオーブに収束され

ただの青い珠に戻ってしまったの。

 

オリオリはとてもやりきれないというか、

寂しそうな顔をして俯いてしまった。

そりゃそうだわ!

さっきまで愛しい人の声が聞けるって

あんなに目を輝かせていたんだもの、

そこには義勇軍総司令官という立場を

抜きにした1人の女性としての

喜びの感情があったはず。

それなのに、愛しい人が語った

言葉はあまりに残酷な内容。

それは妻としても義勇軍のリーダー

としても、とても納得できるものでは

ないはずだわ。

 

 

「・・・・どうやら星屑魔法団が

宇宙政府に協力するって話は

事実らしいな。

秘術を使って魔星王を誕生させる

つもりなんだ。」

 

「けど、今まで義勇軍に協力していたのに

なぜ急に??」

 

「会って確かめるしかないぜ、

それにしても、ここの塔にも

魔法団はいなかった、一体ヤツらは

どこへ行ったんだ?」

 

「ボロン、この先にはジリョン城が

あったはず。

そこへ行って魔法団の行方を

探ってみましょう。」

 

「ジリョン城か・・・宇宙政府の要所だな、

今まで以上に厳重に身分を隠して

乗り込まないとダメだぞ。」

 

オリオリったら・・・きっとツライはずなのに

総司令官として今後の展望を考えてる。

なんて人なの。

 

けど、そうね、事は魔星王誕生に

直結するような方向に走り出した。

オリオリとセアドの夫婦間のことは

ひとまず置いておいて、

魔法団に直接、真意を聞いて

秘術の行使を止めさせなければっ!!

 

ただ、さっきのメッセージを聞いて

少し気になる事があったわ。

 

セアドは「宇宙政府に協力するしか

道が残されていない」と言った。

 

自らの意志で進んで政府に協力するんじゃなく、

止む無く協力する、というようなニュアンスを

含んでいるとアタシには読み取れた。

その辺りも含めて、確かに会って

直接確かめるしか方法はないように

思うわっ!!

 

で、何?次は宇宙政府の要所ですって?

望むところね!

心して向かわなくっちゃっ!!

 

様々な事実が明らかになり、

そしてまた次の謎が生まれる・・・。

なかなかアタシの思考も追いつかないけれど、

とにかくこれだけは言えるっ。

 

絶対に魔星王誕生は

阻止しなければならないっ!!

 

残念なことに事態は悪い方向へと

動き始めてしまったけど、

絶対に覆さなければならない!!

 

アタシはオリオリの事を心配しながらも

とにかく今は目の前の事を

精一杯やるという決意を新たにした。

きっとオリオリも同じ気持ちだろう。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・ボロン
義勇軍親衛隊隊長でオリオリの幼馴染。
義勇軍の中でもかなりの実力者らしいけど
超の付く怠け者。
そして超の付くスライム愛の持ち主。

・セアド
星屑魔法団の団長にしてオリオリの夫。
とある事情で義勇軍との同盟を解消し
宇宙政府の「魔星王誕生計画」に加担する。
魔星王誕生には魔法団のみが扱える
"秘術"が不可欠。

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