【外なる英雄もどき】   作:Ecoli@良性TYPE

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この話は4545文字でお送り致します。


第11話

「では、本日最後の戦闘訓練、始めようか‼︎」

 

オールマイトの合図とともに、ヒーロー側の4人は動き始めた。

拳藤を主軸に、吹出は中・遠距離で拳藤のカバー。取蔭は“個性”で視覚、聴覚、嗅覚をもって索敵。そして物間は己の“個性”の汎用性から、オールラウンドに動く形だ。

全員それぞれの役割をはっきりさせ、それに徹することは、即席のチームプレイには必要なことだ。不得手なことを無理にやろうとすると、相手が有利な立場になるからだ。

彼らはこの短時間でそれを理解し実践した。大変素晴らしいといえる。

 

「うーん、1階は居なさそう。物間〜、そっちはどう?」

「2階はこの部屋で最後だ。ナイアーラ及び核は見当たらないね。それにしても取蔭…君の“個性”って変な感覚がするね」

「余計な一言だっての」

 

物間は取蔭の“個性”をコピーし、索敵をする。しかし使い始めた取蔭の“個性”は目や耳といった感覚器官を分離して使うため、物間にとっては奇妙な体験となる。

 

「じゃあ次は3階に行こうか。しかしナイアーラの奴、罠すら設置しないなんてどういうことだ?」

「ニア君のことだからぎょわーん!みたいなエゲツないのしてきそうなのにね!核を爆発させるとか」

「流石に……するな、アイツなら」

「(σ * ॑꒳ ॑*)σソレナ♪」

 

ある意味、信頼されているのであった。良かったね!

 

少し時間は戻る。

戦闘訓練開始直後のニア……

 

「さて、まずはハリボテの核を爆発するようにしましょう」

 

設定した時間に、とある成分が散布されるように細工をする。なに、魔法使いの彼ならチョチョイのチョイさ。

そして消毒用アルコールを床に撒き、と小さな水晶を取り出す。呪文を唱えると、アルコールが撒かれた場所に光の空間が開く。ハリボテの核を丁寧に持ち、その空間に入れようとした時、インカムに音声が入った。

 

『ナイアーラ少年、今何をしようとしているのかな?』

「何って……門の創造してそこに核を移動させるだけですよ?」

『うん、モニタからそれは確認できているよ。ただね、そのモニタで確認できた光なんだけど、私の隣にも現れたんだが……』

 

場所は変わり、オールマイトおよび戦闘訓練をしていないB組の生徒がいる部屋。

ここでは、設置されたカメラを通して戦闘訓練の様子を見ることができるのだ。オールマイトは戦闘訓練中の生徒全員と会話をできるため、ニアと話をしている。

何故なら突然、この部屋に……と、いうかオールマイトの隣に突然、光の空間が広がったのだから。

すると答えはすぐに返ってきた。

 

『ええ、門には入口と出口がありますからね。そちらに繋げたのですからあるに決まっているじゃありませんか』

「そっか。じゃあ君が持っている核はどうするのかな?」

『もちろんこうしますよ。プレゼントフォーユー♪』

 

ニアが核を門に入れると、オールマイトの隣から核が現れた。そしてほぼ同時に、門は消えた。

 

「ナイアーラ少年⁉︎」

『安心してください。非殺傷の爆発だけですので』

「少年ッ⁉︎」

『おや、電波が悪いのでしょうか……何と言っているか聞こえません。一旦切りますね』

「待て!待つんだ!!少年ッ!少年〜〜⁉︎」

 

いくら呼び掛けても、一切の応答は無かった。ふと、隣を見れば、しっかりとタイマーが動いている核(ハリボテのはず?)が置かれている。

訓練をしていない生徒たちは、顔を青ざめ、核から離れる。

 

「皆、おち、おちつ落ち着くんだ!部屋から出れば大丈夫だって!」

「そそそそうだよな⁉︎俺扉開けるよ!」

 

泡瀬が皆を宥め、円場が扉を開ける。

 

 

 

 

 

 

しかし、そこには、闇が広がっていた。

床も、壁も、天井も、真っ暗な闇が一面に広がっていた。踏み出せば二度と、戻れないだろうと、彼らの本能に警鐘を鳴らす。

 

「…………」

 

円場は無言で扉を閉める。そして一呼吸を置いて、扉を開ける。

 

 

 

 

 

 

 

しかし、そこには、闇が広がっていた。

床も、壁も、天井も、真っ暗な闇が一面に広がっていた。踏み出せば二度と、戻れないだろうと、彼らの本能に警鐘を鳴らす。

 

「…………」

 

再び無言で扉を閉める円場。

オールマイトを含め、全員が無言になる。そして……

 

『ふざけるなァァ!!!』

 

B組全員が怒りを露わにした。

 

「ナイアーラァァァァ‼︎」

「鬼!悪魔‼︎ナイアーラ!!!」

「この外道ォォォォ!!!」

「ま、まだ慌てるような時間じゃない」

「非殺傷って言ってるからまだ大丈夫……大丈夫?」

「ん……」

「こんのド畜生が!!!」

「f○ck you!!!」

「絶対ぶった斬ってやるぜェェ!!!」

「皆さん……報告しなければならないことがありますぞ」

 

宍田が鼻を摘みながら話し始める。彼の目には、薄らと涙が浮かんでいた。

 

「お、おい…どうした宍田。そんな顔のパーツを中心に寄せたような表情は……」

 

聞かれた宍田はそんな表情で答えた。

 

「唐辛子の匂いがプンプンしてますぞ……鼻がぁ…目がぁ……」

『…………』

 

誰もが無言になる。

唐辛子か……なんだ、ただ辛くて目に染みるだけか……

と、思いたいが、ここは密室。換気しようにもニアのせいで出来ない。

無限の辛さに襲われるのだ。救いなんて一切ない。

そして再び、この密室空間は阿鼻叫喚に包まれる。

 

 

 

 

 

『ナイアーラァァァ!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、核も移動しましたし……そろそろ彼らが来る頃でしょう」

 

呑気にヒーローチームを待つニア。モニタールームの惨事を招いた張本人とは思えない落ち着きっぷりだ。

手に持った魔本をペラペラと捲っていると、わずかな気配を感じた。正確にいえば、視線を感じた。

その方を見ると、柱の陰から覗く、目およびその周辺のパーツが浮かんでいた。ニアに気付かれたせいか、すぐに彼がいる部屋から出て行く。

そしてすぐにヒーローチーム4人がやって来た。

 

「おやおや、皆さまお揃いで……暇でしたので核は別のところに隠しましたよ」

 

余裕のある対応でヒーローを迎えるニア。

 

「意外だよ。てっきり私たち4人が来たら問答無用で爆発させると思ってたけどね」

「確かに、それも一つの方法です。あの大きさなら1km圏内に甚大な被害を与えられたでしょう。しかし()()()4()()のために爆発させるのはもったいない。なので1()7()()もいる部屋に移動させました。もちろんタイマーは作動させています」

 

数秒の沈黙のあと、取蔭が叫ぶ。

 

「あんたバカなの!?」

 

そう言われても悪びれる様子は一切ない。取蔭は顔を押さえてため息をつく。こんなやつを相手にしなければならないのだから。

 

「本来は要人や国の責任者のもとに送りますが、あくまで訓練。正確な場所としてイメージできたのがモニタールームだったのです。何も問題はありません」

「酷すぎる……」

「ヴィランならどうするか、そう考えた結果です。別におかしくはありませんよ?」

 

拳藤は顔をしかめる。これ以上話しても意味がないと判断したのか、“個性”で手を巨大化させ、臨戦態勢に入る。吹出も彼女のカバーができる位置に移動する。物間と取蔭はニアの死角に立つ位置に移動する。

4対1。

実力に差はあれど、数では圧倒的に劣る。常に視野に入れることは困難であり、4人の連携次第では一瞬の隙ですら致命的となる。

 

「ふん!せいっ!とりゃっ‼︎」

「ハハハ!動きが単調ですよ?それではこんなふうに……」

「ッ⁉︎」

 

拳藤の攻撃を最小限で躱し、一瞬の隙をついて足払いをする。

バランスを崩した拳藤に追い討ちをかけようとするも、

 

「ズババババ!!」

「むぅ、中遠距離からの攻撃は厄介ですね」

 

吹出のオノマトペが、拳藤を守るようにニアを襲う。

 

「僕も忘れちゃいけないなァ‼︎」

 

拳藤の“個性”をコピーした物間が、ニアに反撃をさせないように攻める。

そこに体勢を整え直した拳藤が攻撃に加わり、一切の反撃を許さない波状攻撃となる。

だが、

 

「テオザケル」

 

「がぁ⁉︎」

「うわぁッ⁉︎」

「拳藤!物間!」

 

ニアは自分ごと巻き込む、広範囲の電撃を放つ。巻き込まれた拳藤と物間は意識はあるものの、まともに動ける様子ではない。

ニアは動けない2人にとどめを刺そうと、手のひらを向け、口を開く。

 

「させないし!」

 

取蔭は可能な限り身体をバラつかせ、ニアの動きを牽制する。

その間に吹出が2人を引っ張って部屋から出る。取蔭も牽制しつつ、部屋から出ようとするが、

 

「ラシルド」

「嘘⁉︎出口が⁉︎」

 

部屋の唯一の出入り口が、雷を纏う巨大な盾により塞がれた。

マズい……

そう思った時、後ろから奴が近づく音が聞こえた。

 

「見事な連携でした」

 

パチパチと拍手をしながら近づいてくるヴィラン(ニア)

その仮面の下はほくそ笑んでいるに違いない。そう思った取蔭は顔を引きつらせる。

1対1……

4人ですらまともに攻撃できない相手と、闘わざるを得ないこの状況。もはや絶望だ。もし、これが訓練でなければ、ヴィランは容赦しないだろう。

 

殺されるか、生き地獄を見るか……

その2択となる。

 

 

 

 

 

それがどうだというのだ。

 

取蔭切奈()はヒーローを目指しているんだ。諦めてたまるか!今は目の前にいるナイアーラ(外道)を何とかしなきゃ……‼︎)

 

取蔭は全身を可能な限りバラバラにして、ニアを囲むように展開する。

 

(捕縛テープさえ巻けば勝ちなんだ……やるしかないね‼︎)

 

覚悟を決めた取蔭は、可能な限りの全方位からの攻撃を仕掛ける。

視野を奪い、死角から捕縛テープを取り付ける。単純ではあるが、最善手でもある。

 

「グラビレイ」

「きゃあ⁉︎」

 

たった一言で、彼女の全身は地面に沈んだ。メキメキと彼女を抑える重力は、自由を奪うには十分過ぎる威力だった。

 

「あ…ぐぅ……」

 

呼吸もままならない。そしてついには、取蔭は意識を手放した。

気を失ったことを確認したニアは取蔭を抱きかかえ、そっと壁に寄り掛からせた。

 

「さて、残る3人はどこで…………は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ……取蔭……」

「想像以上に強いね……4人で攻め続ければイケると思ったんだけどな……」

「ニア君ってああ見えて優秀なんだね、改めて知ったよ。2人とも動ける?動けるならビューン!って取蔭さんを助けに行こう!早くしないとモニタールームも大惨事に……もうなってないよね?」

「「……早く行こう」」

 

取蔭の救出とモニタールームの安全のため、3人はすぐに立ち上がった。

既にモニタールームが異空間に閉じ込められているとは、思わないだろう。

 

「でもどうする?近距離も遠距離もあいつは対応してくるからな……」

「やるしかないっしょ。今の僕らは()()()()なんだぜ?ニア君(生粋ヴィラン)を倒そうぜ( •̀ω•́ )✧」

 

吹出の鼓舞により、拳藤は自信を持って挑む決意をする。

 

「ナイアーラを倒すにはさっき以上の“策”を練らなきゃならない。それも飛び抜けたものをね……」

 

物間が立ち上がり、2人に語る。

 

「どうするのさ?」

「簡単さ。僕がナイアーラの“個性”を使うんだ。目には目を、歯には歯を。外道には外道をぶつけるんだよ」

「だけどアイツの“個性”はコピーしてないんじゃないのか?」

 

ニヤリと笑う物間は言葉を続ける。

 

「してあるさ。“個性”ありの体力テストでね。コピーした“個性”はストックできる。使わない限りしばらくはね……だから、このように…ね!」

 

物間はニアの“個性”を発動した。

それが物間の人としての過ちだとは知らず……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出てきたのは、皮製で幅が約60cmの大きな巻物だった。




物間が出した魔導書が分かった方は、訓練された探索者です。分かった方はそこに記載されている存在と契約してください。
あと前話の後書き詐欺ではありません。話が長くなるために分割しただけです。

ニア=ナイアーラにヒロインっている?誰が良いかな?

  • A組の誰か
  • B組の誰か
  • 最近出番がないアビゲイル・ウィリアムズ
  • 外なるブラコン、イブ=スティトル
  • ニャルラト……は要らないか
  • 物間
  • 要らぬ。いない方が人類のためだ。
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