「選手宣誓?私が?」
「そうだ。毎年行われる雄英体育祭の選手宣誓は、入学実技試験の1位がすることになっている。俺としては非常に不安だが、やってくれるか?」
A組視察の次の日、ニアは職員室に呼ばれた。そしてすぐに、校長室へと移動した。
先日の戦闘訓練で隠しカメラを壊したことがバレたのか?そう考えていたが、内容は別のことだった。
「やぁ!雄英高校の校長は誰か?それはこの私、喋るネズミこと、根津さ‼︎」
「え、○ッキー?」
「ハハッ!面白いことを言うね!それは禁忌だよ、消されたくなければね‼︎」
D社はマズい(迫真)
「さて冗談はさておき、こうして話すのは初めてだね!君の話は聞いているよ。優秀な問題児だってね!」
「優秀なのは知っていますが、問題児とは心外ですね。まだ大きな事はやらかしてはいない気がしますが?」
「自覚なしとは驚きだ!まぁそれはいいや。君に話すことは2つあるんだ。まずは雄英体育祭の選手宣誓をしてもらうよ!」
そして初めに戻る。
確かに筆記試験でも実技試験でも1位だったのは事実だ。別に恥ずかしいとか、面倒くさいからやりたくないといったことは無い。
「まぁ、断る理由はありません。しかし、B組の私がやるよりも
「理由を聞いてもいいかな?」
「もちろん。確か雄英体育祭は日本全国、いや、世界から見ても大きな行事だと聞いています。当然、多くのメディアが取りあげます。ならば話題性のあるA組の誰かが選手宣誓をした方が面白い。それが私の理由です」
根津校長は静かに頷き、そして口を開く。
「そうか。じゃあこう捉えられてもおかしくはないね!
「校長?」
根津の予想外な発言に反応するブラドキング。
「ほう?」
「ナイアーラ?」
当然、面白さに関する挑発をされれば反応するニア。ブラドキングはこれから起こる茶番に困惑をしている。
「私は面白ければ方法や結果なぞどうでも良いと考えています。確かに、A組と比べて我々B組は話題性に欠けています。ならば導き出される答えはただ一つ……A組よりも目立てば良いだけです。今回の選手宣誓、お任せください」
「交渉成立だね!よろしく頼むよ‼︎」
ニアと根津校長は握手を交わす。ブラドキングは困惑している。
「選手宣誓に設ける時間は?」
「3分以内であれば大丈夫さ!まぁ毎年1分くらいで終わるね」
「ほうほう、ならばその3分間で全てが決まると……真面目な宣誓を30秒以内、そして残りはずっと私のターンですね?良いでしょう!」
「生放送だから放送禁止用語や行動はNGね!以前“個性”で全裸になった生徒がいたからね‼︎」
「その話を詳しく」
「……校長、次の話をしませんか?」
完全に忘れられていたブラドキングの一言で、1人と1匹は話を止める。
根津は軽く咳払いをして、真剣な眼差しで話し始める。
「もう一つの話というのは、君から聞きたいことなんだ」
「何でしょうか?話せる事であれば」
「先日のヴィラン襲撃事件についてさ。君はどう聞いている?」
「ニュースで報道されていた通りですよ。何でも“個性”が暴走したとか。それくらいしか知りません」
嘘です。
原因も招来した邪神も知ってます。
だからといって話したら、非常に面倒なことになるのは間違いない。下手したら内通者として疑われてしまうのがオチだ。
「そうか……うん、分かった。話は終わりさ!」
「わかりました、体育祭当日はお任せください。では、失礼致します」
そう言ってニアは校長室を出る。
(だいぶ怪しんでいましたね……まぁバレたらバレたで、面白くなればいいんですがね。しかし選手宣誓か……どう煽りましょうかね?)
面白ければ何でもいい。そのために彼は動くのだ。
「ナイアーラ、少し話がしたい……」
「……場所はこちらで用意しておきましょう。ついてきてください」
「あぁ……」
その日の放課後、ニアは物間に呼び止められた。彼の表情を見た瞬間、ニアは全てを察し、彼を連れて行く。
その行き先は駅近くの公園だ。しかし、ニアが入った途端に人気は一切無くなる。
「人払いは済ませました。此処なら私たち以外に聞かれることはありません」
「……公共の場での“個性”の使用はダメなんじゃ?」
「そんなことは些事です。それよりも……何を聞きたいのですか?」
「………………」
「まぁ、何を聞けば分からない。それが今、物間君に置かれた状況でしょう。では私からハッキリとお話ししましょう。それでよろしいですね?」
物間は無言で頷く。
了承は得た。ならば全てを話しましょう。
「まずは、そうですね……貴方が取り出した魔導書、アレは大変危険なものです。私でさえソレには触れません。というかよくソレを選びましたね……どのようにソレを取り出したか教えてくれませんか?」
「どうって……君が使ってる本を出そうとしただけさ。そしたら…アレが出てきた。危険なのは身に染みたよ。拳藤と吹出がすごく怯えていたからね」
「ほうほう……本当に開かないで正解でしたよ。数行読んだだけで10年近く歳を取りますからね」
「10年⁉︎読んだだけで⁉︎そんなのは有り得ない‼︎」
物間は声を荒げる。あの時、吹出が止めていなければソレを読んでいたかもしれないのだから。
「有り得ない?いえいえ、それは大きな間違いです。貴方は知らないだけだ。逆に何故、有り得ないと言い切れるのですか?」
「それは……」
「ならば私はこう宣言しましょう!〔有り得ないなんて有り得ない〕と!それにこの状況で嘘をつくほど、私は落ちぶれてはいませんよ」
ニアはカラカラと笑い、話を続ける。
「物間君、貴方が取り出したのは【カルナマゴスの遺言】という魔導書です。そしてソレにはとある存在の加護が授けられています」
「とある…存在……まさか!」
「……その反応、もしかして
頷く。
冷や汗を流す物間を見て、嘘ではないと確信する。
手遅れだと……
そして物間は声を震わせながらニアに訊ねた。
「ナイアーラ……分かるんだ、もう取り返しがつかないってことを。なぁ!僕は!どうすればいい⁉︎そして君は何者なんだ‼︎」
それは今にも壊れそうな叫びだった。
認めたくない。
信じたくない。
受け入れられない。
だが全てが現実だ。
もう、どうしようもない……救いを求めるものだった。
「何者…ですか。ふむ、ならばこう答えましょう。私はニア・ナイアーラ、ただただ
物間はニアの言葉を聞くと、項垂れる。
「認めたくないのは当然でしょう。君は悪くないのだから。しかし……ただ、運が無かった。それだけです。これからどうするのかは……君次第です。さぁ、どうしますか?今置かれている状況を受け入れず自暴自棄になるか、最期まで醜く足掻くか!」
ニアは物間を心配しているわけではない。
それが
「…ナイアーラ、教えてくれ……そのクァチル・ウタウスについて、そしてそれに関する知識も!」
「ほう?その理由を聞いても?」
「僕はヒーローを目指しているんだ。たかが悍ましいものに魅入られただけで怖気ずくわけにはいかないんだよ!僕は僕の目指す
覚悟を決め、懇願する。
それは人間から離れていくことを宣言したも同然だ。
「良いでしょう!ならば私も貴方のご期待に応えましょう!!」
素晴らしい、実に素晴らしい!
これだから人間は愚かで面白いんだ‼︎
そして体育祭の日がやってきた。
各クラスに割り与えられた控室にて、1年B組は待機をしている。
「ついにやってきたな……この時が!」
「プロに実力を見てもらえるんだ……やってやる……!」
「⁽⁽◝(๑꒪່౪̮꒪່๑)◜⁾⁾≡₍₍◞(๑꒪່౪̮꒪່๑)◟₎₎」
「落ち着け吹出」
こんな感じで気合が入っている。
この日のために作戦や技術、実力を磨いてきたのだ。彼らはやるしかないのである。
「ニア‼︎」
「はい?どうしましたか鉄哲」
鉄哲がニアに向かって指を差す。
「今日俺は!ニア、お前に挑む‼︎」
ニアへの宣戦布告。同じクラスとはいえ、互いに優勝を目指す敵同士。仲良しこよしだけでは、この体育祭に意味は無い。
そして入試1位、そして戦闘訓練で見せつけた実力から、この場にいる全員はニアよりも下となる。
故に、鉄哲の宣戦布告は正しい。
当の本人、ニアはキョトンとした後、すぐに口角を吊り上げて笑みを浮かべる。
「わかりました。ならば私も全力でいかなければなりませんね?」
「当然‼︎ここでやらなきゃ漢が廃るぜ‼︎」
「ふふふ、素晴らしい……あ、そうそう。他の皆さんも如何です?私に挑みたいのであれば受けて立ちますよ?」
ニアは周りを見渡す。
全員にその闘志があるようだ。ならばそれに応えるまでだ。
すると放送にて入場のアナウンスが入った。
「よし、じゃあ皆!行こっか‼︎」
『おう!!!』
拳藤を筆頭に、1年B組は入場する。
雄英高校体育祭、スタート!!!
おめでとう物間君!君は偉大なる一歩を踏み出すことに成功した!
もう戻れないけどね‼︎
ニア=ナイアーラにヒロインっている?誰が良いかな?
-
A組の誰か
-
B組の誰か
-
最近出番がないアビゲイル・ウィリアムズ
-
外なるブラコン、イブ=スティトル
-
ニャルラト……は要らないか
-
物間
-
要らぬ。いない方が人類のためだ。