【外なる英雄もどき】   作:Ecoli@良性TYPE

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騎馬戦は書きにくかったです。


第16話

「…………」

「おや、どうしました?そんな驚いたような顔をして」

 

何事も無かったかのように話すこの男、ニア=ナイアーラは呆然としている心操に訊ねる。他の2人は虚なままだが、この男だけは違った。

 

(何故解けてる⁉︎洗脳が浅かったのか?ならもう一度……)

 

「いや、何でもない……それよりも準備はいいか?」

「ええ、もち……」

 

再びニアは虚な表情に戻る。

 

(よし、これで大丈夫なはずだ……)

 

そう安堵していたのも束の間、それはすぐに消えた。

 

「……なるほど、呼びかけに応じると洗脳されるのですね。実に素晴らしい“個性”じゃありませんか。あ、私のことは気にせず愉しんでいきましょう」

「なっ⁉︎どうして⁉︎」

 

ものの数秒で洗脳が解けてしまったことに、心操は動揺を隠せない。

彼の洗脳は、彼自身が解除する。もしくは一定以上の衝撃を与えることで解除することができる。

しかし、そのことを周りに話したことはほとんど無い。ましてや雄英に入学してからは誰にも話したことがない。

それなのにも関わらず、この目の前にいる褐色の男、ニア=ナイアーラは2度の洗脳を()()()解除している。

 

「時間が無いので一言で済ませます。精神力ですよ。貴方の洗脳よりも私の精神力が上回った。それだけです」

「クソっ……何だよそれ……」

 

心操は自分の“個性”が効かないことに、焦りと苛つきを感じていた。

考えていた作戦が完遂できない。

そう思っていると、その原因の男が話しかけてきた。

 

「それにもう始まっているのですよ?貴方は騎手、私は騎馬……指示が無ければまともに動くことはできません。作戦はあるのでしょう?」

「……あったけどアンタがそれじゃ上手くいくかは分からない。けど諦めたわけじゃない。勝ちにいく」

「よろしい。ならばこのナイアーラ、存分に力を奮いましょう!」

 

大袈裟に振る舞うニアを見て心操は再び苛立つが、それ以上に頼もしいと思えた。

 

(コイツは俺を何とも思っちゃいない。だったら俺は存分に利用させてもらう!)

 

ギラついた眼でニアを見たあと、周りを見渡す。半分近くが1000万ポイントを取りに行っている。1000万ポイントさえ取れば、確実に次に進めるのだ。

だが、物間をはじめB組のいくつかのチームは、1000万ポイントを狙うような大きな動きをしていない。好機を伺っているように見える。

 

(そいつらを狙うか?)

 

そう考えるが、ニア=ナイアーラ(選手宣誓をした要注意人物)を味方にしている今、B組狙いは悪手になりうることもある。現に騎馬戦が開始してから全く狙われていないのだ。

ならば1000万ポイントを狙っているチームから掠め取ることが最善手だと。

 

「決まった…1000万に群がる奴らから奪うぞ」

「承知しました。上手く奪ってくださいね?」

 

そして心操チームはやっと動きはじめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「動き始めたかナイアーラ」

 

物間はニアの方を見て呟いた。

アレに挑むのはまだ早い。それに騎手が知らない奴だ。あのナイアーラを差し置いて。警戒をした方がいいだろう。

そう思いつつ、物間は自身の作戦通りに動きはじめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

騎馬戦が始まって10分が経過した。その時点での順位はこうなった。

 

1位…緑谷チーム

2位…轟チーム

3位…心操チーム

4位…物間チーム

5位以下0ポイント

 

1000万ポイントを持つ緑谷チームは殆どのチームから狙われているのにも関わらず、上手く対処し回避をしている。ひたすら粘り続ける緑谷チームに、油断も隙も無い。

2位の轟チームは、いくつかのチームからポイントを奪い2位を維持。

3位は心操チーム。ニアという要注意人物と彼を騎馬にしている心操に警戒をするが、心操の【洗脳】という初見殺しよりポイントを稼ぐ。奪われそうになってもニアの魔術により防がれる。

4位は物間チーム。物間の作戦により1000万ポイントを狙うチームからポイントを奪う。ポイントを奪われた爆発ボンボヤージュこと爆豪は、騎手でありながら騎馬から離れ宙を飛ぶが、物間チームの騎馬にの1人、円場の空気凝固によりポイント奪還ならず。激おこプンプン丸である。

残り5分。

突然、緑谷チームの周りを氷の壁が覆う。

 

「行くぞ、緑谷……」

「轟君……!」

 

緑谷チームと轟チームが睨み合う。攻防、機動力に優れる轟チームに対し、緑谷チームは4人の連携により1位を保っている。

 

「……轟君、残り3分弱、僕はまともに動けなくなる。だから1000万ポイントを必ず獲るんだ」

「おい、どういうことだ?」

 

 

DRRRRRRRR!!

 

 

真面目メガネの男子から、けたたましいエンジン音が鳴り響く。

そして次の瞬間、轟チームは緑谷チームの後ろまでに走り出していた。

 

レシプロバースト!!

 

「なっ⁉︎」

 

突然のことに緑谷は何もすることが出来なかった。

そして頭に巻いてあった1000万ポイントのハチマキが無くなっており、そのハチマキは轟の手に握られていた。

 

「言っただろう緑谷君……僕は君に挑戦すると!」

 

『ついに奪われたァァーー!飯田のスーパーダッシュが炸裂ゥゥゥゥ!!緑谷チーム!一気に0ポイントにダウン‼︎つーか4位以下が0ポイントって⁉︎どうしたどうした⁉︎』

『心操チーム、物間チームは、緑谷たちを直接狙わずその周りから奪っていった。1000万を取らなくても他が0ポイントならば次に進めるからな』

『そいつは良い作戦だな!だがまだ2分も時間があるんだぜ⁈終了のブザーが鳴るまで走り続けろよエブリワーン!!!』

 

喧しい実況の中、生徒たちは更に熱を上げ、激戦となる。

緑谷チームはすぐに1000万ポイントを奪い返そうと攻めに走るが、轟の氷によって妨げられる。それでも諦めず、攻め続けることで一本のハチマキを奪った。

 

「位置を変えておきましたの!緑谷さんならば、必ずハチマキの位置を把握していると!」

 

緑谷が奪ったのは1000万ポイントではなく、別のチームのハチマキであった。そして緑谷チームの順位は4位……いや、5位であった。

1位が轟、2位が心操、3位が爆豪、4位が物間となっていた。

 

 

 

〜 ほんの少し前 〜

 

 

 

「周り見なさすぎなんだよA組は」

「なっ⁉︎」

 

物間チームは1000万ポイントを狙う爆豪チームからハチマキを奪った。爆豪はすぐさま取り返しに反撃するが、物間はコピーした【爆破】で迎撃。迎撃できない攻撃には【硬化】して防ぐ。

 

「俺と同じ“個性”も⁉︎」

「アホが……パクリやがったな……!」

「正解。僕の“個性”はコピーさ。君とは色々と話がしたいけど、僕らは君らを相手するほど暇じゃないんだ。本戦で当たったら聞かせてよ、()()()()()()()()()()……あ、このままじゃ本戦に出れないか!」

 

高笑いしながら爆豪チームから離れる物間チーム。ハチマキが奪われて0ポイントとなった爆豪は、わなわなと怒りに震えている。

 

「作戦変更だァ……」

「は⁉︎今からか⁉︎」

「えー、どうすんのさーー!」

 

爆豪は一呼吸置いて、鬼の形相で両手を爆破させた。

 

アイツ(物間)を殺す‼︎」

 

爆豪は騎馬から離れ、爆破を器用に操り空を飛ぶ。目標は物間チーム。

物間も爆豪の猛襲に気付く。

 

「円場!防御‼︎」

「おう!フッ!

 

円場の空気凝固により爆豪は見えない壁に阻まれるが、大きく振りかぶった右腕を振り下ろし、壁を破壊。そのままハチマキを奪った。

宙にいる爆豪を、騎馬の一人である瀬呂が肘からテープを射出し、爆豪を回収。

 

「まだだ‼︎」

 

爆豪は吠えた。

彼が手にしているのは1本だけ。しかも点数がかなり低いものだ。これだけでは本戦に出れない。

しかし、彼はそれを目標としていない。

体育祭における爆豪の目標は()()()()()()()1()()

こんなところで手間取っている暇は微塵も無いのだ。

爆豪は騎馬に指示を出し、物間チームに迫る。その指示は非常に的確かつ無駄が無かった。

その勢いのまま、物間のハチマキを全て強奪した。これにより爆豪チームは3位に浮上。この順位であれば、本戦へ出場できるが、爆豪はまだ止まらない。

 

「次ァ1000万だ‼︎」

 

爆豪の声に、騎馬の3人は強く返事をした。

 

「「「おう!!!」」」

 

 

 

 

 

 

そして現在に至る。

残り1分を切った中、緑谷チーム、そして爆豪チームが1000万ポイントを持つ轟チームへと攻撃する。

だがそこに、不穏な影がやってきた。

 

「愉しそうですね。私たちも混ぜてくださいよ」

 

『1000万争奪戦についに登場!心操チームが乱入だァァ!!!』

 

ニアは不敵な笑みを浮かべている。騎馬の心操は苦笑いしているが。

4チームによる乱戦。現にポイントを持っているのはこの4チームだけなのだ。

 

「ナイアーラ……その作戦で良いのか?」

「ええ、他のチームがどうしようが2位は維持できます。それに貴方の“個性”はタネが分かれば勝ち目がない……これ以上目立つのは貴方にとって枷となり得るのでね。今は我慢しましょう。お2人もよろしいですね?」

 

その問いに尾白と庄田は不本意ながらも同意する。

そして試合が動く。

緑谷、爆豪、轟チームはニアたちを警戒し、動きが一瞬だけ止まる。だが、それが決着を付けたのであった。心操は声を上げた。

 

「引くぞ!」

 

心操の声により騎馬の3人は乱戦から距離を取る。そして宙に浮かばせている魔本が光出す。

 

「ギガ・ラ・セウシル」

 

ニアが唱えると、緑谷、爆豪、轟チームの周りを透明な半球が覆う。

 

「セウシル」

 

続けざまに呪文を唱えたニアの周りにも、同様の半球が覆う。

 

『どういうことだコリャ⁉︎強固なシールドで3チームを守った⁉︎』

 

プレゼントマイクが困惑していると、爆豪がそのシールドに向けて爆破した。

しかしその爆風は()()()()()、彼らを襲った。

 

「言うのが遅くなりましたが……一定以下のエネルギー量は全て跳ね返します。気をつけてくださいね?」

 

緑谷、轟チームは爆豪チームを見て動くことができなくなった。0ポイントの他チームも、そのシールドを壊そうとするが、ヒビが入るだけで壊すまでにはいかなかった。そのままポイントは変動することなく、タイムアップとなった。

 

『試合しゅ〜〜りょ〜〜!!!最後はまさかの動き無し‼︎ナイアーラがエゲツない⁉︎つーか上位4チームが進出だけどポイント持ちが4チームしかいないって何じゃこりゃ?まぁだがお疲れ様だぜと伝えておくゥ!1位!轟チーム!2位心操チーム!3位、爆豪チーム!そして4位に緑谷チームが本戦出場だぜ‼︎出れないからといってもう終わりじゃあない‼︎レクリエーションがあるからまだまだ出番はあるぜオイ!んじゃ昼休憩を挟んでからのレクリエーション、そして本戦の開始だゼ‼︎てなわけでイレイザーヘッド、メシ行こ〜』

『……Zzz』

『え、寝てる……?』

 

 

こうして騎馬戦が終わった。

 

ニアは休憩しようと歩いていると、心操に話しかけられた。

 

「どうしましたか?」

「……ひとつ、聞かせてくれ。アンタは何でヒーローを目指している?」

 

その言葉に目を見開くニア。そしてすぐに目に笑みを浮かべ口を開く。

 

()()()()()からですよ。私の存在意義(ロール)を果たすためにね。ただそのためだけならば、ヒーローもヴィランも関係ないのですが…私にも大切な人たちがいますからね……ならばこの環境は最適であると。それが理由です」

「……………そうか」

 

心操はこれ以上、話すことなくこの場を去ろうとする。

 

「では私からもお聞きしましょう。貴方はどうしたい?」

 

ビクッとした心操はその場で立ち止まり、ニアに背を向けたまま答えた。

 

()()()()()()()()()。憧れたんだ……悪いか?」

「いえ、大変素晴らしいと思いますよ。せいぜい諦めず足掻きなさい。私から言えるのはそれだけです。本戦で愉しみにしていますよ」

 

そうしてニアもこの場を去った。

 

 

 




つぎからやっと本戦トーナメントだー……

ニア=ナイアーラにヒロインっている?誰が良いかな?

  • A組の誰か
  • B組の誰か
  • 最近出番がないアビゲイル・ウィリアムズ
  • 外なるブラコン、イブ=スティトル
  • ニャルラト……は要らないか
  • 物間
  • 要らぬ。いない方が人類のためだ。
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