ただ守り通すだけの物語   作:寝る練る錬るね

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インド攻略してて遅くなりました。

いやー…急展開でしたね。まさかペペロンチーノとマシュが主人公の取り合い合戦をするだなんて…

二人に襲われてひたすらお尻を抑える立夏くんの姿は妄想が捗りました…

そして所長が親指を立てながらインド象に飲み込まれていくラストシーンは涙なしで見れませんでしたよ…


はい、遅れてすいませんでした。素直に謝ります。実はまだインド攻略しきれてないです。

あと、長い上にギャグ要素あります…シリアスとのメリハリは大切にですね。

感想ください。高評価ください。作者の更新ペースが上がります。


第4話 下賜(真)

「ねぇギル!こんなところほっつき回ってないで王の仕事をしよう」

 

「ええぃ、くどいぞエルキドゥ!貴様は我の母親か!?」

 

 アンヘルが王広間で下賜(物理)される数十分前。先日、ギルガメッシュに対する文官の酷評を聞いたエルキドゥは、なんとかこいつに王の仕事をさせようと苦難していた。

 

 自分から逃げようとするギルガメッシュの周りにひたすらターンを決めながら付き纏い、たまには飛んでくる拳を避け、たまには飛んでくる宝具を避け、果ては空を飛んで逃げようとしても追いかけてくる。普段であればここまでの自己主張をしないエルキドゥのしつこさに、ギルガメッシュはそろそろキレかかっていた。

 

 しかし、それはエルキドゥとて同じこと。ギルガメッシュが執務をサボっている分、事の正当性はエルキドゥにあった。

 

 そして、自覚がなくともキレたエルキドゥは今回の騒動の原因となる一言を発した。

 

「ギル!このままじゃ、アンヘルに存在価値を無くされてしまうよ!

 

 ピタリ、と。進んでいた英雄王の足が止まる。そして最古の王の優秀な耳は、悲しいことにエルキドゥの言葉を完璧に捉えていた。

 

「……ほ、ほぅ?どう言った訳だ?許す。答えてみよ」

 

 明らかに『そうであって欲しくない』という願いの込められた問いかけだったが、感情を持たない(空気の読めない)エルキドゥは読んで字の如く無情だ。正論の刃で次々とギルガメッシュを攻め立てる。

 

「アンヘルはギルより仕事してるよ?」

 

「は、ハン!我は王だ。執務も勿論大切だが、しかし全てを我がやるわけにもいかん。仕事は臣下に譲ってやらねばな!」

 

「ギル、全部丸投げは譲るとは言わない。この間文官の評判を聞いたけど、穀潰しだって」

 

「ご、穀ッ!?……あとでその文官には詳しく話を訊くとして、だな。我にはこの優れた容姿がある!業腹ながら、神と人の子なのでな」

 

「アンヘルって人形みたいに顔整ってるよね。成長したら僕やギルにも負けない容姿になるよ、きっと」

 

 即座に飛んでくる反論に、ギルガメッシュはぐぬぬ……と歯ぎしりをする。しかも全て正論というタチの悪さだ。

 

「ならば!あの童は我ほどの力がないだろう!絶対的武力!戦闘においてどちらが優秀かなど決まって……」

 

 そこまで口にして、ギルガメッシュは己の失敗を悟った……親友の蔑んだ目という最悪の結果を伴って。

 

「ギル…………子供相手に力で勝って嬉しい?」

 

「グゥッッッッ!」

 

 そう。ギルガメッシュの競っている相手はあくまで子供。齢十を越えるか越えないかといった童なのである。

 

 それに対して力で勝つなど当たり前。寧ろ勝てていなければどうにかしているレベル。能力的な面で負けている方が異常なのだ。そんな単純な心理に気がつかず胸を張ってしまったことをギルガメッシュは恥じた。

 

 そして、膝をついたギルガメッシュの首を落とすかのように、トドメの一言が口にされた。

 

「ギル。友達、何人?」

 

 尋ねるにしては、あまりに短すぎるその言葉。しかし、その言葉に込められた意味は重くギルガメッシュにのしかかる。

 

「お、(おれ)の友は……貴様だけ、だ。エルキドゥ」

 

 ご存知の通り、ギルガメッシュはほぼ、ボッチなのである。

 傲慢で、高慢で、凶悪で、気に入らないものはなぎ倒し、気に入ったものは何としても手に入れようとする難儀を通り越した問題児。どうやって友達を作れというのか。

 

 友達は僅か1人。某弓兵風にいうのであれば、I have only one friend.(我が友達は1人だけ……)

 

 ボッチ。致命的なボッチ。孤高もここまでくるとお笑い。友達は1人だけいる(笑)とんでもなく1人のボッチ。それこそが、何を隠そうこの英雄王なのである。事実、友達ネタで弄ると即座に葬られるとW○kiとかp○xivにも書いてある。(※著者(マーリン)個人の見解です)

 

 そんなギルガメッシュが唯一の友、エルキドゥと喧嘩した時。ギルガメッシュは本当に孤独(笑)となるのだ。要するに、ギルガメッシュが友達に関することでエルキドゥに反論した時点で、勝敗は決していた。

 

「だよね。まぁ、分かってたけど」

 

 エルキドゥとて、自分以外の友がいないギルガメッシュに忠告をしてこなかったわけでは無い。寧ろ、かなり頻繁に友人づくりを訴えてきた。しかしまぁ、結果は見えていて。エルキドゥが今こうして話しているこの時まで、ギルガメッシュは友を作っていなかったのである。

 

 変わらぬ親友の在り方に呆れながらも、エルキドゥは己の胸元を探っていく。暫くして白い外套から取り出されたのは、何の変哲も無い木の板であった。

 

「……何だ、それは?」

 

 取り出されたものは、武器でも何でもない板。数多の財宝を見てきたギルガメッシュの鑑識眼を使うまでもなく、単なる木材とわかる……にも関わらず。

 

 ギルガメッシュは嫌な予感を感じていた。何であろうか。こう、自分は絶対的に得られない何かを、堂々と見せつけられそうな、そんな恐怖。

 

「これは、アンヘルが文官達にあげているものだ。裏には、渡された人の名前と番号が振られてある」

 

 エルキドゥが板の裏を見せると、なるほど確かに。エルキドゥという文字と、1という数字が彫ってあった。

 

「そ、それが……どうした?」

 

 エルキドゥの口の動きが、酷くスローモーに感じられる。次の言葉を発させてはいけない。理解してはいけない。そう、本能が訴えかけてくる。

 

 しかし、現実は無情。エルキドゥの言葉は、一切の妨害なく紡がれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは、アンヘル曰く『友達の証』らしい」

 

「なああァァァッッ!?」

 

 友達の証。ともだちのあかし。トモダチノアカシ。確かにそう言った。友達。友達。その言葉が、ギルガメッシュの頭をぐるぐると回った。

 

 何だそれは。友達をわざわざ作る。しかもそれを証にして渡す?

 

 考えられない。ギルガメッシュであれば天地がひっくり返り、世界が滅亡し、人理が焼却された挙句に漂白されても行えない行為。その行為が、容易く、それも親友に対して知らずに行われているという。

 

「ちなみに、今この国の文官ほぼ全員。これを持ってる。みんな、アンヘルが夜なべして(コレ)を作ってるのを知ってるからね。子供が頑張って作ったものを喜ばないヒトはウルクにいなかったわけだ」

 

 文官全員。ウルクの文官は少ないとはいえ百は下らない。その全員が、トモダチ。しかも手作りときた。言い方から察するに市販の板から作って、彫った文字も自分でやっているのだろう。よくよく見ると字が職人にしては歪んでいる部分もある。

 

「……」

 

 最早声も上がらない。圧倒的格差。一回り二回りも違う子供に百倍近い交友関係の差を付けられたショックが、ギルガメッシュを苛んでいた。

 

 さらにあろうことか、エルキドゥが目の前で大切そうにその木版を服に仕舞うのだ。気分は目の前でNTRをキメられた自意識過剰男である。

 

 ちなみに一応、補足しておくと。アンヘルは何も考え無しに木版作りの作業をこなしているのではない。数日前に殺されかけたアンヘルは万が一自身が殺された場合、国民から不満が出るように細々と細工を仕掛けた。つまるところ殺されない為の保険である。

 

 その第一号として、先日アンヘルを殺しかけて借りのあるエルキドゥを選択したに過ぎない。尤も、本人もやってるうちに楽しくなってきて、最後の方は普通に友達になるために作っていたりするのだが。

 

 ともあれ、こうしてエルキドゥの第一目的、ギルガメッシュに自分の話を聞いてもらおう、は英雄王のちんけなプライド的なアレを粉微塵に粉砕し、プレス機で潰してローラーにかけられた結果として達成されたのであった…まる

 

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 数十分が経過した。英雄王は蹲ったまま立ち上がる姿を見せず、普通に城内にいるので「こいつ何やってんだ」的な目で通りすがりの文官達の視線が刺さる。それが全員アンヘルの友達だと思うと更にギルガメッシュの心は傷つく。

 

「……もういい」

 

 ふと、ギルガメッシュがそう口にした。その美しい顔は凄まじい有様で、血涙を追加すればzeroランサーに近しいものとなっている。聖杯を呪い出しそうな勢いだ。

 

「何が?」

 

 いい加減付き合いきれなくなってきたエルキドゥが面倒くさそうにギルガメッシュを見た。流石友達No.1の余裕である。

 

「アンヘルとか言ったか。アイツ、殺す」

 

「お、大人気ない……」

 

 怒りも見せず、ただただ虚しさだけを胸にしてギルガメッシュはアンヘルの殺害予告を口にした。その目には静かな決意が灯っている。

 

「ギル、いい加減殴って止めるよ?流石の僕も見過ごせない。今アンヘルを殺したらクーデターと多忙で国が滅びかねない。最悪、文官が仕事を放棄するかもしれないから……」

 

「うるさい!我は殺すのだ!邪魔をするな!」

 

 どれだけエルキドゥが理性的に話しても、今の英雄王は幼児退行、いや、幼児退行ならまだ常識的な子供になるから良いのだが、子供が如く駄々を捏ねるようになっている。アンヘルと性格逆転させればバランスが取れるかもしれない。

 

 しかし、エルキドゥは親友の性格をしっかりと理解していた。ギルガメッシュはたとえこんな状態でさえ、自分の言ったことをそうそう覆そうとはしないのだ。

 

「……どうしてもというなら、……力試しという名目だ。そうすれば、王としての面目もある程度は保てるだろう」

 

「……何?力試し?」

 

 流石に英雄王が一方的に文官……それも国の中枢を担う……を攻撃したとなれば、色々と体裁も悪い。ましてや殺すなど以ての外だ。

 

 なればこその妥協案。アンヘルに褒美と称して宝具を与え、それを使いこなせるか試すという名目で攻撃。その間はエルキドゥは邪魔せず、殺しそうになればエルキドゥが介入するという、アンヘルからしてみればとばっちりも甚だしい形で決着がついた。

 

 要するにアンヘルを生贄に捧げて英雄王に満足してもらおうというわけである。大凡友達の所業ではない。

 

 そして、急遽作成された穴がありまくりの作戦の結果、アンヘルは王広間にてかの盾に出会うこととなった。

 

 後に真相を知ったアンヘルは「そうか、そうか、つまりきみはそんなやつなんだな」と、エルキドゥに言い放った。少年の日の思い出である。

 

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「無理無理無理無理ッ!今掠った!ほんっと!無理!」

 

 何はともあれ、八つ当たりはしっかり執行された。流石に調子を取り戻したギルガメッシュが、宝物庫から次々と宝具を露見させ、アンヘルへと射出する。

 

 当然、戦闘の素人のアンヘルが盾で受け止められる訳もなく逃げ惑う。盾を手放さずに宝具の群れから逃げる逃げ足は賞賛に値するものの、時間の問題であることは明白だった。

 

「戯け!この我自ら稽古をつけてやろうというのに逃げ回る奴があるか!我が財宝の一つ程度受け止めて見せよ!」

 

「ぎゃぁぁぁぁぁあ!!死ぬ!死んじゃう!英雄王のストレス発散で死んじゃうぅぅぅ!助けてエルゥゥゥ!!」

 

 アンヘルは疾走しながらもエルキドゥに助けを求めるが、エルキドゥは心配そうにアンヘルを見守るだけ。あくまで契約を履行し、死にかけるまで助けないつもりである。割と悪魔である。

 

「ハン!逃げるというならばこうだ!否が応でも使わせてくれるわ!」

 

 突然、宝物庫から理不尽なレーザー攻撃が放たれる。光は当たったそばから爆散し、着実にアンヘルの逃げ道を潰す。汚いさすがAUOきたない。

 

 爆風の中、紙きれのようにアンヘルが吹き飛んだ。奇跡的に大きな怪我は追っていないが、思い切り地面に額をぶつける結果となる。

 

「どうした!逃げるばかりでは永遠に終わらんぞ!」

 

 それにしても、と。またもアンヘルを吹き飛ばしながら英雄王は冷静になった頭で考える。

 

 アンヘルの異常性は理解していたつもりだった。数日で人心掌握を可能とし、国の中枢へと潜り込む。その程度なら、まだ多少の優れた才を持つものとだけ思えた。

 

 しかしあろうことか、アンヘルは英雄王たるギルガメッシュすら使うのを放棄した盾を使いこなしてみせている。何気なくアンヘルは盾を持って走っているが、ギルガメッシュでも持つのが精々だったのだ。未だ謎が満ち溢れている。

 

 知りたい。その真髄を。千里眼を使ってもなお見通せなかった、その武具の力を。

 

 だから、ほんの少し本気を出すことにした。

 

「……なに?もしかして、気が変わった?」

 

「あぁ、心変わりしたともさ」

 

 取り出したのは鍵。手のひらほどもある巨大な鍵、王律鍵バヴ=イル。

 

 怒ってない。別に怒ってない。高貴なギルガメッシュがちょっと友達の差をつけられたぐらいで、ちょこまかと折角用意した盾殺しの宝具を躱され続けたぐらいで怒ってない。ただちょっと切り札(エア)抜いてもいいかな〜とか思ってるだけだ。

 

「あるぅぇ?………なんか、すっごく、切り札っぽい演出……ナニコレ……」

 

 宝物庫、開帳。ありとあらゆる財宝の中から、唯一にして至高の財を。幾重もの赤い線の中、眠っていたその剣を引き出した。

 

「裁きの時だ。世界を裂くは我が乖離剣!」

 

「あ、死んだ」

 

 手加減されている。流石に殺さない。そう思っていた。しかし剣を見れば分かった。アレは「死」だ、と。どれだけ手加減されようが、あの剣の一振りで己は虫ケラのように死に絶えると、そう確信するのに充分。

 

「……いいよ!こうなったらヤケだ!宝具?か何かわかんないけど!使ってやる!」

 

 死にたくない。その一心で、アンヘルは盾を構えた。瞬間、盾を構成する棘が分離。光り輝く緻密なバリアを構成する。その数、十と、三枚。余りにも心許ない枚数だが、美しく透き通った硝子のような美しさに、暫しギルガメッシュは息を止めた。

 

「……よい!よいぞ!その姿が真の力か!その防御、しかと見せてみるといい!」

 

 乖離剣がいよいよ振り上げられる。剣の周囲には赤の風が渦を巻き、とんでもない破壊力が込められているのがわかった。

 

「宝具展開!隔絶すべき絶望壁(クリフ・アイソラレータ)!」

 

「いざ仰げ!天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)を!」

 

 そして、純粋な破壊の力が盾に殺到する。何かが砕け散った音。破裂した音。焼けるような音。それらが響き、そして、世界が光に飲み込まれ──

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 王広間。否、ありとあらゆるものが破壊され尽くした部屋は、もはやただのだだっ広い空間に過ぎなかった。

 

 その端の端。壁にもたれかかる形で、少年は倒れ伏していた。

 

「ふん。無傷、か。やはり奇妙な童よ」

 

 加減はした。本気の0.01割も出さなかった。しかし、腐っても乖離剣。その威力は折り紙付きだ。その一撃を受けたにも関わらず、アンヘルに打撲痕こそあれど、出血の跡は見られなかった。事実上の、無傷。

 

「空間の断絶。隔絶、絶望壁……か」

 

 知り得た情報は大きかった。やはりこの童は拾い物としてはこれ以上ないものだ、と笑みを深める。

 

「運が良かったな童。今日の我は気分が良い。その盾諸共、貴様の命もくれてやろう」

 

 眠ったままのアンヘルに、そう呼びかけ、英雄王はその場を悠然と去った。

 

「………いや、僕、ここに放置かい?」

 

 エルキドゥは、アンヘルを盾ごと背中に乗せ、慌ててギルガメッシュの後を追いかけた。

 

 その後、偶にアンヘルに見せつけるように執務をする英雄王の姿が見られたとか見られなかったとか。ただし、王広間を破壊した件もあって好感度はプラスマイナスゼロとなった。




ローアイアス「なんだあのインチキ宝具!乖離剣防げるとか俺の完全上位互換じゃん!」

隔絶すべき絶望壁(クリフ・アイソラレータ)

 * ランク:EX
 * 種別:対人宝具
 * レンジ:──
 * 最大捕捉──

まさかのビット&バリア宝具。男のロマン。その盾は見るものを魅了する美しさを持ち、何物をも通さない硬さを誇る。ただし攻撃に移る場合はビットとかなく普通に盾の形状で殴る。盾は打撃武器。これ常識ね。
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