我が手には星遺物(誤字にあらず) 作:僕だ!
XV第7話でテンションがおかしくなってる「僕だ!」です。
それもそうだろう。心臓部とも言える聖遺物は簡単には手に入らず、「シンフォギア」そのものもそう簡単に作れるものではないのだから
それこそ、「シンフォギア」の根幹にある理論「櫻井理論」の提唱者その本人であるリョーコさんくらいしか作れてないらしいし……あれ? それじゃあ、闇リョーコさんあたりが横流ししてたりする可能性があるんじゃなかろうか? あの人、未だに謎が多いし、ノイズのことも物的証拠こそ無いものの関わってるっぽいし……敵か味方かいまいち判断できないんだよなぁ。
「早急に現場の状況確認を! 奏と翼は目の前のノイズの駆逐が終わり次第、現場へ急行してくれ!!」
『今ちょうど全部ぶっ潰したとこだ。すぐに行くっ!』
『こちらも同様に。ほど近いのでこのままの状態で向かいます』
ゲンジュウロウさんの指示に応えて、通信の向こうからカナデとツバサの元気な声が聞こえてきた。どうやら、怪我も無く元気にノイズたちを
……ノイズ討伐にワタシも出ないのかって?
2年前のライブ以降、そして「皆神山」での出来事でより一層、ツバサが拒否するのだ「葵は戦わなくていい。私たちだけで十分だ」って。それに対してカナデは複雑そうな顔をするんだけど……結局は口出しはしてこなかった。あれはなんだったんだろう?
まぁワタシとしても力になりたい半面、あの「皆神山」での出来事で判明した「ノイズに有効打を与えられない」事に対しての解が得られていないため、積極的にノイズと戦おうとは中々……それでも、いつまでも原因不明のままではなく戦ってみて検証すべきだとは思うのだが、ノイズ出現って人命に関わる事態なのが基本だからなぁ。
「聞こえるか緒川。シンフォギア装者であろう人物の確保を……荒事にはならんとは思うが、いちおう気を付けておいてくれ」
『わかりました』
あっ、外でカナデたちのサポートにあたってたシンジさんも謎の装者への対応に加わるみたいだ。あの人が動くなら大丈夫だな。
「ドローンからの映像、きました! 女の子が幼い子を
うわぁ、すごいなぁあの子、高い所とかからもピョンピョン跳んだりしてる。本人もそうだけど、抱っこされてるちびっ子もオエッってならないのかな?
あっ、跳びかかってきたノイズを片手でぶん殴った。カナデたちの時と同じく、ノイズ
……ん? あの顔……いや、気のせいか?
「外見的特徴、奏ちゃんの「ガングニール」に似通っている部分が確認できます。……おそらくシンフォギア装者で間違い無いかと」
「そうか……すまない、友里も緒川と共に彼女の確保にまわってくれ」
「はい。民間人保護の手配もしておきますね」
「ああ。状況からしてあの小さな子は保護者とはぐれた可能性がある。子供を探している親御さんがいないか情報の確認も頼む」
気配りの出来る男、ゲンジュウロウさん。ちびっ子の方へはもちろんのことだが、謎の装者が女の子であることを確認して女性の
……しかし、そもそも男性の装者というのも有り得るのだろうか? 疑問ではある。
そうそう。今席を立ったアオイさん。ワタシと顔をあせる機会が多かった女性オペレーターで、その名前はフルネームで
ワタシの名前が「
だが、そうやって同じ「アオイ」になったからか他人には思えなくなっていき、ワタシのことを何かと気に掛けるようになったそうだ。そんな話を聞く前も後も、確かに何かとかまってくれる人ではあった。おそらくはカナデとツバサ、ゲンジュウロウさんにリョーコさん、シンジさんまでを除けば、一番お世話になっている……いや、やらかしてくるリョーコさんや過保護なカナデとツバサのことを考えれば、ほど良い距離感にあるアオイさんはむしろ何かと遠慮がいらずワタシとしても接しやすい相手であったりする。
……まぁ、メイゼリフばかり言ってしまう様になった時に「あんなに良い子だった葵ちゃんが、どうしてこんな目にあわなくちゃいけなかったの……」と泣かれた時は、色々と困ったし、なんか自分が悪いことした気になってしまって罪悪感が大変だったが。
「しかし、彼女はいったい……?」
おおっと。アオイさんの退出した扉の方をジッと見てたら、いつの間にか事態はすすんでしまっていた。
画面の向こうでは謎の装者の女の子に代わって駆けつけたカナデとツバサがノイズの群をバシバシやっつけているし、その画面を見つめるゲンジュウロウさんは難しい顔をして何か呟いている。
「うーん……仮に、奏ちゃんのとは別の「ガングニール」の
リョーコさんも首をかしげてそんなことを言ってる。
ワタシだけだろうか? あの子にどこか見覚えがあるのは? 見た瞬間に、ちょっとビクッてきたんだが……?
見たことある気がするって言ってるだろう?
何で逆の……いや、そもそもこんなセリフは…………あったような、なかったような……? ワタシが口走ったってことはどこかであったセリフなんだろうけど、すぐにパッとは思い浮かばないなぁ?
「装者の新入生って意味ではその通り……なのかな?」
「いや待て」
ワタシの言った事を真に受ける男性オペレーターの言葉に、ゲンジュウロウさんが待ったをかける。そりゃそうだ――
「あの少女……どこかで見たことがあるような気がしたが、今年入ったリディアンの新入生だとすれば、あるいは……?」
「それなら、あのシンフォギアの出所はともかく、装者としての適性については説明がつかなくは無いわね」
――アナタも真に受けるんかい。
というか、リョーコさんが言ってるのは……ああ、そういえば「リディアン音楽院」って装者としての適性のある子を集める意図もあるとか言ってたっけ?
そうこうしている間に、ノイズはカナデたちが全滅させたようだ。現場にシンジさんやアオイさんを含め二課のひとたちが集まってきてる。
あっ、アオイさんが謎の装者の女の子に飲み物の入ったカップを渡してる。声は聞こえないが、きっと「あったかいもの、どうぞ」って言っていることだろう。春とはいえ夜は夜、そこそこ冷えてはいるから外での活動の後の温かい飲み物はちょうどいいだろう。
んん? あの女の人は……ああ、抱き抱えられてたちびっ子のお母さんか。ノイズが出現した中、親子共に無事でよかった。
いつの間にかシンフォギアが解除されてるっぽいあの女の子も、そんな親子を見て安心している様子が遠目からでも見て取れた。逃げるにも戦うにも邪魔になってしまいそうなちびっ子を見捨てたりせずに抱えて逃げていたあたりからもわかってたけど、本当に良い子だな。
……まぁ、そんな彼女は黒スーツ&サングラスのエージェントたちに囲まれてしまったわけですが。あっ、シンジさんがゴツイ手錠まで用意してる。この扱いは、もはや凶悪犯か何かのような気もするが……まぁ、あのシンジさんだし、指示出してるのもゲンジュウロウさんなわけだから何か考えがあってのことで、あの子を悪いようにはしないだろう。
「困惑はしてるけど暴れたりはしないみたいだし、とりあえずは大丈夫そうかしら?」
「そのようだな。体調の方は見た限りだと怪我も無くしっかりとしていそうだが……メディカルチェックの用意はしておいてくれ」
「それはもう、バッチリよ~」
用意はバッチリでも、むこうがそれに応えてくれるかどうか……いやまあ、あの様子からして普通にいい子っぽいし、コッチが変な事しない限りなんだかんだで付き合ってくれそうではあるか。
というか、シンジさんの後をついて歩きカナデとツバサに挟まれてオロオロしているその様子からして、なんていうかごくごく普通の一般人感がハンパなく感じられるんだけど……。
うん、今ワタシが考えても答えは出ないことだな。
「となると後は……アレだな」
「……はっは~ん? そういうことね」
顔を見合わせ頷きあうふたり。
いったい何を言っているんだろう?
「歓迎会だな」
「歓迎会ね!」
―――――――――
なにはともあれ、唐突な歓迎会である。
あれからそう経ってないのに、トッキブツ本部内に会場とか飾り付けとかパーティーグッズとかが用意できている事は、驚くべきか呆れるべきか……。
可愛らしくデフォルメされたネコのイラストなどと共に「ようこそ2課へ」や「熱烈歓迎!」、それに「立花響さま☆」などとデカデカと書かれた横断幕まで吊し上げてて……なんていうか、力の入れ所、間違ってるよね?
ワタシか? ワタシはそこらに飾り付けられてる折り紙の輪飾りを作ったよ。
ノリノリじゃないかって? いやだって、ここのトップのゲンジュウロウさんが
それに、ゲンジュウロウさんたちも何の考えも無しにいきなり歓迎会なんて開こうとしているわけではないようだ。ノイズに襲われてた矢先にいきなり連れ去られる……そんな緊張を解かせる&敵ではないということのアピールらしい。
効果があるかどうかはひとまず置いとくとして、まあ納得は出来た。
シンジさんから、謎の装者及び
「ようこそ! 特異災害対策機動部二課へ!!」
「えっ?」
破裂音、そして飛び交うリボンと紙吹雪。それらを前に困惑する女の子。まあ、そうなるよね。
しかし、手錠をしたままの人をここまで楽し気に歓迎する
手元に残ったクラッカーのゴミをまとめながら、ワタシはそんなことを考える。
「ハァ……緊張感のない」
「あっはは、だと思った」
シンジさんと共に女の子を連れてきたツバサとカナデが、それぞれため息を吐いて頭を抱えたり苦笑を浮かべたりと、目の前の出来事を何とも言えない様子で見ていた。
「さあさあ、笑って笑って~」
「……えっ! ちょ、手錠を付けたままの写真なんて――あ」
女の子を抱き寄せて、自撮りで一緒に写真を撮ろうとするリョーコさん。
呆然としてた女の子は、反応に遅れつつも逃れようともがいていたが撮られてしまったようだ。彼女にとってはとんでもないものが記録として残ってしまったわけだが……シンフォギアの肌露出有のピッチリとしたボディスーツも手錠とは別方向に黒歴史化しそうだと思うのは、ワタシだけだろうか?
「ね、立花響ちゃん? 私は櫻井了子。あの櫻井理論の提唱者なのよ?」
「櫻井……理論?」
リョーコさんによる唐突な自己アピールに首をかしげる女の子改め、
と、リョーコさんのおかげであることが判明した。この子が聖遺物やシンフォギアの研究に関わったことがないということだ。
もしも、彼女がそう言った研究機関の関係者なら、「櫻井理論」という言葉、そして櫻井了子の名を本気で知らなそうな反応はできないだろう。……超演技派の可能性もありはするが、このヒビキちゃんがそんな人には見えない。
だが、そうなるとあのカナデと同じシンフォギアはなんだったのか、何故ヒビキちゃんが持っていたのか……そういう部分が引っかかってくるのだけど……。
「そ、それよりあの、どうして初めて会う皆さんが、わたしの名前を……?」
「我々二課の前身は、大戦時に設立された特務機関なのでね。調査などお手のものなのさ!」
軽快な笑顔を見せるゲンジュウロウさんだが、ワタシは知ってるぞ。それが、調査と呼べるか微妙なラインだったということを。
ノイズ出現区域のすぐそばで回収されたカバンに、彼女の生徒手帳など個人特定に至る物品が入っていたため判明したのだ。なお、ワタシの発言から何故か進められてた今年度入学者の中から特定する作業も、ほぼ同時にヒビキちゃんを特定することが出来たらしい。だから、色々と微妙なラインなのである。
けど、このカバンいい加減返してあげないと。色々あって、途中で落としていったかどうかしたカバンのことは忘れてしまっているのだろうが、間違い無く後ほど気づいて困り果ててしまうだろう。
実はそのカバン、既にある程度の調査・確認はすませていて、返却の用意は出来ている。厳密に言えば、この歓迎会の会場の脇にすでに持って来ていつでもOKな状態なので、手早く返してしまってもいいんじゃないだろうか?
というわけで、クラッカーのゴミを捨て終えたワタシは、駆け足でそのかばんを取ってくることに――
――あれ? 一緒に置いてあったはずの生徒手帳は……?
って、見てみればヒビキちゃんの前にいるリョーコさんが、いつの間にか
「――なんて、ホントのところは響ちゃんの生徒手帳をちょ~とばかり拝見させてもらったの♪」
「ああ~っ! それ、わたしの! それにカバンまで……!? 何が「調査はお手の物」ですか!? 返してくださいよぅ!」
そう言って、いつの間にか手錠を外して貰ってたらしいヒビキちゃんが、リョーコさんから半ばふんだくるような勢いで生徒手帳を取り返し、その勢いのままカバンを持ったワタシの方へと来て――
「……あっ」
寸前で止まったヒビキちゃんと、ワタシと、目と目があって――
「あなたは、もしかして……!」
――――っ!?
……気づけばワタシは、跳び上がって数歩後ろにさがってしまっていた。それも尻餅をついて。もちろんカバンをその場に落してしまっていた。
なんだろう、この身体の芯から冷え切るような感覚……!?
画面越しに見た時も見覚えがあるような気がしたのと共に「あれ?」と違和感を覚えたが――今、パッとその顔を正面から迫ってきたヒビキちゃんを見た瞬間、背筋がゾゾゾーッとしたんだけど!? なんでだ!?
でも、こうしてじっくりと見てるぶんには、特に何にも感じないんだよなぁ?
……
あぁそうだ!
この子、
――――って、あ、ちょっ!?
「あなた、葵に何をしたの? 返答次第では……っ!!」
「ごっ、ごめんなさい! その、何をしたっていうか――」
「それはあたしも聞きたいなぁ? あぁ?」
「ふえっ? ちょっ奏さんまで――ひぃ!?」
待て待て待てぇい!?
木刀を首に突きつけるな! 第一、ツバサは
あとカナデはカナデで、ワタシと女の子の間に割って入って睨みつけないっ、ガンつけする不良か! ていうか、もしかしてあの時の子だって気づいてない!?
そもそもキミたち、アイドル系のアーティストぉ! しちゃいけないことだってあるってば!!
よりにもよって、その子はファン! 「
「『君も俺のファンになったのかな?』」*5
「! はい! ええっと、ファンになったというか、前からっていうか……その、どう言えば……と、とにかく! 助けてもらったことのお礼がずっと、すーっと言いたくって!! あっ! それは翼さんや奏さんにもなんですけど……」
ファンなのか!?
途中迷うように言葉に詰まりながらも真っ直ぐな目で見つめてきながら話すヒビキちゃん。おそらく内容は、ワタシの予想している通り、あの「ツヴァイウィング」ライブの時のことだろう。
そのことに気付けている人はワタシ以外にはいないのか、とりあえず目に見える範囲では首をかしげたり、頭に疑問符を浮かべ呆気に取られている人ばかりで、納得しているような様子の人はゲンジュウロウさんやリョーコさん含め、見当たらなかった。
まあ、このままヒビキちゃんが話してくれれば、みんなわかるだろうしそう気にすることでもないか。
「『だって当然だろ? デュエリストなら』」*6
「人助けが、あたり前……! そっ、それでも! 本当に、ありがとうございましたっ!!」
そう言って深々と腰を曲げて頭を下げてくるヒビキちゃん。数秒
……ワタシ、何も言う気はなかったんだけど?
というか、この様子じゃあ
「ゴホンッ……よくわからんが、とりあえず話はひとまずまとまった……ということでいいのか? ああっ、奏と翼はひとまず下がっていろ」
よくわからない空気を変えたのは、一つ咳払いをして喋りだしたゲンジュウロウさんだった。
ゲンジュウロウさんに言われたカナデたちは素直にヒビキちゃんの前から退いた。それを確認し頷いたゲンジュウロウさんが改めて口を開く。
「さて、君をココに呼んだ理由だが、協力を要請したいことがあるんだ」
「……もしかして、さっきのあのチカラのことですか? 教えてください!
「いやぁー、このおちびちゃんが言ってたことは関係無いから、ね? でも、気になるのはわかるわ。っと、その前に、質問に答えるためには二つばかりお願いがあるの」
苦笑いをしながらも、ズレそうになった話を修正していくリョーコさん。
しかし、これでようやく本題に入れそうだ。
なんというかだいたい半分くらい、ワタシのせいで変なことになってて、本当に申し訳無い気持ちがある……。けど、現状ワタシ自身ではどうしようもないんだよなぁ、このいうこときかないお口は。
「……とりあえず、脱いでもらいましょうか?」
「へ……な、なんでぇ~!?」
そんなヒビキちゃんの叫び声が、本部に木霊した……。
―――――――――
「脱げ」と言ったのはメディカルチェックのためだったそうです。
知ってたよ? ワタシも、これまでに何度も受けた事があるんだから。
そのメディカルチェックを終えた頃には、日は暮れ、夜も夜。
ノイズとの戦闘などなど色々とあったことも加わり、ヒビキちゃんは立ったまま寝そうになったりするほどお疲れモードで、まともにお話できるような状態ではなかった。
カナデとツバサに、ワタシも眠くならないか心配されたがワタシ自身は別段眠気に負けそうになったりなどはしなかった。
そんなわけで、今日はとりあえずお開きにして、詳しい話はまた後日に機会を……ということになり、解散。
ヒビキちゃんはシンジさんが連れて行き、ワタシはカナデとツバサに連れられてカナデの家に帰ることになった。
ああ、そうそう。
ワタシだが、カナデが退院してからはカナデの家とツバサの家を行ったり来たりして暮らしている。とは言っても、どちらかの世話になっているというわけではなく、
それって、もうどちらかで3人で住んだらいいんじゃないかな?って思ってたりする。そもそもワタシが来るまではカナデとツバサで一緒に住んでたっていうし。
そして、風呂に入ったり髪を乾かしたりと、軽く身支度を整えてから、3人一緒に布団で川の字になって寝ることに。当然のようにワタシはふたりに挟まれて寝転んでいるのである。
まあ、こうしている時点でわかると思うが、ワタシは寝ようとしてはいるもののまだ意識は全然ある状態だ。
「……くゥ……くゥ」
規則正しい寝息をたてているのは、ワタシが天井を向いて左手側にいる翼。すっかり熟睡しているようだ。
そして、反対方向にいる奏だが……
「……わかってる。あの子は葵と一緒だ。あたしとは違って、自分のためじゃなくて他人のために一歩踏み出せる――踏みだせてしまうヤツの目だ……」
ワタシの頭をほんのりと撫でながら、何か呟いているんだ。これはいったい……?
「みんなはまだ分かってないみたいだったけど、あの子がシンフォギアを……それも「ガングニール」となったら、
あぁ……カナデもカナデなりに、色々考えてたんだな――――いや、考えてもまとまりきらなかったからこそ、あんな感じだったのか。複雑な心境の中、答えが出せずに、かといって周りにそれを悟られるわけにもいかず……周りの流れに任せるっていうか、いつものノリで
全部を知ってるなんて口が裂けても言えないけど、
それでカナデなのだが、裏表が無いサッパリとした性格――というのも、決して間違いではないのだが――他人に見せるのがそちら側ばかりでそういう
「家族の仇討ちだって、二課に自分を実験体として売り出すような真似して時限式の装者に無理矢理成ったあたしがどうこう言えた立場じゃないのはわかってる……。けど、あの子はあたしとも翼とも違う、コッチ側の人間じゃない。コッチに来たら、絶対どっかで後悔する。けど、きっとあの子は……間違い無く、装者として戦う道を選んじまう……! あたしは……あたしはどうすれば、どうしてやれば、
……しかし、困ったことにワタシが何かしてあげられるわけではないのが現状である。
過去に起きた事は過去のこと、ヒビキちゃんがどういう道を選ぼうとそれはあくまで彼女自身の意思の話。そして、残されたのは……結局のところカナデの気持ちの問題って部分になると思う。それを解決するなんて難しい。ワタシが喋れないことを考えればなおのことだ。むしろ、どうしろというのだろうか?
こんなワタシでも出来ることなんて……それこそ、そばに居てあげることくらいだろう。
「っ……わ悪い、起こしちゃったか?」
「『邪魔しに参った』」*7
ヨジヨジと動き頭上方向へと移動する。そして、疑問符を浮かべているカナデの隙をついて頭を軽く抱くように腕を回してしまう
「っ!? あお――――」
背中のほうへ伸ばした左手でトン…トン…と軽く叩きながら、右手では頭をゆっくりと撫でてあげる。
「葵……? ごめ――いや……ありがとうな……」
お礼を言われるほどのことじゃない。それに、なんだかんだでお世話になってるわけだし……けど、このくらいのことしか出来ないっていうのが申し訳ない。
せめて、子守唄のひとつやふたつ歌えでもすればよかったのだが……。
……………………。
………………。
…………。
「すぅ……すぅ……」
優しく抱きしめ撫でていると……気づけば、何時の間にかカナデは寝息をたてはじめていた。
……ふむ、良い寝顔だ。ワタシもあとちょっと続けてから眠りにつくことにしよう。
「――――――――― ―――~♪ ――――――――― ―――~♪ 」
地味な勘違いを続けているイヴちゃん。
それはいいとしても、色々と問題が……?