我が手には星遺物(誤字にあらず) 作:僕だ!
話が、進まない!!
太陽がお空のてっぺんあたりで輝いている――はずの――時間。まぁ、地下だからそれはわからないのだが、時計の針が指し示す時間は間違って無いはずだ。
そう、今、地下――
本部のとある一室で、カナデとツバサと一緒に
空っぽになった
「ったぁ~! 食った食った」
「もう、奏ったら……」
らしいと言えばらしいのだが、食後のお茶を一杯飲んだカナデが大きく息をついてからどっしりと背もたれに体重を預け、お腹をポンポンと軽く叩いた。
その様子に「はしたない」と言いたげにため息をついたツバサだけど、見ればわかるが呆れきっているというわけではなく、むしろ微笑ましそうにしている。ボロボロだったカナデを知っているために元気なその姿が嬉しいのか、はたまた……まぁ、二人揃って楽しそうだからなんだっていいか。
そんな二人を見ながらも、ワタシは手を動かす。
何と言うことは無い。ただ、空っぽになった重箱を重ねたり箸をまとめたりと片付けをしているだけだ。
さて、この洗い物たちはウチに持って帰ってから――いや、まだ時間はあるし、後で本部内にある洗い場を借りて洗ってしまったほうが良いか。
なら、まとめるだけまとめて、ひとまず置いておくとしよう。
重箱をテーブルの端に置き、座り直してワタシの前あたりに置いておいたお茶の入った湯呑を手に取る。うん、いい感じに色の出ているお茶だ。
ツバサも、そしてカナデも追加でもう一杯注いでいたようで、また湯呑に口をつけ傾けていた。三人そろって食後のお茶タイムである。
「最近はあたしはほとんど見てるだけで作っちゃうようになったんだから、葵ってば本当にあっという間に料理が上手くなったよな」
「ええ、そうね。今日のはより一層美味しかった気がするわ……少し複雑ではあるのだけど」
ふたりに褒められて、嬉しい限りだ。
「『俺もいるぞ!』」*1
うん、ワタシのお口は通常営業である。
だが、ワタシが思うにカナデの料理の腕も初めのころ――正確にはワタシが出会ったころ――から随分と上手くなったと思う。それこそ、ワタシの作ったものがまだまだだと思えるくらいに。それに、ワタシは好きだぞ? カナデの作った料理。
あと、小さく呟いてるツバサは……まずはおにぎりから始めようか。
作っているのは見たこと無いが、
「……さて、名残惜しいけれど、そろそろ教室に戻らないと」
「おぉ、もうこんな時間か。あたしも今日は緒川さん達と仕事のことで打ち合わせや下見があるからなぁ。んで、その後は学校終わった翼と合流して撮影……っかー、考えるだけで今から疲れちまいそうだ」
立ち上がるツバサ。続いてカナデも立ち上がり、大きく伸びをした。
「そういえば、葵の今日の予定は?」
「なら、サ店に行くぜ!!」*2
ツバサからの問いに答える、ワタシの言うこときかないお口。
その通りなのだが、ちょっと気が早い。
「
それまでは……いつも通り、本部でノンビリとしておくかな。
誤解を与えないためにも、一緒にカフェに行く約束をしている相手から来た連絡の文面の画面をケイタイに映してふたりへとさし出してみせる。
「なになに? 連絡相手は……
そう。カフェに一緒に行くのは
――――――
初めて会ったのは……闇リョーコさんから、あのおつかいと言う名のテストに出され街中でノイズと追いかけっこをしたあの時……そう! あの時、曲がり角でぶつかって、それから一緒に逃げたちょっと年上っぽい女の子がユミだったのだ。
――今思えばあの時のノイズって、自然発生ではなくワタシへのテストのために闇リョーコさんが発生させたものだったんだろうな。
あの時は、二人揃ってシンジさんに回収されて逃げ終えた後、お礼を言われたりとちょっと話しただけで――ユミは機密保持のための同意とかその関係で、ワタシはカナデとツバサに確保され――すぐに別れ、互いに名前も知らないまま日常に戻ったのだが…………何の偶然か、後に街中で再会することとなったのだ。
確かアレは、おつかいの一件から約1年。ノイズによるライブ襲撃があってからだと……小刻みに思い起こすのも面倒なので、端的に言えば今から約8か月前だ。
ある時期からパッタリと例の追跡者の痕跡も、ワタシが視線を感じることも無くなったのと……あと、ゲンジュウロウさんを中心とした大人たちが何やら話し合った結果、色々と条件・制約ありではあるもののワタシ独りでの外出が認められるようになったのだ。流石のワタシも「大丈夫か?」と思いはしたが、正直に言って、カナデたちがいないと家か本部かで待機がほとんどだったワタシは制限のかかっていた生活が窮屈で退屈になってきていたので、なんだかんだで嬉しかった。
そうして週に1、2回、ひとり(時々シンジさんやエージェントが陰ながら同伴)で街中へ出歩くようになったのだが、その3回目に立ち寄った店――もともと嫌いではなかったがゲンジュウロウさんの影響もあってはまり気味なアニメ映画を求めて入ったレンタルビデオ店でたまたま会ったのだ。
ユミが先に「あっ!」と声を出してしまい、ワタシがそれで気付いた……といった感じだった。
まあ、例の機密保持の件で、ノイズに襲われた際のことやシンフォギアのこと、その他諸々二課のことは
ワタシからしてみれば、数少ない顔見知り、それも歳も比較的近い――比較対象の身近な人がカナデとツバサを除けばほぼ
「『やられたらやり返す! それが孤高なる鮫の流儀だ!』」*3
――と、時期的に既に《
迷言をユミが真に受けたり、自己紹介さえままならなかったりと、
それ以降、幾度となく交流を続けてきて、今では互いに友達だと思えるほどになった。
これほどまでの間柄になれたのはワタシから接触していったというのもあるだろうが、それ以上にユミがワタシのメイ言やアセンブラテキストなメールにも引かず、また折れずに真正面から向き合い続けてくれたからだろう。今では、メイ言に関しては以心伝心には程遠いものの、どういうことかワタシの想いと言葉とのズレの有無を瞬時に判断できるようになっており、
何故判断できるのかは「……なんとなく?」とのこと。変な間があったのは気にはなるが、彼女が現時点でのワタシの一番の理解者なのかもしれない。
……ついでにだが、再会した当時のユミはワタシのことを「頭のおかしな子」……ではなく「日本語が喋れなかったけど、サブカルチャーで独特な言葉ばかりおぼえてしまった残念な異国の美少女」という認識で見ていたらしい。
うーん、ある意味間違ってない気がしなくも無いなぁ。
――――――
と、まぁそんなこんなでユミと友達となったワタシ。共通の話題は、もっぱらアニメである。
そんなユミから先日「相談があるの、会えないかな?」と連絡があり都合をつけたというわけだ。
「……なるほど、約束をしていたのね。あのカフェに行くのはいいけど、お小遣いは使い過ぎないように。もちろん、夕食を食べれなくなるほど食べちゃダメよ? あとそれと――」
「まぁ、ツバサが言うほどキッチリカッチリしなくていいけど、何事もほどほどに、な? そんでもって、しっかりと楽しんできなよ」
ワタシの頭をワシャワシャと一通り撫でた後、「んじゃ、行くか」と声をかけてから、本部の外へと向かう為にエレベーターのある方へ共に歩き出すカナデとツバサ。
その後ろ姿を手を振りながら見送るワタシ。
さて、見送り終えたらさっそく洗い物を済ませるとするか。
―――――――――
「他が為に力を振るう、か……ん? 貴様、どうかしたか?」
用があって洗い終わった重箱を手に訪れた
どうかしたというか、預けていた「鍵杖」と普段それを入れてるバットケースを回収しに来ただけだ。
ここ1年ほどで判明したことだが、ワタシの「鍵杖」は「
とは言ってもそれを理解しているのはワタシだけで、周りの人たちはいつトンでくか気が気じゃないとか。リョーコさんも預ける度に「時間との勝負」と言わんばかりに何かしらの作業に取り掛かるのだ。……今日はもう終わっているようだが。
「なんだ、荷物を取りに来ただけか。ほら、とっとと持って行け」
言われずとも、そうするつもりだ。
そもそも「鍵杖」だけであれば、別に
ちょっと念じてしまえば勝手に持って行けるが「
闇リョーコさんから受け取った「鍵杖」を
さて、これで準備完了。洗い終えた重箱を一旦家に持って帰り、その後そのままカフェへと
「待て」
――と、思ったら闇リョーコさんに引き止められた。
何用だろう?
「…………何故あの時、私を助けた? お前には私を恨む理由こそあれど、助ける理由は無かったはずだ」
いやまあ、ワタシなんかがリョーコさんを助けることが出来る機会なんてそうそうないから悩む必要も無いんだけど……十中八九、「皆神山」での不意の《
……今思えば、
彼女が「お前には私を恨む理由こそあれど」と言っていたが、
第一、その感情は今前にいる……いわゆる「闇リョーコさん」に対するものか? そもそも「リョーコさん」と「闇リョーコさん」は、ワタシは区別しているが本来どこからどこまでと分けられる存在なのだろうか?
そんな感じにウンウン悩んでいれば、ワタシの身勝手なお口が考えがまとまるよりも先に動きだした。
「『とんだロマンチストだな!』」*4
この状況でそのセリフは、一歩間違えれば闇リョーコさんを怒らせてしまうと思うんだけど……。何してくれてるんだ、ワタシ。
えっ? 「遊戯王のメイ言は大抵そんなのばっかり」?
……そうだね。うん、その通りだ。全部が全部そうだとは言わないが、多いのは確かだ。
正直に言うと、ワタシは『関係ねぇよ! 妹と一緒に地獄に逝け!!』*5*6をカナデの前で言ってしまわないかがずっと心配で心配で……。だって、そんなことになったら死ぬよ? 奏の手でも、自害でも、二重に死んじゃうよ?
と、目の前にいる闇リョーコさんは、表情からしてさほど反応を示したようには見えなかった。いつもの戯言だと流してくれたのかもしれない。
「……ふんっ、馬鹿らしい。聞くだけ無駄だったか。常日頃から周りに流され、選択する際も保身か逃げかしか考えん、お前はそういうヤツだったな」
鼻で笑う。その矛先はワタシへか、それとも何かあると思いその疑問を口にした自分自身へか……ワタシへか、どう考えても。
しかし、ワタシがどのようなヤツかなど自分自身では判断しかねる。
流されるか、保身か、逃げか。もしも、闇リョーコさんの言った通りなのだとすれば……少し寂しい気がする。
「……勘違いするなよ。目撃者や証拠隠滅の手間が省けたのは事実だが、貴様が何もせずとも自分の
――――ツンデレかな?
ワタシではなく、闇リョーコさんにツンデレ疑惑が……ううん、それっぽい言葉であっても、ツンデレでもなんでもない本心な気もする。たぶんソッチが正解だろう。
しかし……本当にどうしたんだろう?
事があったすぐ後にではなく、何故今になってリョーコさんは「皆神山」でのことを聞いてきたんだろう?
心の変化か、環境の変化か。はたまた、ただの気まぐれか……。
そんな疑問を持ちながら、ワタシは「
―――――――――
「いらっしゃい、よく来たねぇ」
少なくとも週に一回は来店するようになったカフェ「ラ・ジーン T8」。
アゴから口周りにかけて生えている整えられた銀色のお髭がチャーミングなマスターが、カウンターの奥からいつものセリフで出迎えてくる。
「『僕はナム、よろしくね!』」*7
「あぁ。待ち合わせの相手ならもう先に来ているよ」
ツッコミ不在。
……いやまぁ、
仕方ないね、突っ込んだところで返ってくる言葉も大抵が
とまあ、そんなやりとりがあってから、適当なモノを注文して受け取ってから……指し示されたユミが待つ、カフェの店内でも一番奥にある席へと向かった。
ふむ。約束の時間通りだったはずだけれど、どうやらユミの方が先に来ていて待ちぼうけをくらわせてしまったようだ。何とも申し訳ない。
「『待たせたな、俺がキングだ!』」*8
「いやいや、あたしが終わってすぐに走ってきちゃっただけだから、気にしないでってば。それにしても、元気そうでなりよりね、葵っ♪」
うん、ワタシの引きが良かったのもあるだろうが、意思疎通に問題無し。
ユミも元気そうでなによりだ。
それにしても、放課後すぐに走ってきていたとは……そこまで楽しみにしていてくれたのであれば、ワタシは嬉しい。
「どうしよう、見栄張っちゃった……!」
……と思ったのだが、ユミの雰囲気が一気に沈んだ。
そう言えば、元々今日会うようになったのはユミから「相談がある」って言ったからだった。ということは、走ってきたのはそれだけ急いで何とかしたい問題だったからなのだろう。
……別に、落ち込んでなどいない。「ワタシに会うのがそんなに楽しみだったのか」などと、ちょっと勘違いしたのが恥ずかしかっただけである。
何はともあれ、まずはその相談とやらを聞くとしよう。
――――――――――
ふん……ふん……フゥン。
……なるほど。
周りのことも配慮して機密事項に関する個人名や専門用語を避けた分かり辛い会話ではあったが、聞いた話をまとめると――
凄く仲が良い友達ふたりがなんだか上手くいってないみたいで、聞いてみればどうにもその内の片割れが用事だとか何とか言って急にどこかへ消えてしまうって話。でもそんなことがありそうなのって対ノイズである二課しかないんじゃ? タイミングも聞いた限りじゃあノイズが発生した時と被ってることが多いし……。
――的なことらしい。
確かに安請け合いだ。
話を聞いている途中で、そのいきなりいなくなる人物が、クラスメイトに「ビッキー」という名のあだ名をつけられたこと。またその外見的特徴。その上、今年リディアン音楽院に入ったということで、ワタシの知っている装者のヒビキちゃんであることは判ったのだが……もしも、二課関連ではなかったらどうするつもりだったのだろう?
また、ワタシに話をしたところで解決に直結するとは限らないのだから……うん、やっぱり安請け合いである。
ヒビキちゃんが忙しい理由も、ノイズ発生の緊急出動があるのは事実。だが、総合的な時間で見ればシンフォギアの扱いおよびその戦闘が上手くいかないが故のトレーニングが一番だ。そしてそれを望んでいるのは他でもないヒビキちゃん。ゲンジュウロウさん等の上の人間を動かして時間や緊急出動に制限をかけたところで、ヒビキちゃん自身の気持ちの問題をどうにかしないと精神的ストレスで結局は異常をきたすだろう。
「最初は「アニメだったらこういう時どうするんだっけ?」程度だったんだけど、内容はだいたい予想がついたし、ちょっとくらいだったらふたりの力になってあげられるかなーって感じで……。でも、未来ちゃんと話してたら雰囲気に酔ったというか、ノリにノッちゃって……本当にごめんね」
「ホントはちょっと相談に乗るくらいのつもりだったのに~」とやや落ち込み気味に言うユミ。
機密に関わることは本当に喋っていないようだけど、ほんとちょっとした拍子に喋っちゃうんじゃないかと思える境界を歩いてるな、ユミは。逆にいうと、テンションが上がってもそのラインで留まれるということなのかもしれないが。
そうだ。
シンフォギア関連の……
だから、その「ミクチャン」って人の「響が何をしているのか」という不安を拭ってあげることは出来ない。むしろ、その子、知ってしまったほうが暴走するんじゃないだろうか、とワタシは懸念してしまっていたりもする。
じゃあ、ヒビキちゃんの私的な時間をどうにか守ることができるかと問われれば、先にも述べた通り、今のヒビキちゃんが抱えている問題をなんとかしないといけない。しかし、その解決策なんてポンと出てくるのであれば、ヒビキちゃんが悩むこと自体無かっただろう。
ついでに言えば、ゲンジュウロウさんあたりに説明して協力を仰げば、頷いてもらえさえすればいくらかは強制的にヒビキちゃんの活動時間をおさえられるだろう。だが、そもそもこのワタシのいうこときかないお口が交渉やら進言ができるかどうかは怪しい所である。厳しいだろうな、きっと。
だが、ユミが後悔している「ノリにノッちゃってちょっと見栄張っちゃった」というのは……あーうん、そういうのはわからんでもない。
だから、呆れて物も言えなくなり協力もしないなんてことは絶対無い。
ワタシもその昔、デュエルで熱くなってアニメみたいに「コイツで
あっ、それで別に怒られたりはしなかったよ? アレだ、なんだかんだで先輩も結構なデュエル脳だったのだ。
ユミも何かとアニメ好きだし、現実とアニメを混同はしないが、ワタシとユミが知り合うきっかけとなったあの
その結果が、今回の暴走気味空回りなわけだが……一概には否定できない。
まあ、それ抜きに考えても、友達であるユミのお願いは聞いてあげたいし、それが二課の仲間であるヒビキちゃんのためのことであるので、なおさら無下にする理由が無い。
しかし、なぁ……?
「……で、響のスケジュールとかそのあたりのこと、どうにかなりそう? やっぱり無理?」
無理寄りの無理……黒に近いグレーだろう。
一に、
二に、根底にある問題を解決できない限り、ヒビキちゃんと「ミクチャン」なる人との関係改善が期待できない。その根底にある問題――ヒビキちゃんの戦闘能力の改善、「アームドギア」の発現、ついでにここ最近頻繁に現れるノイズ――も、現時点では具体的な解決案も無いので、どうしようもない状態だ。
故に、難しい。
それがワタシの答えだ。
「『権力ってヤツか…』」*9
「ああ、なるほど。確かに上の偉い人がいないこの場で結論は出せないよね。それに、響自身の気持ちの問題もあるし」
何故伝わった?
大体合ってる。
言ってる本人であるはずのワタシが言うのもおかしいだろうが、今のでその内容を理解するのは無理があるだろう。「権力」で「上の偉い人」を連想できたとしても「響自身の気持ち」あたりはどこから出てきたんだ!?
そんな驚異的な超理解を発揮したユミだが、ちょっと悩むような素振りをした後に改めてワタシへと顔を向け口を開いた。
「ここで結論を出せないっていうのはわかった。なら……葵ちゃんに響のことをお願いしてもいい? 今のところはその返事だけでいいわ。葵ちゃんにも都合があるのも、自由が利かない部分があるのも承知で言っちゃうけど……少しだけでも気に掛けてあげられない?」
それには断る理由も無い。
同じ
ユミに頼まれたとなれば、今までよりもより一層力を入れるというだけだ。
「うんっ! それだけの返事を貰えたら、あたしとしては十分、安心できるわ」
どうしてこれで安心できるんだ!?
もし、これで本当にワタシの意思が伝わっているのならば、もはやエスパー……いや、もうユミが
しかし、ヒビキちゃんを気に掛けてあげるかぁ。
……さて、ワタシなんかに出来ることがあるだろうか?
「……あとはあたしが未来ちゃんを説得して落ち着かせるだけ、かぁ……」
……ん? どういうことだろう?
「あたしが放課後に例の事情知ってるっぽい知り合いに会いに行くって知ったとたん「私も一緒に行く! 直接会って話をしたいの!」って言い出して追いかけてきたんだから。流石に機密ギリギリの話に混ぜるわけにもいかないし仕方なかったけど……アニメじゃないんだから、塀を跳び越えたりして逃げるなんてことするわけ――――ないんだけど、やっちゃったんだよねぇ、あたし」
あっ、走って来た理由って「ミクチャン」に追いかけられたからだったのか。
……そうまでしないと逃げきれないって、どういうことさ。
「はぁ~……明日の学校、気が進まないわー……」
理由があったとはいえ、そんな逃走劇があった後だから当然か。
まっ、ワタシには関係の無い話だ。ワタシは諸々の事情で学校には通ってないし、そもそも今のイヴちゃんの年齢的にリディアンの高等部には入れないからね。
「『知らん、そんなことは俺の管轄外だ』」*12
「え~、ちょっとヒドくなーい?」
―――――――――
その後は、時間の許す限りユミと駄弁った。
……ま、まあ、実際はちょっと遅めになっちゃって、カナデとツバサに叱られちゃったんだけどね?
関係無い(フラグ)