我が手には星遺物(誤字にあらず) 作:僕だ!
今後、主に勘違いパートになるであろう《
「特異災害対策機動部」。どこからともなく現れ、原則的に一般的な兵器を無効化してしまい、人を襲い炭化させる……そんな人類の敵である「認定特異災害・ノイズ」*1が出現した時、その対応に当たる政府機関だ。
その中でも、あたし
そんな組織の本部であるリディアン音楽院*5の地下施設を、あたしは公私共に相方と呼べる存在である
「正体不明のエネルギー反応に、謎の
「あたしもだ。いやっ、わかってるのはわかってるんだけど、なんて言うか現実味が湧いてこないというかなあ?」
あたしが首をかしげなから言った言葉に「ええ」と相槌を打ちつつ頷く翼。
そんな翼を横目で見つつ歩いていく……と、不意に思いつくことがあった。
自分としてはしっかりと考えた上での選択のつもりだった。けれど、周りからしてみれば突拍子が無いことだったかもしれない。多少強引で、少なからず迷惑の掛かる行為だったとはわかってはいる。
ただ、あの時は勢いの必要性もあって、翼には断りも無く推し進めてしまった。既に決まったことだけど、だからといって罪悪感が無いわけじゃあない。
「ただでさえ忙しくなってきてるってのに悪いな、翼」
「気にしないで。奏が言い出さなかったとしても、その時はきっと私が言ってたもの。それに……」
「どっちにしろ、旦那や了子さんが黙っちゃいなかった、か」
言いたいことがなんとなくわかって被せるように先に言ってしまったんだたけど、そのことに何か不満を言うこともなく、翼はしっかり頷いてあたしをジッと見るばかり。まあ、それならそれでいいんだけどさ。
あの少女、二課では最初はただ単純な保護だけのはずだった。だけど、
「最初はあの子が抱えてた
「ええ。身元が全然わからなかったのもそうだけど、それ以上に、あの正体不明の
保護されたあの子が抱えていた杖の
保管方法、監視体制を何度か変えてみても一瞬のうちにあの子の下へと移動してしまう。
そんなわけで、翼が言ったようにあの子自体の保護についても考えざるを得なくなった。あのまま施設送りっていうのもあんまりいい気はしてなかったから、個人的には良かったっていうか安堵感があったりもした。
とまあ、翼の言ったその通りなんだけど……いや、
「
旦那や了子さんがウチの手元におくように判断したのは、あの現象が
そういったリスクを含めて、あたしが面倒見るって言った時に難色を示したんだろうさ。万が一の場合に武力的には取り押さえることができるっていう利点もあるだろうけど、数少ないシンフォギア装者*7の私生活空間に――無防備な部分に――わざわざ危険因子を潜り込ませるのはヘタすりゃ命取りだもんな。
まぁ、結局は旦那の根っこの
実のところ、世話役を引き受けた事を含めてあたしがそうまでしてあの子にかまおうとしてきたのは、旦那たちのような仕事としてとか、義務感とか、仁義なんて理由とはまるで違った。
だからと言って、単なる思い付きとかそういうのじゃない。……言ってしまえば、ただの独りよがりな自己満足。
運命……っていうと、変に壮大な感じになるから……「
そんなことはここまで一度も口にしてないけど、翼も
それが不快感はあんまりないけど少しこそばゆい気がして、軽く咳払いをしてからいつものようにニカリと笑って見せることにした。
「まっ。なにはともあれ、結局はあたしが自分から言って引き受けたんだ。やるべきことはちゃんとやらないとな。よーし、これから忙しくなるぞ!」
「そうね。もちろん私も最大限手伝わせてもらうわ。なんでも言ってちょうだい」
「あー……炊事・洗濯・掃除そういった家事
「奏……」
―――――――――
「――つまり、あの杖は
「ええ。あれほどしっかりと残ってる
数年前の、
その少女が目覚めてから二度目となる接触をした了子君に、俺、
しかし、思っていた以上にあの杖の形状をした聖遺物に関してはドン詰まりの状態らしかった。
聖遺物研究の第一人者であり、俺の知る限りでは最も聖遺物に詳しいであろう了子君にすら見当が付かない代物だったとはな。骨が折れる案件になりそうではあるが放っておくわけにもいかない。なにしろ、どこかに厳重に保管しておくこともままならないのだからな。
「既に起動していて、計測される波形パターンはあの少女が発見された時と同じく
「実験をしてみないと断言はできないけど、一応はフォニックゲイン*9反応を示してるっぽくはあるの……でも、そのあたりはねぇ? どんなに厳重に保管してもあの子の下に瞬間移動しちゃうんだから、ちょっと調べるだけでも一苦労なのよ~。いっそのこと、あの子のそばでやっちゃったほうがいいんじゃないかしら?」
それはそれで色々と不安要素がある気がするのだが……?
いや、しかし、あの少女の人となりがわかりさえすれば、そういうことも手段の一つとして取れなくはない。了子君の様子からしても、
「すると、彼女自身は?」
「それなんだけど、本当に
その物言いに俺はひっかかりを感じてしまう。
「
おそらく、顔に出ていたのだろう。いや、それ以前に最初からそう言うつもりだったのかもしれない。
了子君は肩をすくめながら首を振った。
「私だって好きでこんなこと言ってるんじゃないわよ? けど、ここまで手がかりが何も無いと保護にしろなんにしろ対応に困っちゃうの。……私たちもそうだけど、あの子にとっても後々不都合が出てきてしまうわ」
「そう言う視点で、か。しかし、無いモノには期待も文句も筋違いだ。俺たちにできるのは、そうした事態を想定しての準備を怠らずにいくことだ。それに、彼女自身が何かしら喋ってくれる可能性は十二分にあるからな。そのためにもちゃんとしたコミュニケーションを取り、信頼を得なければな」
「そうねぇ。でも、あの様子じゃあ期待薄な気もするけど……何かあったのかしら?」
確かに、
それ以上に心配なのが、見知らぬ人、場所に対しあまりにも落ち着き過ぎていること。瞬間移動した聖遺物の事もあって初対面でありながら多少強引に抱き抱えたりしたこともあったが抵抗どころか動揺もしていなかった。それはまるで何をしても無駄だと悟り、全てを諦め受け入れているように感じられた。
了子君の言う通り、これまでに何か精神的なショックになることに遭遇してしまったのだろう。それこそ、あの杖の聖遺物が関わっているのかもしれない。
しかし、希望が無いわけではない。
彼女は目覚めてすぐ、自身の居る部屋を一通り確認していた。まるで人形のような機械的な淡々とした調子での確認作業のようでもあったが……原動力となる何かがあったのだろう。安全欲求による危機回避のためか、ただ単純な好奇心からか、もっと別の何かなのか……。
なにはともあれ、彼女のことを買って出てくれた奏君にばかり任せておかずに、俺からも積極的にコミュニケーションをとっていくべきだろう。
「……近いうちにジ〇リ映画でも借りて持って行ってみるか」
―――――――――
「三年前のあの事故を境に姿を消した餓鬼と聖遺物が、何故今になって? 起動した聖遺物のチカラがあったとしても、単身でどうこう出来る奴では無かったはずだが……それに、アメリカではなく縁もゆかりも無いはずの日本に?」
「まあいい。興味深い部分もあることだ。
《星杯を戴く巫女》が現れた場所。
指令と映画。
約三年前に、アメリカから消えた子供と聖遺物。
とりあえず色々とばらまくだけばらまくお話でした。