我が手には星遺物(誤字にあらず)   作:僕だ!

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※感想返信遅れていてすみません! 今夜まとめて返信します!

ドルベ有能、「僕だ!」無能。

大変遅れてしまいました!! 理由は大体イヴちゃんのせい。つまり「僕だ!」が無能なせい……絶対に許さねぇドン・サウ(以下略)


まさかの二連続イヴちゃん視点オンリーでございます。



そして、いまさらながらのXV8話感想……「大体遊戯王だった」。たぶん次回当たりに石版でデュエルしだす……もしくは、相手が神だし世界の始まりの話があると思われる。


宇宙から振ってきたよ

リディアン音楽院のとある校舎の廊下。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、「夕焼けが綺麗だなー」なんてことを考えていた。

 

揺れている原因? それはもちろん、目の前にいる女の子のせいである。

 

 

「響が何をしてるのか知ってるんだよね? 私、ヒビキのことが心配で心配で……危ないことしてたりしない!? 響に何か無理矢理させてたり――」

 

許可をもらって先に帰り、家にあるもので夕ご飯の準備をしてあげようかなーなんて思って、ゲンジュウロウさんたちにウチに先に帰っておくことを何とか伝え本部から出て地上まできたのだが……放課後のリディアン敷地内で――もう、一部部活生くらいしか残っていないだろうと思われる夕暮れ時に、その子に出会い、詰め寄られた。なお、彼女が()()()()()()()()()()()()()()は私たちの足元にドカリと落ちている。

 

肩あたりまで伸びている黒髪、白い大きなリボン。……それらの特徴から、この子がユミが言ってたヒビキちゃんの親友の「ミクチャン」だということはすぐにわかった。

 

 

数日前、ユミと例のカフェで会ったその翌日の夜に――

 

『未来ちゃんとの話し合いは無事しゅ~りょ~したよ! ちょっと不満げではあったけど、いちおうは納得してくれたみたい』

 

――って、内容のメッセージがアニメキャラのスタンプと一緒に来てたけど……コレ、全然納得しきれてないやつだよね!?

 

 

というかヒビキちゃんの親友だって聞いてたから、ヒビキちゃんと同類の元気っ子か、人助けに奔走するヒビキちゃんを「あらあらまあまあ」と見守る包容力高めの子……どちらにせよ、もっとお人好しな人だと思っていたんだがなぁ。思ってた以上にアバンギャルドな子っぽいぞ?

 

いやっ、もしかしたら()()()()()()ワタシの予測通りの可能性もある。

じゃあ、今何でこんなことしてるのか、その原因を考えると……やっぱり、ヒビキちゃんなんだろう。性格に問題があるのではなく、彼女(ミクチャン)の中では「立花(タチバナ)(ヒビキ)」の優先順位が他の何よりも数段上なため、ヒビキちゃんの有事には劇的なビフォーアフターをしてしまうんだろう。……まぁ、ワタシは他人から聞いた話でしか普段の彼女(ミクチャン)を知らないので、どれだけ変化しているのかはわかんないけども。

 

 

「お願い! 教えてっ、幽霊さん!」

 

そもそも、なんなんだ? その「幽霊さん」って。

確かにワタシはライブの時に《星杯神楽イヴ》の効果『②:このカードのリンク先のモンスターが効果で破壊される場合、代わりにこのカードを墓地に送ることができる』を使って、無茶な絶唱の負荷により破壊される(死ぬ)カナデに代わって墓地送りになった(死んじゃった)けれども。それでも、ワタシはちゃんと生きてる人間(モンスター)だぞ。

 

あっ幽霊と言えば、あの時会ったユミから「いるはずの無い初等か中等くらいの女の子が高等部のリディアン音楽院でたびたび目撃されてるから「高等部に上がる前に亡くなった子の魂がさまよっているんだ」って、噂になってるわよ」とか言う話をされたっけ。

 

 

………………。

 

…………。

 

……。

 

 

ああ、今ようやくわかった……その幽霊(それ)がワタシか。

 

ユミの言ってたことちゃんと聞いておけば……いや待てよ? なんでミクチャンの中で幽霊(ワタシ)がヒビキちゃんと繋がるんだ? まぁ確かに実際に繋がりはあるんだけど、それを知ってるのってそれこそ特機部二(トッキブツ)関係者かユミくらい……()()()()()()()()()()()()()

今度、カフェで一杯奢ってもらわねばいけない気がする。もちろんその時には「ブルーアイズマウンテン」は選ばないよ? 「3000円奢れ」とは流石に言えないもん。

 

 

……と、目の前の少女の腕によって、揺らされ続けているがさすがにちょっと気分が悪くなってきた。

 

だからと言って力ずくで振り解いては怪我をさせかねないし、彼女の質問に答えることをそう簡単に決めるわけにもいかない。……第一、ワタシが思った通りのことを言葉で伝えようとしたところで、この子(ミクチャン)に伝わるとは思えないしなぁ。

 

さて、どうしたものか……?

 

 

 

――? ――――?

 

 

 

……ん? 気のせいか、今、声が聞こえてきたような……そう、それも聞き覚えのある――()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

「お~い? みくー? どこ行ったのー!?」

 

おおっ、助けを求めたワタシが幻聴を聞いたわけではないみたいだ。

遠くからギリギリ聞こえる程度ではあるが、確かにヒビキちゃんの声が聞こえてきてる。それも、わたしの気のせいじゃなければだんだんと近付いて来てるはず。

 

「待たせ過ぎちゃったから……でも、わたしの荷物取りに行くっていってくれて走って、でも教室にはいなかったし……じゃあどこに――――あっ、いた! ……って、葵ちゃん!? えっええっ!? ふたりして何してるの!?」

 

ちょっとまだ遠いが、廊下のつきあたり……その曲がり角からヒビキちゃんがヒョッコリ出てきた。

 

喜びから困惑へと一転するヒビキちゃんの表情。それもそうか。探していた親友を見つけたはいいが、その親友が顔見知りのちびっ子の両肩を持って揺らしている――乱暴な言い方をすれば「掴みかかっている」――のだから。

 

「あっ、えっと、これは……」

 

対するミクチャンも、自分の状況を見てか慌てた様子でワタシから手を離した。おそらくは、これまで高ぶってしまっていた気持ちがヒビキちゃんの登場によって一気に引いたんだろう。

ワタシの肩から手を離して、一歩さがった。

 

「ごめんね? 私、ちょっと頭に血が昇ってたみたいで……どうかしちゃってたみたい」

 

「本当だよ、未来ぅ。未来がそんなことになっちゃうなんて、一体なにがあったのさ~?」

 

いやいや、あなたのため(せい)ですよ、ヒビキちゃん。

 

しかし、このほんの数秒の間でもわかったことがある。

事前に話を聞いていなかったり、さっきの怒涛の詰め寄りが無かったら気付かないだろうくらいに、ふたりの間に流れている空気は和やかなものの様に感じられる。もちろんそれは、ミクチャンがすぐに引いたからなのだが……。

 

 

 

()()()()()

例え一度引いたとしても、この状況に出くわしたことは変えられない。今から取り繕うことは出来たとしてもお互いに違和感というかしこりが残るのは間違い無い。……聡明な人ならばそうなることは当事者でも気付けるだろう。

なので、おそらくは……ヒビキちゃんとワタシとがそろったこの状況をミクチャンは逃さない。覚悟を持って問いただしてくることだろう。

 

さて、そうなってしまったら……どうする?

 

 

 

ワタシ自身はどうするべきか、何が出来るかを考えていたら、不意にヒビキちゃんが「あっ、そうだった」と声をあげワタシたちの顔を交互に見てから、その両手でそれぞれワタシとミクチャンの手を握った。

 

 

「えっと、初対面だよね? だったら、まずお互いに紹介から……こっちはわたしの幼馴染で親友の未来(みく)! 一緒に生活してて、学校も一緒にリディアン(ここ)に通ってるんだよ」

 

「えっ、あ……どうも?」

 

突然紹介されて戸惑い気味だったが、ヒビキちゃんの勢いに流されるように軽く頭を下げる「ミクチャン」改め「未来(ミク)ちゃん」。……変わっていない? ワタシの意識の問題だ。

 

まあ、そのミクちゃんのことは話には聞いてたし大体知ってる。

というか、リディアン音楽院に通ってることなんて今ここにいるのと制服着てるので、事前に聞いてなくてもすぐにわかることだろう。

 

 

「それでね未来っ、この子は葵ちゃん! 葵ちゃんは……葵ちゃんは……?」

 

あっ……。

 

「どうしたの、響? この葵ちゃんって子はどういう子なの? まさか本当に幽霊ってことは無いよね? 響とこの子の関係は?」

 

「えーっと……あ、あっれ~……?」

 

ズズイッとミクちゃんに顔を寄せられ、ミクちゃんとワタシの手を握ってた手をパッと離し目を泳がせながら顔をそらすヒビキちゃん。

開始一分足らずでこの有り様、ヒビキちゃんが自分から真っ先に墓穴を掘ってしまった感が。どうするつもりなんだろうか?

考えていないだろうなぁ、勢いだけで言っちゃってた感があったし。……つまりは、この状況をワタシがどうにかしないといけないのか? 普通の意思疎通さえ難易度高いのに……いろんな意味で無理じゃないかな?

 

 

ミクちゃんは、あわあわ言いながら目を…そして頭を回しながら「あーでもないこーでもない」と考えている様子のヒビキちゃんからはすぐには聞き出せないと考えたのか、今度はワタシの方を向いてその目でジーッと見つめてきた。

 

 

 

(あおい)ちゃん、だね。……ちょっといいかな?」

 

さて、何の用だろう、って尋問ですよね?

逃げてもいい……わけないか。

 

 

「迷い込んできたわけじゃないよね? どこから来たの?」

 

家……いや、特機部二(トッキブツ)本部からかな?

「『デッキならさっき君と一緒に宇宙から降ってきたよ』」*1

 

 

「……普段はどんなことしてるの?」

 

本部と家とを行ったり来たり、時々お出かけ。

「『《光天使(ホーリーライトニング)ブックス》!!』」*2

 

 

「響との関係は?」

 

先輩と後輩です。

「『遊星よ、今の俺とお前がまさに追う者! 追われる者!』」*3

 

 

「えっとじゃあ、弓美ちゃんとの関係は?」

 

友達です。

「『俺もだ。初めて会った気がしないぜ』」*4

 

 

「……真面目に答えてる?」

 

至って真面目に答えてるんだけど、このちっちゃなお口が……。

「『質問が多いぞ、貴様。デュエルをすれば全てがわかると常々ほざいてるそうではないか』」*5*6

 

ミクちゃんはそんなこと言ってないんだよなぁ。

ほら、見て。目の前の未来ちゃん、笑っているけど、コメカミ辺りがピクついてるよ。

 

……事情知らない人からすれば、今のワタシって頭おかしくてくそ生意気な餓鬼(ガキ)だもんね。

そんなワタシも、いうこときかないお口に慣れてきちゃって多少喧嘩腰だったり挑発じみた発言でも慌てなくなってきたりもしてる。だって、慌てたところでどうしようも無いってことは嫌と言うほど理解させられたからね。

 

 

「えっとね、未来っ! 葵ちゃんは周りの影響を受けやすいって言うか、保護者の人の影響でアニメとかのセリフ何かをすぐマネっ子しちゃったりしてて……それで、今みたいなわけわかんないことを言ったりすることがあるだけだからっ!」

 

ワタシと未来ちゃんとの間に沈黙が流れたのを見計らってか、割って入ってきてフォロー(?)をするヒビキちゃん。

ある意味間違っては無いけど、それは別にゲンジュウロウさんのせいじゃないからね? いやまぁ、確かにゲンジュウロウさんの影響でアニメ映画をよく見るようにはなったけど、ソレとメイ言(コレ)は無関係だ。

 

……あれ? そういえば、ヒビキちゃんってワタシが変なこと言うことをちゃんと知ってたっけ?

もちろん、ワタシはこんなのだから自分から伝えることは出来ないし、そもそもヒビキちゃんと接する機会はこれまで多くは無かったから困った事はなかったんだが……。おそらく、これまでにゲンジュウロウさんかカナデあたりから話を聞いてはいたんだろう。そうじゃなきゃ、ワタシが喋ってる時にもっと「ええっ!?」とかリアクションがあったと思う。

 

 

 

さて、そうやって見つめ合うワタシとミクちゃん、そしてその間でオロオロするヒビキちゃん。

最初に新たな行動を起こしたのは、大きなため息をついたミクちゃんだった。

 

「はぁ……仕方ないなぁ。わかっちゃったから、私はもうこれ以上は響にも葵ちゃんにも何も聞かない」

 

「ほ、ほんとっ!?」

 

「その子のことも含めて、響は私に知られたくないんだってことはよぉーくわかったもの」

 

「うぐぅ……!」

 

ヒビキちゃんが罪悪感からか胸を押さえてのけぞる。

 

頬を膨らませていたミクちゃんが――「ふふっ」と()()()

それを見て、わけがわかんない様子で目をパチクリ瞬かせるヒビキちゃん。ワタシもかしげてしまう。

 

「色々と思うところはあるけど……わかったから。凄く凄く悩んだ上で、響が私に「知られないようにする」って選んだんだって。その答えを出すために、今してたみたいに辛そうな顔をしてたんだって思ったら、これ以上問い詰めたりするのはちょっと気が進まない、かな?」

 

「未来……」

 

「でも、大丈夫ってわけじゃないんだよ?」

 

ミクちゃんが、ヒビキちゃんの右手を取って両手でその手を包み込むように握る。

 

「響が「大丈夫」って「へいき、へっちゃら」だって言っても……私の胸の奥が不安でズキズキ痛むの。本当に危ないことじゃなかったとしても、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。あの時みたいに、私の手の届かない所で響が苦しい思いをしてるんじゃないかって…………響の言葉を信じたくっても、恐くなる……でも、やっぱり響のことを信じたい! だから……せめて、約束をしてほしいの」

 

 

握っているその手に、ギュッと力が籠ったのがはた目から見てもすぐにわかった。……それだけの気持ちが、その言葉に込められているということだろう。

 

 

「響の「ただいま」に、「おかえり」って言わせて……絶対に、無事に帰ってきて……!」

 

 

目尻に涙を溜めながら紡がれた言葉。

その言葉に、一拍おいてから――ヒビキちゃんが握られてなかった左手も使って、ミクちゃんの手を握り返した。

 

 

「うん、約束するよ。未来が嫌がるようなことには絶対にしない! いつだってわたしはこの手に感じる温もりのもとに帰ってくる。……だって未来はわたしのひだまりなんだもん。他に代わりなんていない唯一無二の大親友なんだよ? この手は絶対に離さない……この約束は、絶対の絶対だからっ!」

 

「響……」

 

互いが互いに両手で相手の手を握り、おでこがコツンと当たってしまいそうなくらいの距離で見つめあうふたり……。

 

 

ふつくしい……

友情がだよ? それ以上じゃない。異性だろうと同性だろうと、仲が良かったら恋愛的な方向に持って行くって流れは良くないとイヴちゃん(ワタシ)は思うな。

そう、ただ単に仲良きことは良いことであるってだけだ。

 

しかし、これは一見いい感じにまとまったように思えるが、実際のところ半分くらいはミクちゃんによる「我慢します」宣言だよね? その内絶対爆発するよ?

……あっ、もしかしてヒビキちゃんって遊戯王と「K●NAMI」繋がりで、爆弾処理系恋愛ゲーム*7の主人公だったりする? 女の子だけど。

 

 

……って! だから、恋愛的なやつじゃないってば!!

 

 

「『俺もいるぞ!』」*8

 

 

「「ひゃっ!?」」

 

あっ。見つめ合ってたふたりが、そろって跳び上がった。

……邪魔をしてしまって申し訳無い。

 

 

「あ、葵ちゃんっ!? 忘れて……なんかないよっ!? うん、忘れてないから!!」

 

「べべべつにおかしなことは……! そう、あれよ葵ちゃん。ほらっ「指切り」みたいなおまじないだから、決してイチャイチャしてたとかそういうのじゃないから、ねっ?」

 

慌てて手を離して、その手をワチャワチャ動かしながら顔を赤くして喋りまくるヒビキちゃんとミクちゃん。その反応がより一層疑惑を……いや、どうでもいいか。

 

 

「あー! そうだ! レポートも提出できたんだし、早く帰って未来と約束してた流れ星見に行く準備をしないと!」

 

「そ、そうだねっ。……さっきは本当にごめんね、葵ちゃん」

 

 

 

しかし「流れ星を見に行く」か……。関係がギクシャクしてるっぽい話を聞いていたが、そういう約束は普通にできていたらしい。

 

それに、この前情報番組で「流星群が~」とかどうとか言ってた気がする。それが今日だったのか。

ワタシも都合さえあえばカナデやツバサと一緒に見てるのもいいかもしれない。そのためには、まずどうにかして伝えなければ……あぁ、でもふたりには休める時にしっかりと休んでほしい気も――――

 

 

 

―――! ―――! ―――!

 

 

 

むむっ!?

これは、無線の着信音――本部から通信がとんできたのか!

 

 

そう思って無線機を取り出したのだが……

 

はて? 連絡が来ている様子がないぞ?

 

 

……よくよく聞いてみれば、その音は少し離れたところから――駆け出そうとしていたヒビキちゃんたちのいる方から聞こえてきてた。

 

ヒビキちゃんの手には、光が点滅している通信機が。

ふたりの表情は……ああ、曇ってしまってる。照れて恥ずかしそうに笑ってたさっきまでとは別の意味で見ていられない。

 

 

唇を歪ませながら、それでもヒビキちゃんは無線機を自身の耳元へと持っていった。

……ふむ、ならば()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

『むっ、何故……? ん、これは……そういう、ことなのか? いちおう緒川を――』

 

聞こえてきたのはゲンジュウロウさんの声だった。

 

ふむ、上手く出来た……のか?

何はともあれ、無線の向こうでは何やら困惑させる出来事が起きているらしい。……まあ、その原因はおそらくはワタシが通信機を起動したせいだろうから、特に気にせず聞く態勢のままでいる。

 

 

『「もしもし? あの、また何か……?」』

 

おおっ、耳に当てた無線と目の前からヒビキちゃんの声が聞こえてくる。

この通信がどういう形式なのかあまり理解はできていなかったのだが、指令室でゲンジュウロウさんがマイクとか持たずに言っていることと現場のカナデやツバサとの三人で話していたりしたので「もしかしたら」と思ったのだが……どうやらゲンジュウロウさんとヒビキちゃんとの通信に上手く割って入れたようだ。

 

……まぁ、割って入って混ざったところで、音声のみで映像の無い通信なんてワタシには発信できる内容がメイ言。つまりは必然的にほぼ聞く専門で、ワタシに出来ることはほとんど無い。

それでも、なんだか嫌な予感がしたから、こうして通信の会話を聞くことにしたんだが……さて、いったい何があってゲンジュウロウさんはヒビキに通信を?

 

 

『ああ、響君、突然だが()()()()()()()()、発生位置こそ人のいない場所だがノイズたちはほぼ間違い無く市街地へと進行するだろう。そのうえ今回は発生した数も多い。済まないが至急出動してくれ』

 

 

『「……はい――――――えっ」

 

 

 

奪う。ヒビキちゃんのその手にある無線機を。

 

 

 

「……?……??」

 

「ちょ、どうしたの、葵ちゃん? えっと、返して欲しい、んだけど……」

 

『やはり、葵君が一緒にいたのか……しかし、いったい何を――』

 

何がなんだか分かってない様子で固まっているミクちゃん。その隣で困惑しているヒビキちゃん。

ゲンジュウロウさんは……まあ、気付いてたよね。

 

 

せっかくヒビキちゃんとミクちゃんとが手を取り合ったのだ。そして今夜の流れ星を見に行く約束……それを邪魔するのは、あまりにも無粋だろう。

ならば、ワタシが動くべき! ワタシがユミとした「響を気に掛けてあげる」っていう約束もあるのだ。今申し出ないでどうするっ!!

 

こい……こい……!

いい感じの、ワタシの想いを伝えることのできるセリフよ……こい!!

 

 

 

「『やはりキサマらのデュエルからは、鉄の意志も鋼の強さも感じられない』」*9

 

 

 

「えっ……?」

 

『葵君?』

 

 

あ、やめ、ちょっと待とうぜ?

「チカラが足りないからまだ出さないほうが良い」って話なら今日ヒビキちゃんを出動させない理由になるからいいけど、もうちょっとマイルドな言い方を……

 

 

「『半端な気持ちで入ってくるなよ……デュエルの世界によぉ!!』」*10*11

 

 

――あ。ヤバイ。もうダメ……。

 

「でゅえ……? じゃなくて! わたし、半端なんかじゃないよ!? もっと……あの日沢山のノイズを倒してた翼さんみたいにっ、ワタシを救ってくれた奏さんみたいに……小さくっても立ち向かってた葵ちゃんみたいに! ワタシもノイズから誰かを――みんなを救いたいんだっ!! そのためのチカラをわたしは持ってるんだよねっ! だったら、わたしは――!」

 

あっ、いや、言い返してきたぞ!

そうだ、負けるな、折れるんじゃないヒビキちゃん! ……って、今日休ませるためには折れた方がいいのか? でも折れちゃったら、絶対今日明日で復活できるレベルじゃないオーバーキルなんじゃ?

 

 

「『戦う理由や信念なら、どんな弱小決闘者の胸にも秘められているだろうさ! 重要なのは…それに押しつぶされるか…それを守りきるかだ!』」*12

 

 

「…………っ!!」

 

唇をかみしめて、一歩さがり……うつむいてしまう。

ああ……。

 

『落ち着け、葵君っ! いったいどこからどこまでが――!?』

 

 

「『ここは俺の戦場だ!』」*13

 

 

「違うんです」と弁解しようとしてコレである。

奪っていた無線機の通信を切り、立ち尽くしているヒビキちゃんの手に押し付ける。

 

「あ……葵ちゃん、わたしは……」

 

悲痛な表情でワタシを見て……でもそれ以上は言葉が出てこないのか、また口を閉じてしまう。

 

が、視線はまだワタシを捉えている。なら――まだ、やりようはある!!

 

 

 

 

「……え?」

「ええっ!?」

 

 

 

DOGEZA(ドゲザ)

 

ミクちゃんとヒビキちゃんの驚く声が聞こえるが、そんなことは気にせず指を綺麗にそろえて、おでこを地面に擦り付けるくらいにくっつけて……土下座だ。

言葉や文字だと思うようにいかないが……身振り手振り(ジェスチャー)なら思うがまま、謝罪の意は間違い無く伝わる。

 

 

「ちょ、やめてよ葵ちゃん! そんなことしないでっ!! 悪いのは、悪いのはわたしのほうなんだから……」

 

「そんなことは無いよ響っ! 詳しい事情を私は知らないけど、葵ちゃんは絶対言い過ぎてる!! ……けど、土下座はさすがに……」

 

悪いのはヒビキちゃんじゃなくてワタシのお口である。

その原因は……根拠も無いけど、きっとドン・サウザンドってやつのせいなんだ!

 

 

「『へぇ、デートかよ。お前もやっとその気になったんだな。頑張れよ、相棒!』」*14

 

 

何言ってるんだ、ワタシ(おまえ)。ドン・サウザンドも関係無い現行犯じゃないか!

 

 

「「で、デートっ!?」」

 

 

またちょっと違う声色で驚いているふたり。その顔は、土下座をしているためワタシには見えない。

 

「そそそんなぁ、デートだなんて!? 響とふたりっきりでおでかけだけど、別にそういうのじゃなくって……!!」

 

「……っ! ……もしかして葵ちゃんが通信の邪魔したのって、わたしと未来が流れ星を見に行くのを……?」

 

「えっ、そうなの? だとしても、もっと言い方が……」

 

え、何、この流れ? そうだけど、そうじゃないっていうか、その……。

…………うん、結果良ければ全て良し、だ!!

 

 

勢いに任せて、有耶無耶な感じですませ、ワタシが現場に直行する! それでオールオッケーだ!

 

土下座で折りたたんでた脚を一気に伸ばして跳び上がるように立ち上がり、そのまま駆け出す!!

 

 

「チーム・サティスファクション、いくぜ!!」*15

 

 

背後から、ヒビキちゃんとミクちゃんの声が聞こえるが、それを無視して駆け抜ける。

そして、リディアンの敷地から出たあたりで立ち止まり……()()()()()()()()()()()()()それをコンコンッと叩く。

 

 

『……言いたいこと、聞きたいことは色々とあるが……ひとまずは、今回は葵君が出動するということでいいのか?』

 

つけっぱなしだった無線機から聞こえてきたゲンジュウロウさんの声に対し、頷く。

ただし、ワタシが視線を向けるのは、()()()()()()()()()()()()()()()である。

 

「どうやらその気のようです……どうします?」

 

『音声通信だけでは分からんから、意思を確認するために先んじて緒川を向かわせていて正解だったな。……ノイズの駆逐はカナデとツバサが中心で行く、葵君は緊急時の戦闘に備えつつ民間人の避難誘導にあたってくれ。緒川はそのまま葵君を連れて避難区域へ向かい、そのままサポートを』

 

「わかりました」

 

……なるほど。駆除しながら発生位置周辺の民間人を逃がす……が、量が多いと言ってたし、住宅地から離れているとはいえ撃ち漏らしが出てくる可能性もある。その対応に当たるのが、ヒビキちゃんの代打のワタシというわけか。

……うん。今回のノイズに果たしてワタシの攻撃が通るかは不安があるが……なんとかなりそうだ。

 

「失礼します」

 

そんなことを考えてたら、いわゆるお姫様抱っこの要領でシンジさんに抱き抱えられていた。

そして、シンジさんはワタシを抱き抱えたまま凄いスピードで走り出し……それとほぼ同時に、通信機からまたゲンジュウロウさんの声が聞こえた。

 

 

『どこまでが君の真意だったかはわからない。故に、あの鋭すぎる発言については葵君を叱りつけるには情報が足りんのでそこは保留にしておく。……今回は響君を出動させたくなかった、そういうことか?』

 

頷く。すると、「YESです」とシンジさんが呟く。おそらくは彼の耳元についている小型の通信機から指令室(あちら)へと音声がいっているんだろう。

 

『そうか……今回の件よりも前から思うところはあったが、人助けの精神は輝かしいが、ノイズと戦うには弱く、脆く、優しく……あまりにも一般人だ。葵君から見てもそうだったということか……』

 

弱さや脆さは未熟ゆえかもしれないってところを除けば、おおよそ同意である。しかし……最終判断はヒビキちゃんがすべきだと、ワタシは勝手に思う。

だって、弱さも脆さも、ワタシは勿論カナデやツバサも持ち合わせている物なんだから。問題は、それに対してどう向き合えるか……ヒビキちゃんが覚悟を持てるかだ。

 

 

『今一度、考えるべきだな。融合症例とは言え、響君をこちら側へと……戦場へと引き込むのは。彼女には辛いだけかもしれん。……今ならまだ、引き返せるはずだ』

 

そんな声を聞きながら、ワタシはシンジさんに抱き抱えられたままノイズ発生現場へと向かう。

 

 

 

さあ、二課の一員として働こう!

ノイズ拡大範囲を広げず、人的被害をださないようにキビキビとやろう、ワタシにできることを。

 

少なくとも、ヒビキちゃんとミクちゃんが心おきなく流星群を見れるくらいには……ね。

*1
「遊戯王GX」アクアドルフィン。その言葉通り、主人公・十代が「デュエルしろって言われたってデッキが……」と言ったところ、頭がつぶらな瞳のイルカなムキムキマッチョマン《N(ネオスペーシアン)・アクアドルフィン》が言ったセリフ。その言葉通り、木星軌道上の衛星イオにあるネオスペース、そこの海岸に人工衛星のようなカプセルにデュエルモンスターズカードのデッキが入れられた状態で降って来たのである。……意味がわからない? それが当時の視聴者の感想であり、実体はもっと意味不明である

*2
「遊戯王ZEXAL」ドルべ。特に何と言うことも無い、モンスターを召喚する際にその名前を呼んだだけのことである。別に、「ブックス!!」の発音と言うかイントネーションが独特だったとか、そもそもこのドルべと言うキャラがネタキャラ扱いされていてその延長線上にあったせいで大爆発したとかそういうわけじゃない……と思う。EDの「全て壊すんだ!」という歌詞が悪ノリで改変され「全てブックスんだ!」という動画がアーティスト本人の手でツイッターにあげられたり、ほぼ「ブックス!!」だけの音MADが某動画サイトにあげられたり、それに「読書用BGM」とかいうタグがつけられたりしたのも気のせいだと思う

*3
「遊戯王5D‘s」ジャック。先を走り悠然と構えるジャックと、そんな彼に食らいつこうと展開し猛攻をかける遊星。その様子をジャック自身が表現したセリフ。また、彼曰く「追われるってのは気分が良い、自分がキングなのだと実感できる」とのこと。この「追う者、追われる者」はただ単純にライディングデュエルでの優劣を表しているだけでなく、シティでキングとして君臨していたジャックと、サテライトにいた遊星とを表していて……そして、グランプリ最終戦での追い抜き追い抜かれる二人の演出へと繋がるモノである

*4
「遊戯王GX」ヨハン。主人公・遊城十代とヨハン・アンデルセン、初対面の伝説のシーン終盤。ようこそ、よろしくと言葉を交わした後に握手をし十代が「なんか、不思議な気がする」といった発言に頷いたヨハンが返したセリフ。カードの精霊が見える決闘者同士の既視感……なのではなく、ヨハンの中の人が以前に十代たちと戦った敵も演じていたことがあったが故のメタ寄りなセリフである

*5
「遊戯王GX」カイバーマン。質問ばかりをしてくる十代に対し、余裕の様子でカイバーマンが返したセリフ。「GX」序盤の中でも屈指の電波回で「温泉施設でノンビリしていたら、カードの精霊(カードに描かれたいるモンスターたち)がいる謎の空間に迷い込んでしまった十代たち。そこで出会ったカイバーマンとデュエルをすることに!?」というあらすじ。……が、「負けたら自分を仲間を失ってしまったりする「闇のデュエル」を経験しデュエルで負けることを恐れるようになっていた十代に発破をかけ奮い立たせる」というただのファンサービス回でない、ネタ回にしても中々に深い話だった

*6
《正義の味方カイバーマン》はそもそもが「遊戯王」本編内のゲームで出てきたキャラクターなのだが後にOCGに《青眼の白龍》のサポート効果を持ったモンスターカードとして登場。おそらくは、《おジャマイエロー》といった精霊たちから「カイバーマン様」と呼ばれ尊敬・崇められていた事も含めて社長ではなくあくまで《カイバーマン》のカードの精霊だろう。見た目は、海馬社長風のコート等の服装をし《青眼の白龍》の頭部を模した仮面を被った男。扱うデッキは《青眼の白龍》デッキ……思いっきりあの人っぽい。 中の人はもちろん海馬社長と同じである

*7
ときめきがメモリアルなゲーム。世代によっては伝説である。……本来予定に無かったが、この作品初めての「シンフォギア」でも「遊戯王」でもない内容の注釈

*8
思い出した! 「遊戯王GX」で、高等部編入者で首席でアカデミアに入学した三沢大地のセリフだ! 途中から迷走したり出番が減ったりした結果、空気キャラとして公式からいじられ出した三沢が、話の中で他のキャラに忘れられて「三沢君、いたんだ」と言われるようになったりしだして使われるようになったセリフ。彼の空気キャラとしての扱いはアニメ放送が終わった後も……もっと言えば今でも続いている。「公式も悪ノリし過ぎ」などと指摘されたりすることもあるが、空気キャラ扱いもされない空気キャラもいることを考えると……いや、どっちもどっちであるだろう

*9
「遊戯王ARC-V」黒咲隼。1対3のライフポイント的にもフィールド的にも追い詰められたエクシーズ次元(異世界)の決闘者・黒咲隼。そんな彼が絶体絶命の状況でありながら対戦相手たちに言い放ったセリフである。大手デュエル塾「LDS」のジュニアユース世代有数の決闘者三名による怒涛の大量展開、バーンダメージ、手札破壊……だったのだが、本当に戦場のような環境にあった黒咲には生ぬるいものだったのだろう。返しのワンターンで全滅させ勝利してしまう……OCGではできないとか言ってはいけない

*10
「遊戯王5D`s」鬼柳京介。他のチームたちを全員倒しサテライトを制覇。名実ともにサテライト最強デュエルギャングとなった「チーム・サティスファクション」。そのリーダー鬼柳京介がデュエルギャングかもわからない決闘者を倒した上にさらに痛めつけ、「弱いくせに決闘者名乗るなよ」と踏みつけようとした際のセリフ。残党狩りとも言えないほどの見境の無い決闘者狩り、この凶行を期に「チーム・サティスファクション」は崩壊へとむかっていくのである

*11
ネット上では、もっぱら「サーセン」とか謝ったり、「K●NAMIからのありがたいお言葉」などと複雑怪奇なOCGのルール等を茶化したネタ扱いをされている

*12
「遊戯王」海馬瀬人。ラスボスにペガサスが控える「デュエルキングダム編」にて、妹の眼の治療費のために賞金を……という城之内、そしてそのことを知っている杏子ら遊戯の仲間たちの言葉を聞いた海馬社長が放ったセリフ。社長らしく偉そうな物言いではあるが真っ当な勝負事に対するある種の格言である。「たいそうな理由や想いがあってもそれが勝敗を決めるわけではない」……のだが、想いや願いやらで奇跡が起こったりするのも「カードゲームではよくあること」ではある

*13
「遊戯王ARC-V」黒咲隼。正に抜身のナイフのような初期黒咲を表すようなセリフである。共に融合次元の敵と戦う「レジスタンス」の一員であり親友であるユートから「ここは俺たちの戦場ではない!」と言われても黒咲は大抵このような調子。……初期とは言ったが、一時期からは多少丸くなったりはするが融合関係や攫われた妹関係になると基本尖がってしまう

*14
「遊戯王」闇遊戯。表遊戯(AIBO)がめかしこんで出かけたかと思えば杏子と出かける約束をしていたとのこと、そんなAIBOに闇遊戯がかけたセリフ。なお、そのAIBOには「とは言っても、僕じゃないんだけどね、へへっ」とちょっと変な否定のされ方をする。この時闇遊戯は知らなかった……まさか、その杏子のデートの相手が自分だということを……

*15
「遊戯王5D‘s」鬼柳京介。デュエ!!でお馴染みの満足同盟こと「チーム・サティスファクション」リーダー・鬼柳京介による掛け声。クズの溜まり場などと揶揄されることもあるシティから海を挟んで離れた島・サテライト。そこには各地域に根城を持ったデュエルギャングと呼ばれる集団がいくつもあり、その中の一つ「チーム・サティスファクション」は「どうやったって俺たちはこのサテライトから逃げることは出来ない、だったらここで満足するしかねぇ! このサテライトでどデカいことやって満足しようぜ!」という鬼柳の方針のもと遊星・ジャック・クロウが集まってできた4人組のデュエルギャング。そして、後にサテライトの他のチームを倒してサテライト制覇を成し遂げる「伝説のチーム・サティスファクション」である

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