我が手には星遺物(誤字にあらず)   作:僕だ!

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更新が予告よりも遅れてしまい、申し訳ありません!(いつもの)

過去最長!(だいたいイヴちゃんのせい)

超展開!(遊戯王ではよくあること)

イヴちゃんがおかしい!(いつものこと)

俺ルール!(遊戯王ではよくあること)

書きたかったことを表現しきれてるか不安!(ドルべ有能、「僕だ!」無能)


プロットはあるけど半分くらい勢いで書きました! 勢いで呼んでくれぇ……!

そして、今回のお話ですが、構成の都合途中に第三者視点での文が入っています。


城之内死す!(なお本編では)+α

「『僕だ!』」

 

 

なーに言ってるんだ、この(アホ)は?

 

……

…………

………………

 

冗談だ、他でもない《星杯神楽イヴ(ワタシ)》だよ。もちろん、好きで唐突に意☆味☆不☆明なことをいってるわけじゃない、毎度ながらのいうこときかないお口です。

 

いや、その、違うんですよ。

「またなにかやらかすんだろうなー。その前に彼女の目的くらい特定して対策なり説得なりできればいいなー」程度に考えて、この言うこときかないお口のせいで上手くいかずにそのままだったフィーネこと闇リョーコさん。そんなフィーネが街でノイズを大量発生させるどころか地下にトッキブツの本部があるリディアンまでも襲撃しだした。で、それに対して文句の1つ2つ言ってやろうじゃんか、ってワタシの中ではそうなってたはずなのに……どうしてこうなった。

 

 

「…………え…………?」

 

 

ほらみろ、いきなり名乗り出たりするからヒビキが「何言ってるの?」って顔で振り向いてきちゃって――――うん? にしては、ワタシの予想とは違う表情(かお)をしてる気が……?

 

それに、ヒビキ以外のみんなもギギギッと軋むような音が聞こえそうな感じで振り返ってきて、まるで信じられないモノでも見るような顔をワタシに向けてきてる。

いったい、どうしたっていうんだろう?

 

 

「まさか、葵が……(フィーネ)の手駒だと、いうの……!?」

 

「ははは……違うだろ? ほら、いつもの「思った通りのことが言えない」ってやつなんだろ? そうなんだろ……だから、そんな目をしないでくれよ、葵ぃッ!!」

 

 

え……あっ!?

 

そ、そうだ! 学生としてではないけど何度も通っていてなんだかんだで愛着のあったリディアンの校舎が跡形も無くボロボロになってたのがショックで、ちょっと呆然として話を半分くらい頭に入ってきてなかったけど――ワタシが『僕だ!』っていう前にみんながしてた話は「ココに私の手駒がいるけど、クリス(オマエ)じゃないよ」「え?」みたいな話だった気がする……!

 

そこに颯爽と『僕だ!』と宣言する人物が、身内にいた。

 

……それ、なんて真ゲス*1*2

味方陣営に入り込んで友好を深めて……で、ここぞって時に敵としての正体を現す……ほぼ完ぺきに今のワタシの状況にピッタリ合致しちゃってるじゃん。これで『ジャンジャジャーン! 今明かされる、衝撃の真実ぅ~』とか『楽しかったぜぇ、お前との友情ごっこ~!!』*3とか言いだした時には、もう役満だろう。

 

決闘者としては()()()()()()胸躍るシチュエーションだけど、その中心に自分自身とカナデたちがいるとなっては、流石に笑ってられない……!

というか、フィーネとは前からの知り合いではあるけど、手駒とかじゃないから!! ……でも一部事実があるから、完全に否定はしきれないのがツライっ! 仲間や知り合いというか、元・上司と部下というか、もっと正確に言えば研究者と実験動物(モルモット)で――でも、だからといってフィーネに悪感情をもってるわけじゃないから、結局ワタシの中では「友達」かそこらへんの間柄だと思ってるんだけどなぁ!?

 

 

 

「このちびが、フィーネの手下だったってのかっ……はっ!? だから、アタシの名前を知ってやがったのか……!!」

 

 

MA☆TTE(まって)!?

 

クリスちゃんは続けて「でも、じゃぁなんであの時……」なんて言ってるけど――その「あの時」が何のことかはイマイチわかんないが、とにかくきっとどっかですれ違いをおこしちゃってるから! ワタシがクリスちゃん(キネクリボー)の名前を知ってたなんて事実は無くって、アレはワタシが言った「クリボー」って言葉をクリスちゃん(キネクリボー)が勝手に自分の名前だと思っただけで……とにかく色々と勘違いだからね!?

 

それに、ワタシの方へと振り向いてるせいでわかってないみたいだけど……「アタシ(クリスちゃん)の名前を知ってた」ってこと言った時に、前の方(むこう)にいる露出過多金ぴか装備のフィーネが「えっ!?」って顔してたよ!!

 

というか、今気づいたけどあの闇リョーコさん(フィーネ)の金ぴか鎧――それこそワタシとクリスちゃん(キネクリボー)が初めて会った時にキネクリボーが着けてた「ネフシュタンの鎧」じゃないか? 色が銀から金に変わってたり一部デザインが変わってるけど、たぶん間違ってない……はず。特にあのトゲトゲしたムチみたいなのはソックリそのままだしっ。

 

 

 

……って、今、そんなことはどうでもいいじゃない!?

 

とにかく、一刻も早く誤解を解かないと!

今さっきの『僕だ!』発言が、さっきカナデが言ってたみたいに毎度おなじみの「思ったこととは別の言葉が口から出てきてる」ってヤツだったってことを理解してもらう為に……()()闇リョーコさん(フィーネ)との繋がりがあったのは事実だし、『僕だ!』発言は別に間違いじゃないんじゃ……?

 

いやいやっ!? まぁ知った仲ではあったけど、別にそんな「これから一緒にトッキブツを内部からズタボロにしようぜ!」みたいなノリする仲良しじゃなかったから! むしろ、昔から痛めつけられたりしてたし、最近だって熱いコーヒーブン投げてぶっかけられたりしたし!

……だからって、フィーネをぶっ飛ばしたいとか思ってるわけでもないからなぁ……。以前にも言ったけど、フィーネっていうのは先史文明期の巫女さんらしい。そして、ワタシの知識から導き出される印象として「巫女」ってのはロクな目にあわない。《星杯を戴く巫女(イヴちゃん)》もそうだし「DT(デュエルターミナル)世界」の《ガスタの巫女 ウィンダ》もそうだった。だからむしろ、フィーネにはなんとか良い未来を歩んでほしいと思ってるくらいだ。

 

 

……それじゃあ、ワタシって結局どっちの味方なんだろう?

 

 

なんかもやもやするが、今は目の前の現状をなんとかするのが先じゃないか? 前後の話の流れを完全無視した意味不明なことを言いまくって、頭おかしい子判定受けることによって話を有耶無耶にするしか……! そんな上手く事が運ぶ保証はないし、できるかなんてわかんないけど、何にもしないわけにはいかない!

さあ、言おう! 大きく口を開けて意味不明なことを――あっ、さっきの『友情ごっこ』とか真ゲス関連はノーサンキューだから。言うなよ? 絶対言うなよ、ワタシのお口っ!!

 

 

「なんでダンマリなんだよ……応えてくれっ、嘘だって言ってくれよ葵っ!!」

 

 

…………。

 

「言うなよ」とは思ったけど、本当になんにも言わないなんてどうかと思うんですけど!?

なんかおかしくない? ワタシのお口。いやっ、おかしいの前からだけどもっ!! それに、さっきの『僕だ!』の時だって、なんか違和感があったし……

 

 

 

「葵ぃ、どうして――」

 

「ハァン。なに、単純なことだ。貴様らの言葉にわざわざ応えてやる必要もないと判断されたのさ。そう、そもそも「()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()というだけ……貴様らが自身の妄想をコイツに貼り付けて肉付けされた幻だ」

 

自分の身体のことを、あーだこーだ考えていると、いまだにワタシに呼びかけるカナデに、その姿を嘲笑うかのような調子でフィーネが何か語りかけてる。

 

ワタシはちゃんと応えようと思ってるよ? いうこときかないお口がいつも以上にいうこときかないだけで。

それに、間違い無く(ワタシ)はここにいるぞ? なーに馬鹿でもわかるような変な嘘を言ってるんだ、闇リョーコさん(フィーネ)は……?

 

 

「……ウソだ」

 

「嘘であるものか。コイツは最初から櫻井了子がフィーネであることを――アメリカと繋がりのあるスパイであり、ノイズを出現させ操っていることを知っていた。それを密告していない時点で……答えは明白だろう?」

 

「葵は、葵はそんなやつじゃぁ……!」

 

 

え、あ、うん……その辺りは弁解のしようがない。

思った通りのことを他人(ひと)に伝えられない状態であることを自身への免罪符にして、フィーネに対してどうにも情が湧いてきてて……倒したりはしたくないから、何とかならないかしようと……でもそれも、中途半端で考えや詰め方も甘々だった。

それが今、この状況を作り上げる要因になってしまったことは反省して謝るべきだ……その前に、やれることをやるのが先だろう。でもそれ自体が、やっぱりお口のせいで難しいってトコに巡り巡って戻ってきやがったよ……。

 

 

「本当の名も知らず、いつまでそうやって「葵」と呼び続ける? いい加減、あの時ノイズに消された妹の幻想から目を覚ましたらどうだぁ?」

 

「違う! あたしは葵をあいつとはっ――――本当の名……?」

 

 

 

櫻井了子()がこのチビのことを「(あおい)」と呼んだことがあったか?」

 

 

 

「「「――!!」」」

 

 

フィーネではなく、櫻井了子としての彼女と接点があったカナデ、ツバサ、ヒビキが息を呑んだのがわかった。

 

そして、フィーネの発言はワタシにとっても驚きのものだった。

 

闇リョーコさん(フィーネ)、《星杯を戴く巫女(ワタシ)》の名前を知ってたのか!? その上でみんながワタシに呼び名をつけることを傍観してたっていうのかっ!! 許さな――――くもない!

確かに、最初のころはちょっと納得いってなかった部分もあったけど、もう今更だし、正直なところ「(あおい)」と呼ばれることに慣れちゃった。それに、ワタシは《星杯を戴く巫女(ワタシ)》だけど《星杯を戴く巫女(イヴちゃん)》じゃないからちょうどいいんじゃないかなーって。

 

 

そんな軽い感じのワタシとは違い、周りのみんなは主に精神的な意味で深刻な状態のように見えた。

……教えたくないわけじゃない、というかむしろ知ってて欲しい。だから今すぐにでも「イヴ」って名前を伝えたいんだけど……言えるかどうかが問題だ。頑張って口を動かそうとしてみる。

 

と、ショックを受けながらもツバサが、ワタシを睨みつけ――にしては弱々しい目で――口を開いた。

 

 

「何故……何故なの? 素性を、本心を隠し続けて……私達は、奏は! あなた自身を打ち明けるには(あたい)しなかったの……っ!」

 

「『消えゆく者に、名乗る名前は無い』」*4*5

 

「な……」

 

 

ようやくお口が動いたかと思えば、なんでそんな心にもない言葉(セリフ)が出てきちゃうんですかねぇ?(白目)

 

ツバサなんて、正に絶句といった様子で一瞬固まってしまってる。

いくばくかの時を経て復活したツバサが、キュッと一度唇を噛んでからまた何かを言おうと口を動かし――――その前に、ガッと一歩ワタシの方へと踏み出してきたクリスちゃん(キネクリボー)が、押し留めていた言葉と感情とが溢れ出してきたかのように発した声が割って入ってきた。

 

 

「アタシだけじゃない……仲間のコイツらも、カフェの二人も……みんなずっと騙し続けてたってのか! そんな真似して、お前は何とも思わないのかよ!?」

 

「『うーん、それの何がいけないのかな?』」*6*7

 

「な……!? なんで……アタシは、お前を……信じたコッチが…馬鹿だって、いうのかよ……――ッ!!」

 

 

ギリッっという奥歯を噛み締める音がここまで聞こえてきそうなほど歯を食いしばるような顔をして、ワタシを睨んだクリスちゃん(キネクリボー)。でも、すぐに俯き視線を落してしまった。……ワタシの気のせいじゃなければ、その両眼には涙が溜まっていたような――――

 

―――って、なんでさっきから、変に会話が成立するようなセリフばっかり出てくるんだ!?!?

そんな天性のドローセンスはいらないからっ! いやっ、ドロー運は欲しいけど、こんな時に発揮してくれないでいいよ!?

 

 

「そんな……嘘だよ……!」

 

そんな声が聞こえてきて、ハッとし反射的にソッチを見た。

そこにはワタシのほうをしっかりと見て、なんとか笑おうとした強張った笑顔を浮かべたヒビキが。それが、今にも泣きだしてしまいそうなのを我慢した精一杯の顔だっていうことは――決壊寸前だってことは、すぐにわかる。

 

「だって、わたしたちのことを敵だったなら、なんであのライブの日、わたしを…わたしを護ってた奏さんを助けたの……? なんで二課のみんなのお手伝いをしてたのっ? なんで戦い方を教えてくれたのっ、あんなに一緒になって修行をつけてくれたの!?」

 

 

「『希望を与えられ、それを奪われる。その瞬間こそ人間は一番美しい顔をする……それを与えてやるのが俺のファンサービスさ!』」*8

 

 

「……そんな、笑って……っ!」

 

大仰に両腕を広げたりしながら語り、ニタニタ笑うワタシを見てついにポロポロと涙を零し始めてしまうヒビキ。

 

 

今、やっとわかった……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()っ!!

 

もしかして、コレがちょっと前に例のカフェで《星遺物(せいいぶつ)―『星盾(せいじゅん)』》を起動&回収した影響だったりする? 悪化してない? ねぇ? 誰だよ、星遺物を起動していったらいうこときかないお口がなおってくっていった奴は!? ……ワタシ以外、誰も言ってないか。

 

いやっ思い返してみれば、シンフォギアを纏えなくなったカナデに腹パンしたあたりも自由が利かずに勝手に動いてた節があるし、100%《星遺物(せいいぶつ)―『星盾(せいじゅん)』》のせいだとは言い切れないか。

でも、原因が不明となると……というか、「どっちにしろ」っていったほうが正確かもだけど、現状の打開には全然繋がりそうにないんですけどー!?

 

 

 

「ふははははっ!! キサマらのその絶望に染まって苦しみ歪んでいく顔、なかなかの見せ物じゃないか!」

 

頭を抱えて転げまわったり、土下座(DOGEZA)したくてたまらない……けど、行動の強制が中々切れないワタシを他所に、実に……じつーっに愉しそうに笑う闇リョーコさん(フィーネ)。随分と悪い(いい)顔をしてる。

 

「特に、出来そこないの装者である天羽奏……どちらか片割れが死ぬくらいがちょうどいいと考えていたライブ襲撃の際に生き延びたこと、そして歌えなくなったはずなのに今こうしてまたシンフォギアを纏っていること……予想外な部分はあるが、見逃しておいた価値はあったようだなぁ?」

 

 

ケラケラ笑うフィーネとワタシの間で挟まれ、絶望と怒りとか色々混じった表情(かお)で戸惑う装者のみんな……

そんな中、嗚咽に交じって泣きながらこぼしたヒビキの言葉が耳に入ってきた。

 

 

「了子さん……葵ちゃん……!! なんで、こんなことを……」

 

「何故だと? そうだな……わざわざ教えてやる必要も無いが、冥土の土産に――――」

 

 

「『攻撃するのは……月!!』」*9*10

 

 

高々と挙げられたワタシの人差し指が指し占めすは、暗い(そら)に浮かぶ()()

 

「……攻撃? 月を、ですって?」

 

「どういうことだ!?」

 

知らん、そんなことは俺の管轄外だ。

 

そうツバサとクリスちゃんにいいたかったが……今度は動いてくれなかった。

いやだって、このいうこときかないお口から勝手に出てきた言葉だもん。ワタシが知っているわけもない。そもそも王国編の俺ルールのように現実(リアル)で本当に月に攻撃するわけが――――

 

「これまでで得てきた情報だけで私の意図をそこまで読み取り、確信に至るまでの予測を行うとは。やはり、頭の回りは尋常ではないようだな……もはや、どこまで理解しているのやら」

 

――――ゑ?

き、気のせいかな? フィーネがまるでワタシの「月を攻撃」発言を肯定するかのようなことを言いだした気がしたんだけど……?

 

「まぁいい、すでに準備は終えたのだ。じきにその目で直に見ることになる――()()()()()()()()()()!!」

 

 

地響き。

 

フィーネの背後、瓦礫の山が勢い良く散った。その瓦礫の下から何かがせり上がってきて、ズンズンと空へと向かって伸び――――そびえ立った。

 

金、紅、その他諸々…色とりどりの原色で描かれた壁画。それで構成された天高くそびえる円錐と円柱の中間くらいのカタチの巨大な()

まさかこれが「カ・ディンギル」!?

ワタシの知ってる「カ・ディンギル(バベル)」と違うっ!!

 

 

「なっ、あの模様……地下の二課本部へのエレベーターが通っている空間の壁に描かれていた壁画――――まさかっ! 「カ・ディンギル」はそのまま塔として建造せずに地下に隠して……それも、こちらの懐に!?」

 

「んなっバカな……!!」

 

予想外の展開に、ツバサとカナデが声を上げる。

見れば、さっきまで泣いていたヒビキもあまりのことに涙が引っ込んでしまったようで、でも状況についていけずに疑問符を浮かべてワタワタと慌ててる。クリスちゃん(キネクリボー)は塔を見上げていて……斜めから見えた目元が赤くなってるから、やっぱりワタシの気のせいとかじゃなくて泣いていたらしい。

 

 

「これが「カ・ディンギル」! 失われた相互理解、人類の不和の元凶である「バラルの呪詛」、その発生源である月を穿(うが)ち、起きた人類を滅亡へ追いやる天変地異の混乱する世の中を、聖遺物の力をもって世界を統べる――――そう私の望みを叶えるチカラだ!!」

 

 

高らかに、そう告げるフィーネ。

その言葉に連動してかどうかはわからないが、「カ・ディンギル」出現の際とはまた違う低い地鳴りが辺りに響いた。

なんというか、こう……徐々に強まっていってるような振動……。

 

 

バラルの……呪詛?

 

聞いた言葉を理解できず、反芻するかのように呟くヒビキ。

ワタシも、どこかで聞いたような気がするその言葉が少し引っかかっていた。

 

そして、そことは少し別の個所にくいついたのは、クリスちゃん(キネクリボー)だった。

 

「人類の不和の元凶だって……? どういう意味だよっ、それじゃあまるで世界で起きてる戦争とかが全部ソレのせいって話になるぞ!?」

 

「その通りだ。先史文明期、存在した「統一言語」が突如失われ――――いや、()()()()()の手で「バラルの呪詛」をもって取り上げられたのだ。それにより言葉を、相互理解を失った人類は理解できぬ他人を恐れ、排除しあうことを覚えてしまった。あのノイズの出現さえも元を辿れば、ココに行き着く……如何に他人(ひと)を殺すか――その末に生まれ落ちた「対人類用兵器」がノイズなのだからな。そう全ての元凶とも言える呪いなのだ」

 

「ノイズもだと!?」

 

ノイズに対し並々ならぬ感情があるだろうカナデが特に強い反応を示した。

 

そして、その言葉を聞きながらワタシは思い出していた。

「バラルの呪詛」。その言葉を聞いたのが、例のカフェにてワタシのお口が何か言ってそれを聞いてた闇リョーコさん(フィーネ)がブチ切れてコーヒー投げつけてきた時に口走ってた(こと)――その中で出てきた言葉だったということを。

確か「バラルの呪詛のもたらしたモノがどーいったものかも知らないくせに~」みたいな感じだった気がする。そしてなるほど、と納得してしまう。フィーネは知っているというか嫌と言うほど直に感じたんだろう、相互理解を失った人類が殺し合うその様を。

 

ワタシのお口があの時何を言ってしまったのかが今ひとつ思い出せないが……そのあたりの事を不用意につっついてしまったんだろう。

そりゃぁワタシに切れてしまうのも当然だし、「バラルの呪詛」を毛嫌いするのも仕方な――――

 

 

 

「月を穿つ……まさかっ! 「カ・ディンギル(コレ)」はデッカイ砲撃(モン)をぶっ放すための砲身だってのか!?」

 

 

 

――――いけど、それとは別に、コレはやり過ぎじゃない?

さっき「天変地異」がどうたらこうたら言ってたし、呪いとやらが解けたとしても、ロクなこと起きないよね? どうするつもりさ、この地球を。

 

そしてなんでわかったんだクリスちゃん!?

あれだろうか? 銃とかマシンガンとかミサイルとか……銃火器をシンフォギアで使うから「カ・ディンギル」の構造を見てキャノン砲みたいなモノだって理解できたのだろうか?

 

――――って、()()()!?

 

 

「ふん、今頃気付いたか。今アレには二課の深層部で保管されていた完全聖遺物「デュランダル」が生み出す無限大のエネルギーを元にしたエネルギー砲。そして、この無駄話をしている間にもエネルギーの充填が進んでいき――――もうすぐ、射出に至る! もはや、誰にも止めることはできない!!」

 

 

どういう……ことだ……

 

 

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

人類の不和の元凶である呪いを、月を撃ち抜き消し去る。

 

それはおそらく「世界平和」を目指すクリスにとって他には無いだろう夢を叶えるための手段だろう。

 

だが、クリスにとってはとても喜べるものじゃなかった。

フィーネの言葉の端々から多大な犠牲が起きることを察し、両親から受け継ぐべき「夢」とは――想いとは違う、過ちだとわかってしまったから。

 

だから迷い――――しかし、彼女は決心する。「なんとしても砲撃を止めなければならない」と。

 

 

 

単純明快な阻止方法は「カ・ディンギル」の破壊だが、「ネフシュタンの鎧」を纏ったフィーネは、クリスたち装者と「カ・ディンギル」との中間位置に立ちふさがっている。直に壊しに行った場合、邪魔をしてくるだろうフィーネに勝てるかどうか以前に、エネルギーチャージ完了が目の前である今、先に砲撃が発射されてしまうことは目に見えている。

 

迅速で、確実な一撃。それをフィーネの届かない範囲で。それがクリスがすベきこと。

 

 

彼女が導き出した答え。それはシンフォギアのチカラによって生み出した人よりも一回り大きいくらいのミサイルに飛び乗って天辺へ、その先の上空を目指して飛び、そこで全身全霊の「絶唱」を放ち、「カ・ディンギル」の砲撃を相殺――あるいは砲撃を逸らす――すること。

どこまで思い通りにいくかなんてわからない。けど、それしかないとクリスは直感していた。

 

 

フィーネの意表をつけるのは、ミサイルに乗って飛ぶという荒業を初めて見せるその時だけだろう。

つまり、奇策としても、時間的にも一度きりのチャンス。

 

 

 

――――お前の思い通りに、させてたまるかよっ!!

 

 

 

息を潜めてから、クリスは心で叫びながらミサイルを出現させ――飛び乗る。

完璧なタイミング。

 

クリスの視界の端には、一瞬遅れて「何事か」と気付いたフィーネの目を丸くした顔が見えていた。

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

「…………ぇ?」

 

 

瓦礫の上に尻餅をつく形で倒れ込んだ身体――その腰回りに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が絡みついていた。

 

ミサイルの出現から始まるいきなりのことに困惑していた周りも、そしてクリス自身も――――杖を放り捨て飛びついてきた(イヴ)の手によってクリスがミサイルから引き落とされたことを理解するまでに、数秒の間を必要とした。

 

クリスを乗せることなく飛んでいったミサイルは、予定通りの軌道で「カ・ディンギル」の上を通り過ぎていってしまう。

 

 

真っ先に困惑から回復し状況を理解して口を開いたのは、口角を釣り上げ嗤うフィーネだった。

 

「はっはっはっはっは!! 捨て身の突進か、何をしようとしていたかは知らないが――――無駄になるか否か以前に、何も為せないとは! 笑いがとまらんなぁ!!」

 

 

呆然としていたクリスは、そのフィーネの笑い声を聞いて、ようやく砲撃の阻止を失敗したことを理解した。

その原因が他でもない、つい数分前まで信じていた相手であり……実際は敵の手駒だった(イヴ)であるという事実に、怒りで、悲しみで……()()()()で身体が震えあがり、視界が溢れ出てきた涙で滲んできた。

 

 

そして遂に「カ・ディンギル」からの砲撃が発射される、その時が来てしまった。

 

 

「そうやって地に這いつくばり見るといい! 月を、呪いを穿つその瞬か――あっ?

 

 

空を見上げたフィーネが――彼女につられて見上げていた装者たちが――固まる。

 

 

 

 

 

()()()()()()()

 

 

 

 

 

否、それは欠落ではなく()

地球と月との間に、いつの間にか現れ、落下してくる()()が月の一部を隠したが故に地上の者たちの目に映った錯覚。

 

 

その()()が何なのか。

月を穿たんと発射された「カ・ディンギル」の高エネルギーのレーザー砲の輝き(ヒカリ)によって照らされたことで、奇しくもその姿を人々に明確に認識された。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()

遠く上空から飛来してきているためその巨大さと形を正確に捉えることは困難だが、地上へ向かっているほうの先端は細く尖っていて、逆に上空の方の先端は極端に膨らんでいるように見えた。

 

全容を(とら)えたのもつかの間、落下している謎の巨物は「カ・ディンギル」の砲撃に呑み込まれ――――()()()()

むしろ砲撃を――高エネルギーの奔流を、弾き、掻き分けるようにして、速度は減少してしまいながらも壊れることも無く、ほんの少しずつだが落下を続けてる。

 

謎の巨物に弾かれた砲撃はといえば、一部は霧散し、一部は逸れ……結局は、そのほんの一部が月の端あたりを抉るだけに留まった。

その月の損害は、どう見てもフィーネが本来期待していた結果からは遠く離れていた。

 

 

そして、遂に「カ・ディンギル」から放出されていたエネルギーが収まる。落下を妨げるものが無くなった巨物は、ゆっくりと落下を続け――――ほどなくして、地響きを立てて止まった。

()()()()()、まるで剣が鞘におさまるかのように「()()()()()()」の砲身の穴にその大部分を(うず)めるようにして。

 

 

「カ・ディンギル」の砲身の先端から、色の無い闇のような巨大な宝玉が埋め込まれている膨らんだ巨物の先端が顔を出すかのような形で地上に落ちた謎の巨物。

その意味不明な展開と目の前の異様な光景に、「カ・ディンギル」の周りにいた誰もが呆然としていた。

 

 

ただひとり、冷や汗を流しながら目を泳がせている「(あおい)」ことイヴを除いて…………。

 

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

 

なんでこのタイミングで《星遺物―『星杖(せいじょう)』》が出てくるんだよ!?

 

 

OCGの登場順というか、「星遺物」ストーリー内での登場準的に考えて「星杖(せいじょう)」はまだ後でしょ?*11

 

それともあれか?

「カ・ディンギル」からバベル……前に話した事もある*12星杖(せいじょう)」にも関わっていると考察されている《オルフェゴール・バベル》に連想され、それでその「カ・ディンギル」目がけて降ってきたっていうのだろうか?

 

いやまぁ、あのあたりの話って、カードイラストの時系列の前後関係がいまいち不明なところもあって、《星遺物―『星杖(せいじょう)』》の存在とその所在・運用法については諸説あって考察が幾通りかあるのだが――例えば「バベルから射出説」、「バベルそのもの説」等々――その中に「バベルに落下説」もあるにはあったが……まさか、本当にそうだったのか……?*13

仮にそうだったとしても、今の状況、もしも《星遺物―『星杖(せいじょう)』》に意識があったなら「あれ?呼ばれたと思ったけど……コレなんか違う」とか絶対思ってるよ! それ、《オルフェゴール・バベル》じゃないから!!

 

 

そして、ついさっきまでワタシが腰に抱きついていたクリスちゃん(キネクリボー)は危機一髪である。

みんなよりも先に上空に何かあることに――そして、知識があったからその正体に気付いたワタシが、さらになんか飛び出そうとしていたクリスちゃん(キネクリボー)に気付けたから止めることができたけど…………あの時、何をしようとしていたかは正確にはわかんないけど、あのままミサイルで上空に飛んで行ってたらあの「星杖」と砲撃との衝突に巻き込まれて無事じゃあ済まなかっただろう。

 

 

とにかく!

なんで「星杖」が降ってきたのかとかわからないことは色々あるけど、偶然にも「カ・ディンギル」の砲撃から月を守ることができた上に、砲身に栓をしてしまったから闇リョーコさん(フィーネ)の野望も封じることができたぞ!!

 

そのフィーネはといえば――――

 

 

 

「どういう……ことだ……」

 

 

 

――――この様である。

ココにいるみんなの気持ちの代弁、ありがとうございます。

 

仕方ないよね、決闘者(ワタシ)でもよくわかんない事態だっていうのに「なるほど、そういうことか」なんて超理解をされでもしたら困ってしまう。

 

 

「なんだアレは……? 何で出来ている? ……わからない。カ・ディンギルの砲撃に耐えて……なぜそんなモノが今ココにピンポイントで……っ! いや、()()()()()()()()()()()()()――――まさか!?」

 

 

星遺物(せいいぶつ)―『星杖(せいじょう)』》がぶっ刺さってしまった「カ・ディンギル」を見上げ何かブツブツ言っていたフィーネが、凄い形相でグワッっと振り向き、まるで親の仇とでも言い出しそうな目でワタシを睨みつけてきた。

 

 

「キサマの仕業かぁッ!! どういうつもりだぁあ!?」

 

 

どうしてそうなった!?

違うから! ワタシ、じゃない!!

ワタシが《星杯を戴く巫女(イヴちゃん)》である以上、無関係だとは言い難いけど……それでも、今回ばっかりは違うよ!?

 

 

「『素晴らしい……美しいよ、その苦しみにゆがんだ(か↑お↓)。それでこそ俺もサービスのしがいがあるってもんだぜ』」*14

 

 

や め ろ*15*16

なんで今日のワタシのお口はトコトン煽っていくスタイルなんですかねぇ……!?

 

 

「ふざけたマネをぉーーーーッ!!」

 

フィーネが腕を振り抜き――――衝撃!!

 

一瞬遅れて理解する。

ついさっきまでそばにいたはずのクリスちゃん(キネクリボー)が離れたところに見える。そして、痛むワタシの胴体にはトゲトゲの生えたムチっぽいピンク色の何かが巻き付いていて……ワタシはさらに砕けた瓦礫の上でぶっ倒れている。

 

つまり、ワタシはフィーネによって「ネフシュタンの鎧」の茨を巻きつけられ、投げられその勢いのまま学院の校舎の瓦礫の上に叩きつけられたんだろう。

 

 

「まさか、米国との決別を察し()()()への干渉が出来ないとみて……! いや! だがそれでも「痛み」という(くさび)は取り除かれはしない、昼夜問わず受けてきた痛みを、恐怖をっ!! 畏れ、抵抗せず、私に求められるまま、流されるままであることが最適解だということは、これまでの(せい)の中で十分に理解していたはずだ! キサマにソレが出来ないはずが無い!!」

 

 

「『違う、絆を選んだんだ! 俺たちの絆が運命を超えて行く!』」*17

 

 

どこからか響いてくる振動で、さらに身体中が痛みながらもワタシの口から出てくるカッコイイセリフ……

 

それはいいんだ(よくない)けど、その「絆」とやらを紡いだ相手って、さっきまで散々ファンサービスしたり煽ったりして精神的に追い詰めたカナデたちのことかな? まっさか、そんなはずが……いや「敵を騙すにはまず味方から」みたいな感じで、あえてフィーネの手駒を装った二重スパイ的な何かのように見え――――たらいいんだけど、客観的に考えて色々無理があるでしょ……。

 

 

「くくくっ、くははははぁはははっ!!」

 

ほら、フィーネもありえないことが馬鹿らしくって、ワタシの拘束を解いてあんなに笑ってる――――

 

 

「ふふふっ、感じるか? この振動を。「カ・ディンギル」は既にすでに()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

――――ゑ?

 

「なっ!?」

「なんですって!?」

「そんな……!」

「はぁ!?」

 

「誰も一撃だけなどとは言っていないだろう?」

 

そう言って笑うフィーネ。

それはそうだけど、あんな極太レーザーみたいなのをそう何発も撃てるはずが――あっ、そういえば「カ・ディンギル」のエネルギーの(みなもと)って、二課の奥の方に保管されてる完全聖遺物「デュランダル」で、その能力って「莫大なエネルギー」とか「エネルギー無限生成」みたいな感じだったっけ?

なら、充填時間さえあれば何発でも……あれ?

 

 

「しかし、今、「カ・ディンギル」は()()()()がされている……このままだと本来発射されるエネルギーが内部で()()することだろう。当然「カ・ディンギル」も瓦礫の山となる――ここにきて邪魔をするキサマの目的が私の野望を止めることが目的なら、その達成は目前と言ったところだろう。……だが、それは「カ・ディンギル」の周囲を――ここら一帯を吹き飛ばすという代償があってこそのモノだということは理解しているか?」

 

「なっ!? そんなことになったら、アタシらや……フィーネ、お前もっ!!」

 

「ああ、クリス(キサマ)の予測したように、ようやく手に入れたチカラ「カ・ディンギル」と共に吹き飛び、ソイツの目論見通り私の野望は阻止されるだろう。()()、私はこの身と融合した「ネフシュタンの鎧」の再生で――――いや、仮に再生(それ)を上回る破壊でこの身が朽ちたとしても、私は遠くない未来(みらい)蘇ることが出来る!!今、このチャンスを逃すのは()()()()惜しいことだが――それだけだ。……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

フィーネが愉快そうに――しかし、目には怒気を灯らせ――(わら)う。

 

 

 

「キサマの言う「絆」とは、そいつらに「カ・ディンギルと心中してくれ」と頼むことなのかぁ? それは随分と滑稽なものだな!」

 

 

 

……徐々に強くなってく振動が、エネルギーの充填が進み暴発の時間が刻一刻と近づいていることを告げている。

 

 

第二射があるというだけでキツイものがあるというのに、《星遺物―『星杖』(謎の巨物)》で射出口が塞がれて暴発……大爆発の危機が迫っているというトンデモ展開。

そんな極限状態――――それ以前に、ワタシの過去のことやいうこときかないお口のせいもあって精神的に追い詰められていた装者のみんなに、冷静な状況分析、迅速な対応ができるだろうか?

むしろ、誰が敵か味方かわからない上に常識外れでどうしようもない事態に絶望しても仕方ないだろう。

 

 

だが、しかし…………

 

「大丈夫」――ワタシはそう、伝えるために口を動かす。

 

 

 

 

 

「『お別れだ、遊馬。ナンバーズを頼んだぞ』」*18*19

 

 

「え……?」

 

――――え?

 

 

「『君たちと過ごした時間は最高に楽しかったよ』」*20

 

 

……なんか、消えることを目前とした人が言いそうなことを、ワタシのお口が口走っちゃってるんですが……真剣に考え、シリアスな感じではあったけどちょっとなんかズレてない?

消える(そんな)気はこれっぽちも無いんだけど……普通に生き延びるよ?

 

いちおうそんな誤解(かんちがい)がないよう否定しておきたい……けれど、どうにも時間がそれを許してはくれそうになかった。

まぁそれ以前にお口が……ね。

 

 

 

 

 

ワタシはクリスちゃん(キネクリボー)を引き止めるために投げ捨てていたイヴちゃんの鍵杖(けんじょう)を手元に呼び寄せ、強く握りしめて「カ・ディンギル」目がけ全速力で駆け出す!

その姿は当然、ここに来るまでノイズと戦っていたこともあって《星杯神楽(せいはいかぐら)イヴ》のままで。

 

 

 

()()()()()()()()()

 

《星杯神楽イヴ》は、《星杯を戴く巫女(イヴちゃん)》が《星遺物(せいいぶつ)―『星杯(せいはい)』》のチカラを得た姿である。

それは正しい。

 

ならば、《星杯神楽イヴ》は「他人が受ける破壊効果の身代わりとなる」能力を持っているか?

いや、()()()()()

それはあくまでOCGカードの効果であり、「星遺物」ストーリー内でそういった描写は見受けられなかった。

 

であれば、カナデの身代わりとなったことのある《星杯神楽イヴ(ワタシ)》はOCGカードの存在としての《星杯神楽イヴ》なのか?

それはどうかな?

確かにOCG効果は持っている。だが、それならばワタシは《星杯を戴く巫女(ワタシ)》ひとりだけで《星杯神楽イヴ(ワタシ)》と成ることは出来ないはずだ。なぜなら《星杯神楽イヴ》のリンク召喚には「属性と種族が異なるモンスター2体」という召喚条件があるのだから。

だが、ワタシが《星杯神楽イヴ》と成ることができるようになったのは、偶然《星遺物―『星杯』》を起動し手に入れてから……それ以前から出来てもおかしくないような気がするが、実際はそうはなっていない。ならばOCG仕様ではない……?

 

ならば、こう考えてはどうだろうか?

()()()()()()()()、「()()()()()()()()()()()()()()

 

そして――《星杯を戴く巫女(イヴちゃん)》の中身であるワタシは決闘者である。

 

デュエリストとしての記憶を思い返す。

アニメにおいて……「GX」等で登場するデュエルモンスターズの「精霊世界」ではデュエルでなくともモンスターを召喚し、チカラを借りることが出来ていた。そして、「GX」の主人公・十代や一部デュエリスト、「5D‘s」のサイコデュエリスト*21などなど、彼・彼女らはデュエル外でも現実にモンスターを呼び出していた。それも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

ならば、《星杯を戴く巫女(ワタシ)》が《星杯神楽イヴ(ワタシ)》となる時に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

それならばOCG仕様の「種族と属性が異なるモンスター2体」という条件と、「「星杯」を手に入れるまで星杯神楽イヴになれなかった(他にモンスターを持ってなかった)」ことにも一応は筋が通るだろう。

 

そう、ワタシはモンスターを、手に入れた星遺物を、チカラだけでなく何かしらの形で呼び出すことが出来る……間違い無い(確信)。

当然だろ? デュエリストなら*22

 

 

そして、最後のピース。

つい先程、《星遺物―『星杖』》が「カ・ディンギル」の砲撃をものともせず、壊れることも無かった事実。

 

 

――――勝利の方程式は完成した*23

 

 

 

「カ・ディンギル」へと突進するワタシに、当然フィーネは反応してくる。しかし、そこには迷いが見られる。

 

これまでの会話・得られた情報からして、フィーネとしても「カ・ディンギル」の破壊は避けたい事態なんだろう。しかし、あんなに巨大なモノ……どうしようもない状況ならば――といった心情の際が今、この状況だろう。

なんとかして「星杖(ジャマなモノ)」が消え「カ・ディンギル」が無事ならば万々歳。

だからといって、もしも「カ・ディンギル」が破壊されるだけで他が――装者たちが無事というのは許せざる事態。

ならばならばと、やはりこのままなのも最善とは言い難い……そんなところだろう。

 

 

だからこそ、動いてもすぐさまワタシを止め、トドメを刺してこようなんてことはしてこない。見極めようとする、ワタシのしようとすることを。

それが明確な隙。

 

 

その隙を逃すこと無く、さらに畳み掛けるっ!

 

 

迷いを見せるフィーネが何かするよりも先に、ワタシは召喚する(よびよせる)

 

星遺物(せいいぶつ)―『星鎧(せいがい)』》を、カードイラストに描かれているのと同じように――天に向かって伸びるように地中から巨大な鎧の腕部が、生えるような形で――《星杯神楽イヴ(ワタシ)》の足元に召喚した(出現させた)

 

 

「んなっ――――!?」

 

 

絶句するフィーネが、カナデたちのいる瓦礫の広がる地面が、ワタシの足元から一気に離れていく。

そんな中、ワタシは両膝を曲げ足に力を込めていた。

 

 

星杯神楽イヴ(モンスター)》としてのポテンシャル×(かける)決闘者的超身体能力ッ!!

 

 

星遺物(せいいぶつ)―『星鎧(せいがい)』》の腕部の指先、そこからさらに上の「カ・ディンギル」最上部を――先端部の発射口から頭を出している《星遺物(せいいぶつ)―『星杖(せいじょう)』》の最先端部を目指してジャンプするなんてわけない!!

 

 

跳び上がり、勢い余って跳び越えかけたその時、「鍵杖(けんじょう)」を持ってない方の手を伸ばし――《星遺物(せいいぶつ)―『星杖(せいじょう)』》の先端に触れた。

 

光を放ち、星遺物(せいいぶつ)―『星杖(せいじょう)』》が起動する

「カ・ディンギル」から顔を出していた大きく膨らんだ先端部分に埋め込まれた宝玉。これまで暗い闇に染まっていたそれが本来の「()」の輝きを取り戻し、それに呼応するように《星遺物―『星杖』》の各部装飾も「赤」「燈」「紫」の輝きを放ち始める。

 

 

そして――これまで自らの手で手に入れてきた《星遺物―『星杯』》や《星遺物―『星鎧』》がそうだったように――起動した《星遺物(せいいぶつ)―『星杖(せいじょう)』》もまた、次の瞬間には十数センチのミニチュアサイズの光の塊となってワタシの中へと吸い込まれ――――

 

()()、それを確認するよりも先に、限界まで押し留められていた「カ・ディンギル」の砲撃が――高圧エネルギーの奔流が、発射口の上空にいるワタシとその直線状にある月を目がけて発射された。

 

 

 

 

さぁ、こい! 星遺物(せいいぶつ)―『星盾(せいじゅん)』》!!

 

 

 

思い出して欲しい。

先程、《星遺物(せいいぶつ)―『星杖(せいじょう)』》は砲撃を受け多少勢いを殺されながらも、砲撃の一部をかき消し、残りをそらして耐えきった。

 

破壊耐性を持たない攻撃力500で守備力2500の《星遺物(せいいぶつ)―『星杖(せいじょう)』》が耐えたのならば、効果破壊耐性を持ち攻撃力0でも守備力3000の《星遺物(せいいぶつ)―『星盾(せいじゅん)』》が耐えられないはずが無い!!

そして、形状的に考えても、棒状の杖と比べて盾の形の方が防ぐことに適していることは最早議論の必要は無いだろう!

 

 

 

「カ・ディンギル」から射出されたエネルギーの奔流が、ワタシが地上へ向けて召喚(しゅつげん)させた《星遺物(せいいぶつ)―『星盾(せいじゅん)』にぶち当たったのが『星盾』(巨大な盾)越しにわかった。

その勢いからか、少し打ち上げられるような浮遊感を感じはしたが、『星盾(せいじゅん)』には損傷は見られないし、こうゴリゴリと表面が削られているような感覚も感じられない。何の問題もなさそうだ!!

 

 

何度も撃てるっていうなら、何度でも受け止めて――――()()()()()!?

 

 

 

…………()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

え、ちょっ待って。なんで?

 

 

 

――――ワタシの思考は、時折エラーを起こしながらも、高速回転を始める……

 

 

いや、一定以上のステータスがあれば「戦闘破壊」「効果破壊」でもないことも《星遺物(せいいぶつ)―『星杖(せいじょう)』》が証明しているよね?

 

というか、そもそも《星杯神楽(せいはいかぐら)イヴ》はリンク状態*24の時は戦闘・効果による破壊耐性を得ている。

だから、もし仮に「カ・ディンギル」の砲撃の判定が「直線上にあるカード(モノ)の効果破壊」みたいな独特な判定のモノで《星遺物(せいいぶつ)―『星盾(せいじゅん)』》があっても問答無用で破壊してこようとしてたとしても、大丈夫なはずなんだけど……?

 

……ん? ()()()()()

いやいや、確かに地上のカナデたちからは離れたけど、少なくともそばに《星遺物(せいいぶつ)―『星盾(せいじゅん)』》があるわけだし、そこの問題は――――え? もしかして……今のワタシって《星遺物(せいいぶつ)―『星盾(せいじゅん)』》とリンク状態じゃない?

 

リンクモンスターである《星杯神楽イヴ(ワタシ)》はリンク2。なので保持しているリンクマーカーは2つで、それらが向いている方向は……「左」と「右」。

対して、《星遺物(せいいぶつ)―『星盾(せいじゅん)』》が存在する(ある)のは――砲撃を防ぐために出したんだから当然だけど――ワタシの「前」。

前をリンクマーカーの上下左右、他斜めのどこに当てはめるのかと問われれば……おそらくは「上」。フィールドに出せばイメージが湧きやすいのだが、EXモンスターゾーン*25にリンクモンスターが召喚された場合、上および左右斜め上のリンクマーカーは相手のフィールドを指す。前に敵――「カ・ディンギル」やフィーネがいることを考えれば現状にも当てはま――――つまり、左右に誰もいない今の状態の《星杯神楽イヴ(ワタシ)》はリンク状態じゃないから破壊耐性が無い状態なのでは?

 

 

 

でも、なんかおかしい気が……?

 

ああ、そっか。

EXモンスターゾーンには融合・シンクロ・エクシーズ・ペンデュラム・リンク等のモンスターをEX(エクストラ)デッキから特殊召喚する際にしかモンスターは置けないわけだから、《星遺物―『星盾』》のようなただの効果モンスターは出せない。だから、必然的に相手フィールドに近い位置にあるEXモンスターゾーンにはリンクモンスターである《星杯神楽イヴ(ワタシ)》が立って、その後ろに《星遺物―『星盾』》が……

 

 

《星杯神楽イヴ》と《星遺物―『星盾』》が縦に並ぶ状況って、《星杯神楽イヴ》がEXモンスターゾーンにいて、その(後ろ)に《星遺物―『星盾』》がいる時だけじゃね?

 

 

え? でも、実際のところ今《星杯神楽イヴ(ワタシ)》の前にはあるわけで……見た目(じょう)は前にあるってだけで、本当にOCGのフィールド的にも前に在るとは限らないんじゃ……?

どっちなの!?!?

 

遊戯王において位置関係関連のルールは、それこそ「遊戯王VRAINS」の開始と共にOCGでも新規参戦した「リンクモンスター」が登場するまで扱いは結構ザツだったよね!? デュエルフィールド無しでの野良デュエルでの惨劇を忘れたか!!*26

 

第一、リンクモンスターである《星杯神楽(せいはいかぐら)イヴ》を出せるのはEXモンスターゾーンだけだから――……あれ? ということは、《星遺物―『星盾』》が《星杯神楽イヴ(ワタシ)》の()にあるか後ろ()にあるかとか以前にEXモンスターゾーンにしか出せない状態の《星杯神楽イヴ》が場に出ても、その左右にモンスターゾーンが存在しないためどうあがいてもリンク状態になれず――――そして破壊耐性を持ててないのでは?

というか、リンクモンスターをEXデッキから通常のモンスターゾーンに出す方法は「既に存在するリンクモンスターのマーカーの先に出す」だけしかないから、他のリンクモンスターが存在しないワタシは今回だけに限らず、最初からずーっと《星杯神楽イヴ(ワタシ)》はリンク状態になったことが一度もなかったりするの?

 

 

イヤイヤ、イヤイヤイヤッ!?

 

ありえないっ、そんなことないっ、だってそうでしょ!? そんなこと言い出したら、これまでや…そして今日もノイズと相対して炭素化(破壊)されてしまうタイミングだって山ほどあったし!!

それに、あの約2年前にあったライブの惨劇の時にワタシがカナデのダメージを肩代わりして墓地送りになった(死んだ)「身代わり効果」も、《星杯神楽イヴ》のリンク先にカナデが存在できるはずが無いから発動条件が満たせず身代わりにはなれないはずで……!! でも、実際は出来てる。あの時のワタシの行動のどれかが「モンスターゾーン内での移動」*27扱いを受けるようなものだった……?

もしそうだったとしたら、何故今はそんな扱いになってないのかとかいう疑問が増えるんですけど、そこのところはどうなって――!?

 

 

 

―――――この時の思考――時間にして、数秒足らず……

 

 

 

熱っ! あ、もうダ――――――――

 

 

 

 

「『ウワァーーーーッ!!』」*28

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

 

 

 

状況に思考が追い付かない……そんな中、(はなな)げな笑顔と言葉を残し跳び出していってしまった葵。

その後、星遺物を立て続けに召喚したことや『星杖』を起動し回収したことも――目の前で起きていることだというのに、奏には何一つ理解できなかった。

 

 

 

 

「『ウワァーーーーッ!!』」

 

 

 

 

「あお、い……?」

 

 

それでも、葵の叫び声は奏の耳に嫌と言うほど聞こえてきた。

 

 

(じぶん)たちを騙しつづけていた(名も知らぬ少女)が、これまで何を想い考えていたかなんてわからない。もちろん、少女が敵か味方だったかも曖昧でしかない。

それでも、その身を挺して砲撃を止めようとした少女が苦しんでいることを――その状況に胸の奥底が痛み、叫びたがっている自分がいることを――奏は頭での理解ではなく別の何かで「()()()()」。

 

 

「ああ……」

 

 

何をする間もなく、奏の視線の先で極太レーザー(砲撃)は徐々に収まりを見せ――ほどなくして、完全に消えた。

 

果たして……「燈」色の輝きを持つ『星盾(大盾)』は健在(あった)

そのはるか上空に在る月もまた、第一射目での損傷以外に何か傷が増えた様子は無い。

 

 

だが、しかし……

少女が足場としていた大地から伸びた『星鎧(大腕)』が――

砲撃が終わり上空から徐々に落ちてき始めた『星盾(大盾)』が――

――()()()()()()()()()()()()

 

()()は、奏の記憶にある()()()()の一部と酷似していた……だから、解ってしまった。

 

 

少女(あおい)が死んだのだ、と。

 

 

奏の中に湧いてきた感情は、怒りか、悲しみか、後悔か、あるいは……しかし、それは彼女自身にもわからなかった。

叫びたくなる衝動を抑えて、奏はあたりを見渡し()()()()()()

 

 

「どこなんだ……どこにいるんだよ……」

 

 

憶えていたのだ。

「絶唱」を唄った自分の身代わりとなって消えた――光の粒子となって散ってしまったあの時、少女はそのすぐ後にリディアン音楽院の敷地内(ここ)に高エネルギー反応と共に現れた(復活した)ということを。

 

 

「お願いだ……いるなら返事をしてくれよっ、葵……!!」

 

 

自分たちの間にはこれしか知らないのだと、呼び続けていた名前を呼び……足場の悪い中を、少女を探して彷徨いだした。ただひとりの少女ことしか頭になくなった今の奏には、他の物も目には入らず、声も聞こえてはいなかった。

 

あたりの建物は「カ・ディンギル」以外全て瓦礫となり視界を遮るものはそれこそ「カ・ディンギル」しかない。

にもかかわらず、少女の姿は――少女と彼女が保有していた杖などの()()()()()が成った光の粒子さえ――見つけることは叶わなかった…………

 

 

 

 

 

「――――ぁあぁぁっ!!!!」

 

 

奏の中で、何かが外れるような音がした――――

*1
「遊戯王ZEXAL」の後半いわゆる「Ⅱ」で主に登場するキャラ、真月(しんげつ)に「下衆(げす)」を加えたネーミング。由来としては、彼・真月――およびその真の姿バリアン世界の七皇の一人「ベクター」が、作中で行った「主人公・遊馬のクラスメイトとなって仲間に入り込み、友達として、仲間として接し協力したりしながら過ごし――時期を見て分身体と本体とを使い分け自作自演で罠にハメて仲間内の絆を傷付けながら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()」というファンサービス他、物語内そしてその過去での卑怯・狡猾・下衆(ゲス)な所業

*2
「真ゲス」と呼ばれるようになったきっかけであるお話では、声優の熱演、その回の作画パワーを思いっきり傾けた特徴的でヌルヌル動くアニメーションもあって、某動画サイトのMAD等の影響もあってか「ZEXAL」屈指の知名度を誇る。ネタ的な人気でもトップクラス

*3
それぞれ、前述した真月がバリアンの7皇・ベクターとしての正体を現した一連のシーン内でのセリフ。

*4
「遊戯王5D‘s」謎のDホイーラー。未来のためにネオドミノシティの消滅を狙うイリヤステル三皇帝の一人・プラシドが、本来一介の人間が知るはずもない自身の正体を知っていた謎のDホイーラーへ「お前は何者だ?」と問いかけた際、謎のDホイーラーが返したセリフ。セリフがいちいちカッコつけているように感じられる……が、遊戯王ではよくあること

*5
なお、このセリフに対するプラシドの返しは「俺好みの答えだ……ならば力づくで聞くまで!」である。ドウイウコトナノ……。こちらのセリフはネット上で「俺好みの○○だ」といった感じに様々なモノに対して使用される汎用性のあるものとして親しまれている。例:「俺好みのカードだ」(新規OCGカードを見ながら)

*6
「遊戯王ARC-V」メリッサ・クレール。シンクロ次元のシティにて、富裕層のトップスと貧困層のコモンズ。その友好の場として表向きは扱われているデュエルトーナメント大会「フレンドシップカップ」。しかし、その大会での敗者は地下のゴミ処理施設で強制労働させられるという事実を知った主人公・遊矢が大会の最中にそのことを観客の前で話し、批判した……のだが、観客たちからは歓声が。彼らの考えを代弁するかのように大会でMCを務めていた女性・メリッサが遊矢に対して言ったセリフである。しかもその後「当り前じゃない」、「勝てばいいのよ!」などとまで言う。そう、シティにおいては敗者が落ちるのは当たり前の事で、遊矢の感覚のほうがおかしかったのである。

*7
遊戯王世界でのモブの民度の話題があがった際に、「ARC-V」内で真っ先にあげられる事例のひとつである。シンクロ次元の異常な格差社会・競争社会による常識のズレだろう……なお、その後色々とあったのだが、物語内ではその根本的な解決案は提示されなかった。シティの未来はいかに……?

*8
「遊戯王ZEXAL」(フォー)。極東エリア・デュエルチャンピオンのⅣの裏の顔……決闘者ならおなじみのファンサービス全開なⅣの代表的なセリフ。ファンサービスの心得、その全てが詰まっているメイセリフといっても過言ではないだろう一文である

*9
「遊戯王」闇遊戯。「王国編」にて、海のフィールドを得意とする梶木とのデュエルの中でのセリフ。フィールド「海」にその姿を隠し攻撃が出来なくなっている梶木のモンスターたちに苦戦する闇遊戯。だが《岩石の巨兵》の攻撃宣言時にこうげきしたのはなんと闇遊戯自身がフィールドに出した「月」の魔法カード。月が壊れたことにより海の潮が引き干潮となり、海の中にいたモンスターが姿を隠せなくなったため戦況が闇遊戯に傾くこととなった

*10
月と海の満ち引きの関係を知りそれを活かす知略的プレイング……のはずなのだが、カードゲーム的にはテキストに無いことを、ハチャメチャにやっているように感じられるため、「王国編」を中心にみられる数多くのいわゆる「俺ルール」の代表格の一例として決闘者たちに知られている。また、知名度はいまいちなもののこの場面がモチーフの「岩石族が表示変更された場合、魔法・罠を破壊する」効果を持つ永続魔法《ムーン・スクレイパー》が存在していたりもする

*11
本来であれば「杯」→「鎧」→「盾」→「槍」→「冠」→「()」→「柩」である

*12
3つ前のお話『イヤッッホォォォオオォオウ!』参照。

*13
「星杖」がバベル目がけて落下させられた……というのは「マスターガイド6」にて明かされている。――――が、今作の(イヴ)ちゃんの知識はそれ以前の段階でアップデートが止まっているため、その事実を知らない

*14
「遊戯王ZEXAL」(フォー)。前述のファンサービス回にて、主人公・遊馬の友人であり極東チャンピオン(フォー)のファンである鉄男と等々力をファンサービスなデュエルで痛めつけた際に発したセリフ。

*15
「遊戯王5D‘s」鬼柳京介。ダークシグナーだった彼が人として蘇った後、色々あって「クラッシュタウン」に流れ着いたのだが……そこで出会った少年・ウエストが、かつてサテライトを制覇した伝説的デュエルギャングであることを知っていて「さすがチーム・サティスファクションのリーダーだ!」と言った時、鬼柳がウエストに対して吐いたセリフ

*16
本来は、ちょっと拗らせた複雑な感情があっての「やめろ」発言だったのだが、決闘者たちからはもっぱら「黒歴史を発掘された人」だとか「なお、今現在も黒歴史生産中」などとネタにされている。また、決闘者の間では「さすがは○○(の)○○だ!」と言うと「や め ろ」という返事が返ってくるとか……

*17
「遊戯王5D‘s」不動遊星。2期、いわゆる「ダークシグナー編」のラスボス、シグナーの源「赤き竜」のチカラと、ダークシグナーの「地縛神」のチカラ、その双方を持ち破壊と再生を司る神となって新たな世界を創ろうとしたレクス・ゴドウィン。しかし主人公・遊星とその仲間ジャック、クロウとのデュエルの終盤、手中に収めていたはずの「赤き竜」のチカラがゴドウィンから離れ、遊星たちに宿るのだった。その際に「神たる我を選んだのではないのか!?」と叫ぶゴドウィンに対して遊星が放ったセリフ。「5D‘s」のテーマである「絆」、全編でのその在り様を表す名ゼリフである

*18
「遊戯王ZEXAL」アストラル。物語終盤、闇アストラルとも言える、ラスボスのチカラの影響で生まれた存在「ブラックミスト」。ソイツとの死闘の末、デュエルには勝ったものの深刻なダメージを受け消滅を悟ったアストラルが遊馬に告げた別れのセリフ。その顔は穏やかでありながらどこか寂しそうな笑みを浮かべ――対照的に、遊馬の目には大粒の涙が流れていた

*19
なお、次の話でとあるキャラの言った「アストラルのお墓を建てるウラ」などと共に一部決闘者からネタにされることがあるが……それはそれ、別の話である。……え? この回とは別に「アストラル、死す…!?」って話がある? ……『知ら管』

*20
「遊戯王5D`s」アンチノミー…いやっ、ブルーノが最期に遊星に送った言葉。デュエルで勝敗がつきどちらかが消滅するまで抜け出すことのできない宇宙空間のコースにて……アンチノミーが敗れて決着がついたものの彼と遊星はブラックホールに呑み込まれてしまった。そこから遊星を――敵だった自分も「仲間」と呼んでくれる遊星を、仲間と共に困難を乗り越えていく彼の無限の可能性を信じ――助け、自身が消滅することを選んだアンチノミーが全てを――「破滅の未来」と「救ってほしい友」を遊星に託すのだった……

*21
デュエルモンスターズ、そしてデュエルでのソリッドビジョンを現実へ影響を与えるモノへと変える超能力者の総称。ヒロイン・十六夜アキなどがそのサイコデュエリストである

*22
デュエル脳

*23
「遊戯王ZEXAL」アストラル。主人公・遊馬の前に現れた謎の背後霊――ではなく生命体・アストラルの決めゼリフ。その言葉通り、デュエル中にフィールド・手札その他諸々の情報をもって勝利への道筋が出来上がった際に使用される。その成功率は100%とはいかないものの、時に相手の行動さえ読み・組み込んだ上で勝利をつかみ取ることさえある

*24
リンクモンスターが持つ上下左右、そして斜めの最大8方(現状最大6だが)ある赤い矢印「リンクマーカー」。そのリンクモンスターのマーカーが指し示す先にモンスターが存在する場合、「そのリンクマーカーの持ち主(モンスター)」と「リンクマーカーに指示されたモンスター」その双方は「リンク状態である」という扱いになる

*25
リンクモンスターが登場するのと同時に施行された「新マスタールール」から、相手と自分のフィールドの間に設けられた2つモンスターゾーン。中央からそれぞれ左右にズレた位置に存在し、その2つはどちらがどちらのフィールドであるかは決まっておらず、モンスターを出した時にそのモンスターのコントローラーのフィールドになる。2つあるが原則、1プレイヤーは1つの「EXモンスターゾーン」しか使えない。

*26
「GX」時代から登場した「カードの位置」に関する効果を持つカードだが、その代表的なものに《爆導索(ばくどうさく)》などの「このカードと同じ縦列」を参照・対象にする効果があるのだが……デュエルフィールドを使用せず、自身と相手とのフィールドのカードの配置にズレが起きる状態だと何かと問題が起きていたとか……

*27
リンクモンスターが「EXモンスターゾーンにしか出せない」というのは、EXデッキのモンスターをフィールドに出す際にのみに適用されるものなので、一度出した後にカードの効果で他のモンスターゾーンに移動させることは問題無い。ただし、他のモンスターゾーンに存在するモンスターをEXモンスターゾーンに移動させることは不可能なため注意。あくまでEXモンスターゾーンはEXデッキから出てくるモンスターを置くための場所である

*28
「遊戯王DM」城之内。伝説の予告「城之内死す!」の本編にて、ラーの特殊能力でモンスターを焼き尽くされ、そのモンスターと繋がっていた城之内があげた叫び声である。某動画サイトを中心に「イワーク」という空耳ネタにされたり、MADで城之内が「爆☆破」される際によく使用されているため比較的知名度の高いシーンである




途中から味方側に平常な精神状態の子がいなくなってしまった件。(イヴ)ちゃん? もちろんいつも通り、冷静に見えなくもないけど……やっぱりいつも通りおかしい。察している方は結構いると思いますが、(イヴ)ちゃんはおバカさんです。
そして何より(イヴ)ちゃんのドロー力がある意味で良すぎたんだ……。
肉体的ダメージは現時点ではほぼゼロなのに壊滅的状況……『なにこれぇ?』

フィーネもフィーネであまりの事態にやけ気味……そんな彼女の詳しい心情云々は今後明らかに……!?

そして、今後の話の主人公はどうなる!?

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