我が手には星遺物(誤字にあらず) 作:僕だ!
また、大体大丈夫だとは思っていますがあくまで「シンフォギアも遊戯王もわかっている作者」が感じた「解説が必要そうなところ」であるため、全てをカバーし切きれていないかと思います。もしも「ここの解説も必要だと思う」と感じる場面がありましたら本編の感想とともにご指摘お願いします。
悲しい、とても悲しい話だ。
この世界に遊戯王
ついでに言えば、
何を言ってるか解らない? 気にするな。
わかりやすく言えば、原作「遊戯王」もアニメ「遊戯王シリーズ」も存在せず、それらの物語が紡がれる世界でもないというわけだ。
いやぁ、この事実を知った時は驚きを通り越して呆然としてしまったものだ。
その衝撃は尾を引いて、知った後丸々24時間ほどは半ば魂が抜けてしまったような状態。夜中などに目覚めてしまっては、暗闇の中で遊戯王が存在しないことが思い返され静かに泣き、涙で枕を濡らしてしまったくらいだ。
泣いてたことには気づかれなかった様だが、その気の落ちようは隠しきれず、おかげでカナデたちには心配をかけてしまい随分と気を遣わせてしまった。
特に、ツバサとゲンジュウロウさんは大変だった。
ツバサは、ワタシがボケーっとしていた上に寝起きだったこともあって、数度話しかけてくれていたのに聞き流してしまい、ハッとして聞き返そうと――としても、喋れないから表情で訴えかけることしかできなかったが――したけど、その時にはワタシ以上にツバサが凹んでしまってて、どうしたものかと困った末に「カナデが喜ぶんでいたことをやってみたらどうだろうか?」と行動を起こした。
結果、ツバサは元気になった……が、カナデが「あたしのところにも来いよ~!」と事あるごとに膝の上に乗るように言ってくるようになってしまったのが少々厄介だ。
ゲンジュウロウさんは、自分のせいで
遊戯王が無いことにショックを受けはしたが、それは別にゲンジュウロウさんに何か非があったわけじゃない。
と、そこで一段落してそれ以降は毎日至って普段通りの生活を――――とはいかなかった。
視線が凄い。主に
忘れてしまいそうだけど、はたから見ればワタシは「変な杖持った身元不明の少女」とかいう怪しさ満載の存在だ。首に縄を繋がれてないけど監視やらはいくらあってもおかしくは無い。故にそういう視線は覚悟しているつもりだが……うん、この手のものはこそばゆい。そしてなにより申し訳なさがある。
特に気にかけてこないのはリョーコさんくらい。他に誰かがいる時ならいざしらず、二人きりになればこちらのことなど関係無しに語りまくる「闇リョーコ(ワタシ命名)」になるのだから、ワタシの状態をそう心配するはずない。
さて、今現在カナデやツバサが学校で放課後活動をしているだろう中、ワタシは今日も今日とて
しかし、これはとても重要な任務。必ず達成しなければならない。
とあるものを持っていた男性職員に、行動や身振り手振りで何とか意思を伝えようとする。
「え? コレが欲しいの? 捨てる予定だったからいいけど……」
これで、鉛筆とカッターと厚紙が揃った! そう……カードが無いなら、作ればいいじゃない。
カードはつくった。
つくるって言っても「創造」レベル*3 *4はワタシには無理なので、あくまで小学生あたりが「ぼくのかんがえたさいきょうカード」として自作したものレベルのクオリティでの作製である。
気分は
「どうしたの。葵ちゃんと何か話してたみたいだけど?」
「梱包の底にあった紙を欲しがってさ。捨てるつもりだったし、あげたんだ。何かお絵かきか工作でもするんじゃないかな?」
「へぇ。ようやくと言うか、随分と歳相応なことを……って」
「……!?」
「ダメでしょ、こんなもの持ち歩いてちゃ」
ああっ!
「遊ぶのはいいけど、危ないから刃物は持っちゃダメよ」
「普段から聖遺物持ち歩いてる子にそんなこと言っても、違和感しか感じないですね」
そんなことを言った優男職員さんが女性職員さんに睨まれてるけど、私にとってはさほど重要ではない。
むむむ……カッターを取り上げられてしまった。
まさか、ここに来て周りの人たちから気にかけられていることが
とにかく、カードをつくるにはカッターなりハサミなり切るためのモノが必要になる。しかし、この
解決策は……気乗りはしないけど、リョーコさんのところに行くか。あの人なら一々どうこう言ってきたりはしないだろう。
あと、あのカッター、カナデの
―――――――――
「いきなり来たかと思えば、一体何を……おい、紙を切るのにメスを使うなっ。チッ……ほら、これでも使え」
気にしないどころか、ご丁寧にハサミを貸してくれた。ただ、投げ渡すのは流石にどうかと思う。
しかし、ありがたいことに違いない。さっそくそのハサミを手に取り、厚紙をチョキチョキ切ってしまおう。
手の大きさの関係で多少ハサミが持ち辛くはあるけど、ギリギリ許容範囲内。記憶の中にあるカードサイズ*6に合わせて切っていく。
「一体何を……大きさ、形からして……ああ、ヤツの影響か。それも、随分と変な方向に……」
リョーコさんの独り言をBGMにし、黙々と厚紙製カードを量産していく。カードの
……テンションが上がって、なんだか語彙力がおかしい。いや、これがいつも通りかもしれない。
「ああ、そうだ。伝え忘れていたが、近々お前に対するテストを行う予定だ」
……? テスト? 知っているとは思うけど、ワタシは字は書けないぞ?
…………。
……あれ? それじゃあ、カードの効果どころか名前すら書けないんじゃないですか? えっ、カードつくれなくないか? 自分自身を慰めることすらできないのか、ワタシは。
「せいぜい、自分の価値がその希少性と奇異性だけで無いところを見せてみるんだな」
何のテストかは知らないが、随分と期待されていないようだ。
けど、そんなことはどうでもいい。今、重要なのはカードの形に厚紙を切り取ったところで何も書き込めないんじゃないかということだ。もし本当にそうだった場合、テンションだだ下がりもいいところだ。
何も書かれていないカード型の厚紙だけで出来ることなんて……あれ? 意外と思いつくような気がする。
微妙に気落ちしながらも作業を続けていると、小気味良い音とともに部屋の扉がひらいた。入ってきたのは研究職員などではなく、よく見知った顔であるカナデだった。
「よっ、葵。
「あら、お迎え? もうそんな時間だったかしら?」
相変わらずの素早い変わり身で人当たりのいいほうのリョーコさんになったリョーコさん。何故か、あからさまにワタシのやってる
カナデもカナデで、チラッとコッチを見ながらも
「トレーニングの予定も無かったから、そのつもりだったんだけど……ここに来る前に外から帰ってきた源十郎の旦那と会ってさ。なんか皆にも配るから葵を連れてこいーって言われてさ」
「ケーキでも入ってそうな箱を何個か見せて言ってた」そう付け加えるように言ったカナデの表情は普段よりほんの数割増しの笑顔のように見える。おそらくは、甘いものは嫌いじゃないんだろう。ワタシも嫌いではない……が、別段好きなわけでもない。
そんな事を考えながら、ワタシは移動するために切った紙やらハサミやらを片付ける。ついでに「鍵杖」もいつものようにバットケースに入れて斜めがけの肩ひもを通して背負いこむ。
「弦十郎君が? 新しく発見された聖遺物の現場確認に、私の代わりに行ってもらってたはずだけど……その帰りにどこか寄ってきたのかしら?」
「新たな聖遺物だって? そんなのあたしは聞いた憶えがないんだけど……それに、なんで了子さんは行かなかったんだ?」
それにしても、リョーコさんや職員さんたちだけじゃなくカナデも
遊戯王OCG含め、遊戯王関連はことごとく存在しないと思われるこの世界に何故星遺物はこんなにも知れ渡っているんだろう? というか、話からして星遺物は存在してるのか?
「まだ調査段階だからっていうのもあるけど、急に決まった
「なら、今あたしに言って良かったのか? まあ、大体わかったからいいけど」
「別に絶対に隠さないといけないことでもないし~」と軽く返しながら、先に部屋から出て行くリョーコさん。
……大丈夫だろうか、この組織。
そんな考えが口に出るはずもなく、ようやく片づけを終えてからワタシはカナデに手を引かれ研究室を後にした。
―――――――――
カナデに連れられた先は、すでにずいぶんと賑やかな雰囲気が漂っていた。
流石に職員全員が集まっているわけではないだろうけど、幾人もの人が集まっているようだ。
ワタシからカッターナイフを取り上げた女性職員が「あったかいものどうぞ」と、飲み物が入っているのだろうカップを配って回っているのが見える。
飲み物の他に、皆さんが何か持っているあの包みの中身は……いわゆるシュークリームだろうか?
と、奥のほうでは、先に研究所から出ていたリョーコさんがゲンジュウロウさんと何やら話しているようだ。そのそばには、飲み物の入ったカップを乗せたお盆を持ったツバサもいた。
「旦那が呼んでいた」みたいなことを言ってたこともあってか、カナデはソコを目指しているようで、ワタシもつられるままに歩いていく。
「寄り道のほうもいいけど、どうだった? 発見されたっていう聖遺物は?」
「様々な方法で計測されたエネルギー反応。その数値の割にはエコーでの埋まっている部分の規模がデカイ。おそらくは、発見者が報告した巨大な聖遺物の一部というのは誤りで、アレは聖遺物もしくはその欠片が納められた遺跡の一部が地表に露出したものだろう」
「確かあの辺りでは二週間ほど前に小規模な地滑りがあったらしいし、その影響で地表に出てきたのかしら? 小山に埋まった遺跡……正確な規模にもよるけど入り口を見つけるのも一苦労しそうなうえ、力尽くで壁をこじ開けるのもかなりの準備が必要でしょうね」
「どちらにせよ、当分は手を付けられんだろう。情報露出防止の為の規制強化と万が一の事態を考えての監視体制を整える……今から出来るのはそのくらいだろうな」
聞こえてきた話に、「星遺物にカケラも何もないだろう?」と首をかしげてしまいつつも、彼らのそばまで歩み寄って行く。
と、真っ先に気付いたのはツバサ。「奏、連れてきたのね」と呟きながら微笑んでいた。
その呟きで気づいたのか、ゲンジュウロウさんもこちらに目を向けて軽く手を挙げてきた。
「おおっ、来たか! ほら、食べてけっ」
そう言ってゲンジュウロウさんは、シュークリームの入った包みを
カナデは自然な流れでそのシュークリームをワタシに手渡そうとし――それにゲンジュウロウが待ったをかけた。
「ああ、違う違う。そいつは
「じゃあ、葵の分は?」
ワタシにはシュークリームを上げようとしていないことに、口をとがらせたカナデ。そのことを気にしてかせずか、ゲンジュウロウさんはその笑みを一層ニカリと輝かせつつ、もったいぶるかのように「はっはっはっ!」と曖昧に笑うばかり。
何故かツバサも「ふふっ」と小さく笑っているのが見えた。なんだろう? ワタシタチよりも先に来てたし、ゲンジュウロウさんがこんなわけのわからないことをしている理由を知っていたりでもするんだろうか?
「実はだな、葵くんには皆とは別に特別なものを買ってきたんだ」
「今日は随分と贔屓が過ぎるわね~?」
リョーコさんにちゃかされつつもゲンジュウロウさんが取り出したのは……
プリンだ。
しかし、ただのプリンではない。プリンの上にクリームやフルーツが乗っているタイプの、
まあ、一昔前ならまだしも、(この世界ではどうかはしらないが)今になってはそう珍しくはないタイプのプリンだ。
だがしかし、今、ワタシの目にうつるソレにはいくつもの他にはないであろう特徴があり……ワタシの中にある何かがただものじゃない雰囲気をビンビンに感じ取っている!
まさか、
若葉マークのような形をしたホワイトチョコの板が3枚乗っていて、それぞれに切れ込みのようなものが2つ――見る人が見れば一対の目だとわかる――描かれている。
そしてプリンの容器には、雪の結晶のような見覚えのあるマークが……!
ワタシの中の確信めいた予感が、ゲンジュウロウの言葉で真の意味での確信に変わる。
「「トリシューラプリン」という名のプリンだ。強そうで美味そうだろう?」
「トリシューラプリン」。前の世界も含めて、実際に見るのは初めて……だが、ワタシにとっては馴染みのあるもの。
遊戯王のゲームである「タッグフォース」*7に登場する食べ物だ。ただし、数人のキャラのストーリー中の会話文などでしか登場せず、どういった見た目なのかなどといった情報は無いにも等しい。間違いないのは美味しいと言うことくらいか。
ゆえに当然、本物だろうか?という疑問もあるが、そんなのはワタシの奥底からわき上がってくるこの興奮の前ではささいなものだ。
「強いか美味いかはおいとくとして、「トリシューラ」なんて大層な名前ね」
「んん? なーんか聞いたことあるような……無いような?」
おかしそうに笑うリョーコさんや首をかしげているカナデ。
もしも、ワタシが自由に喋る事が出来るとすれば、それはもう大変なことになるだろう。ふたりにこれでもかというほど、「トリシューラプリン」のことを……それのモチーフとなっている「氷結界」*8の切り札的存在《氷結界の龍 トリシューラ》*9 *10のことを語りだすだろうから……。
「なんでも店一番の人気商品らしく、最後の1個だったんだ。せっかくなら、葵君に食べてもらいたくてな……あーっ……その、受け取ってもらえるだろうか?」
「トリシューラプリン」を受け取ることを断る理由なんてあるわけがない。
「……っ!!」
「お、おう。葵くんにあげるために買ったんだ。遠慮せずに食ってくれ」
頷くワタシにそう言って差し出してきたゲンジュウロウさんの手の中から、待ち切れずに半ば奪い取るようにして「トリシューラプリン」を手に入れる。
おおっ、こ、これが! あの……あの「トリシューラプリン」!!
「人気が高い・価格が高い・カロリーが高い」の三拍子で、ネオドミノシティのデュエルアカデミア*13学生やその他キャラにも人気っぽかったあの「トリシューラプリン」!
底のほうはどうなっているんだろう?
おおっ! 底にも「氷結界」のマークが彫られてる! カラメル色がバックにあるから、マーク自体もまた違った印象になるねー、これは新たな発見だ。
「……! ……!」
「葵っ、こけてこぼしちゃったら大変でしょ? それを一度置いて座りましょう?」
おっと、嬉しくて嬉しくていつのまにか小躍りしてしまっていたようだ。
確かにツバサの言う通り。こぼしてしまうなんてそんなもったいないことは出来ないし、そんなことになったらワタシは泣いてしまうだろう。
近場のテーブルに「トリシューラプリン」を置き、そばのイスに飛び乗るようにして座る。……うんっ! 手に持たず、置いてあるだけの「トリシューラプリン」もまた風情がある! ……気がする!!
「気に入ってもらえたようで何より……だが、ここまではしゃぎまわるとは。やっぱりアレなのか? 女子供は甘い菓子が別格なほど好きなのか?」
「当然それは個人の好みによるわよ。きっとこの子が特別甘いものが好きだったんじゃないかしら? さて、突っ立ってるのもアレだし、私たちもシュークリームを食べましょう?」
「~♪ ~~♪」
「ふふっ、鼻歌まで歌って。はいっどうぞ」
「トリシューラプリン」を眺めていると、付属されていたのだろうプラスチック製の長めのスプーンをツバサが差し出してくれた。すくう方とは逆の端に「氷結界」のマークの装飾があるそれを受け取りながら、お礼の意を込めて頭を軽く下げる。
さあ! ついにこの時が来た!
食べようっ! ……けど、この完全な状態を崩すのが心苦しくもある。しかし、食べてみたいし、食べないという選択肢は無い。腐らせたりするわけにもいかないのだから。
ならば、食べるほかない。けれど、どこらへんから食べていくのが正解なんだろう? 悩む、悩むなぁ~♪
「奏? なんだかいつもより静かな気がするのだけど、どうかしたの?」
「いや、元気になってなによりなんだけど……あたしが何した時よりも喜んでて、凄い複雑な気分」
「そ、そうね……」
と、不意にカナデとツバサの「「いただきます」」という声が聞こえ、自分がいただきますをしていないことに気付いた。
どこから食べるかとか以前にそれは「トリシューラプリン」や作った人に失礼だろう。
さぁ手を合わせて……言えない!? くそ、なんてことだ!? ……これまでの食事でもそうだったね、忘れてた。
しかし、口には出せないけど心の中では言ったんだ。誰がどう文句を言おうと食べてやる!
「んくっ。……にしても、葵が食べてるプリンの名前。なんか聞き覚えがあるような気がしてるんだけど……とりせっ……なんだっけ?」
「「トリシューラ」ね。とっても広ーい目で見ると、奏ちゃんとは全くの無関係ってわけでもないのよ?」
「へっ? そうなのか?」
美味しい! 上にのってるフルーツや生クリームがプリンそのものの甘さをころしていない!
というか、単純にプリン部分が美味し過ぎて、他が何とかおいて行かれないように必死にしがみついてるって感じがするくらいプリンが凄い!!
はっ!? 底のカラメルと合わせるとどうなるだろう?
スプーンの長さを活かして、なんとか底のほうからすくい出せないものか……?
「神話に登場する武具の名前だ。インド地域の神話に登場する神・シヴァが持つ
「櫻井女史の言ってた無関係ではないとは、神話の神が持つ槍という意味では奏の「ガングニール」と似た立ち位置だということだったんですね」
「あーそういえば、聖遺物についてちょっと勉強した時に記録を見たような気がするなぁ」
ん? 食べるのに夢中で半分聞き逃してたけど、今、《氷結界の龍 グングニール》*14の話してた?
あの
……他がヤンチャし過ぎただけ? 知ってる。つまりはグングニールは優等生だったんだと思う。
しかし、何故遊戯王OCG含め遊戯王のカードは無いのに「トリシューラ・プリン」は存在するんだろう?
名前だけなら偶然かもしれないけど、トリシューラの顔のデザインや「氷結界」特有の雪の結晶のようなマークまで一致しているのは偶然だとは到底思えない。
実は今は衰退してるけど、昔に遊戯王が流行していた時期があってその名残で……?
もしくは、遊戯王OCGとは全く別の何か――例えば、ゲームや漫画など――で「氷結界」キャラが存在している……?
いいや、もしかするとワタシのような
なんにせよ、ゲンジュウロウさんが「トリシューラプリン」を買ってきたお店には、一度行ってみたいものだ。
喋れない・店の場所がわからない・おこづかい無い・一人じゃ出歩けない……と、ないない尽くしで行ける気が全くしないけれども。
と、ふとワタシの方へと向けられた視線に気がついた。
視線の主は……ツバサか。どうやらワタシの食べる「トリシューラプリン」に目を奪われているようだ。まぁそれも仕方のないことだとは思う。「トリシューラプリン」の持つパワーは
しかし、そんな目で見られてはワタシも何もしないわけにはいかない。
ワタシは、プリン本体と上のクリームをほどよくスプーンに
「……?」
頭に疑問符を浮かべ少し首をかしげるツバサ。
少しじれったく、喋ることはできないもののなんとかワタシ自身の口をゆっくり大きく開けてから閉じる……食べるマネをして見せる。擬音をつけるのならまさしく「あーんっ」である。
少し細められていたツバサの目がハッと見開かれ、
「……! え、ええっ!? ちょっ、そんな……こんな人前で……!?」
「いーなー翼ぁ。葵~? あたしにはー?」
心配しなくても、カナデにもあげる予定だ。だからそんなにふてくされないで欲しい。
そしてツバサは、なんでそんなに恥ずかしそうなのだろう? 子供にあーんしたりされたりするのは、そう気にすることじゃないと思うんだけど……相手は異性とかじゃなくてあくまで
実はこの「あーん」は、ふと思いついた事があったゆえの行動なのだ。
ワタシの行動の半分ほどはカナデと共にあり、ツバサとも結構な付き合いとなっている。
そのふたりにも「トリシューラプリン」の美味しさを知ってもらうことで、いつかふたりに連れられて外出する時に「例のアレがあるお店に行ってみるか!」と思ってくれるんじゃないかという下心のある打算的な発想である。
仕方ないじゃないか、行きたいんだもの。
次回、ついに奴らが登場……予定。