教えてくれ読者、私はあと何回変態な深雪さんを書けばいい……。
「……どうして気付いた?オレは家の奴と会う時は使い魔しか送ってないはずだが」
「デクスドルガモンはデジコアを捕食するデジモンハンターだ。私の相棒はデジコアを捕食する必要は無いが、デジコアの存在を感じ取ることはできる。相棒が貴様からデジコアを感じ取った。今この時代においてリアルワールドに存在するデジモンは変身の術を持つ魔法使い系デジモンか、人の遺伝子を持つ存在が確認されているギルモンシリーズのどちらかだ」
デクスドルガモン。デジモンの原型とも言える『ドルシリーズ』の成長期デジモンことドルモンが
死のX-進化はまだ改名されていない部分が多い。真実を知るとされているグランドラクモンもその口を閉ざしている。
「そしてさらに苗字が『八神』ときた。コレがただの一般人なら何も問題は無かった。しかし、我らデジタルモンスターに関わりし者にとって『八神』の名は重すぎる」
「……赤神を名乗ってたらまだマシだったか?」
「いや、人間の遺伝子を持つギルモンに現代魔法適正の低さを鑑みれば遅かれ早かれバレていたことだろう」
「ま、隠す気は無かったんだけどな」
「で、あろうな。……わざわざ済まないなドりん。もう戻っていいぞ」
デクスドルガモンは黒神の言葉を聞くと、デジヴァイスの中へと戻って行った。
肉体的には死んでいるデクスドルガモンに感情というモノは無いはずだが、彼女が彼のニックネームを呼んだ瞬間、ほんのりと笑みを浮かべている気がした。
……パートナー、か。
「それで、学校生活に置ける身の振り方だったか?」
頭に浮かんだことを振り払うよう(ついでにさっさと帰ってケツ穴の安全を確保したいがために)、オレは黒神の言ったことを早く進めることにした。
「あぁ。魔法科高校の生徒を害せば、それはデジタルワールドを危険に落とすこと他ならぬ。だからこそどうするかを話し合いたい」
この場を借りて、デジタルワールドの現状を少し話すとしよう。
今、デジタルワールドは隷属の危機に陥っている。有り得ない速さでネット技術を発展させていった人間たちによって、だ。
第三次世界大戦が起こる中、敵国を打つ為の兵器開発にて偶然デジタルワールドを全ての先進国がほぼ同時に発見した。各国はデジタルワールドとの関係性という暗黙の了解が存在するにもかかわらず、デジモンという新たな兵器を求め侵略を開始したのだ。
それに対抗して立ち上がったのが選ばれし子供たちだった大人たちやその親族だ。
世界各国に存在する選ばれし子供たちは寿命により、空前の灯火とも言える自身のパートナーと共に自身の祖国を相手とする最後の戦いへと向かった。
『八神太一』『宮本大輔』『松田敬人』『神原拓也』『大門大』『工藤タイキ』はデジタルワールドにおいて英雄視される存在だ。その中でも特に神に近しい扱いをされるのが『八神太一』であり、デジタルモンスターに関わる人間が『八神』という苗字を畏れ多く感じるのはここが理由である。
現在は英雄の活躍により、デジタルワールドとリアルワールドは対等な関係となっているがデジタルワールド関係者の八神家が下手をこいてしまえばまた、隷属の危機がやってくるのだろう。
黒神はソレを恐れてこんな対談の場を設けたのだ。
「理由は分かった。だが、一つだけ言っておく。オレが大人しくするのは無理だ」
「なぜだ?『八神』を名乗るのならそれこそ場を荒らげる必要も無いと思うのだが」
「『八神』だからこそ、だよ」
確かに、『八神』はオレたちデジタルモンスターにとって特別な名前だ。だからこそ泥を塗るような事をしちゃいけないのは『八神』を名乗るオレだってソレは分かっている。
だけどな―――
「世界を救った英雄の名を借りているんだ。誰かにヘコヘコ頭を垂れるようなマネはしたくない」
馬鹿だと笑われようと、愚か者と後ろ指を刺されようと関係ない。コレは
「……『八神』の必要悪である黒神からすると、その考えは処罰モノなのだがな。しかし!この黒神めだか個人としてはその青臭い思想は大好物だッ!正直濡れる!!」[ピ-]
「おい最後ちょっと待て」
シリアス吹き飛ばしてやんな。しかも規制音間に合ってないし。
「『八神』に属する黒神家は私だけだからな。私が見逃すと言えば、見逃せる」
「職権乱用って、知ってる?」
オレが言えたことでは無いかもしれないが、さすがに突っ込みざるを得ない。
「私が、ルールだ!」
「あ、この人話聞いてなーい」
白神に裁かれても知らねぇぞオレ。
「ソレに、友人の愛する人物をこの手で帰らぬ者にするのはな……」
「悪いがその話はNG」
深雪さんがいないのに悩まさせるな、頼むから。
「む、そうか。……でだ。貴様は自分の誓いを守るように学校では生活する。という事でいいな」
「あぁ、ソレは絶対に変わること無い」
「分かった。なら私もそのようにしよう」
「別に、お前まで巻き込まれる必要は無いぞ?」
「いや何、ファンとしてなんて言う言葉を言われては私も従わざるを得なくてな。高圧的一般人少女めだかちゃんで行くつもりだったのだが、明日からは完全変態めだかちゃんで行くとしよう」
その変態が虫の変態であることを祈る。
「さて、ここからは私の個人的な疑問なのだが答えてもらえるか?」
「内容による」
さすがに変態的な質問とかだったら容赦しねぇ。
「貴様は進化できるのか?」
「あぁ、問題なく出来るぞ。……ただまぁ一般的な進化ルートとは違うけどよ」
「なんだ、パートナーが居なくとも出来るのだな。それに、進化ルートは仕方あるまい。人の遺伝子を持たないギルモンと人の遺伝子を持つギルモンは究極体が異なるのだから」
黒神の言う通り、人の遺伝子を持つギルモンと持たないギルモンでは辿り着く究極体が異なる。人の遺伝子を持たないギルモンは赤き魔竜メギドラモンへ。逆に、遺伝子を持つギルモンはロイヤルナイツである聖騎士デュークモンへ。無論、デジモンの進化は未だ完全に解明されてはいないため、コレらとは異なる進化を辿る場合もある。ただ、『ギルモン』という種族はこのどちらかへ進化することが多いのだ。
「それに、貴様は過去の記憶を持つという他にない存在だ。いきなりエグザモンとかへ進化しても驚かぬ」
「それはロストエボリューション限定ルートな」
そもそもエグザモンはドラコモンの最終進化体だ。ブレイクドラモンとスレイヤードラモンのジョグレス体だったと思う。
「聞きたいことは終わりか?」
「うむ。急に誘ってすまない」
「次からはアポを頼む。……深雪さんに」
「司波同級生でいいのか……」
察せ、頼むから。
「最後にひとつだけいいか?」
帰り支度終え、玄関で靴を履いていると、黒神がそんなことを言ってきた。
「ん、いいぞ」
「司波同級生とはどこまで済ませた?」
「さようならッ!!」
答えることもせず急いで玄関から脱出する。
……ちなみにだが、中学卒業式の夜にCの前段階まで食われかけたことがある。その時はまだ覚悟完了していなかったのか、オレの[ピ-]を見た深雪さんは顔を真っ赤にして気絶した。オレは動けないまま一夜を過ごして風邪をひいた。
〇✕〇✕〇✕
「おかえりなさい、テトさん。今日のうちに帰ってこれましたね」
「ただいま深雪さん。まぁ、急いだんで」
司波家に居候しているため、オレの帰る家は司波家だ。……キチンと自宅もあるぞ。ただそっちは
置いてあるのだって達也のCAD弄り用セットだったり、オレ(ギルモンモード)用の爪とぎとかパン焼き釜くらいだ。
「お兄様も私もまだお夕食はまだです。テトさんは食べてきてしまいましたか?」
「いんや、オレもまだだ。一緒に頂く」
「分かりました。では手を洗ってきて下さい。準備しておきますね」
深雪さんはそう言ってリビングへ消えた。
洗面所に行き、手を洗う。石鹸でしっかり洗わないといけない。オレであっても深雪さんは手を洗わない人間には食事をさせない。……よくよく考えると、おかん属性が追加されたのか。
手の湿りをしっかりと拭き取って、リビングへと向かう。
そこでは本日の夕食であるホワイトシチューがテーブルに存在し、司波兄妹が椅子に座っていた。達也と深雪さんのホワイトシチューの冷め具合を見るに、待っていてくれたのだと察する。
「待たせて悪い、2人とも」
「いや、家の話なら仕方ないだろう」
「えぇ。私たちも何度か家の用事でテトさんを待たせてしまったことがありますし」
おあいこです。そう言って深雪さんは笑う。それにつられて達也も小さいが笑みを浮かべた。
「では、冷める前に食べてしまいましょう」
「お、そうだな」
「ああ。じゃあ、手を合わせていただきます」
「「いただきます」」
達也の号令を合図に、オレと深雪さんが続く。本来ならば家主である深雪さんがすべきなのだが、本人が拒否したため、達也が代わりを務めている。
ホワイトシチューを口へと運ぶ。語彙力がなくて申し訳ないが、ただ美味いとしか言えない。
深雪さん、変態行動が無いとホント超絶素晴らしい女性なんだよなぁ……。
「褒めていただけるなら是非ともベッドの上で……」
「今ご飯中だからさぁ!?」
「ゴフゥ!?」
「アカン!」
「き、気管にスープが……。ゴホッゴホッエホッ!」
もう正直な話、達也は深雪さんのガーディアンを辞めた方がいいのではないだろうか。このまま行くとストレス性の胃潰瘍にでもなるんじゃ……。え、もうなってる?
……デジタルワールド印の魔術調合薬品でも渡してやろう。我が師ことウィザーモン先生、1番役に立ってるのが薬の調合という事実は案外悲しいものですね。
「……おい深雪さん」
「はい、なんでしょうか?」
「媚薬ぶっこむのやめてくれません?」
「やはり効きませんか……」
本体はデジコアだから。肉体的影響はあっても精神的影響は無いぞ?
あ、そうそう。司波兄妹はオレが電脳存在デジタルモンスターだということは知っている。
……知っていてこんな行動に出る深雪さんがちょっとよく分からない。
「あ、もちろんお兄様のには入れていません。そこは安心してください」
「他人の食事に遠慮なく薬品を入れるお前に安心が出来ないよ深雪……」
達也よ、深雪さんはもう手遅れだから諦めた方がいいぞ。……いやごめん。手遅れにさせた原因が言う事じゃないわ。
「とにかくだ、深雪さん。飯くらい安心してゆっくり食わせてくれ。じゃないとオレはお前を怒る必要がある」
「……怒られる、私が、テトさんに?」
食事の手を止めて、深雪さんが何かを考え始める。
……とても嫌な予感がするのは気のせいだろうか。
チラリと、達也へ視線を向ける。しかし、そこにヤツの姿とシチューは無く、代わりに『CADの調整に行ってくる。後で一緒に来るように』と言う紙が置いてあった。
……あの野郎逃げやがった。
「いい、いいですね……。テトさん!」
「ぬぉ!?」
思いっきり手をテーブルへ叩きつけ、バンッ!!という大きな音を立てながら深雪さんはコチラへ顔を近づけてきた。
「叱ってください!」
「……はぁ?」
「先程叱られる姿を想像したのですが、何故か下腹部がキュンキュンしてきたのです」
「お、おう……」
「それだけでなくば、罵倒されるのを想像しましたら、アソコから[ショバァ]が溢れてきました……」
深雪さんは興奮しているのか、ハァハァと呼吸が乱れている。
不味いな、これは逃げた方が……ッ!!
オレが逃げようとしたのを察したのか深雪さんはオレへと素早く肉薄し、そのままの勢いでオレを押し倒した。
「さぁさぁさぁ!!」
目がぐるぐる、渦巻くなんて本当に起こるんだな。
なんて、場違いな事を考えて現実から逃げようとするも、オレが深雪さんに押し倒されている事実は変わらない。
ここで深雪さんの願望を叶えて脱出するのは簡単だ。しかし、それでは味をしめてまた何度もこのような事が起こるだろう(実際、変態行為では無い『頭を撫でる』を達也と共に1度叶えたらほぼ毎日せがまれるようになった)。そうならないよう、何か解決策はないかと考えをめぐらせていたところ、腰からカチャカチャと音が聞こえその考えを中断せざるを得なくなった。
「何してくれてるんですかねぇ!?」
「ペナルティです。罵倒してくれないまま1分が経つにつれ服をぬがしていきます」
そう言って、深雪さんはパンツに手をかける。
「次はコレを脱がさせていただきます」
「はァ?何ふざけてんだ!離せこのバカが!!」
言ってから、気づいた。今の深雪さんに『バカ』なんて言葉は劇物に近いということに。
「あ、ああぁあぁ嗚呼あぁぁアァ……イイ」
ビクビクと身体を震わせ、三日月のような笑みを浮かべる。
「もっと……もっと……もっともっともっトもットモット!!」
目を虚ろにして、深雪さんは狂ったようにオレへと迫る。
……覚悟決めるか。
これからも暴走深雪さんを相手にする事と今食われることを天秤にかけ、オレは前者を選択する。
「おう、なにこっちの許可なしに発情してんだ雌[ブヒィィィィ!!]が!!」
「あァん!」
この後はみんなの想像に任せようと思う。……ただ、軽く白目を向いて下腹部を濡らした深雪さんがそこにいた事を報告しておこう。
〇✕〇✕〇✕
「終わったか」
深雪さんを片付けた後、言われた通り達也の待つCAD調整室へと入る。達也は何事も無かったかのようにそう言い放った。
「あぁ、終わったよ……。色々とな……」
首筋、腹、その他etcにキスマーク付けられたオレの明日はどこだ……。こんなんじゃ、学校に行きたくなくなっちまうよ。
「……詳しくは聞かないでおく。俺も胃を守りたいからな。それで、頼まれていたCADの調整終わったぞ」
「お、サンキュー。さすがはシルバー」
「アイディアはお前だろう。指輪1つに起動式1つを込めて超特化型にする、なんて言うのはな」
「現代魔法が苦手なオレからすれば、コレでもキツいものがあるけどな」
デジタルワールド式の魔術を使う側としては、現代魔法というのはどうしてもコレジャナイ感がして使いにくい。だからといって魔術を使うのは論外だ。使うにしても『八神』として活動する時か、どうしても使わなくてはいけない時くらいだ。
郷に入っては郷に従えと言うからな。リアルワールドにいるならリアルワールドの魔法に合わせるさ。
「少し試し打ちしていいか?」
「いいぞ、なら的を用意するから待て」
「いや的はお前だ達也ァァ!!!」
オレを置いて逃げた事、許さねぇかんな!!
先程、深雪さんにやられたことに対する恨みを達也へと向ける。
「兄なら妹の尻拭いでもしやがれェェェ!!」
逆恨みによる小さな魔法戦が起こる。
だが結果はお察しの通り達也の得意技であるキャストジャミングによって魔法が発動出来ずにいたオレへ八雲直伝体術を放ち、オレの負けが一瞬で確定した。
「さ、流石だ達也……」
「精神的に疲れているお前くらいなら簡単に倒せる」
「さ、最後に1つ……。ナ、ナイスカスタム……」
達也の言った通り深雪さんへの対応で疲れていたオレはそのまま朝まで眠りについた。
話に上がった『八神』の解説をします。本文中で解説する機会が無さそうなので……。
結構長いので読む場合はほんの少し覚悟をお願いします。
『八神』
分家計八家の総称であり、その中から選ばれた8人のみが名乗ることの出来る特別な名。しかし、強制力は特に無く選ばれた8人は分家の名を名乗ることも許されている。
分家は皆、『色の名前として使われている漢字+神』を苗字としている。読み方が色の名そのままという訳では無い。
今現在の『八神』は
ビクトリーグレイモンを相棒とする八神
ズィードガルルモンを相棒とする八神
アルフォースブイドラモンを相棒とする空神
ギルモンであり、パートナーが存在しない八神テト
ドラコモンを相棒とする赤神
デクスドルガモンを相棒とする黒神めだか
カオスモンを相棒とする白神
エルドラディモンを相棒とする緑神サクラ
〈分家一覧〉
『赤神』(あかがみ)
ドラゴンズロア所属のデジモンを相棒とする家。
デジタルワールドへの侵略者に対する防衛手段を担う家であり、最も数が多い。陸と空を往く竜族はデジタルワールドにおいて最も一般的な防衛手段へとなった。
『青神』(あおがみ)
ネイチャースピリッツ所属のデジモンを相棒とする家。
赤神と同様に防衛手段を担う家であり、2番目に数が多い。素早く陸を駆ける獣族はいち早く戦闘区域へ向かい、戦うことの出来ない幼年期や成長期を救出するレスキュー隊へとなった。
『空神』(からかみ)
ウィンドガーディアンズ所属のデジモンを相棒とする家。
空という人の影響を受けない高所から偵察を行い、異常を見つければ赤神や青神へ報告する司令塔。
また、彼らは郵便物などを管理、配達する配達員でもあり、メタルエンパイア所属のトレイルモン(デジモンネクストVer.)と協力関係にある。
『緑神』(りょくがみ)
ジャングルトルーパーズ所属のデジモンを相棒とする家。
故郷を失い、行くあてのないデジモンたちの家を作り、家族として共に過ごす優しさの守護者。この家の人間はデジタルワールドに家を持ち、ムシクサキデジモンたちが出来ないことを行う。
『水神』(みずがみ)
ディープセイバーズ所属のデジモンを相棒とする家。
デジタルモンスターにとっては母なる海であるネット内の監視者。ネット内にて起きた問題の解決を一任されている。
『銀神』(ぎんがみ)
メタルエンパイア所属のデジモンを相棒とする家。
デジタルゲートの管理者であり、デジタルワールドとリアルワールドを行き来するには彼らの協力が必要不可欠。
『黒神』(くろかみ)
ナイトメアソルジャーズ所属のデジモンを相棒とする家。
『八神』における必要悪であり、必要な時には本家とも言える八神家の人間すら手にかけることも。
『白神』(しらかみ)
ウィルスバスターズ所属のデジモンを相棒とする家。
『八神』における絶対的中立者。抗争からプリン盗難などのささいな喧嘩まで、分家間で起きた争いごとを公平に裁く裁判官。
番外編、どっちが読みたいですか?
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変態淑女深雪さんの一日
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変態乙女めだかちゃんの一日