ドラゴンボールF   作:月日火

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帰還

クウラを打ち倒した悟空とターレスではあったが

既にマグマが各地で吹き出し、星の爆発までもう猶予も無い。

一先ずはターレスと共に使える宇宙船を探そうとして

悟空はターレスの方を向く。

 

「……ターレス?」

 

既にターレスの姿は無く、悟空は急にいなくなった彼の姿を探すが

もう一刻の猶予も無くなったナメック星が爆発寸前なのを察知し

 

悟空は運良く崖下に引っ掛けられていた

ターレスが乗ってきた宇宙船に乗り、行く先が不明のまま

しかし、クウラから受けたダメージによってナメック星から離れた瞬間に

気絶した。

 

一方、ターレスは訳の分からないまま惑星リゾートへと運ばれていた。

 

「……あ?」

 

「クウラと闘った感想は如何でしたか?…おや。」

 

ターレスの消えた理由は至って簡単。

フリーザが速攻でターレスを掴んで瞬間移動し

惑星リゾートに常時設置してある

気を発生させるポータルへと運んできたからである。

 

流れる穏やかな海の光景がターレスの心を落ち着かせ

同時に今まで蓄積していたダメージが今になってターレスの身体に

苦痛を与え、ターレスは眠るように砂浜に倒れこんだ。

 

「……はぁ、任務失敗の件は後で聞くとしましょう。ガーリックさん

ターレスさんをメディカルポットへ運んで差し上げなさい。」

 

「了解。」

 

フリーザは報告もせずに気絶したターレスを見て呆れたのち

指をパチンと鳴らしてガーリックJrにターレスを運ばせた。

 

運ばれていくターレスを目にしながら

フリーザは彼の部下の迎えに行くために

不本意だが地球にいるベジータの気を頼りに瞬間移動した。

 

 

♠︎

 

その頃地球のある地点。

その小さな岩場にてベジータの笑い声が響く。

 

それは超サイヤ人が伝説では無かった事への喜び。

そして、クウラとカカロットそしてターレスという邪魔者も

ナメック星と共に消滅する運命だという嘲笑からだった。

 

ベジータは余程嬉しいのか、近くの草を千切って上に放り投げる。

 

だが、その後ろから聞き慣れた声が響く。

 

「おや、何がそんなに嬉しいのですか?……ベジータさん。」

 

「なっ!!フ、フリーザ……!!?」

 

ベジータの背から突然姿を現した新たな脅威に

ベジータを見張っていたピッコロと悟飯も驚く。

 

「ふむ……ここが地球ですか。中々いい土地です。」

 

「な、何故ここに!?」

 

「何故?…あぁ、ご安心なさい。部下を迎えに来た事とビジネスです。

裏切り者の貴方を殺そうなんて気は毛頭ありません。…ですので

そこにいらっしゃるナメック星人とおチビさんも気を静めて貰って結構。」

 

フリーザは警戒する3人にやれやれと呆れ、敵対の意思がない事を

告げるがピッコロは逆に更に警戒心を高める。

 

「……いきなり現れた貴様を信用できると思っているのか。」

 

「いえ、全く。まぁお退きなさい。死にたく無いならね。」

 

そういってフリーザはほんの少しだけ気を解放する。

それだけでそこだけがまるで重力が何千倍にもなったような圧力が

戦士達に襲いかかる。

 

「ぐ、ぐぁ……ぁ…。」

 

3人はその重さに耐えきれず、フリーザに首を垂れる形で跪いてしまう。

 

「そうです、そのまま跪いていれば何もしませんので。」

 

そしてそのままフリーザは3人を軽く素通りし

 

最早瀕死の最長老のもとへと姿を現わす。

 

「……何者ですか?」

 

「はじめまして、私の名はフリーザ。

この度は愚兄がご迷惑をおかけしたようで……。」

 

クウラの名を出したフリーザに残っていた戦士タイプの者達が

一斉にフリーザを囲い込む。

 

「おや、随分なようで。つきましては私の方で新しい星を手配して差し上げます。……あぁ、お代は結構。愚兄の行いの慰謝料とでも。」

 

「何が……目的です?」

 

「目的?そんなものありませんよ!第一に貴方達から何を搾取すればいいと?

私のただの善意ですので疑わずとも結構。」

 

そういってフリーザはあるカードと通信機を最長老を看護していたムーリという

ナメック星人に渡す。

 

「では、星の案内をお求めでしたらそちらのカードに記載してある番号

をそちらの通信機にかければ私の部下が迎えに来ますので。」

 

そうして、フリーザはクラッシャー軍団の前に立ち。

 

「さて、ターレスさんも待っていますのでさっさと帰りますよ?」

 

彼らを一息で担ぎ、瞬間移動でさっさと帰還した。

 

フリーザが消えた事で彼の重圧から逃れたベジータ達は

解放された瞬間に息を荒くし

クウラですらまだ前座であった事を知り恐怖するのであった。

 

♠︎

 

フリーザがクラッシャー軍団を連れ、惑星リゾートへ帰還してから

2時間後。

 

ターレスが完全回復して目を覚まし

フリーザが建設したホテルの会議室で彼らは揃って集結していた。

 

「さて、貴方がたの任務をおさらいしておきましょうか。」

 

フリーザが何もない空間を叩くとディスプレイが発生し

フリーザはベジータの写真でスライドを解除する。

 

「貴方達の任務はベジータさんの始末。……これは本来簡単な任務だったのですがねぇ…。」

 

「クウラの野郎を代わりに殺ったからいいじゃねぇか。」

 

「………まぁ、それを引いてもゼロです。結局の所、貴方がたの手でベジータさんを始末しなければ……。」

 

フリーザがスライドをカカオの写真へと変え

 

「カカオの奴をドラゴンボールで生き返らせない。……そうだろ?」

 

ターレスがそう確認する。

 

「そうです…ですので先ずは失敗した分こき使う予定ですのでよろしく。」

 

ターレスは自らの手を見る。

昔の自分ならカカオ1人失ったとてフリーザとの手を切り

いつもの様に宇宙を荒らしに行ったのだろう。

 

だが、今となっては出来るはずもない。

今まで孤高の獣だった自分にできてしまった群れ。

同じ志の元で美味い飯を食い美味い酒に酔った仲間を

もうターレスは見捨てられなくなってしまった。

 

「へいへい、分かりましたよフリーザサマ。」

 

「宜しい。では貴方がたはこのリストの星の殲滅をお願いします。」

 

吹っ切れた表情で返答するターレスにフリーザは

最早不要である星の殲滅リストをターレスに渡す。

大抵は土地に含まれている栄養分などの問題なのだが

ごく稀に未だフリーザ軍に楯突く愚か者が潜んでいる場合がある。

 

この宇宙を統べていたクウラが死んだ以上その部分もフリーザ軍が

引き受ける事になる。

故に先ずは簡単なものからターレスに殲滅を命じ

 

彼らは早速支給された新しい宇宙船に乗り込んで惑星リゾートを

飛び立った。

 

その数日後、フリーザは惑星リゾートからある場所へと再び瞬間移動。

 

降り立った先には大きくもなく小さくもない

しかし、綺麗な家が草原と砂漠が入り混じった星に建てられていた。

 

近くには巨大な砂場があり、敵が現れる訳でもない。

 

フリーザはその様子を確認ながら

家の前に立ちドアを3回ノックする。

 

そして。

 

「おや、どうです?ここでの生活は?」

 

「うん、とても、楽しい。」

 

中から惑星バンパに居たはずのブロリーがフリーザを

笑顔で迎えいれたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




紹介コーナー

・ターレス
もうあの頃には戻れない

・地球組
軽く絶望した

・フリーザ
軽く撫でる気で放ったのにそんなになるとは思わなかった
そして、作戦終了。

・ブロリー
また、次回。


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