衝動を抑えきれず書いた。愛してるぜベイビー!!
詳細は公式サイトにて!!
そっと、目を閉じる。そして、数分前のことを思い出す。
私は巨大観光船『リョウ・ミナモト』に搭乗していた。
宇宙空母ヤールンヤクサ級2番艦『リョウ・ミナモト』。
旧式となり、民間の観光会社に払い下げられた宇宙空母を改装した船だ。
艦名はかつてのバイドミッションの英雄の名から取られているという。
なぜ、そんな船に私が搭乗しているのかというと……
観光目的?いや、違う。
艦のスタッフ?そうではない。
元艦長?あいにくだが私は軍属であったことはない。
密航?流石に犯罪者ではない。
ずばり……兵器マニアだからだ。
私は古い兵器に興味がある。戦闘機はもちろん、艦船にも興味がある。
かつての大戦で戦線を支えたという宇宙空母ヤールンヤクサ級。
その民間へと払い下げられた第一号であるこの船はとても興味があった。
そこで私は休暇を取り、この船の初の民間航行のチケットを獲得。
そして今、こうして乗り込んでいるというわけだ。
荷物を部屋に置くと、私ははやる気持ちを抑えられず、カメラ片手に艦内を探索していた。
艦の一部スペースではこの船が軍属であった頃の経歴紹介コーナーがあると聞いた。
ぜひ、そこを見てみようと思ったのだが……迷ってしまった。
ヤールンヤクサ級は宇宙空母の中ではかなり巨大な船だ。
迷ってしまうのも無理はない……決して私が方向音痴というわけではない。絶対に、だ。
ふらふらと艦内をさまよっていると、気になるものを見つけた。
『記念機整備デッキ』、とラベルが張られたドアがあった。ロックはかかっていなかった。
その部屋に吸い寄せられるように私は入っていく。
すると、そこには。
「……R-9?」
多くの機材が散らばる中、きらりとラウンドキャノピーが輝く一機のR戦闘機があった。
間違いない。昔地球のR's MUSEUMで見たことがある。始まりにして、全てのR戦闘機の祖。
『放たれた矢』、『R-9A ARROWHEAD』。
「まさか、こんなところで目にすることができるとは……!!」
「誰!?」
目の前のR-9Aに興奮していると、デッキに女性の声が響いた。
すると、R-9Aの影からツナギ姿の女性が現れて私の方に歩いてきた。
「見たことない顔ね……ここは立ち入り禁止のはずだけど。観光客?」
「あ、ああ。ドアにロックもかかってなかったから好奇心が赴くままについ……」
「ロック……あっ。うっかりしてたわね……悪いけど、ここは立ち入り禁止なの。今すぐ出て行ってくれる?」
「わかった。だが、これだけは聞かせてくれ。どうしてこんなところにR-9Aがあるんだ?しかも、ラストダンスモデル。貴重じゃないのか?」
R-9Aには生産時期によっていくつかのデザイン違いがある。
プロトタイプと最終型は全くの別物と言ってもいいほどに違いがあるのだ。
この部屋に鎮座するR-9Aは機体後方の設備がかなり進化している通称ラストダンスモデルだ。
「!へぇ……あなた、それがわかるの?」
「ああ。私は兵器マニアでね。R-9Aについても当然わかる」
「……第一次バイドミッションで生還したされたR-9の機体数は?」
「18機。追加でプロトタイプが一機だが、プロトタイプの回収状況については諸説あるな。私はサタニック・ラプソディーの原因が回収されたR-9Aという話からおそらく回収されたものとみている」
「次。R-9Aプロトタイプの抱えていた欠陥は?」
「スタンダード波動砲だな。収束システムが不完全なまま出撃せざるを得ず、エネルギーチャージの最大容量がスペックデータの50%だったはずだ」
「次。Aシリーズの最終機は?」
「A4のウェーヴマスター。他の最終機に比べてクセが無いのが特徴だが、ああいった純粋な強化機はマニア心をくすぐられるな」
「次―――
等と、質問を交わしていき、最終的に。
「わぁ、すごいじゃない!最低難易度とはいえあのドプケラドプスにも勝つなんて!!」
と、興奮した彼女――この船の整備班の班長、『ミナモト』――は私の背を叩く。
「私はR-5で宇宙のデブリ掃除をするのが仕事でね。
操縦系統も似通ったR-9Aならそれなりに動かせるのさ。マニュアルのコピー本を読みふけっていたのもあるが」
鎮座されていたR-9Aにシミュレーターを繋いて遊ばせてもらうくらいには仲良くなった。
しかし、まさかドプケラドプスを倒せるとは思わなかった。
特A級の大型バイドであるドプケラドプスを単機で倒せるような存在はそれこそ英雄だけである。
「それにしてもこのR-9Aのレプリカ……だったか?よくできているな」
「でしょう?元々は旧型のR-9Aで記念展示用に配備される予定だったんだけど、せっかくだからラストダンス仕様にしてみたの。
中身は旧型だけど、装甲の形やコクピットは集めた資料からこの船の整備班総出で改修したわ」
「ほう、ロマンがわかる奴がいるというわけだ。R's MUSEUMに展示されているR-9Aはプロトタイプであれはあれでいいんだが……ラストダンスモデルのデザインの方が私は好みだな」
「同士ッ!」
ガシッ、っとお互いに握手する。
そこにはRにかける熱い情熱で結ばれた、二人の人間がいた……
……いや、私は何をしているのだろう。楽しいからいいのだが。
「あ、そうだ。もしよかったらなんだけど―――」
『ねぇ、そっちの準備はどう?』
ヘルメットのスピーカーからミナモトの声が聞こえて意識が現実に引き戻された。
「問題ない。オペレーションシステムは正常動作しているし、いつでも出られるぞ」
『わかったわ。最後にシステムの口頭確認をするわよ、いい?』
「了解した」
そういうと、私は機体のコンパネに触りOSのチェック機能を走らせた。
ミナモトから提案されたのは、今日観客にサプライズで行う予定だったというR-9プロトタイプの飛行イベントでパイロットをしないか、という提案だった。
『ダミーフォース、接続チェック』
「OK」
『波動砲システム、演習仕様チェック』
「OK」
私にとっては願ってもないことだ。即OKした。
『バルカン、弾数チェック』
「380発、演習弾仕様で搭載済みだ」
『レーザーシステム、回路チェック』
「対空レーザー、OK。反射、サーチは現在オフライン。そちらの指示で切り替える準備はしておいた」
まさかR戦闘機に乗れる日が来るとは……しかもプロトタイプR-9のレプリカ。
『ホーミングミサイル、弾数チェック』
「70発、演習弾使用で搭載済みだ」
『ザイオング慣性制御システム、チェック』
「正常動作。現在67%でアイドリング中だ」
貴重な体験だ。存分に楽しむとしよう。
『OK、システムチェック完了。それじゃ、そろそろ始まるから。頼んだわよ、パイロット君』
「ああ、任せてくれ」
『あ、そういえば……あなたの名前って何だったかしら?』
「私か?私の名前は……」
アレン、という。
「ねえ、何が始まるの?」
かつての艦橋スペースは今となっては展望台として使われていた。
そこにたたずむ無数の人々の中、少女が父親に問いかける。
「わからない。サプライズイベント、とは聞いているが……」
父親はそう返した。人々が戸惑う中、部屋のスピーカーから音楽が流れ始める。
そして、女性の声が響く。
『かつて人類は、滅亡の危機に瀕していた』
響き渡った女性の声に、周囲の人々がさっ、と静かになる。
何かが始まる、ということに気づいたのだ。
『宇宙の彼方から襲来する、未知の生命体によって…』
メインスクリーンに突然映像が映し出された。艦外の映像であった。
『人々は最後の望みを、小さな次元戦闘機に託した』
映像の中の艦のハッチが開き、一つの鉄塊が外に放り出された。
「あ!あれって……!」
何人かの人が気付く。
その様子をモニター越しに見るミナモトはニヤつきながら、原稿を読み上げる作業に戻る。
『その次元戦闘機の名は、R-9A』
映像の中の放り出された鉄塊――R-9A――が起動し、ブースターやウィングが生きているかのように稼働する。
『開発コード、ARROWHEAD。それは人類の希望を載せて、放たれた矢である……!』
艦内放送を聞いていたアレンはコックピットでにやり、と、ミナモトと同じように笑みを浮かべる。
「粋な紹介をしてくれるじゃないか、ミナモト……!」
操縦桿を握る手に力を籠めなおす。そして、胸いっぱいに空気を吸い込み叫ぶ。
「さぁ、行こうか!」
R-9Aは一気に加速し、後方から飛んできた演出用のダミーフォースと共に流星となる。
特別なショーが、幕を開けた。
そして、遠く離れた宇宙の片隅。
そこを練習航海していた地球連合軍の艦隊があることに気づいた。
「うむっ、緊急連絡だ!急いで本部へこの情報を回せ!!」
艦長はそう叫び、船員が慌ただしく動き始める。
緊急連絡が連合軍本部に届くまでの時間はそう長くはなかった。内容は、こうだ。
―――太陽系外縁部にてバイド反応を確認。バイド復活の可能性あり―――
人類が『再び発つ』日は、近い。
元ネタ
リョウ・ミナモト:『R-TYPE COMPLETE CD』に登場するR-9のパイロット
アレン:『R-TYPES』OPに登場する破壊されたR機のパイロット(死亡)
他にもいくつかネタをちりばめてます。