灰は狂戦士と舞う   作:ニゴリエース

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久々にダクソプレイしていたらいつの間にか書いてしまった・・・・・・

続けられるよう根気よく書いていきます。


火継ぎの終わり、そして―――

 ぼんやりと空が火に照らされる、一面が崩壊し焼けただれたかのように灰が積もっている場所―――この世の果てにも見える地にて凄まじい音を立ててなにかが身を躍らせる。

 

 一つは大柄な異形――髑髏のような面相と後頭部に王冠が付いた兜、背にはボロボロに爛れた赤のマント、全身はまるで炎に曝されたかのように黒ずみ所々が赤熱している。そして右手には螺旋を描くように伸びた剣が握られていた。

 

 異形が剣を振るえばそれは全てのものを切り裂くかの如く凄まじい剣圧が生じ、並の鎧であればその人たちで両断されているだろう。さらには剣より炎が生まれ目の前にいるものを焼き払おうと凄まじい勢いで襲い掛かる。しかし異形の前にいる者はそれを躱し、躱しきれなければ盾で払いギリギリで致命傷を避けているのが見られる。

 

 異形の前にいる者―――異形よりも一回りも背が小さく黒鉄に金の意匠が刻まれた鎧の上にぼろ布を纏い、異形と同じく鎧の所々が赤熱している。左手には盾を、右手には一振りの剣を握り、目の前にいる異形の猛攻を掻い潜り必死に食らいつこうとしている。

 

 彼は『火のない灰』―――不死人と呼ばれる者たちの一人であった。彼は一つの使命を胸に長い旅を続けていたのである。

 

 彼らが生きている世界を照らすはじまりの火―――古い時代に神族と古竜との戦いが起こる前に生まれた火であり、後の火の時代が始まったきっかけでもあるもの。

 

 しかしはじまりの火は今や消えかけ、人の中に呪われたダークリングが現れ始めた。ダークリングが現れた者は死んでも再び蘇り、そして蘇る度に記憶を失い、やがて何もかも失うとただ他者を襲う亡者となり果てる。それが不死人呼ばれるものであった。火のない灰もまたダークリングが現れた不死の一人であった。

 

 彼はダークリングが現れた後に故郷を追い出され、一つの使命を課せられた。それは消えかけた火を再び灯すことである。彼は故郷を追い出された後に長い旅を続け、ロスリックと呼ばれる地へとたどり着いたのであった。

 

 ロスリックとはかつて火を継いだ『薪の王』と呼ばれる者たちの故郷が流れつく巡礼地。火が陰る時に鐘がなり、新しい火継ぎの王を選ぶために薪の王達が蘇る。しかし薪の王達が玉座に戻ることはなかった。

 

だからこそ火のない灰はロスリックにて蘇った。そして彼は唯一玉座に戻った一人の薪の王に使命を言い渡される。かつての薪の王達を殺し、彼等のソウルを集めて再び火を灯すという使命を。

 

火のない灰は戦った。自らに襲い掛かる怪物や亡者、果てには古竜の生き残りとも戦い、そしてかつての薪の王を打ち破り、最後の儀式を行うために今最後の戦いをしているのである。

 

彼の前に立つのは王たちの化身―――かつて火継ぎを行った者たちのソウルの化身であった。その力は凄まじく、一撃一撃で身体がバラバラになりそうな感覚を味わう。しかし灰は奥歯をかみしめ踏ん張りながら化身の隙を突くように右手の長剣を振るう。時には互いの手に槍のような雷を宿してそれを投げ、時には魔術を用いて攻防を繰り広げる。

 

何十何百という剣戟が続き、灰の身体はすでにボロボロだった。あらゆる箇所から血が流れ、骨が軋み体が痛みを訴える。そしてついには唐突に足に力が入らなくなりその場で膝をついてしまう。

 

「……っ」

 

 致命的な隙であった。化身はそれを見逃すはずがなく右手の螺旋の剣を高く掲げ、地面に膝をついている灰に容赦なく振り下ろす。この一撃を喰らえば確実に死が訪れる。しかしすでに体はボロボロでもう動く気力さえほとんどなかった。

 

 しかし化身の一振りが届く直前、灰は咄嗟に横に転がる。化身の一撃は灰を捉えることなく地面に叩きつけられた。化身は避けられたのが驚愕だったのか一瞬動きが硬直してしまう。

 

「―――ぉぉぉおおおおおおおおおおおっ!!」

 

 灰は最後の力を振り絞り、化身に肉薄する。そして盾を捨て剣を両手に掴み渾身の力を込めて突きを繰り出す。これが文字通り最後の一撃で、これで化身が倒れなければ次はない。灰はそう理解し、だからこそ全ての力をこの一撃にかけた。

 

 その一突きは化身の腹部を捉え深々と突き刺さると、やがて化身はゆっくりと地面に倒れ伏し煙のように掻き消える。そして化身のソウルが灰の身体に流れ込みしばしの静寂が生まれる。

 

「っ……はぁっ……はぁっ……!」

 

 灰は乱れた呼吸を整え、疲れ切った体に鞭をうって立ち上がる。そして静寂が広がるその地にいつの間にか現れたものに目を向けた。

 

 それは篝火だった。中央に螺旋の剣を突き刺し燃える一つの篝火―――それこそがかつて薪の王達が継いだはじまりの火であることを灰は確信し、それにゆっくりと近づく。そしてその火に手をかざし、いよいよ彼の使命である火継ぎを行おうとしたその矢先、彼はその動きを止めて別の場所に視線を向ける。

 

 そこには白く光る一つのサインが刻まれていた。これは火のない灰達が刻む召喚のサインであり、自分だけではどうしようもない強大な何かと対峙する時、これを刻み他世界の者を呼んで、互いに助け合うためのもの。

 

 しかし今灰の前にあるサインに触れると、そこから現れたのは他世界の者ではなかった。両目を仮面で隠し、ローブに身を包まれたその姿はまるで今にも消え入りそうなほどどこか儚い女性であった。

 

 彼女は『火防女』―――火の灰に協力し火を守るという使命に囚われた者である。

 

 火防女は火のない灰を一瞥すると、ゆっくりと篝火へと歩んでいく。そして篝火の前で膝をつき、彼女は篝火の中から小さな火を掬い取ると辺りが暗くなり篝火の炎もだんだんと消えていく。

 

 

 

 火のない灰は火継ぎを行わなかった。それどころか、火継ぎそのものを終わらせようとしていたのである。

 

 かつてロードランと呼ばれる地で、火のない灰はただ火継ぎによって世界が救われるのならと火を継いだ。しかしその何千年後に彼は再び蘇り、ドラングレイグという滅亡寸前の国に流れ着く。そこでもやはり火は消えかかっており、火継ぎを必要としていたのであった。しかし彼は二度目の火継ぎをすることなくドラングレイグを滅亡においやった元凶を打倒すとその地を去っていった。

 

 一回目の火継ぎで灰は悟ったのである。火継ぎは所詮『火の時代をかろうじて続けていくための気休め程度の延命措置に過ぎない』ということを。

 

 かつて火のない灰の前に現れた世界蛇は言った。闇とは人そのものであり、はじまりの火が消え火の時代が終わるということは次に来る闇の時代、つまり人の時代が始まるのだと。火継ぎとはその世界の理に逆らう行為なのだと。

 

 灰はその言葉全てを鵜呑みにすることはなかった。しかし心のどこかでその言葉が残っていた。実際火継ぎによってどれほどの者が犠牲になったのであろうか、あとどのくらい火継ぎを繰り返せば使命という呪いは終わりを迎えるのかと。そして長い旅の間で自問自答を繰り返し、ロスリックで様々な者との出会いと別れを重ねたことで彼ははじまりの火を消すことを決したのである。

 

「はじまりの火が消えていきます、すぐに暗闇が訪れるでしょう」

 

 火防女の言葉通り、暗闇が広がっていく。火が消えていき、火の時代が終わりを迎えて行っているのを灰は感じ取った。

 

「そして、何時かきっと暗闇に小さな火たちが現れます……王たちの継いだ残り火が」

 

 暗闇が支配し篝火の炎も勢いが衰えていく。灰には火防女の姿だけが見えていた。そして、沈黙を保っていた灰は彼女に吐き出すように語り掛ける。

 

「すまない……でも、もういいんだ火防女……これからはどうか使命に囚われず生きてくれ、私も共に生きよう」

 

 火のない灰は告げた。彼が火を消そうとしたのは、火防女の存在が大きかった。自分と同じ使命という呪いに囚われた哀れな人。ただ使命のために己の生を使い潰してしまうその姿に、灰はかつての自分と重ねてしまったのである。

 

 ロスリックに来て出会った者たちとの出会いと別れもそのきっかけだった。共に戦った者達、自分に知恵を授けてくれた者達、灰を友と呼んでくれた者達のために。そしてもう自分のような者が現れないようにするために。

 

 火防女は少し振り向くと灰に向かっていつものように小さくほほ笑む。やがて火が消えていき彼女の顔さえも陰っていく。

 

「灰の方、まだ私の声が聞こえていらっしゃいますか?」

 

「あぁ、聞こえているとも」

 

 火防女の問いかけに灰は短く答えると、ゆっくりと目を閉じる。化身との戦いによる疲労のためか、急激な眠気が彼を支配していった。灰は思い浮かべる。目覚めた時、これからどうしようか、祭祀場にいる者達はどうしているのか、これから自分は何をなしていくのか。灰はそんなことを考えながらゆっくりと意識を手放していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ザバァッ!!

 

「っ!?」

 

 灰の意識が急激にクリアになっていく。鎧の隙間から水が流れ込み、彼の身体を濡らしていく。灰は自分が水中にいるのだと気づきすぐにもがいて上へと上がっていく。

 

「がはっ、ごほっ……ごほっ……!?」

 

 口に入り込んだ水を吐き出し灰に空気を取り入れる。そして灰は自分が吐き出したものに驚愕した。それは水ではなく黒ずんだ赤い液体、口の中に広がる鉄の味―――血であった。灰が振り返ると、そこには血だまりが広がっていた。

 

「なん……だ、ここは……」

 

 火のない灰が見渡すとそこはまるで地獄のような場所であった。明らかに人為的でない、しかし自然ではありえないような隆起と色をした大地とどこまで続く暗黒のような空、むせかえるような血と死の匂い。かつてアリアンデル絵画世界で垣間見たおぞましい『腐れ』を世界全てに広げたかのような光景が彼の前にあった

 

 灰はここはロスリックではないことにいち早く気づいた。つい先ほどロスリックで感じた闇は、どこまでも暗く果てが見えず孤独感を感じさせた。しかし彼の目の前に広がるそれは闇というよりもさらに悍ましい―――。

 

「―――っ!」

 

 そして灰は何かの視線を感じ咄嗟に上を振り向く。悍ましい大地が隆起するその上―――まるで最初からその場にいたかのように5つの影が火のない灰を見下ろしていた。

 

 

 

 

 

 




あ、ありのままに起こったことを話すぜ・・・

目の前の闇霊に大剣で攻撃したかと思ったら、いつの間にかバクスタを喰らっていた・・・

何を言っているのか分からねえと思うが俺も何をされたのかまるで分からねえ・・・

クイックステップとかそんなちゃちなもんじゃ断じてねぇ・・・

もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ・・・

接触が悪いのか明らかに躱した攻撃喰らったり距離離れてるのに短剣の攻撃くらったり目の前の闇霊がいつの間にか背後に移動してバクスタ決められました。

仕事がひと段落して久々にダークソウル3プレイしたら書きたい衝動に駆られました。後悔はしてません(キリッ

時間の合間を見つけてダクソプレイしつつ続きを書いていきたいと思います(ちなみに作者のお気に入りはファランの大剣)。

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