とりあえず投稿していこうという浅い考え。
オルレアン 0
「これより私、オルガマリー・アムニスフィア指揮下の元、人理修復計画『Grand Order』の開始を此処に宣言します!」
場所はカルデアス前、その赤く燃え滾っているカルデアスをバックに勇ましく仁王立ちをしているのは凛々しさを増し、少しばかり大人しく見えるオルガマリー・アムニスフィア。そしてその彼女を前に集められたのは人類最後のマスター、藤丸立香。
「わー、所長カッコいいー!」
新米サーヴァント、クラスはシールダー、マシュ・キリエライト。
「わ、わー!……先輩、盛り上げるとはこういう感じでいいのでしょうか?」
ホンワカ系サボり魔お医者さん、ロマニ・アーキマン。
「マシュ?別に君は無理して彼に合わせなくてもいいんだよ?自分の意見ははっきりと出してこう?」
みんなの頼れるお兄さん、ロト。
「別に好きにさせといたらどうだ?マシュも満更楽しそうじゃん?」
全く持って緊張感のない状況であった。しかしオルガマリーは一切気にする事なく話を進める。この面子をこれから相手していくのならばこの程度で取り乱してはやっていけないと割り切る様になったらしい。
「……それでは話を続けるわ。今回発見された特異点の座標は1431年のフランスです」
そう言ってカルデアスに振り返ると、カルデアスは回転しフランスの場所が立香達の前に来ると停止する。それを確認するとオルガマリーは再び振り返って口を開いた。
「あなたたちの最初の任務はこのフランスに現れた聖杯を回収する事。分かったかしら?」
「はい!」
オルガマリーの言葉に立香は背筋をピンと伸ばして答える。その返事にオルガマリーは満足げに頷いた。
「よろしい。この時代のフランスは100年戦争の真っただ中。そんな中での聖杯捜索となるとそれなりの危険があるわ。そのことを十分に理解して挑んで頂戴」
「わ、分かりました!」
『戦争』という単語に立香は多少の怯えを一瞬ばかり見せるが、それを振り払う様に再び背筋を前よりも伸ばして答える。かわいい子がいる時、男子は見栄を張りたい生き物なのである。
「マシュ、ロト、
「はい!」
「了解」
そしてその立香のサーヴァントも全霊で答える。
特異点への転移が開始されるまで、十数分である。
豪華絢爛が施された王宮の一室にて、黒衣に白い生地にドラゴンを模したエンブレムが刺繍された旗を持つ一人の女性が窓から外を眺めていた。そこに写る光景はお世辞にもいいとは言えず、崩壊した街をワイバーンなどが蹂躙していた。その光景を眺める女性の口角は上がっていた。
「おや、ジャンヌ。まだ外を眺めているのですか?」
「あら、ジル・ド・レェ」
そこに一人の男が入ってきた。その男は体を屈めているが巨大な体躯を有していることが分かり、腕は幼い子供の首を簡単にへし折れるぐらいに逞しかった。全身は青黒いローブに包まれており、目は魚の様に出っ張っていた。そして何よりも突出すべき特徴は、その全身から感じられる狂気だ。一目見れば分かるほどにその男の周りにはどす黒い渦のようなものが感じ取れ、常人であれば否応なしに嫌悪感を抱かずにはいられない空気を醸し出していた。
しかし、男にジャンヌと呼ばれた女性は特に気に欠けることなく男を一瞥した後、再び窓の外の光景に目をやる。やはりワイバーンが飛び交っているだけだった。
「……あのバーサーカーの忌々しい笑い声を忘れたくなったのよ」
「ああ……マスターであるジャンヌをあそこまでコケにしたあの」
「ええ、あそこまで軽蔑の眼差しと侮蔑の笑いを受けたのは慰み者にされたあの時でも無かったわ」
「おお、ジャンヌよ……それほどつらい記憶を思い起こしてしまう程の屈辱とは……」
「でも」
「??…………どうかなさいましたかね?」
ジャンヌの言葉にジル・ド・レェが苛まれているが、当のジャンヌは他の事を気にかけているのかそこまで気にしている様子は無い。
「あの軽蔑や侮蔑は私に向けてではなかった。もっと大きな……それこそ私を含めたすべてに向けての笑い声に聞こえたのよ。どうしてかは分からないけれど」
ジャンヌの頭の中で『あのバーサーカー』の笑い声が反芻する。口を限界までに開き一人離れたところからこちらを見下した視線で見つめるあのバーサーカーの笑いには、底知れない何かが見え隠れしている気がしてならなかった。
『クハハハハハ!!!小さい!小さいなぁ、竜の魔女とやら!竜を自ら名乗っているにしてはあまりにも小さいぞ!!フランスを否定する?それだけのために『竜』の名を冠するとは、最初の内はふざけたものと思ったが、もはや滑稽だ!哀れだ!涙が出るぞ!!』
その笑い声は高らかに響き、ジャンヌの耳にベットリとへばり付く感覚が彼女にはあった。そしてそのまま立ち去っていくバーサーカーをジャンヌは止めはしなかった。
「一体何者なのでしょう、あのバーサーカーは。どう考えてもイレギュラー。私が召喚したのは確かに八体だったはず……それに無理矢理干渉して入り込んだ?」
「ジャンヌよ……」
「まぁいいです。それだけ強力なサーヴァントを手にすることが出来たと考えればいいでしょう。ジル・ド・レェ、そろそろ出ますよ」
「はい」
ジャンヌはそう言って旗を持って王宮を出る。それにジル・ド・レェも続く。外の阿鼻叫喚と比べて、王宮の中は不気味なまでに静かであった。
オルレアンの読み返しで少し時間が空くかもです。