「……つまり今この国はその『竜の魔女』ってやつに襲われて壊滅状態にあると?」
「ええ、お恥ずかしい限りですが」
「ふーむ」
今、ロトはジル・ド・レェと共に兵舎の一室にいた。ワイバーンの被害を受けたせいかそこかしこが傷んで入るものの、辛うじて職位の高い上官が使う部屋だと分かる装飾が残っていた。
ロトはジル・ド・レェから聞いた現在のフランスの状況を聞いて顔を上に向けて頭を回転させる。
現在フランスは過去に処刑された聖女『ジャンヌ・ダルク』が引き連れたワイバーンと何人かの兵によって壊滅的な被害を受けており、現状維持だけで精一杯の状態にあるという。そこですぐさま浮かんだロトの考えは明確である。
ーーーーー十中八九、サーヴァントだよな……しかも聖杯を持ってる。
その考えに至ると、すぐ様ロトはジル・ド・レェに向き直る。
「つまりあなたの要求は、オレがここに滞在し、ワイバーンの駆除を手伝って欲しいと?」
「そうなりますね。あなたがワイバーンを対処している間に、我々フランス軍はジャンヌ・ダルクの正体を探りたく…」
「正体を探る?この状況の元凶なんだろ?捕らえるなり殺すなり言い出すと思ったんだが?」
「…………ここだけの話、私はあのジャンヌを疑っているのですよ」
「疑う?」
ジル・ド・レェの発言にロトは眉を顰める。今のフランスの惨劇を創り出している彼女に対して何を疑う事があるのだろうか?ロトはそんな疑問を胸にしながら、オウム返しで返事をし、話が続くのを待つ。
「ええ……なんというべきか……あの『ジャンヌ』はジャンヌではないと考えているのです」
「ジャンヌがジャンヌじゃない?………………??」
その言葉にロトは何度か頭の中でその言葉をかみ砕いて理解しようとするが、やはり分からずじまいだった。その様子を見てジルはすぐさま補足に入る。
「私の知るジャンヌはこのような惨劇を作るような人物ではないのです。彼女は最後まで聖女であり続け、処刑されるその日すら、憎しみや憎悪を見せることは無かった……その彼女が、こんなことを……私は彼女を長らく見守り続けました。しかし、だからこそ、疑ってしまうのです。あのものはジャンヌではないのかと……そして知りたいのです……本当の彼女を」
「…………」
ジルのその言葉にロトは黙って聞いていた。
彼から感じ取れる後悔と苦痛の念が滲み出ているのだ。特に気配に敏感なロトはその念をひしひしと感じていた。と言うより、今の彼を見てそれを感じなければそいつは相当な鈍感である。
「身勝手な願いというのは重々承知しております!しかし、それでもお願いです!どうか、どうか……!」
「頭上げてくれジル・ド・レェさん」
「!!」
深く頭を下げるジルにロトは片手でその姿勢を制する。その所作に彼が驚いていると、ロトは人の良い笑みを浮かべた。
「そこまで困ってんだったら俺が協力しない理由はねぇよ。喜んで協力するさ。俺のプライド一つで人が救えるんだったら喜んで捨ててやるさ」
「…………ありがとうございます」
ジルは深々と頭を下げて掠れる声で感謝を述べた。ここに軍師と勇者の友好が結ばれた。
(それに、
しかし、多少の打算はあった。
「…………で、ロトはどうしていなくなったんだ?」
「サーヴァントは本来マスターからの魔力が供給されなければいけません。今のロトさんの状況からして非常にまずいです。早くしないと魔力供給が間に合わずに『座』に還ってしまう可能性が……」
『そんなまだ起こってない未来の可能性の話より現在の問題の処理の方が先決よ。ロマニ!なにか発見は無いの?!』
『ちょっと待っててね所長!今センサーの範囲を広げてサーヴァントの反応を調べてるところ!無理矢理範囲を広げるから多少精度は落ちるけど、無いよりはましな筈……』
現在立香達は窮地に追い込まれていた。突如として消えた自身のサーヴァント。まさか人理修復の第一歩でやるべき仕事が自身のサーヴァントの迷子探しとは泣けてくる。しかしそんなことは言ってられず、カルデアは大急ぎで捜索にかかる。
『んーと……あ、来たよ!そこから数十m先にサーヴァントの反応ありだ!けど……すごい勢いでこっちに向かってきてる!みんな気を付けて!探しに来たロトくんかも知れないけど、敵勢サーヴァントだったらすぐに戦闘態勢に入る勢いだ!』
「!……先輩、早く後ろに!」
「わわわ!!!」
ドド…ドドド……ドドドド!!!
ロマニの警告と共にマシュに緊張が走る。それに押される様に立香も倒れるように走ってマシュの背後に隠れる。すると一方向から騒音が聞こえる。徐々に近づく騒音に二人の緊張も高まる。やがて騒音が最高潮にまで達する。
「こんにちはマスターさん!そしてサーヴァントのお方!」
「おいおいマリア。出会ってそうそうその挨拶は距離が近すぎるんじゃないか?」
「「へ?」」
そこから現れたのはガラスの馬に引かれた馬車に乗る
「そんな事ないわアマデウス!!この人達はきっと私たちが味方になるべき人達よ!」
「相変わらずだね君は?ああ、一応君たちに言っておくと、僕は戦力としてはゴミみたいなもんだから期待はしないでくれ?」
敵か味方かは第一印象では良く解らない二人組であった。しかし二人には直感的に感じることがあった。
なんとも両極端な二人組である。と。
「ふむ……これがこの世界での竜か……」
その声はすでに荒廃した街の中を悠然と歩いていた。上空にはまだワイバーンが飛び交い、雄叫びを上げていた。常人にとっては恐怖に心臓が掴まされる様な叫びだが、その声の主は意にも介さずゆっくりと歩き続け、やがて止まる。そこには一際大きな竜が座っていた。
「お前を見た時は期待したが、所詮はこの程度か。他の竜は大したものではなかったな」
その全身を黒い鱗でおおわれた巨大な体躯を持つ竜を眺めながら声は落胆の声を上げた。
「……この世界が貧弱なのか、はたまた竜の魔女というあの女の出来が悪いのか……これでは判別がつかんな。この私がわざわざ出向いて来てやったというのに何とも拍子抜けだな。あのものがいる世界だと思い来てみれば、くだらん」
声の内容は傍から聞けば何を言っているのか分からず、支離滅裂であった。しかし、それに気付く人間はいない。全てワイバーンが食べ尽くしたのだから。
「そうは思わんか?そこのものども?」
「………………いつから気付いてたの?」
声の主は突如振り向いてそう言い放つ。するとその方角の瓦礫の山から二人の女性が現れる。そのうちの一人であるオレンジ髪の女性は警戒心を相手に向けて放つ。それに対し、涼しげな顔で答えた。
「は、その程度の児戯なんぞに気付くも何もない……それで、どうする?私と一戦交えるか?」
「上等じゃない……」
「待ってください!」
一触即発。
いつ爆発が起きてもおかしくない状況下にもう一人の女性が待ったをかける。白い旗を持った女性は凛とした声で止めに入り、両者の間に立つ。
「どけ、小娘。英霊だか何だか知らんが、私の前に立つというのならば、死を覚悟したと捉えるぞ?」
「どいてジャンヌ。そいつはここで生かしちゃいけない存在よ。私があってきたヤツと同じなのよ。自分の都合しか考えない外道の顔してるわ。そいつ」
両者から計り知れないプレッシャーを受けながらも、女性ジャンヌは折れない。ジャンヌは凛とした表情のまま、女性と向き直る。
「このサーヴァントとは戦ってはいけません。今はまだ、その時ではない」
「は?どういう事よ?」
「うまくは言えません……しかし、信じて下さい。ここは矛を納めて」
「…………」
ジャンヌの一方的ながらも揺るがない回答に女性は訝しげな顔を浮かべながらも、その殺気を抑える。ジャンヌはホッと息を吐くと、対峙していた声の主に向き合う。
「あなたもここは引いていただきたい」「なぜ従う必要がある?」
ジャンヌの要望に声は一切の間を置くことなく答えた。太々しい受け答えにジャンヌはイラつくことなく、話を続けた。
「私達ではあなたを倒せない。しかし、あなたがここにいるという事は貴方を倒せる存在がいることも確か」
「……因果という奴はなんとも面倒なものだ……その通りだ。しかしそれがなんだという?お前達は私を倒せないかもしれんが、私がお前達を屠るのは容易だぞ?」
ドシャ
その一言と同時に女性の後ろに大きな物音が立つ。
そこには焦げた墨の様な匂いを放つ一際ワイバーンがいた。熱気が当りに立ち込める。チリチリと肌を焼けつかせる高温は徐々にその火力を強め、女性二人は汗を流し始める。しかし、二人にはその汗が暑さから来る汗なのか、冷や汗か分からなかった。
目の前の存在が異常なまでに大きく見える。それでも怯まず、二人はじっと前を見据える。
「…………前哨戦と行こうか?」
「逃げますよ!」
その声と同時に業火が辺りを燃やした。ジャンヌのその叫び声は業火の燃え上がる音と共に飛散していった。
最近フェアリーテイルとガッシュベルにハマってる。
フェアリーテイルに至っては大人買いした。
どっちも遅すぎだろ……
サーヴァントは増やしたほうがいい?
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一章毎に全サーヴァント追加
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一章毎に一部サーヴァント追加
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fateサーヴァントのみ追加
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追加なし
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終わる毎にアンケートで決めるべき!