プレイ日記を小説風に書いてみました。
(某掲示板にも投稿しました)

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プレイ日記を小説風に書いてみました。


スカイリム日記

 リフテンは蜂蜜酒製造、漁業などが盛んに行われている比較的豊かな都として知られている。時にそんなリフテンへ夢を見て、新たな人生を始めようと移住してくる者達もいた。

 しかし実際は、蜂蜜酒醸造場の経営者であるブラックブライア家の汚職や、盗賊ギルドの暗躍が蔓延する腐敗の都であった。

 そんな町の一角に、住宅街の物陰から物音もなく現れたカジートがいた。彼の名前はレスと言って、盗賊ギルドの一員だ。

 

 彼はリフテンの中央広間を通り過ぎ、宿屋ビー・アンド・バルブへ入っていった。

 アルゴニアンの女キーラバが経営する宿屋で、この前レスは、彼女から借金を脅して取り立てた事があった。レスがカウンターに佇む彼女にニヤリと笑いつつ会釈すると、レスの思った通り、彼女は冷たい瞳と怒りの表情を彼に向けた。

 レスはその事を気にもせず、二階へ続く階段を登っていった。二階へ上がり、客用の部屋の隣にポツンと一つ置かれているテーブルへ目をやると、浅黒い肌をしたインペリアルの女性が席についていた。彼女の名前はメイビン・ブラックブライアであり、彼女こそ、この町を影から支配する、ブラックブライア蜂蜜酒醸造場の経営者だ。

 レスは、彼女から盗賊ギルドの依頼を受けに来ていた。

 

「なるほどお前ですか、あまり頼もしそうには思えないのですが」

 

 彼女はレスを見て不機嫌そうにそう漏らした。

 

「レスは確かに腕っ節は弱い。だが代わりに、隠密行動や弓が得意だし、魔法も結構使える。必ず貴女の役に立つだろう」

 

「ふむ、たいした自信のようですが、口ほどの事はあるのですか?」

 

「結果でお答えしよう」

 

 彼女は表情こそ不機嫌だったが、満足そうに頷くと依頼内容と最初の指令について話し始めた。

 依頼は、ホニングブリュー蜂蜜酒醸造場の秘密のパートナーの手がかりを探し出すこと。

 指令の内容は、ホワイトランに行くこと、そしてバナード・メアという宿屋でマラス・マッキウスという男に会う事だった。詳しいことはその男から聞くことができると彼女は言って、話を終えた。

 

 レスは言われた通りホワイトランに向かった。

 

 レスはリフテンの馬車を雇い、ホワイトランの町へとたどり着いた。町内へ入ろうとすると、レスは衛兵から止められた。まさか盗賊ギルドであることがバレたのか? と一瞬身構えたレスだったが、衛兵が口にしたのはなかなかに興味深い話だった。

 

「止まれ! 街はドラゴンどもの接近により閉鎖中だ。公用以外では通せない」

 

 ドラゴン。古にて猛威を振るったと言う伝説の存在。非常に気になる話だとレスが思うと同時に、瞬時にこれは使えると考えついた。

 

「そのドラゴンについて報告がある。通してくれ」

 

「そうなのか? わかった、通ってくれ」

 

 ホワイトランの大門を抜け、真っ直ぐ歩いて行くと、突き当たりに宿屋バナード・メアがある。

 

(ここがバナード・メアか。ビー・アンド・バルブよりこじんまりしているが、あそこより綺麗に感じる)

 

 そんな事を思いつつ店内を探すと、奥のテーブルに怪しい男がいた。おそらく彼だろうと、長年の経験から判断したレスは彼に声をかけた。

 

「静かに飲ませてもらえないか?」

 

「盗賊ギルドの者だ。マラス・マッキウスか?」

 

 最初レスを警戒していたが、そう答えると警戒を解き、彼は依頼内容について話し始めた。

 

「ホニングブリューの所有者サビョルンは、ホワイトラン衛兵長の為に試飲会を開こうとしている」

 

「毒があるのか?」

 

「いやいや、それがこの計画の素晴らしいところさ──」

 

 彼の話をまとめると、害獣(スキーヴァー)に悩まされているホニングブリューの駆除の仕事を受け、それ用の毒を貰い、それを酒樽に入れると言うものだった。

 

 レスはふと気になって聞いた。

 

「いい計画だ、しかしお前、そこで働いているんじゃないのか? 情はないのか?」

 

「サビョルンから金を借りたのさ、返済させて貰ってはいるが、身を粉にして働かされてる。蜂蜜酒醸造場のありとあらゆる不快な仕事をな。情なんてないし、この計画が成功すれば、あの醸造場は俺の物になる。こんなチャンスないだろ?」

 

「そうだな」

 

「メイビンと数週間かけて計画した。あとはお前がやり遂げるだけだ。早く行け、サビョルンが知恵をつけ、他の誰かを雇って汚れ仕事をさせる前にな」

 

 ホニングブリュー蜂蜜酒醸造場につき中に入ると、不機嫌そうに顔を歪めた男が立っていた。

 

(こいつがサビョルンか、毒を貰うんだったな)

 

「何をポカンとしている? そこの汚い猫、困っているのがわからないか?」

 

(なるほど、都合がいい性格だな)

 

 サビョルンの態度にレスは怒ることもなく、淡々と対処していく。

 

「何に困っているんだ?」

 

 勿論原因はわかっていたが、ここは敢えて聞く。

 サビョルンはあたりに散らばったスキーヴァーの糞や土を指差して言った。

 

「何だって!? この有様を見てみろ! どうやら害獣がいるらしい。今日、衛兵長のために、ホニングブリュー・リザーブの新酒の試飲会を開く予定なんだ。だがハチミツ醸造所のこの有様を見られたら、もうお終いだ……」

 

「その話、レスが力になってやってもいいぞ?」

 

「本当か! 駆除してくれ。仕事が済めば金は払う」

 

「今払ってくれ」

 

 レスは疑われる可能性を少しでも減らすため、少し金にがめつい男を演じる事にした。

 

「なんだと?」

 

「外でスキーヴァーがいると叫んでもいいのか?」

 

「わ、わかった。半分は先に払う。残りの報酬は仕事が終わった後だ」

 

 サビョルンはレスに金を渡した。

 払われた金は500ゴールドと、なかなかの大金だった。

 

(半分で500ゴールドか。盗賊ギルドがいかにケチかわかった気がするな)

 

 前回の仕事はレスにとってもかなりの大仕事だった。傭兵で固められたブラックブライア蜂蜜酒醸造場での盗みと蜂箱への放火だ。かなり苦労したが、ギルドから支払われた報酬はたったの100ゴールドだった。こんなネズミ退治で1000ゴールドも貰えるなんて、ラッキーだとレスは思った。

 

「ほら、これが駆除用の毒だ、巣に撒いてくれ。お前が仕事をしている間に私はここの掃除をしておく。早く仕事にとりかかれ!」

 

「わかった」

 

 巣があると言うホニングブリューの地下へ行くと、早速スキーヴァーがお出迎えしてきた。

 

 

 スキーヴァーは素早く、防御の低いレスは攻撃を食らう前に倒す必要があった。

 

「使い魔ども、いけっ」

 

 レスが召喚魔法でオオカミのような使い魔を召喚する。

 彼らは弱いが、マジカ消費が低いので、彼らが攻撃している間に自然回復したマジカで、永続的に出し続けることができる。

 

(このスキーヴァー、強い上毒を持っている。体力が半分ほど持っていかれたぞ)

 

※実際はこの時点で二回死にました

 

 レスは持参してきた回復の薬(小)を2つ消費し、体力を回復した。

 ホニングブリューの地下は、壁に開けられた穴から深くまで広がっていた。

 おそらくこの先にスキーヴァーがうようよといるのだろう。

 

 スキーヴァーごときの攻撃でも深手を負ってしまうレスだが、レスの本来の強みは隠密にある。最初の奇襲では痛い目を見たが、以降は隠密行動しながら召喚した使い魔や炎の精霊に攻撃させ、時折弓で応戦と言った方法で、スキーヴァーやスパイダーを倒していき、一番奥に隠れ澄んでいた強い魔術師も倒す事に成功した。

 

※魔術師は意外と苦戦しなかったが途中バレやすい上にスキーヴァーがいっぱいいるところがあってそこで10回ぐらい死んだ

 

(まったく、こんな話聞いてないぞ)

 

 

 魔術師の持ち物から有用そうな物を剥ぎ取りながら、レスは思った。

 

 洞窟の奥で見つけた道は、ホニングブリューの別棟に繋がっていた。そこにはレスの本来の目的である酒樽があり、そこにスキーヴァー退治用の毒を入れると、レスは何食わぬ顔でサビョルンの元へと戻るのだった。

 

「仕事が完了した、報酬はどうなる?」

 

「少し待ってくれ、今カイウス指揮官が試飲に来ている。報酬はその後でいいだろう?」

 

 見ると、黄色い制服を着た偉そうな男が椅子に座っていた。

 

「さて、サビョルン。疫病の問題は解決したようだし、ハチミツ酒を味見させてもらってもいいかな?」

 

 さっきレスが毒を入れた樽は、ここのサーバーと繋がっていて、蜂蜜酒が直接運ばれる仕組みだ。(勝手な想像です)

 これから起こることを知っているレスと、隅に佇んで様子を伺っているマラス・マッキウスは、思わず顔をニヤリと歪めでしまいそうだったが、すんでのところで堪えて様子を見守った。

 

「さあどうぞ。これまでで最高の醸造酒です。ホニングブリュー・リザーブと名付けました。きっとご満足いただけるかと」

 

(ホニングブリュー・リザーブ。幻の一杯になるな)

 そこでレスは堪えきれず口を歪めてしまったが、幸い皆の視線はホニングブリュー・リザーブに集中しており、それを見たものは誰も居なかった。

 

 サビョルンに勧められるがままに、カイウス指揮官は毒入りのホニングブリュー・リザーブを口にした。

 それからいちを数える間も無く彼は異常に気付いた。

 

「げほっ、ごほっ! 何だ? 一体、何が入っているんだ?!」

 

「わ、分からない! 何なんだよ?」

 

「この場所は清潔だって言ったじゃないか! 今日は、ずっとつないだままにしてやろうか!」

 

「やめてくれ! 一体なぜ?!」

 

 それからは狙った通りにサビョルンはお縄となり、カイウス指揮官に連行されていった。カイウス指揮官の命により、ホニングブリュー蜂蜜酒醸造場の所有はマラス・マッキウスの物となった。

 

「こんなにうまくいくとは思わなかったぜ」

 

「で、サビョルンの秘密のパートナーの件についてだが」

 

「ああ、これが鍵だ。彼の寝室を調べてみるといいんじゃないか」

 

 サビョルンの寝室の化粧台にてそれらしい手紙を発見すると、それを取ってレスは醸造場を出た。

 そこでレスは気付いた。

 

「あ、残りの500ゴールドを貰ってなかった」

 

 しかし、もうサビョルンはカイウスに連れられて行ってしまった。

 少し残念に思うも、気を取り直してレスはリフテンへ戻るのだった。

 



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