ソードアート・オンライン 二つの意思を継ぐ者   作:せりりーぬ

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オリキャラ過多で申し訳ないです。
自分自身ソードアートオンラインは原作読んでないので至らない点があるかと思いますが、オリジナルの作品だと思って読んでもらえると幸いです。


ハジマリ ハ イツモノバショデ

 

 

 夏がやってくる。

 五月の気温は猛暑のそれのように体温を上げて、日差しは私の白い肌を針のように刺す。普段から外出の少ない私にとってこれは好ましくない状況だ。

 モノレールに乗ってしまえばなんてことはないが、そこまでの道のりが私を億劫にする。さらに追い打ちをかけてくるのが現在の時刻だ。

「急がないと遅刻です、このか!」

 耳元で声がする。いつもつけているヘッドホンから聞こえる声は私をイラつかせる。

「そんなことわかってるよ!だから走ってるじゃん!」

 思わず強く言ってしまう。ヘッドホンの向こうにいる姉に強く当たってしまう。いつものことだけれど、いつものようにこんな自分が嫌になる。どうせAIなのだからとか、学校行かなくていいよね、なんて皮肉を考えては自己嫌悪に陥る。そんな毎日を送っている。

 

 なんとか遅刻を免れる時間帯のモノレールに乗ることができた。やはり乗り物はいい。外の温度を忘れさせてくれる涼しい風が、流れた汗を乾かしてくれる。

「今日もぎりぎりだね、このか」

 よっ、と肩に手を置き挨拶をしてくる女子生徒がいる。これもいつもの光景。

「おはよ、“ゆうき”」

 彼女とは中学からの付き合いだ。明るくていつも元気な少女、人望もあり成績優秀。この少女ゆうきもまた私が私を嫌いな理由の一つだ。比べてしまうのだ。そんなことは口が裂けても言えない。

「お姉ちゃんもおはよっ。毎朝大変だね」

「あ、ちょっと待ってカメラつけるよ」

 そういってヘッドフォンをつないでいた端末をゆうきに向ける。

「あ、ユウキさん。おはようございます!」

「おはよっ!昨日は楽しかったね!」

「はい!ギルドの皆さんと一緒に討伐できてよかったです!」

 姉はAIでいつも仮想世界にいる。PNは「YUI」、AIなのになぜゲームを?といった疑問はもう忘れるようにしている。ゆうきもまたゲーマーで、いまはユイとともに今大人気のゲーム『Godlit fantsy』を遊んでいるそうだ。

「このかもくればいいのになー」

 このセリフは何度も聞いた。そのたびに私は

「いいよ、私は。そういうの苦手だし」

 何百回と繰り返されてきたこの会話をしながらいつものように学校に向かう。私はVRの世界なんて興味ない。現実世界すら好きになれていないのだ、そんな素晴らしいw世界を知って決まったらきっと――

「そろそろ降りる駅に着きますよ、このか」

 お姉ちゃんの声がして、「行こっ」といつもの笑顔で私の手を引くゆうきの姿がまぶしくて私はいつもみたいに私を殺して生きていく。

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 学校には何とか間に合い何事もなく一日が過ぎていく。その間お姉ちゃんにはいつも勉強に集中したい、という理由で端末に現れないようにしてもらっている。休み時間にはなにも流れていないヘッドホンをつけて一人本を読むような生徒だ。入学した当初は話しかけてくれていた子も、いまではグループが出来上がり私には話しかけてこなくなった。それでいい、と私は思う。私は一人が好きなのだきっと。

 その日私は初めて授業をサボタージュした。理由は特になかった。さっき読んでいた本が気になるところで終わってしまったとか、理由はそれくらいでよかったのだと思う。

 授業が始まる少し前教室を抜け出して昼休みにいつもいる場所行くことにした。

「急げ!体育間に合わないぞ!」という元気な声を尻目に屋上へ向かう階段を上がっていく。カギはいつもかかっているが、不用心な先生がカギを隠している場所を知っている私は難なく屋上へと出ることができる。

 その日はなぜかカギはかかっていなかった扉をあけ太陽の日が私を照らす。その瞬間強い風が吹いた。腕で日を遮り、目が外の景色に慣れるまで時間がかかってしまった。私の定位置は屋上の入り口から出て右側の日陰。風が吹いているため暑さが和らぎ心地の良い場所だ。いつものように歩を進め、その場所を見る。

 

 そこには涙を流す一人の男の子が座っていた。

 






如何だったでしょうか。これから原作キャラもできるだけ登場させようと思っていますが、その多くがキャラの子供であったりするかもしれません。そのほうが書きやすいので。

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