あなたを愛してるって、伝えたかった   作:ポロシカマン

12 / 25
許されたい気持ちは間違いなのかと、伝えたかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──さてイノエラ、君を外に出すことを許可したのは何も、知見を拡げてもらうことだけが目的ではありません。

 

 ──知っての通り、君の体は通常人が生命活動を維持するのに必要な種々の栄養素の他に、飢餓衝動を抑え、真なる融合症例へと『神化』するため聖遺物に連なるものを摂取する必要があります。

 

 ──そして君を『神化』せしめる物のうち、最も栄養価の高い食材こそが……立花響の心臓なのです! 

 

 ──最優先に手に入れるべきはもちろんそれ。……後はシンフォギア装者の持つアメノハバキリ、イチイバルのペンダントなど聖遺物由来のアイテムたちも、余裕があれば手に入れてください。……やれますか?

 

 

 はい!! イノエラはやってみせます……

 先生のご期待に、応えてみせます!!

 

 ――素晴らしいッ!!その意気です……!あ、そうそう。同行する暁くんと月読くんも、他ならぬ君の頼みなら、快く協力してくれることでしょう。目いっぱいこきつか……仲良くなることを推奨します。

 

 わかりました!! 

 

 ――よろしい!では、行ってらっしゃい。こちらも色々と楽しいものを用意しておきますよ……。

 

 

 

 

 

 

「じゃじゃん!到着デェス!」

 

 やって来たのは、翼様を初めとした、あの三人のシンフォギア装者さんがいるという場所。

 なんだか入り口からたくさん人がいて、すごく賑やかですね。ドキドキしてきました!

 

『おぉ……人間がこんなに集まっている街は久々だな』

 

 ネフィルさんは初めてではないんですね。

 

『あぁ。しかし、ここまで多様性に富んだ人間たちが一同に会するところを見るのは初めてだ』

 

 ははぁ……とすると、昔の人類ってもしかして、みんな同じ顔だったりしたのでしょうか?

 

『どうだったか……すまない。封印を解かれる前のことはほとんど覚えてはいないのだ』

 

 そんな……ネフィルさんは大丈夫なんですか?

 

『問題はない。情報の記憶は確かにないが、感情の記憶はあるからな』

 

 感情ですか?

 

『あぁ。……君の記憶がくれた言葉たちの中に、丁度その感情を表現できるものがある』

 

 それは……?

 

『───さ』

 

 

 

 

 

「──イノエラ、イノエラ?」

「!?」

 

 はっ、調ちゃん!

 あわ、あわわ、わたしまたネフィルさんとのおしゃべりに夢中になりすぎてしまいました!

 

「また『ネフィリムの意思(アイツ)』と脳内会議デスか?」

「大変だね……二重人格」

 

 はいぃ……またお二人に迷惑を……。

 

《すいませんでした》

 

 タブレットを使い、それを見てもらうことで謝ります。こんな形でしか謝意を伝えられないのが心苦しいですが、今はこうするしかありません。

 

「別に謝らなくていいんデスよ!」

「うん。自分じゃどうしようもないことってあるよ」

 

 うぅ、お二人の優しさがあったかいです……

 ネフィルさんにも、勝手におしゃべりを中断してしまって申し訳ないです……

 

『構わんさ』

 

 いつもすいません……

 

『なに、私とはいつだって話せる。今は今しか深められない仲を深めるといい』

 

 い、いいんですか?……許してくれるんですか?

 

『あぁ。何かあれば起こしてくれ。私は眠っている。

 君は彼女たちと楽しむといい』

 

 ! ……ありがとうございます!!

 

『うむ。おやすみ、イノエラ』

 

 おやすみなさい、ネフィルさん。

 

 ……今はこれでいいかもしれないですけど、今後のネフィルさんとのおしゃべりはどうするか、いい加減ちゃんと考えないといけないですよね……どうしましょう。

 

 て、いけませんね。ここは自分のことよりお二人とのおしゃべりに集中しないと!せっかく一緒にお出かけしてくださるんですもんね!

 

「──そーいえばデスけど、イノエラのその服はどこから来たんデス?」

 

 あ、この服ですか? この服はですねぇ……なんと!

 

《マリアさんからの

 おさがりです!!》

 

「なるほど……言われてみればマリアっぽい」

「デスデス!」

 

 私もまさかここまでしていただけるとは思わなくて……最初はとてもいただけませんって突き返しちゃったんですよね……

 でもマリアさんが、

 

 

 ──もうこれを私が着ることはないわ。肉体的にも精神的にもね。だから、今これを必要としてるイノエラに着てもらえる方が、私にとっては嬉しいの。

 サイズ的も問題ないし……それに何より、あなたのそのシルクのように綺麗な白い髪とこの服がよく似合うと思うから……ほらぁ!やっぱり似合ってる!!かわいい~~!!アンティークのビスク・ドールみたい!!

 ね、写真撮りましょう!!写真!!ほーらこっち見……何しに来たのよドクター。ちょっ、入らないでッ!あっ、こらカメラ返しなさ、返せーーッ!!

 

 

 と言ってくださったので、お言葉に甘えてありがたく着させていただいています。

 

「ほほぉ、ちびマリアはこんな感じだったんデスねぇ……なんというか、おとぎ話の妖精さんのようで……メルヘンかわいいデスね!」

「メルヘンはそういう風に遣う言葉じゃないよ切ちゃん」

「何を今さらッ!言葉なんて雰囲気でわかればいいんデース!!」

「(切ちゃん……気持ちはわかるけど、それを言ったら色々と問題な気がするよ……)」

 

 ちなみにこの『写真』というものなんですが、無事、先生ともご一緒して撮れました!

 ……マリアさんの普段は見られない変なお顔が特徴のとても貴重なもの。わたしたちの大切な宝物です!

 

「……む!」

「切ちゃん?」

「感じないですか二人とも……この香しいものを!」

「!?」

 

 言われてみれば……なにかとても……甘いようなしょっぱいような……

 

《いいにおいがします!》

「イエース!!」

「あの、切ちゃん?」

「ふっふっふ……持っててよかったウマイもんマップ!……これは制覇せずにはいられんデスよ!!」

《いいんですか!?》

「行かないでかッ!!」

「待って、待って」

「なんデスか」

「二人とも何か忘れてない?」

 

 よだれが出てきた私の横で、調ちゃんが待ったを掛けます。

 ……そうでした!!私たちには本来の目的が!!

 

「ふっ……忘れるわけないじゃないデスか調ぇ。

もちろん『立花響(アイツ)』と『ペンダント』の奪取もするデスよ……でもそれには居場所の特定が不可欠、ならばこのウマイもんマップに沿って、学校の隅々まで洗い出すのが最も効率的なのデスッ!!」

 

 な……なるほどぉ!!

 そういうことだったんですね切歌ちゃん!!

 

「本当?」

「もちろん!」

「本当に本当?」

「はぁい!!」

「任務にかこつけて豪遊したいとかじゃなく?」

「…そうデス!!」

 

 ちょっと間がありましたね。

 

「……じぃ~~~~ッ」

「!?」

 

 調ちゃんが、とても鋭い眼差しを切歌ちゃんに送ります。……これはあれでしょうか。

 刑事ドラマで、刑事が容疑者を追い詰めるシーン特有のあれなんでしょうか!?……ドキドキですね!!

 

「~~ッ! 本、当ッデス!!」

「…………」

 

 ちらりと、一瞬だけ調ちゃんに見られたような気がしました。

 

「そこまで言うなら。いいよ」

「……やったーー!!」

 

 調ちゃんの許可が下りました!

切歌ちゃんと手を叩いて、喜びの分かち合いです!

 

「そうと決まれば一直線!!まずはあそこのおうどんから行っちゃうデース!!」

「待って切ちゃん!最初にコナモノは胃もたれしちゃ……もぉ」

 

 切歌ちゃんが颯爽と走っていってしまいました。

 

「仕方ない切ちゃん……ごめんね、イノエラ」

《なにがですか?》

「切ちゃんね……本当はずっとイノエラとこういう風に遊びたがってたんだ」

 

《ほんとつめふな》

 

「……『ほんとうですか』、かな」

 

 頷く。――タブレットをを打つ指が、震える。

 

「それでね……少し、じゃないくらい浮かれてるんだよ。……あんなに楽しそうな切ちゃん、久しぶりに見た」

《それはよかたです》

「イノエラのおかけだよ」

 

 調ちゃんが、わたしの手を取る。

 

「私もね、すっごく楽しいよ……切ちゃんと、イノエラと一緒だから」

 

 笑顔。

 

 笑顔です。

 

 調ちゃんの、笑顔。

 

 初めて見る、笑顔。

 

「イノエラは、どう?

 ……私たちといて……楽しい?」

 

 ――タブレットを叩く。

 今度は打ち間違えないように。

 ちゃんと、気持ちを全部伝えられるように。

 

 

《たのしいです》

 

《しらべちゃんと

 きりかちゃんが

 やさしいから

 きょうはとっても

 たのしいです》

 

 

「…………ッ」 

 

 調ちゃんは、泣いていました。

 

「…………よかったぁ……」

 

 涙をぽろぽろ、ぽろぽろと、静かに流して、泣いていました。

 

「私たち……あなたに……」

 

 気が付けば、抱きしめられる。

 

「ひどいことだけじゃなくて……ちゃんと……!」

 

 わたしも、調ちゃんを抱きしめる。

 

 

「ごめんね……ずっと……逃げてて……ごめんね……」

 

 

 どうして謝ってくれるのかは、わからなかったけれど

 

 でも、調ちゃんを抱きしめたかったんです。

 

 

「ありがとう……イノエラ……」

 

 

 抱きしめないといけないような気がしたんです。

 

 そうすることが、わたしの役目だって、そう思ったから―――。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。