fate/Tiba-si night   作:d d

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放課後の教室で彼は彼女に世話をやく

決闘のルールを決め終わった俺は平塚先生と廊下を歩いていた。

「すまんな比企谷、いきなり決闘何て言い出して」

すると先生がそんな今更すぎることを謝ってきた。

「どういう意味です?」

「葉山があんなことになっただろう、少し後悔していてな」

「葉山ですか?」

「ああ、本人が望んだこと、それも正確ではないんだが…」

先生は何事かを言い淀む。

「あいつは周りの期待に応えるやつですからね」

「はは、それもあるが魔術師の家系ってやつは個人よりその家が培ってきた魔術を優先する傾向にあるんだ。そしてその家で産まれた子供達は、小さい頃からその教えをそばで見て、自然とそれに自らを染めてしまうんだ」

「先生はそうは見えませんが」

「私の家は魔術師としては平凡以下だからな。運が良かったとも言えるが。そういう考え方は古くからある名門に多いんだ。それこそ葉山や雪ノ下のようなな」

「案外世知辛いんすね魔術師って」

「ああ、だから葉山の件もあまり納得しきれなくてな。だからお前達の決闘を促したのも私なりの、まあ、ちょっとした悪あがきだ」

「悪あがき?」

「決闘の後は同盟を結ぶことになるだろう。その間はお前達二人で争わずにすむ」

成る程、確かにそれは悪あがきだ。例え同盟を組もうと最終的な敵対者であることに変わりはないのだから。

「それに、私は君に期待してもいるんだよ」

「…」

「君はマスターでありながら魔術師の世界に染まっていない。まあ、一般的な世界にも染まっていないが」

おい、俺のしんみりした気持ちを返せよ。

「だから雪ノ下が君に関わることで何らかの影響を受けないかとね」

「あいつが周りの影響を受けるとは思えませんが」

「それが彼女の良いところでも悪いところでもある、それは君にも言えることだが。君たち二人はとてもよく似ている」

人は善でも悪でもなければ、それを見る周りの価値観ですらしっかりとした基準があるわけではない。

だからこそ俺も雪ノ下もせめて自分だけは確あろうとしているのではなかろうか。

だからこそ誰に影響も受けられずにいる。ならば俺たち二人だったら?何かが変わるのだろうか?

「何はともあれ、先ずは今夜の決闘に備えたまえ」そう言って先生は職員室へと消えていった。

先生と別れて俺は一人廊下を歩く。

ふと、一つの教室が目に留まった。普段なら放課後はリア充やリア充擬きが、ガヤガヤと青春アピールにせいを出しているのだが、今日に限って、いや葉山が入院しているからか、我らが2年F組の教室は誰の人影もなかった。

そんな珍しい光景に引かれて、ボッチの人気のない空間を好む性質もあいまって、俺は普段なら入ることのない放課後の教室に足を踏み入れた。

机と椅子の間をぬって、窓際まで進む。

外の風景を見渡し、そのまま校庭を見下ろす。

そこでは運動部が忙しなくボールを追いかけたり、走り回ったりしている。葉山が所属しているサッカー部も活動していた。

今日の夜12時、ここで雪ノ下との決闘がある。

校庭の広さは縦横100メートル程。遮蔽物は無くはないが、ほとんどが端に寄せられ、主な戦闘は200メートルトラックの中で行われるのではないか。

それも苦手とは言わないが、セイバーはやはり色々な障害物を利用したセオリー無視の縦横無尽な戦い方が得意な筈だ。

何か役に立つものはないかと目を走らせる。

「ヒッキー?」

そんな俺を後ろで呼ぶ声がした。いや俺だよな?違ったら恥ずかしいぞ。しかしこの教室に人がいないのは確認済みなのでやはり俺のことだろう。

俺は後ろを振り向いた。

そこには明るく染めた髪を右上でお団子じょうに纏めた女子生徒がいた。

誰だったっけ?同じクラスの筈だが名前が思い出せない。だがその出で立ちから今時のジョシコウセイらしいことは察せられた。つまりは俺の敵である。

「その、何、見てたの?」

女子生徒は続けて問いかけてくる。

「別に」

「そ、そか、なんか真剣に見てるみたいだったから」

彼女は手持ちぶさたなのか、頭に乗ったお団子をくしくしと掻く。

これ以上話していても無駄だろう。

俺は窓際を離れ、教室を立ち去ろうとする。

「あ、…ヒッキー、この後隼人君の家にお見舞い行くんだけど、良かったらヒッキーも…」

「葉山んちに行くのは止めとけ」

「そうだよね、ヒッキーが行っても…え?」

ちっ、しまった、葉山の名前に思わず反応してしまった。

それにしてもこいつ、何の為に俺なんかを誘うのか。

突然の忠告に女子生徒は驚いたようだが、それでも話を再開させる。

「どうして?」

訝しげな表情を向けてくる。しかし聖杯戦争のことなど言える筈がない。

「先生が話してるのを聞いたんだ。あいつは今実家にいるから、たぶん意味ないぞ」

「そっか、隼人君独り暮らしだもんね。教えてくれてありがと、ヒッキー」

そう言って女子生徒は笑顔を見せる。

どうやら誤魔化せたようだ。

「じゃあ、俺はもう行くぞ」

「うん、ヒッキーはやっぱり優しいね」

何を言ってるのかわからなかったが大したことでもないのでそのまま俺は教室を後にする。

「また来週~」

使い降るされたアニメの予告みたいな声が聞こえてくる。

来週か。葉山が脱落したのだ俺もいつそうなるかわからない。

俺は後ろ手に右手を振るにとどめた。

 

 

 

 

 

 

 

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