fate/Tiba-si night   作:d d

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閑話 とある会議と決戦前

interlude 5-1

 

「今日のところは留守場してなさいって言ったでしょうが、このアンポンタン!死にたがり!」

「悪かったって遠坂、反省してる。すっごく反省してるから。でも死にたがりは酷いぞ」

俺だって別に死にたいわけではない。

千葉市郊外にある一軒家のリビングで俺は絶賛説教され中なのだった。

「たくっ、こんなよくわからない事で死んでられないっての」

確かに一理あるが、いくら一度経験したとはいえこれは聖杯戦争なのだしちょっと油断し過ぎではないだろうか。

だがこれは言っても聞かないだろうし、俺がサポートしなければ。

「でも遠坂も無事で帰ってきてくれて良かった」

「はぁー!?人の事より自分の心配でしょうがあんたわー!」

「いや、そっちも戦闘があったんだろ?」

「別に問題無いわよ、あんたがピンチだっていうから切り上げてきたっていうのにどこにもいないし」

なんだかんだ言ってやっぱり遠坂はやさしい、面倒見がいいと言うべきか。彼女にとって敵前逃亡はどしがたいはずだが、それでも俺のことを探し回ってくれたらしい。

だがそれが不可解でもある。俺は家の近所にいたのだし、探せば直ぐに見つかった筈なのだ。

「まあ良いわ、話を先に進めましょう。最近は身を潜めてると思ってたんだけどなー」

こうしてしっかりと目標に向かってくれるのが遠坂の良いところだ。最後の言葉の意味はよくわからないが。

「それじゃあ、まずは士郎から聞かせてくれる?」

「ああ」

俺は昨日の出来事を順番にできるだけ細かく伝える。遠坂はそれを眉をピクピクさせながら聞いていた。

「声が聞こえた?」

「ああ、それで固有結界がつかえたんだ」

「魔力を供給した?誰が、何の為に…」

それは俺にもよくわからない。

「バーサーカーを倒してほしかったからとか?」

「それはそうかもだけど、士郎の固有結界の能力を何で知ってるのかしら?」

確かにそうだ。固有結界を使えるというだけでなく、それがバーサーカーの天敵になるという事も知っていたということになる。

「けど正体を絞ることはできるわ。パスも繋がず魔力の譲渡ができるなんてそうとう魔力操作が得意でないと…」

そこで遠坂が何かに気づいた様子で声を詰まらせる。が首を横に降りそれを自分で否定したようだ。

「じゃあ、そいつはキャスターかもしれないな」

「そうね、そしてこの不可解な聖杯戦争の首謀者である可能性も高いわ」

「?なんでさ?」

「いい?今回の聖杯戦争は始まることすら知らされていなかったのよ。つまり7人が集まることすら難しかったの。なら当然首謀者が有利に進められる筈でしょ?」

成る程、今現在もっとも状況を把握してそうなのは、俺に魔力を譲渡した人物ということか。

「けどセイバーとバーサーカーのマスターも数合わせには見えなかったぞ」

バーサーカーのマスターは、…イリヤを探していたし、セイバーのマスターであるあの少年も戦いにとまどっている様子はなかった。

「そっそれは、きっとたまたまよ、たまたま!」

遠坂は見るからにとまどっている。それとたまたま連呼されると少しいたたまれない。

「とわいえ私が戦った子も優秀だったし、あーもう訳わかんない!」

遠坂は諦めて癇癪をおこす、しかし優秀と言わせるとはそのマスターはなかなかの手練れのようだ、しかもその子ということは俺達よりも年下だということか。セイバーとバーサーカーのマスターもたぶん年下だろうし、あれから2年しかたっていないというのになんだかおじさんになった気分だ。

「そういえば、まだ遠坂の話を聞いてないぞ」

「そうだったかしら、私の相手は高校生くらいの女の子で「目の前に戦いがあるから戦う」って言ってたわ」

それはまたどこかで聞いたことのある台詞だ。

その女の子は目の前の赤い悪魔のように恐ろしくて、悪知恵がきいて、とても魅力的な人物なのだろう。

遠坂の表情もわりと傷ついて帰ってきたのにどこか晴れ晴れとしていた。

 

interlude out

 

時刻は現在夜の11時、雪ノ下との決闘を考えるとそろそろ家をでたほうが良いだろう。

かの巌流島での決闘で宮本武蔵はわざと遅れることで佐々木小次郎の勝ち気を削いだというが、此度はセルフギアスクロールなるもので12時までに校門を潜らなければ負けになってしまう。

「おい、まさか行かねぇってんじゃねぇだろうな」

セイバーがしびれをきらしてそうきいてくる。

一応サーヴァントが潜ればいいことになっているので必ずしも俺が行く必要はない。

「いや、そろそろ出る」

「…ならいい」

昨日と同じように窓から外に出る。

夜の闇はいつもより暗く感じられた。

本日二度目になる登校路を自転車で走る。近くのコンビニに止めそこからは歩きで学校に向かった。

その間もセイバーと会話をすることはない。

昨日からどこか彼女の行動に違和感を覚える。がそれはきっと俺の勘違いだろう。こうして聖杯戦争がらみのことではちゃんと会話できている。それは最初から変わらない筈だ。

こうして夜の町を二人歩いていても、それは一人と一人でしかなく、マスターとサーヴァントという関係に収まっているだけだ。

ただ機械のように足を動かし、校門の前までたどりついた。

そのまま会話もなく俺達はふたてに別れる。これからの作戦は事前に決めてある。

セイバーは校門を潜り、俺は離れたところのフェンスをよじ登って学校に侵入した。

校内に入ったことを悟られない為だ。

普段ならセイバーと離れるという自殺行為はごめんこうむるが、決闘のためなので仕方がない。

それに俺達は雪ノ下のサーヴァントにあたりをつけていた。今まで雪ノ下と話していたときセイバーはサーヴァントの気配を感じなかったという。セイバーがいることを知っているのだから雪ノ下がサーヴァントをつれていないわけがない。

つまりそいつは気配遮断のスキルを持つアサシンということになる。であれば少なくとも俺が奇襲で死ぬことはない筈だ。

もしかしたら気配遮断を自前で持っているのかもしれないが、そこはあえて無視する。

ひっかかるのはあの雪ノ下がアサシンという、言ってしまえば邪道なサーヴァントを選んだことだ。

しかもその上で決闘を受け入れたこと。単に挑発に引っ掛かっただけかもしれないが。

今更考えてもせんないことだ。俺は整備にでも使われるんであろう壁から生えた突起をつかんでボイラー室だか配電室だかの上に陣どる。そのまま身をかがめ双眼鏡で校庭を観察した。

既にセイバーは向こうの陣営と邂逅していて、そこには平塚先生、雪ノ下、そして見知らぬ男が立っていた。

その男は袴を纏い、手にはその身程もある長い刀を携えていた。その顔立ちは日本人のもの、遜色ないジャパニーズサムライだった。

というかあれはたまたま家で想起した佐々木小次郎ではないのか?

あの長刀は正しく物干し竿、正式には備中青江。

ヘラクレスはあまり実感がわかなかったが、その英雄の登場に若干こころ引かれるものがある。

しかしふと疑問に思う。あいつはアサシンなのか?それどころか自前でも気配遮断を持っているとは思えない。

まさか雪ノ下はサーヴァントをつれずにあの場にいたのだろうか?

しかもあの男をクラスに当てはめるならセイバーが正しいのではないか。しかし雪ノ下もセイバーのことをセイバーと呼んでいた。あれはフェイクなのか、それともまさか二人目のセイバー?!

そして雪ノ下が歴史の敗者をパートナーにしているのも違和感がある。

宮本武蔵を喚ぼうとして間違えたとか?

数々の疑問はいっこうに解決する様子はない。

けれどもうすぐ時刻は12時になろうとしていた。

とりあえず俺は佐々木小次郎の伝説をセイバーに伝え、じっと決闘が始まるのを待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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