fate/Tiba-si night   作:d d

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こうして此度の聖杯戦争も終結する

intelude 18-1

 

「やめろ!」

俺の声など聞かず直後アーチャーが矢を放つ。

比企谷を貫く前にセイバーがそれを叩き落とした。

一連の流れに皆もようやく状況を理解する。

「どけ、セイバー!その男は人類の敵だ!」

「はっ、お前が俺とやろうってか?」

確かに今のセイバーはただのサーヴァントでは勝ち目はないかもしれない。だが今の問題はそんなことじゃない。

「どういうことだアーチャー!説明しろ!」

「鈍い貴様にはわかるまい。この男はただ存在するだけで敵意を向けられるのだ」

意味がわからない。何で比企谷がそんなものにならなくちゃいけないんだ?

「そうだろう、凛?」

俺は遠坂を見る。その顔は優雅とは程遠く歪んでいる。

「そうね、おかしな話だけれど、その男が今はどうしようもなく憎いわ」

なっ!?いったいどうなってるんだ!?

「そいつはアンリマユを取り込んだことでその能力を得た。おそらく一度呪いに侵されたものは耐性ができるのだろう。だがそんなものはごく限られた人間だけだ」

「だから、何で比企谷がそんな事にっ…!?」

「比企谷君は私と聖杯の泥をかぶって、気がついたら…」

俺の質問に答えたのは雪ノ下さんだった。

「理由などどうでもいい。この男はいずれ全世界の人間から敵意を向けられる。いつここに核爆弾が飛んできてもおかしくはない」

「そんなの変だろ。だって、比企谷は何もしてないじゃないか!」

「それが問題なのだ!何もしていないにも関わらずその男は人類始まって以来の敵になっている。阿頼耶の守護者としてそういったものを排除してきた私にはわかる。世界はいかなる手段を用いたとしてもこの男を排除するだろう、回りの犠牲も省みずにだ!!」

そしてアーチャーは再び矢をつがえる。

「その前に私が殺す」

「やらせねぇってんだろ」

その前にセイバーがたちはだかる。

「ふざけるな、セイバー。貴様にもその男の呪いは効いている筈だ」

確かにそうだ、何故セイバーはそれでも彼の為に剣をとれるのか。

「こいつがムカつくのはいつものことだ」

セイバーの解答はそんなあっけないものだった。

そんなことで呪いをはねのけ世界を敵に回そうと言うのだ。

「無駄だ、聖杯戦争が終われば我々は消える。その男を守り続けることはできないぞ」

「やってみなきゃわかんねぇだろ」

セイバーの奔放さに、アーチャーは顔をしかめる。

「ちっ、ならば理想を胸に果てるがいい」

一触即発の二人。直後先程まで共に戦っていた二人はその刃を交わらせる。

「ゴメン、士郎。私はアーチャーにつく」

「スマナイ、比企谷…」

遠坂と平塚先生がそれに混ざっていく。

「どうする?雪乃ちゃん」

「…」

雪ノ下さんはまだ悩んでいるようだ。

彼女達は比企谷の呪いを受けていないのだろうか。

俺はどっちにつくべきなんだ。例えアーチャーや遠坂を倒しても、比企谷が死ぬまで新しい刺客が現れ続ける。倒す度に強大に、回りの被害を考えずに。

なら、比企谷を殺すべきなのか?それが正しい選択なのか?

その時俺達を乗せ雲の大海をいく船が大きく傾いた。

「何だ!?」

「アーサーが消えて制御者がいなくなったのね。ライダーは磔だし、この船落ちるわよ」

キャスターが悠長にそんなことを言う。

ガキィン、キィン!

こんな状況でも戦い続ける二人のサーヴァント。

くそ、どうすれば…。

直後、俺達を大きな魔力の奔流が襲った。

 

intelude out

 

気づくと俺はまた暗闇の中にいた。アンリマユを受け入れてからいったいどれだけの時間が流れたのだろう。時の概念もないここではわからない。だがおそらく俺は二度とここから戻れないのだろう。だとすれば時間なんてどうでもいいことだ。

すると目の前に何処かの映像が流れてきた。

そこに映っていたのは、俺に敵意を向ける世界中の人々。

俺への罵詈雑言が絶えず耳に入ってくる。

その全てが理由もなく俺に畏れ、憤り、怒りにかられている、それに疑問を持つ者は一人もいない。

それが俺の能力であるらしい。

だが良いこともあった。

俺の抹殺に協力することを条件に各地で平和条約が結ばれ戦争が終わっていく。

戦力とするために貧国に物資が供給される。そういったことで仕事にありつける人もいる。

例え巨大な敵が現れても人類は一つにならないだろうと誰かが言った。

だがそんなくだらない敵意すら俺は掬い取ってしまう。

そこには平和な世界が広がっていた。

おそらく、人類が文明を築いてからはじめての、誰も傷つかない世界。

そこは何かがかけている気がするけれど。

誰かがいない気がするけれど。

俺はそれに気づけなかった。

もう良い…。

俺がそう呟くと映像は消え元のまっ暗闇に戻った。

月明かりすら入らない本当の闇のなか俺はただただ漂い続ける。

もう意識も要らないと目を閉じる。

俺の世界は闇に閉ざされる。

比企谷八幡はそこで終わりを迎えた。

筈だった。

ぼんやりと口の周りが暖かいのに気づく。それが気になって俺は再び目を開けた。

そして俺は見えた、真っ暗な世界にうっすらと光が差し込んでいるのを。

それは俺の中にある輝き。力強くも眩くもない。けれど俺の心を掴んで離さないほんの小さな光。

俺はそれに手を伸ばす。決して届かないとわかっていても俺はそれが欲しかったのだ。

気がつくと目の前にはセイバーの顔があった。

世界は朝焼けの朱色の光に包まれているが、彼女の頬が紅潮しているのが確かに見てとれる。

「いったい何がどうなったんだ?」

俺は彼女に尋ねる。俺たち二人は海の上に浮かぶ小さな船に立っていた。周りには誰もいないのでそうするしかない。

「聖杯を使ったんだ、お前が呪いを吸いとったから普通に使えた。また汚れたかもしんねぇけど」

そういうことか。

「良かったのか?お前の願いは」

そう言うとセイバーは普段とは少し違う穏やかな笑顔を見せる。

「オレの願いはもう叶った」

セイバーがあまりにも満足げに笑うので俺もそれ以上は追求しない。

セイバーは俺を斬って得た力を既に失っていたが、それでも俺には彼女が代わらず輝いて見えた。

「たく、世話のやけるマスターだぜ」

「もうマスターじゃないけどな」

強いて言えば元マスターか。

「なら…、…ハチマン…か?」

恥ずかしそうにそう口にする彼女の姿になんだか俺まで照れ臭くなってしまう。

するとセイバーが光の粒になって消え始める。

どうやらもう御別れらしい。

それははじめから、出会ったときからわかっていたこと。

後悔はない。

ただ胸の中にほんの一抹の寂しさが覗くだけ。

「そうだ、一つだけ、伝えないと―――」

セイバーがそう言うと一迅の風が吹き、彼女の黄金に輝く髪を揺らした。

「――――――ハチマン、お前を愛している」

風が吹き抜けた時、そこに彼女の姿はなかった。

それが事の終わり。

此度の聖杯戦争の幕引きだった。

 

………………

 

「聞いてよハチマン、シロウってばほんとに朴念仁なんだからー」

「待ってください、私の話が先です!」

「はあ、少し静かにしてもらえるかしら?」

あれから衛宮と遠坂さんはロンドンに帰り、

聖杯の力で元気になったというイリヤはたまにこっちに遊びに来るようになった。

あと何故か一色も入り浸っている。

何故かといえば、俺もあれから雪ノ下の元で観察処分になり、こうして特別棟の例の部屋にとどまっているのだ、解せぬ。

雪ノ下の家も大変だったようだが今もこうして学校に来ている。

すると勢いよく部屋に一つだけある扉が開かれた。

「依頼者をつれてきたぞー!」

平塚先生が中に入ってくる。

「先生、ノックをしてください」

そして俺達は何故か「奉仕部」という活動を始めていた。

「あれー、由比ヶ浜先輩、どうしたんですかー?」

「な、何でまたいろはちゃんとヒッキーが…?」

どうやら俺への悪意は能力が消えるとよくわからない疑問になって、それもいずれは消えていくらしい。

「私はホウシブ?に、お願いがあって…」

「なんですかホウシブって、私聞いてませんよー」

お前は奉仕部じゃないからな。

そんなこんなで俺達の日常は続いていく。

戦いの日々の記憶を残して…。

 

 

 

 

 

 

 

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