fate/Tiba-si night   作:d d

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どうしてもライダーの言動は気持ち悪い

教室に入るといつものように淀みない動作で席につき、よみさしのライトノベルを開く。

文字に集中すれば周りの薄っぺらい会話を聞かずにすむ。

まあラノベも軽いって自分で言っちゃってるけど、つまりこうして一人本を読む俺も周りのやつらと同じで青春しているということだろう、うん。

いつものように授業が始まるのを待っていると、いつもと違って声をかけられた。

「ヒッキー、何読んでるの?」

それは明るく染めた髪を右上でお団子にした見るからに今時のジョシコウセイって感じの奴だった。

なんだ?こんな奴が俺に話しかけてくるなんて。ははーん、さては罰ゲームかなんかだな。もしくはキョドる俺の様子を見て楽しむとかそんなところだろう。

だが百戦錬磨のこの俺はそんなトラップには引っ掛からない。適当に話を合わせていれば向こうも引き下がるだろう。

「ごめんねヒッキー、なんかそういう流れになっちゃって」

するとその女生徒は俺の耳に手を当てるとゴソゴソとそんな事をいってきた。

吐息が耳に当たってこそばゆい。それになんで女の子って良い臭いがするんだろう。

しかも肘に何かが当たっている。これはあれだな。おで始まり、いで終わるおっぱいだ。

駄目だ、この攻めは強すぎる。俺の心はサレンダー寸前だった。

その時頭の中に何かが入ってきた。

「ユキノシタヲ コロセ」

「っ!?」

「ヒッキー?」

なんだこれは、雪ノ下を、殺せ?

頭が割れるようにいたい。まともに思考できない。

その間にも声はどんどん大きくなって俺の意識を蝕んでいく。

「ユキノシタヲ コロセ!」

「ユキノシタヲ コロセ!!」

「ユキノシタヲ コロセ!!!」

このままでは声に全てを奪われてしまう。思考どころか体の自由すらきかなくなって、おそらくこの声の通りにしてしまうだろう。

だが例えそうなっても俺に彼女を殺せる筈がない。

だが思い出す、昨日の様子を。

彼女は震えていた。倒れている青年にとどめをさそうとして。

その光景を思い出して俺は体に熱が灯るのを感じた。そして同時にあることを思い…出した!

手足に力をいれる。イメージするのはさんざん繰り返した魔力を物に流す事。俺はそれを自分の頭に実行した。

バチン。

直後、声は消え去り意識は元に戻った。

「ヒッキー?どうしたの?」

女生徒が心配そうに声をかけてくる。

まさか、今のはこいつがやったのか?

断定はできない。俺は目の前の女生徒といつも一緒にいる集団を横目で観察する。

どいつもこっちをちらちら見てはにやにやと笑っている。やはり犯人はわからない。ひょっとしたら元凶は一人ではないかもしれない。

「ヒッキー、ヒッキーてば」

その中で彼女だけが本気で俺を心配している気がした。

「悪い、ちょっと疲れてるんだ」

「もー、心配したじゃん」

そう言うと女生徒は戻っていった。どのみちここで騒ぎを起こすわけにはいかない。

その後はいつも通り授業を受けた。

昼休みになるといつものベストプレースに腰を下ろし、今日の戦利品を並べた。

「おいセイバー」

俺が呼ぶと光の粒からセイバーが現れる。

「どれが良い?」

彼女は少し考えるといくつかのパンを取り隣に座った。

俺も残りを取って口に運ぶ。

それからはテニス部の女の子のパコンパコンという壁打ちの音をBGMに一先ず午後に向けた栄養補給にせいを出す。

ふと横を見るとセイバーが金色の髪を揺らしながら美味しそうに購買のパンを食べていた。

その姿に見とれていると彼女と目が合う。

「…なんだよ」

「いや、うまそうに食うな、ただの200円のパンだぞ」

「うめぇんだからしょうがねぇだろ」

そう言うとセイバーはジャムの入ったパンを頬張る。

鼻の先にジャムがついている。

「ついてるぞ」

俺が言うとセイバーは鼻の頭を擦るが粘度の強いジャムはなかなか取れない。

俺はティッシュをとるとそれをぬぐい去る。

「…悪いな」

「大した事じゃねぇよ」

本当に大した事じゃない、誰でもできることだ。ただそれが俺だったというだけ。

すると校内放送が流れてきた。

《ピンポンパンポーン、只今校内に不審者がいるという情報が入りました。生徒の皆さんはその場から動かないでください。繰返します…》

不審者、まさかセイバーの事じゃないだろうな。

ひょっとしたら聖杯戦争がらみかもしれない。

体に緊張が走る。

しかしすぐ後に解決した旨の放送が流れた。

どうやら取り越し苦労だったようだ。

そのまま俺は午後の授業へと向かった。

ホームルームが終わると俺はそそくさと教室を後にし、特別棟の例の教室に向かった。

ドアを開けると前回と同じように雪ノ下がそこで本を読んでいた。キャスターの姿はない。彼女はちらとこっちを見ると再び本へと視線を落とす。

俺はもうひとつ置かれた椅子に腰を下ろした。

そのまま何もない時間が流れる。

そのまま俺も読書に耽りたいがそういう訳にもいかない。

「雪ノ下、少し話したい事があるんだが」

俺がそう言うと雪ノ下は本を閉じこっちに向き直る。

「何かしら?」

「実は今日の朝、教室で話しかけられたんだが」

「そう、おめでとう」

「いや、別にめでたくねぇだろそれくらい」

「あら、それを自慢しに来たんじゃないの?」

「ちげーよ、泣いた赤鬼か、俺は」

「それだと私が青鬼になるじゃない」

雪ノ下はまさに鬼のような顔で俺を睨む。はまり役だと思うが。

「そうじゃねえよ、そんとき頭に変な声が聞こえたんだ」

「声?」

「ああ、お前を殺せっておいやめろ、手を俺に向けるな」

雪ノ下は俺を始末しようとしていた。昨日あんなに震えていたくせに今は全く躊躇がない。それは本気じゃないからだと思いたい。

するとセイバーが現れて間にたった。

「冗談よ、話を続けてちょうだい」

「魔力を流したらそれは消えたんだが、どう思う」

すると雪ノ下がこっちに来て俺の頭に触れる。

そのまま少し撫でる。

なんだかすこしくすぐったい、何をしてるんだ?

「洗脳は完全に解けてるみたいね」

どうやら声の影響を調べていたらしい。

「貴方はその話しかけてきた人が怪しいと思っているの?」

「どうだろうな、俺は魔術の事はわかんねぇし、だからここにきたんだが」

「そうね…遠隔式の魔術なら結界に反応があるだろうし」

「じゃあ、やっぱりあの女が犯人か?」

「そうとは限らないわ、人伝に呪いをばら蒔くこともできるし、直接洗脳するなら比企谷君程度に破られるのはおかしいもの」

俺がなじられているが筋が通っているので反論できない。

悔しいぃ、ビクン、ビクン。

「ってことは裏に誰か居るのか」

「でしょうね」

俺を狙ったんじゃないとすれば、無作為に雪ノ下を襲わせようとしているのか?しかも一般人に。

それともそれは副次的なもので、呪いのかからない奴=魔術師を探す気なのかもしれない。だとすれば俺はばれてしまっただろう。

「失礼する」

すると平塚先生が部屋に入ってきた。

その顔はとても疲れているようだった。

「どうしたんですか先生?」

「うむ、まずはこいつを見てくれ」

先生がそう言うと横の空間が歪み、そして光の粒の中から大きな上半身裸の男が出てきた。

その男の登場に俺も雪ノ下も面食らってしまう。

だが驚くのはまだ早かった。

「デュフフ、いやー、若いおにゃの子だらけでここは天国ですなー、あ、男は死刑で」

なんかものすごくキャラの濃い奴がきた。

「先生、その男は?」

雪ノ下が青筋たてている。ピクピクしている。

「今回のライダーらしい、瀕死の状態で倒れていたのを拾ったんだ」

「オッス、おらライダー、好きなものは酒と女、嫌いな物はすかした男とババア、よろしくな!」

某大人気少年漫画の主人公めいた紹介をするがその中身は酷いものだ。

「ライダーの今のマスターは先生ということで良いですか?」

「ああ」

「今すぐ自害させてください」

「ちょ、雪乃殿~、早計に過ぎるでござるよー、拙者、結構役にたつぜ?」

そう言ってウィンクをするライダー。

「名前で呼ばないでくれるかしら?」

「あ、年下のおなごに睨まれると、拙者気持ちよく、あ」

なんだこの汚い材木座は、いや材木座がきれいなわけではないが、こいつに比べればキャラ付けが薄いと言わざるをえない。

「はあ、いったいどう役にたつというのかしら?」

雪ノ下は諦めたのかさっさと話を進めようとする。

「そりゃあもう戦といやぁ情報、情報といやぁ戦ってもんでござろう」

「さっさと話せライダー、それがお前を生かす約束だった筈だ」

「やれやれ、これだから婚期を逃した女はせっかちで嫌でござるなー」

「ああ?」

平塚先生の令呪が光輝く。

「ふん、殺すなら殺せ!ババアに従って生き恥さらすくらいなら死んでやらぁ!」

「そうかよくいったライダー」

マジか、ここでまさかのハラキリショーが始まるのか!?

「ライダー、身なりを正せ!」

「ぎょえー!?」

しかし先生の命令はそんな物だった。だがライダーはこの世の終わりみたいな断末魔をあげる。

ライダーは一旦消え、直後現れた男は全くの別人だった。

その装いはパリッとしたスーツを着こなし、髪は綺麗に七三訳されているが、最後の抵抗か、髭は整えられただけだった。

「酷いでござるー、拙者のアイデンティティーが…」

「乙女の純情をもてあそぶからだ」

どこに乙女がいるのかわからなかったが、今口に出すのは憚られた。

するとライダーはネクタイだけ外して、しくしくと話し始めた。

「拙者、ある時マスターとおかしなババアが話してるのを聞いたでござるよ。そしたら拙者を売り渡すって言うじゃない。だからマスターボコって逃げたでござる」

それはライダーの身の上話だった。

「そしたらババアのサーヴァントが追いかけてきて、拙者を痛め付けたでござる。で、宝具を渡して見逃してもらったというわけで候う」

「宝具って渡せる物なのか?」

「えー、あーうん」

他と態度が全く違うがむしろよかったと言える。

「それのどこが役にたつ情報なのかしら?」

「もー、気が早いでござるよ、大事なのはこ、こ、か、ら」

ちっ。

またしても雪ノ下がお怒りになっている。もう俺帰ろうかな。

「なんと、拙者のマスターは葉山隼人、そしてアーチャーのマスターは遠坂という赤いコートの女でござる!」

後者は名前以外は知っていたが、こいつを喚んだのは葉山だったのか。なんというか、御愁傷様。

「どちらも見当はついていたわ」

「えー!?」

「おい、聞いてないぞ雪ノ下」

「今日話す予定だったのよ。それで、話しは終わりかしら?」

「ぐぬぬ…」

往生際が悪く必死に何か思い出そうとするライダー。

そのまま周囲を見回すとセイバーを見て顔が止まった。

そしてぐにゃっと気持ちの悪い笑みを見せた。

「おい、こいつ斬って良いか?」

「まー、いつでも斬れるから今はやめとけ」

「そうだ、思い出した!拙者をボコったサーヴァントがそこのちっさい子と似たような顔をしていたでござる」

似たような顔?どういうことだ?

「なんだと?」

するとセイバーがそれに食いつく。

「金髪の目に碧い目、何よりちんまい体がそっくりぎゃっ」

セイバーがそいつの股間を蹴り飛ばした。

いたたたた。

「もー、男の英霊はキャン玉も霊基に繋がっているでござるよー」

「うるせー、そいつは何色の服を着てた?」

「うう…、青…」

「間違いねぇ、父上だ」

「父上?拙者が見たのは女の子ぎゃっ」

またしても大事なところを蹴飛ばされるライダー。

もうやめて、ライダーのライフは0よ。

「どこだ、どこで見た!」

「南の森の方でござる」

すると教室を出ていこうとするセイバー。

「待て、もう居るわけねぇだろ」

するとセイバーが立ち止まる。

そしてこっちを見るとぎろっと睨んできた。

だが俺は言葉を続ける。

「聖杯戦争を戦っていればいずれ会えるだろ」

そう言うとセイバーは戻ってきた。

「悪い」

それだけ言って消えてしまった。

「拙者の話は以上でござる。どうでござった、雪乃殿?」

「まあまあね」

ライダーの話でわかったのは結局おばあさんとセイバーの父親のコンビがいるということくらいか。

だがどうも今の話に違和感を感じる。

「拙者、仲間に入れてもらえるでござるか?」

「貴方、今、宝具持ってないんでしょう?」

「おいおい、嘗めて貰っちゃ困るぜ。宝具なんかなくてもサーヴァント以外にゃ遅れはとらねぇよ」

そう言って懐から銃を取り出すライダー。

それは現代の角張ったシンプルな物ではなく丸みがあって装飾が施してあった。

それに好き嫌いや、特徴的な黒ひげ。ライダーというクラス。こいつの正体はおそらく。

「まあ良いんじゃないか?宝具持ってないってことは裏切るのも難しいだろうし」

「問題は性格だけれど…」

だろうな、俺は関係ないけど。

雪ノ下に睨まれてライダーはまたビクンビクンしている。

「はあ、まあ良いわ、お願いできますか?平塚先生」

「仕方ないな」

こうしてライダーが仲間に加わった。

「それで実はもう一つお前達に伝えたいことがあるんだ」

「なんです?」

「聖杯戦争が始まってから不審な動きをしているものがいないか生徒や職員をチェックしていただろう?」

「はい、もしかして見つかったんですか?」

「その通りだ。2年F組、比企谷と同じクラスだな。川崎沙希という生徒が聖杯戦争が始まってっから一度も登校していないんだ」

「確かに怪しいですね、調査する必要があるかもしれません」

「ああ、家はもう調べてあるからこれから行ってみようと思う」

というわけで俺達はその川崎宅に行くことになった。

 

 

 

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