fate/Tiba-si night   作:d d

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今も彼らの中には輝く星がある

俺は葉山に銃を突きつける。

「今すぐ外の連中を止めろ」

「断ると言ったら?」

「…お前を殺す」

「君が、俺を?見くびられたものだな」

葉山は余裕しゃくしゃくといった様子で笑う。

俺はあいつの実力を知らない、しかしそれは向こうも同じ筈なのにだ。

まあ、おそらく俺の方が弱いのだろうが、しかしそれを態度に出す訳にはいかない。

「お前は既に聖杯戦争から脱落した筈だ。何の為に雪ノ下を狙う?」

「それこそ部外者の君には関係ないことだな」

どうやら向こうに話をする気はないらしい。ならばその気を引きずり出すしかない。

「どうして俺がお前まで辿り着いたのか知りたくないか?」

「それは是非知りたいね、どうしてだい?」

「お前、クラスの奴にいつも通り過ごさせてただろ」

「まさかそれで?はは、よく見てるんだね」

「ああ、正直気持ち悪かったぜ。意識を操って雰囲気を維持したってそんなもんお前の自己満足でしかねぇのによ」

「…」

「ああ違うな、自己満足なのは普段からか。だからそんな事でお前は安心したんだ、そうだろ?」

「…そろそろ黙れよ」

「お前が言えって言ったんだぜ?」

交渉の基本は相手より精神的に優位に立つことだ。

平常心をなくせば正常な判断ができなくなる。

「中途半端だよなお前って、自分がクラスの中心だと確信してるくせに周りの奴を心配するフリして、そんで今度は都合のいい駒にしようって訳だ」

由比ヶ浜はこいつに操られて自分で自分を傷つけていた。

いつのまにか手のひらに爪が食い込む程強く拳を握っているのに気がついた。

葉山を煽るつもりが、自分の首を絞めていることに自分でも驚いた。

「やっぱり、俺は君が嫌いだよ、比企谷」

「ああ、俺もだよ葉山」

俺はポッケから黒剣を取り出して構える。続きは一戦交えてからになりそうだ。

「それは…どうして君が?」

葉山は怪訝そうな顔を見せながら両の拳を前に握ってファイティングポーズをとる。

そのままじりじりと距離を詰めてきた。

それを見た俺は前方に剣をぶん投げた。

それは直線的な軌道を描いて正確に葉山の肩目掛けて飛んでいく。

最中、葉山が不敵に笑ったのが見えた。

そして葉山は迫る黒剣を右手で遮った。

それでも剣はいとも容易くその手を貫通する。

血飛沫が周囲を赤く染める。

だが葉山は何事もなかったかのようにそれを無視して走り出す。

まるで俺の攻撃など何の意味もないというように。

いや事実、意味がないのだ。

俺はもう一度剣を二本投げ込む。二本とも正確に足と胴体に飛翔するが、今度は防ごうともせず、それらは完全に肉をそぎおとした。

だが葉山は止まらない。

舞い散る血飛沫の中をスピードを保ったまま突っ込んでくる。

頬を汗が伝った。

こいつにとって外傷は無意味なのだ。

魔術師にはそれぞれ得意とする分野があるらしい。

こいつは外の奴等と同じように自らの体を操っている。

だから痛みもそれに対する恐怖もない。

気づけば貫かれてできた穴は既に埋まっていた。

そうして俺との距離を詰めた葉山は、その右腕を俺に突きこんだ。

なんとかそれをかわす。

次々と繰り出される鉄拳を俺は首の皮一枚でかわしていく。

「どうした、比企谷!逃げ続けるだけか!」

やはり単純な戦闘力で俺は敵わない。

「は、こんなへなちょこパンチじゃライダーも見放したくなるよなっ…」

「!?、…お前っ」

直後、葉山の腕が人間の輪郭を外れて横にかわした俺を追尾してくる。

「!?」

さすがにこれはかわしきれず魔力を腕に溜め全力でガードした。

そして拳が俺の腕を撃ち抜き、骨の芯から粉砕した。

「ああああああああ!?!」

床を転げ回る。

痛みが俺の脳みそを焼いてくる。

「人をこけにした報いだ」

なんとか奥歯を噛み痛みに耐えるが左手はもう使い物にならなそうだ。

「それにしてもライダーのことまで知っているとはね、君はいったい何者なんだ?」

葉山がなんか言っているが俺は自分の事で精一杯だ。

どうする?このままでは葉山を説得して催眠を解かせる前に俺がやられてしまう。

なら殺すしかない。

こんな痛い思いまでして、相手の命を思んばかる必要はない。

だが俺の中には一つの迷いがあった。

自分の手を汚すこと、ではない。

アサシンを殺した時俺の中で何かが目覚めたのだ。

それは人を殺す度に大きくなる。

アサシンはサーヴァントで、幽霊のようなものだった。

だが生身の人間を、もう一度それを犯せば、今度こそ飲み込まれてしまうかもしれない。

「その黒剣は雪ノ下のものだろう、どうして君が持っているんだ?」

雪ノ下?葉山の口から出たその言葉に思わず反応してしまった。

「お前には関係ねぇだろ」

すると何故か葉山の顔が強ばる。

「はは、意趣返しって訳か。わかった、君の質問に答えよう。俺が雪ノ下を狙う理由は彼らに裏切られたからさ」

裏切られた?何を言ってるんだこいつは。

「お前がライダーを裏切ろうとして返り討ちにあったんじゃないのか?」

「ああ、だからライダーを恨んじゃいないさ。けどその時、共に今回の聖杯戦争を起こした雪ノ下家は俺を見捨てたんだ!」

こいつらの家の事情はわからない。しかしどうも食い違いがあるようだ。こいつが狙っているのは雪ノ下雪乃個人ではなく、その家系自体なのか。

「なら雪ノ下雪乃はターゲットから外せ。あいつはお前らの事情とは関係ない」

「…成る程、そういうことか。確かに雪ノ下家にとって彼女は陽乃さんのスペア、贋作でしかない。この聖杯戦争の目的も知らされていないだろう」

葉山のなめるような視線が俺をおぞけだたせる。

今の発言で俺と雪ノ下の関係を晒したようなものだ。

それはいわば弱点に他ならない、セイバーが俺を守って死んだように、彼女の存在が俺の足を引っ張るのかもしれない。

だがもとよりそれは承知の上だ、彼女のサーヴァントになったあの瞬間から。

妙に頭に来るのはその言い分である。

彼女を貶された事ではなく俺の知らない彼女をあいつが知っていることにが何故か気にさわる。

「だが命令の変更はできない、規模を広げるために術式を酷く簡略化しているからね」

「なら一度全てをリセットしろ」

「この呪いは会話することで広がっていくんだ。消したらまた一からやり直しになってしまう」

「それで、関係ない奴を巻き込んでもか?」

その言葉に葉山は少しだけしゅんじゅんする。

「ああ、それでも俺は、俺を裏切った連中を許せないよ」

だが葉山の解答は変わらない。

もう、こいつに何を言っても無駄だ。

こういう奴は自分の都合の良いように現実をねじ曲げる。

悲劇のヒーローに酔っているだけだ。

「もう一度言うぜ、死にたくなきゃ催眠を解け」

「お前に俺は殺せない」

そう言うと葉山は腕を伸ばして攻撃してきた。

お前はゴム人間かよ、こんなとこでも主人公なのかお前は。

直線的なパンチを難なく避ける。

だがこっから変則的な攻撃が飛んでくる筈だ。

その前に俺は伸びた腕を切断する。

そして腕に沿って走り出した。

葉山を睨み付けると憎たらしい笑い顔が見える。

直後、俺の後頭部を衝撃が襲った。

それに押されて俺は葉山の目の前に転がった。

葉山は好機とばかりに右足を振り抜く。

何が起きたのかわからないが、今は目の前に迫る攻撃の対処が先だ。

回避は間に合わない。

俺は既に潰れている左腕で足を受け、残る右腕で引き金を引いた。

「あああああああ!!」

「くぅ…あっあっ!」

二つのあえぎ声が病院の廊下にこだまする。

俺が放った銃弾は葉山の首筋をかすっただけだが、雪ノ下の魔力がそこから葉山の体を蝕んでいた。

俺の方は予め覚悟しておけば耐えられない痛みではない。

今一度、葉山に銃口を向ける。残る弾は一発。今銃撃すれば葉山を倒せるかもしれない。

外すことはない。何故だか俺にはそんな自信があった。

銃口を葉山の頭に重ね引き金に指をかける。

しかしそこから指はびどうだにしない。

こんな時になってまで俺はその一線を越えることができていない。

「比企谷アアアア!!」

葉山が叫び声をあげるとその周囲に人影が集まってきて、射線をふさいだ。

それはいつも葉山と一緒にいた連中だった。

由比ヶ浜を除いた4人。

そいつらは直ぐに俺に襲いかかってきた。

俺の存在は操られた奴等には認識できない筈だが、おそらく葉山が直接操っているのだろう。

四人は俺を取り囲むと殴ったり蹴ったり考えうる限りの暴力をみまった。

俺はうずくまってそれをただただ耐える。

身体中が痛みを訴えてくる。

葉山隼人は自分がいなくなった後もクラスが壊れることのないようにクラスメイト達を操っていた。

それがあいつの本質だ。そこに自分がいないのに例えそれが偽物でも居心地の良い場所を守ろうとした。

それに心底腹が立つ。そんな物にいったい何の価値があるのか。

そして結局そいつらを戦場に駆り出している。

いったい何がしたいのか全くわからない。

そうしている間にも少しずつ俺の命は消滅に向かっていく。

段々と暗い死に近づいていく。

それを回避するためにはそれより先に相手を死に追いやらなくてはいけない。

四人に囲まれた状況では葉山から俺は見えづらい筈だ。

そして俺はアサシンの気配遮断が使える。一度見失えば再発見は不可能だ。

俺は取り囲む一人の足を蹴飛ばして包囲網に穴をあける。

続いて黒剣を投げ窓ガラスを割る。

だが俺が飛び出すのは反対側だ。

案の定、葉山はガラスに気をとられあらぬ方向を向いていて、俺に気づいていない。

このまま引き金を引いてその首を吹っ飛ばせば良い。

それで葉山は死ぬ、それでゲームセットだ。

だがこの期に及んでまだ俺の心は決まらない。

指は引き金に添えられたまま震えるだけだ。

体の中に居る何かが俺に囁いてくる。

もっと殺せ、もっと殺せと。

それに身を任せたときいったい俺はどうなってしまうのか?

その時俺の横っ面を誰かが殴り飛ばした。

銃は俺の手から滑り落ち体は壁に叩きつけられた。

痛みに歪む視界で前方を確認する。そこには血にまみれる拳を振り抜いた由比ヶ浜がいた。

「危ない危ない、どうやらそれが君の能力らしいね。けどどういうわけか結衣には効かないみたいだ」

ああ、俺にもわからない、何故彼女は俺を見つけることができるのか。彼女も何か特別な力を持っているのだろうか。

「どうしてこんな事になっちゃったんだろうな?」

葉山は俺の潰れた左腕を足で軽く蹴飛ばす。

「ああああああああ!!」

それだけで意識が焼ききれる程の痛みが走る。

「二度も俺を殺すことができたのに、どうして引き金を引かなかった?」

「なら、俺の…勝ちだ…洗脳を解け…」

「はは、それはできない。覚悟もなく戦場に来た自分を恨んでくれ」

そのまま葉山は俺の右足を踏み砕いた。

「ああああっああ!」

「勝負は俺の勝ちだ。このまま君も兵隊の一人にさせてもらうよ」

葉山は俺の頭に手を当てると何事か呟いく。

それを聞いた瞬間、足の痛みは抜け何処か朗らかな陽気が俺を包んだ。

そして俺の頭の仲に言葉が入り込んできた。

ユキノシタヲ コロセ。

ユキノシタヲ コロセ。

以前取り払ったように頭に魔力を集中させそれに対抗しようとする。

だがそんなものは直ぐに弾かれてしまった。

無防備な意識を呪いのような言葉が埋め尽くしていく。

ユキノシタヲ コロセ。

ユキノシタヲ コロセ。

「雪ノ下を…殺せ…」

「そうだ、手始めに雪ノ下さんを狙ってくれ」

「雪ノ下…?」

「彼女が誰かを頼るなんて滅多にないからね、君なら彼女でも殺せるんじゃないかな」

呪言が頭を満たし自分では何も考えられない。葉山の言葉に逆らうことができない。

体はかってに動き、折れた筈の右足は普通にプラスチックの床を踏みしめ、身体中の痛みは見事に消え去っている。

地獄から解放された俺は一種の幸福感さえ感じていた。

だがそれも一時の話。

彼女の名がそいつの口から出た瞬間、俺の頭の中にノイズのような衝動が生まれた。

その正体が何なのかはわからない。

だが俺がそれを意識するほど、それはどんどん大きくなって葉山の呪いの言葉を退けていく。

「まだ抵抗するのか!?」

しかし同時に葉山の呪いもそれに対抗しようと強まっていく。

広がっていったノイズは次第に小さくなりまたもとの穏やかな世界へと帰りかけている。

もう良いじゃないか、このまま楽になってしまえば良い。

どうして俺が辛い思いをしなければならないのか。

痛みに耐えなければならないのか。

例え戻ったところで俺が葉山に敵う筈もない。

けれどそんな小さくなってしまったきざはしを俺は手放すことができなかった。

それは俺の中に居る彼女なのだ。

それは痛く、辛く、怖い。

強く握れば握るほど俺の心を傷つける。

けれどそんなものはとうに受け入れた。

俺がほしいのはそんな甘いだけの林檎ではなく。

もっと遠い、遥か彼方にあるどんなに手を伸ばしても届かない苦い葡萄が欲しかったのだから。

そんな本物が欲しかったのだから。

霞む意識の中、彼女の言葉を思い出した。

特異な能力はただ魔力を操るだけで完結する。

そしてそれを俺は既に目にしている。

キャスターが放った無属性の魔術、それは無を固定することで相手の術式を阻害していた。

つまり無を操ることで有を操った。

どちらか片方ではないのだ、無と有は異議共立する存在。

無属性とは有属性でもある。

それを失念していたからこそ俺は自分の魔術に気がつけなかった。

だがそれに気づいた今ならできる。

自分自身との会話はボッチの得意分野である。

俺は彼女の言葉通りただ魔力を己の体に充満させた。

「な、なんだ!?」

その瞬間、俺は世界から消失した。

 

interlude 7-1

 

巨大な肉塊は直後そのドラム缶程もある腕を叩きつけた。

俺はどうにか魔力を込めた跳躍でそれを回避する。

巨漢はコンクリートを豆腐のように突き破り、下の階まで落ちていった。

その一瞬の出来事を俺は自分の記憶と照合する。

間違いなく今のは前回のバーサーカー、ヘラクレスだ。

まさか今回も召喚されていたなんて。

下にたむろする群集がイリヤを見つけてから奴は直ぐに現れた。あまりにもタイミングが良すぎる。

バーサーカーがイリヤを狙っていると結論づけるのにそう時間はかからなかった。

俺は直ぐイリヤを建物の中に隠す。

屋上に戻ってくると既にバーサーカーも既に戻ってきていてそこに佇んでいた。

「■■■■■■■■!!」

俺を発見するとその巨体を揺さぶって突進してくる。

それを見る前に干将と莫夜を投影する。反撃の為ではなく、アーチャーの経験を憑依させてそれをかわすために。

バーサーカーは勢い余って隣のビルに突っ込むがボールが跳ねるように戻ってくる。

そのまま腕をふって俺をミンチにしようとしてくるがそれを再びギリギリで避ける。

バーサーカーが巻き込んだ風が旋風となり俺の頬を切り裂いた。

そして屋上の端でなんとかとどまるともう一度俺目掛けて突っ込んできた。

まるで嵐の中に立っているような感覚に襲われる。恐怖が全身を包んでいる。

バーサーカーと対峙するのはこれで二度目だが、前回いたセイバーはもう俺を守っちゃくれない。

だがそれは当然だ、人は誰かに守られた分また誰かを守る、そうやって命を繋いできたのだ。

ならば彼女や爺さんに守られた分を今ここで、イリヤを守ることで返さねばならない。

引くことも負けることもできない。

俺の後ろにはイリヤがいるから。

その為にはあの怪物を討ち果たさねばならない。

俺は双剣をオーバーエッジ化させる。

前回のバーサーカー、そして今回のキャスターと、アーチャーは俺達を逃がすために強敵相手に一人で立ち向かった。

だがそれでは足りないのだ。

それはすなわちこの場であいつを越えなくてはならないということだ。

やってやるさ。その為の二年間だったのだから。

俺は前につきだされた拳に刃を合わせる。

前回と違ってバーサーカーは岩斧を持っていない。攻撃は全て生身の体をさらけ出して行わなければならない。そこが狙い目だ。

俺はそこから刃を入れ、胴体までを切り裂いた。

こいつ相手に戦いを長引かせても無駄だ、いっきに決着をつける。

俺は黄金の剣をその手に投影する。

バーサーカーが傷を癒しきる前にその真名を解放した。

勝利すべき黄金の剣(カリバーン)!』

眩く輝く閃光がバーサーカーを横断する。

しかしそれでも怪物は煙を吐きながら立ち上がる。

そしてまた俺を引き裂かんと向かってくる。

俺はアーチャー程劣化品ですらその真価をひきだすことができない。

そしてバーサーカーは凶戦士でありながら、その身に理性を残している。

一つの神話体型の頂点に君臨する歴戦の覇者は、何度か打ち合えば相手の癖をよみとってしまう。

なんとか回避する俺の動きを予測して直ぐ様追撃を放ってきた。

迫る岩のような拳。

一度でもくらえば俺の魂は永遠にこの世から消え去るだろう。

俺はそれでも構わない。

けど俺が弱いせいでイリヤまで道連れにするのは耐えられない。

もう一度俺はその手に武器を握る。

それは前回のバーサーカーが持っていた岩斧。

是・射殺す百頭(ナインライブス・ブレイドワークス)!』

その腕から体を木っ端微塵に切り裂いていく。

だが切り裂く度に徐々に傷は浅くなっていく。

バーサーカーの体は一度受けた攻撃に耐性がつく。

俺の斬撃はいずれ刃が立たなくなる。

それまでに次の手を考えなくてはいけない。

だがその瞬間俺の足元が揺らいだ。

度重なる衝撃にビルが耐えられなかったのだ。

視界が横に倒れていく。

怪物がその隙を逃すまいと拳を振り上げる。

なんとか体勢を建て直し俺は防御を試みた。

「ロー・アイア…」

だが真名を解放しようとした口はそこで力なく閉じられた。

バーサーカーの攻撃を避け続け、何度も宝具を解放した俺の魔力は既に底をつきかけていた。

終わった。

ここから逆転する方法はついに思い付かない。

少しだけ展開した花弁の盾は簡単に破られた。

せめて、誰かがイリヤを守ってくれないかと、信号がわりに残った魔力を空に打ち出そうとして、空から降ってくる天使のような悪魔が見えた。

「喰らえ!!この筋肉お化け!!」

遠坂は二つの宝石を取り出すとバーサーカーに向かって投げつける。

それらは空中で魔力を解放させると、強力な冷気となってバーサーカーを凍りつかせた。

着地した遠坂は自分の指の皮を噛みきる。

「遠坂!?」

「早く飲みなさい」

魔術師の血にはその身に宿る魔力がふんだんに溶け込んでいる。

それを接種することで魔力を回復しようと言うのだ。

気恥ずかしいが迷っている暇はない。

俺は滴り落ちる赤い鮮血を指ごと口に含んだ。

「■■■■■■■■■!!!」

そうしている間にもバーサーカーが氷を破って雄叫びをあげる。

今の遠坂の一撃でおそらく7度目の絶命だったはずだ。

まだ半分も残っている。

「マスターを探すのよ、近くに居る筈だわ!」

マスターにはマスターの居場所がわかる。きっとてに浮かぶ令呪が近くを示しているのだ。

待てよ、近くに居るのに姿が見えないマスター。

そしてこいつらはイリヤを狙っている。

「遠坂、中だ!イリヤが危ない!!」

「えっ!?」

しかしその行く手をバーサーカーが遮る。

その肢体を金の鎖で絡めとった。だがそう長くはもたないだろう。

「行ってくれ遠坂!こいつは俺が止める!」

「ちょ、ちょっと、ああもう、わかったわよ!」

 

interlude out

 

 

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