「「すいませんでした!!」」
骸と少女は戦闘に割り込んできた女性に土下座していた。
「まったく貴方達は教会の前で争いを起こすなどどういうつもりですか?そもそも…………」
修道服を着た、院長と呼ばれた女性は二人の前に立ち、説教をする。
既に三十分は経っている。
もはや、二人は説教が終わる事は無いんじゃないかと思い始めていた。
更に一時間経って、ようやく説教は終わった。
「……では、分かりましたね?」
「「はい、反省しました」」
声を揃えて言う。
骸は立ち上がり、欠伸をする。
「(長かった………)」
(お疲れさん。まぁたまにはいいだろ)
「(何処がだよ………ダリィだけじゃねぇか)」
(そのダルさに意味があるんだがな)
そんな事を心中で喰と話していると、院長が聞いてきた。
「さて、御身はこの教会にどの様なご用件で?」
「あぁ、そんな堅苦しい言葉使いじゃなくていいよ。目的は人探しですよ」
「目的の人物がここにいるというのですか?」
「ここ、と言うより目の前に」
「へ?私を探してるの?」
院長の背後に立つ少女を指差すと、少女が驚いた様に声を上げる。
初対面でそんな事を言われれば当たり前だろうが。
「彼女にどのようなご用件が?」
「それについては二人っきりで話したいんだが、いいか?」
「それは………本人次第ですね。半月、貴女の好きな様にしなさい」
「いいわよ。話しがしたいと言うなら話しましょう」
「では、立ち話も何ですし、どうぞ中へ」
院長に案内される形で“彼ら”は教会に入る。
◆◆◆◆◆
“彼ら”と少女は教会内の講堂で話す事になった。
骸はベンチに座り、少女は十字架の前にある祭壇に座っていた。
そこに座るのはどうかと思うが骸は何も言わない。
(本当にこいつなのか?)
「(“鈴”も反応したし、間違い無い)」
確かめる方法はあるがそれは後でいいだろう。
まずは話だ。
「そういや、名乗って無かったな。俺は上月 骸だ。好きに呼べ」
「私は神宮 半月よ。その…………」
半月が突然言い淀む。
「どうした?」
「その、さっきはいきなり斬り掛かって悪かったわね。一応……謝っておくわ」
「(何だ………そんな事か)」
目をそらし、気まずい様子の半月を見て、苦笑する。
「その事ならいいよ。元より結界を強引に破った俺が悪いんだし」
先程の不意討ち、あれは“彼ら”が結界を強引に破って敷地に入った事により起きた事だった。
どうもどうやらこの教会は魔術的な素養がある孤児を積極的に保護している様だ。
あの結界は気配を隠す事とここの存在をなるべく知られない様に院長が張った結界の様だ。
院長は結構な魔術師の様だ。
詳しくは知らないが結界に関してはかなりの腕らしい。
そんな結界を破って入って来た“彼ら”は怪しい人物そのものだった。
そこで半月が独断で迎撃に出たのだった。
半月は確かめもせずに斬り掛かった事を謝ったのだろう。
“彼ら”としては自分達に非があると思っているので特に襲撃に関しては気にしていなかった。
「なら、いいわ。それでカンピオーネが私に何の用?」
「実はある人物からお前を守る様に言われてな」
「は?誰がそんな事を?」
「“誰”ねぇ………」
どう答えた物かと悩む。
しかし、結論はすぐに出るが。
「お前の“母親”だ」
「嘘でしょ?私の両親は私が物心がつく前に死んでいるんだもの。何やら事情があったらしく天涯孤独だったらしいし、“母親”がそんな事を頼むのは無理って話しよ」
「…………(どうした物かねぇ………ダリィぞ、これ)」
(もう、玉依姫の事をそのまま話したらどうだ?)
「(それが一番か)」
「そんな嘘で私に近付いて何をする気?」
「嘘じゃねぇよ。ある意味な」
「はっ?どういう事?」
「今から話すからよく聞いとけ」
そして、玉依姫から聞いた事を半月へと話す。
◆◆◆◆◆
「さすがにそれを信じろと言うのは無理があるわよ?」
話し終えた直後に半月は言う。
それもそうだろと、“彼ら”は思う。
いきなり、自分が遥か昔のまつろわぬ神とカンピオーネが創造した存在と言われても信じる事は出来ないだろう。
自分が半神半人、否、体は人間で魂の半分が神、つまりは神とのクォーターと言われても受け入れれるわけが無い。
記憶に無いとはいえ、両親が存在したなら尚更にだ。
「まぁ信じなくていいよ。俺は俺として“契約”を守るだけだ」
「私を守るねぇ………ストーカーでもする気?」
「そこまではしねぇよ。でも、お前の近くにいた方が都合は良くあるな」
「まっ、そこらへんは後々でいいとでしょ。貴女の話の信憑性を確かめたい所だけど………」
「方法ならある。確かめたいなら言え、俺が確かめてやるから」
「ふぅん……あるんだ。でも、いいや。私がどんな存在であれ、私の人生は何ら変わりないからね」
「(眩しいねぇ………)」
(だろうな。“お前”にはそう見えるだろうよ)
「(どういう意味だ、喰?)」
(さぁな)
聞いても流されるだけであった。
一通りは話す事は話した。
特にやる事が無くなったわけだ。
とりあえず、後で院長にも話を聞こうとは思っていた。
そんな時に、
「半月姉ちゃーん!!」
「半月姉~!!」
子供達が講堂に入って来た。
おそらくこの教会で預かっている子供だろう。
しかし、骸はそんな事を気にする事が出来る状態では無かった。
「(……っ!?)」
激しい痛みが頭に響く。
燃え盛る炎、血にまみれた光景、倒れる子供の姿、血の海の中心にいる“あいつ”、“あいつ”の傍らで返り血にまみれて呆然としている“彼女”
そんな光景が脳裏に蘇る。
頭痛だけでなく、吐き気まで出てくる。
(おい、しっかり気を保て!!)
喰が叫んで来るが聞いてる余裕は無い。
息を荒げ、教会の外へと向かう。
「ちょ、貴方、どうしたの!?」
その様子に驚いたのか、子供に囲まれた半月が声を掛けて来るが聞く余裕は無い。
まるで、その光景から逃げる様に骸は外に出た。
◆◆◆◆◆
「ハァ……ハァ…………」
教会の裏で吐いた。
吐瀉物を撒き散らすが息はまだ荒い。
(大丈夫か?一旦変わるか?)
「あぁ、悪いが頼む」
直後に髪の一房が白くなり、喰が表に出てくる。
「(まぁしょうがなくはあるよな。あんな光景は骸が“あれ”を連想してもおかしくない。トラウマに触れてあれだけ取り乱すとは思っては無かったが)」
骸は一旦落ち着く為に意識の深淵で眠りについた。
喰はとりあえず顔を洗い、今後どうするか考える。
そこに、
「貴方、何してるの?」
半月が現れた。
どうやら講堂から出る時の様子から心配して、追っかけて来た様だ。
「悪い、悪い。ちょっと吐き気がしただけだ」
「そう。それで“貴方”は誰?骸では無いでしょう?」
「どうやって気付いた?確かに俺は骸じゃねぇ。上月 喰だ。簡単に言えば別人格って所だ」
「ふぅん。二重人格だったんだ。気付いた理由は何となくそんな気がしたからよ。たまによく分からない感覚を感じる事があるのよ」
霊視の様な物か?と喰は適当に思う。
そして、思い出した様に懐から“鈴”を取り出し、半月へと投げ渡す。
「何よ、これ?」
「お前の“母親”の遺した物だ。俺よりお前が持ってた方がいいと思ってな」
「“母親”と言われてもピンと来ないけど、受け取っておくわ」
何かを感じたのか、大事そうに握りしめる。
「「っ!?」」
二人で講堂に戻ろうとした時、おぞましい気配を感じて二人は同時に振り返る。
二人の背後には、炎色の衣を着た女性が立っていた。
彼女は怪しげな笑みを浮かべて何かを呟いていた。
「フフフ………我が仲間を呼ぶにちょうどいい素材の気配を感じたと思ったら、我らが主の仇の神殺しに会えるとは………これほどの幸運だと思う事は無いな」
その呟きで危険な存在だと感じ取った二人は武器を構え様とするが、その前に女性の姿が半月の目の前に現れる。
彼女の右手が右肩に触れたと思うと、その手は鉤爪に変化する。
「まずは邪魔な貴女の命を頂こう」
「チッ!!」
鉤爪が振り降ろされる前に喰は半月を押し退ける。
そして、代わりに喰が袈裟懸けに斬り裂かれる。
「喰ぃぃぃぃ!!」
押し退けられ、尻餅をついた半月の目にした光景は喰が斬り裂かれ、血が舞う光景であった。
多量の鮮血が舞い、半月の叫びが響く。
今回は玉依姫の話を半月に語り伝えるという感じでした。
名前出たので一応紹介すると
神宮 半月
読みは、じんぐう はんげつ
主な戦闘スタイルは二刀流
その他にも色々仕込んであったり
修道服を着てはいるものの改造多々
スリットが入ってたりします。
ブーツにニーソで黒髪です。
それでは質問があれば聞いてください。
感想待ってます。